tannenbaum居眠り日記💤

シロート観戦者による、おもに自転車(おもにシクロクロス)関連のすみっこネタブログです。

ワウトの春一番(Strade Biancheで表彰台)


Wout van Aert cramps up on final climb - Strade Bianche 2018

Wout Van AertがStrade Biancheでなんと表彰台に上った。先日Omloop Het Nieuwsbladで今後本格参入予定の春クラシックシーズンに突入、30位台の成績を収めて、十分通用するところは見せていたけれど、まさかのいきなりブレーク。
残り45キロメートルからツールの総合争いに絡むビッグネームRomain Bardetと共にアタックしたのは、今がそのタイミングと思ったのと、逃げグループ内の協調がよくない中、Bardetは自分同様明確な目的をもって走っていると感じたから、とVan Aertはコメント。
そして最後の急峻な登りで両脚が攣って転倒しながらも、タイムロスを最低限に立ち上がりバイクを押し、後輪にまたがりながらサドルに戻った気迫の走りは評判になった。

そもそもWoutのチームがこのレースにワイルドカードで招待されたのは、わりと直前の話でしたよね。たしかOmloopのちょっと前。そしてレース前の記者会見に出し、結果、活躍があったことで主催者もなかなかの決断をして、レースを盛り上げたことになります。


Wout van Aert meets Peter Sagan before Strade Bianche
(↑レース前記者会見でサガンと並んでいたVan Aert、レース前から注目はあったが、表彰台とまでは予想されておらず。)

【話は戻って世界選直後】

http://m.sporza.be/#!/snippet/5a775d3eb5a1be54418ef9fd

著名な自転車レース解説者のMichael Wuyts氏がValkenburgの世界選からTVスタジオに直行し、Van Aertの勝利は完ぺきなピーキングの成功によるものであると述べた。

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(↑ベルギーではツールの解説もこの人らしい Wuyts氏。)

シクロクロスシーズン中に休息期間を設け、去年ほどの成績はおさめずトレーニングにあてた。ライバル選手たちよりも1,2回多く休息期間を設け、世界選のタイミングでとびぬけたコンディションに持ち込むことができた。

その反対がVan der Poelで、彼は肉体改造をしてシクロクロスシーズンの間じゅうベストな状態になるように仕上げて今季26勝とあらゆるところで勝利をおさめた。それがプレッシャーになるとき、今日のようなことが起こる。Sven Nysシンドロームだ。
(以下略)

 ・・と、Van Aertがコンディションを世界選がピークになるように、それに対してVan der Poelがシーズン中に合わせて調整した、という点が言われていました。

Mathieuはもう23歳、まだ自転車への取り組みがplayful way (遊びっぽい姿勢?)だが、もうそのようなレベルではない。今こそ真のトレーナーに「シーズンのオーガナイズのしかた」の指導を受けるべきだ。レース出走数の「ダウンサイズ」はオリンピックに向けMTBチャンピオンを目指す彼に良い影響があるだろう。

 いかにVan Aert陣営が練りに練った構想でシーズンに臨んでいたか。昨シーズンのようなガチンコ対決が減ったことは、Van der Poelが一回り大きくなった体型とともにより強くなったことと、Van Aertがシクロクロスシーズン当初からこの春のクラシックレースシーズンを見据えていたことが重なった結果だったのかと改めて。

【予定どおり】

9月のシーズン初め、まだロードレース用の身体だったVan Aertが冒頭のワールドカップで良いところがなく、今後彼の見据えているロードレース選手としての進路と、調整方法やシクロクロスとの両立についてはすでにメディアに出ていたところでしたね。

・下の記事中で未定となっていたパリ~ルーベでのワイルドカード出場はその後決まっており、今年のパリ~ルーベでVan Aertを見ることができます。

tannenbaum.hatenadiary.jp

でもいくら、今年春のパリルーベを年間ターゲットと見据えていたとしても、シクロクロスシーズン中に目の前のレースでもっと行きたいと欲はでないものか?と選手心理について解説の足立さんに聞いてみました。

・あれだけ争っていると、今日は勝てるとか負けるとか、スタートしてある程度判ってしまうものです。
・昨シーズンは、WC(ワールドカップ)とSP(スーパープレステージ)のタイトルを二人はシェアしていましたが、今年はマテューが、昨年の世界選の雪辱をとばかりに圧倒的に全てに勝ちに行って、去年ほど力が拮抗していないと悟ったワウト陣営は考えを世界選一点にスイッチしたのかと推測します。
・ワウト陣の策は、ロードレースでツール狙いの選手が他のレースを調整ととらえて走るようになった時に似て来たと思います。

 なるほどね。それに、ロード界に打って出るのに「スーパープレステージ」や「ワールドカップ総合優勝」というタイトルよりも「世界選手権優勝者」のほうが皆がほほう、と思ってくれそうですよね。

あと、足立さんが指摘したのが

・ニールス参謀長官の戦略。

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(↑左端がワウトの指導者、知将Niels Albertの現役時代。)

世界選のタイヤもこの人と共に選択したものとされています。そして実際には使わなかったタイヤの使用情報を事前にリークしていたのは情報攪乱だったという説も。現役当時Nysからはニールス君あれこれ策を弄するのはいいことじゃありませんよ、純粋に脚で勝負しましょうよ、という苦言も呈されていたアルベルト。あ、今回の世界選の前もNysなんか言ってた(笑)。しかし今回は小知恵というより深謀遠慮ですよね。

しかし思い出したけど、こういうど根性だったよなあ、ワウトの走りの魅力。↓


Wout van Aert Strade Bianche 2018 finish

 シクロクロスファンとしては、CXHairs氏のツイートのハッシュタグのような
「クロスの季節は去った」という感慨にふける気持ちもあり。今シーズンのクロスが終わったというのと、ワウトの自転車選手人生も新しい季節へと。

www.nieuwsblad.be

ベルギーのロードのナショナルコーチKevin De Weert はクロスとロード両方をハイレベルで両立維持するのは無理だ。選択しなくてはならない。という考え。世界選に連れていくつもりはないが、ヨーロッパ選手権グラスゴーのコースは彼のようなパンチャーに向いていると思う。とコメント。

ともあれ、彼の目標としているパリ・ルーベでの活躍が楽しみです。

 

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【おまけ:シクロクロス界からのコメント】

sporza.be

 (Toon Aerts)
シクロクロス選手なら夢見るStradeのスタートライン、自分も走ってみたい。

 (Eli Iserbyt)
Strade Biancheは登りもあるのでこの結果に驚いた。彼はちょっとボーネンに姿勢が似てるよね。自分はまだいまのところロードはクロスの準備と考えてるよ。
(Tim Merlier) 
TV観戦中うたた寝し、目が覚めたらワウトが逃げているところだった。チームメイトで友達が世界で最も美しいレースで前を走ってるなんて、何が起こっているのかと思った。
(Michael Vanthourenhout)
ヤキモチやいちゃうね。自分はいまのところあくまでもクロスがメイン。ロードも走るけど。
(Gianni Vermeersch)
シクロクロス選手のレベルが高いことを示せてよかった。自分は夏のロードは調子良かったのに逆にクロスで実績があげられなかった。Van AertやVan der Poelとの違いは彼らは夏場もクロスでも両方成績が挙げられることだね。

↓本記事のタイトルなんですが、内容的にも新しいスタートがテーマのキャンディーズの歌。


春一番 キャンディーズ