tannenbaum居眠り日記💤

シロート観戦者による、おもに自転車(おもにシクロクロス)関連のすみっこネタブログです。

ウエアも闘う (MathieuとWout専用特製ジャージ)

世界選で人垣の隙間から撮れたMathieuの写真。顔へのピントがもう一つだけど、表情が捉えられて満足。というところからひょんな拍子で色々勉強させていたくことになった。

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…という写真を、ブランドロゴもはっきり写っていることだしと、BIORACER社のウエア販売を手掛けているクランノート和田さんとのやりとりの中で(連載中のチーム紹介記事の話のついでに)この写真を送付したところ

みると新作or完全に選手用オリジナルですね。今回は高速レースなのと泥にはならないということで、袖は全部ストライプ生地にした感じです。

とのコメント。

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事前にオランダもベルギーもBIORACERであることは聞いていた。

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ドイツもBIORACERみたいだ。
和田さんによれば、ストライプに見える生地はスピードレース向けの ”Air Stripe”という素材らしい。

BIORACER カスタムオーダーサイクルジャージ・トライウェア 素材について | bioracer.jp

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土曜日に女子エリートで優勝したカントの肩部分がストライプ。もともとTT用スーツに使用されていたスピードレース向け素材で、空力力学的に効果のある箇所に使用されるのだそう。そして、スピードスーツの一部に規制を加えるUCIルール改正にも適合している素材なのだとか。

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(Van der Haarも同様。 ほかのオランダ・ベルギーの選手はみな同様に見えた)

 BIORACER社は今回の世界選前に同社のスピードスーツの種類について解説している。Our suits for the CX worlds - Bioracer

・一つは、TT用スーツ ”Speedmaster” のコンセプトを採用したもの。
・もう一つは、より暖かさを重視した "Tempest" という素材を使用したもの。

和田さんに確認したところ、さらにもう一つは

・ストレッチ性と撥水性と耐久性を加味した”POWEREYELET”という素材でを使用したもの。

(なお、さらにまだ普及していないが、スピードスケートのようにキャップと一体化したタイプもあるらしい)

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オランダ・ベルギーの選手たちはチェックした限りでは、皆が上のVan der HaarやCantと同様なようだった。唯一ベルギーのEllen Van Loyのウエアにはストライプ生地は見当たらない。
女子エリートの時間帯は一番寒くて雨も降っていた。彼女は防水や保温性確保を優先するジャージを選択したようだ。どちらも選べるようになっていたんだろうか?

和田さんによれば

・天候によって選ぶためにもともと複数支給されている
・2着どころではない

とのこと。一方ドイツは

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 男子も女子もストライプ生地を使用しないもの一種類だった。
それが予算の関係なのか、Bogenseといえば2017年のワールドカップではコース上の選手に波しぶきが直接かかり(今回世界選は波しぶきは来ないコースだったけれど)雪や雨の可能性も高く、いずれにしても寒いことは確か、という点を採用したのか、そのあたりも不明。

和田さんによれば
・ベルギーとオランダは流石にかなりのコストをかけている

とのこと。すごいな。


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Mathieu van der Poelのウエアは腕全体がストライプだ。

 会話にはいっていた足立さんのコメント。

マチューの型は、ロードワンピース仕様のポケットなしですよね。完全にオリジナルですね。
TT用は進行方向に向かって、正面から見て抵抗になる肩、二の腕所にストライプ生地が使われています。クロスはロードやTTほど肘を曲げないし、マチューは結構、肘を伸ばし気味で走るので、腕を全部ストライプにしたか?

 和田さんより

足立さん、おっしゃるとおりロードワンピです。ゴールラインでガッツポーズしている際にお腹がすこし見えてましたね..苦笑 完全にオリジナルで、おっしゃるように肘を伸ばし気味なので全部ストライプにしたのだと思います。

↓(お腹)

www.velonews.com

それについて、わざわざ和田さんがBIORACER社本国に確認してくださった。

 Correct, it’s a road race suit made with long sleeves and no pockets. We made this individual for Mathieu because they like the Road Race fit.

そうです、長袖でポケットのないロードレース用スーツです。Mathieuはロードレースのフィットを好むのでMathieu専用に製作したものです。

Mathieu Hermans氏:同社の商品担当者でグランツールで活躍した元選手からの返事)

大方の予想で、Mathieuの勝利、それも独走であろうという下馬評があれほど高くても、できるところはとことん手を打ってくるのですね。。
いくら速くてもそれ以上を求める。

・・それはBioracer社のキーメッセージとなっている、

”Fast isn’t fast enough”

 (速いということは充分に速いという意味ではない)

を体現するかのような、より高みを目指し続ける姿勢、また
「戦うための機材」
としてのウエアの重要性を再認識させられました。

ところで。 

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あっ。Wout van Aertも腕全体がストライプだ!(もっと袖のわかりやすいWoutの写真はあるけれど、Woutはほかの写真はほとんど盛大に泡を吹いていて貼るのがはばかられ)

・つまり、こちらも特製ジャージで、Woutもこの日の選択としては腕全体にスピート重視な生地のあるものを選んでいたと。
・カントはほかの選手と同様に見える袖のタイプを選んでいたけれども見えないところで彼女の仕様になっていたんだろうか。

選手がBioracer本社へ、または担当者が事前に選手と打ち合わせを行い、彼ら・彼女ら用にスペシャルに作ります。本社工場はそのための工場で、我々が販売する商品は全て他の工場で生産されます。

今回オランダとベルギーのほかの選手たちが着用しているタイプはかつてNys用に特別に作られたものが元になっているらしい。

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・今回は素材から話が展開したけれど、ジャージは空力も考慮した立体的なカッティングが重要なようですよね。同社本国では空力を考慮したカスタマイズに対応しているとか。

・また、「フィット」も重要なファクター。

・ちなみに日本のレースを見た海外メーカー関係者が日本人レース愛好家たちのジャージのサイズ選択はワンサイズ大きすぎるという印象を持っていたのだそう。

・日本人、臆さずもっとぴちぴちを!ということなのだろうか。

それについては足立さんがこんなコメントを。

ヨーロッパの昔の絵画を見ると、男はバレエで使うやうなピチピチなタイツを履いているのをよく見かけます。
この服飾文化史の背景もピチピチに抵抗がある、無いに影響しているかと思います。 

どうでしょう?(笑)

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・ベルギーやオランダのようにとことんやるところもあれば、そうでない?環境で戦った国もある。ミシンをもって代表チーム宿泊ホテルに出張して回れば儲かるんじゃないだろうかとか、間違って男子用トラックスーツを支給された英国のヘレン・ワイマンがレース前日ホテルでパッドをほどいた苦労話を読むと思ってしまった。

Wyman Wednesday: A Wyman Worlds Proposal and Learning a New Routine


 ・・・が、BIORACER社はお針子軍団も現地に送り込んでいるようで、そんなせこい考えの(笑)商売が入り込む余地はないようで。 

 
 
 
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 縫うことで闘いを支える。ソーイングバトル。わくわくする写真だなあ。


 そもそも、ビッグレースは例えば舞踏会やハリウッドスターの集まるレッドカーペットみたいな場であり、お針子が舞台裏で奮闘するのは、考えると当たり前のことと言えるのかもしれません。

東京オリンピックに向けて、お針子部隊のためのミシンの確保活動がそろそろ始動とか。オリンピックでもソーイングバトルが。。

ソーイングが趣味で職業用ミシン、ロックミシンを持っている自分にはプロ仕様のものがどうやって縫われているのか、接着を使用したりするのか?等、興味はつづきます。

素材によってフィット感もかわってくるので、そこも熟知してのパターン製作かと。ただの盗用ではできないことですね。ちなみに縫製は全て接着ではなく縫っています。特にタイトフィットで引っ張りが強いところはフラットロックで縫ってます。 

 
業務用は違うかもしれないけど、、ほしいんですよねえ。フラットロック(カバーステッチ、オーバーロック)ミシン。。去年オークションで刺しゅう用ミシンも落札したし、あとはカバーステッチがそろえば(何をするのか)

 ・素材萌えの私は日暮里繊維問屋街で高機能生地の工場放出品らしきものを見ると「これは、、もしや、、名前は伏せられているがゴ●テックス3層タイプ、、ゴクリ」等とナデナデしているのですが、こんどレース会場で「これは。。」とウエアをナデナデしたくなるかもしれません。。

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大久保さん@南信州 かなり雨が降っているのが、写真を拡大するとわかる。
FRIETENの今シーズン新調したジャージはPowereyeletらしいが、水をよくはじくというチーム員たちからの評判。

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Powereyeletの生地アップ。

また、外には見えないアンダーウエアの重要性も大きいという話も。

・確かに「着るもので闘う」という意味におけるアンダーウエアの重要性は非常に重要なのでしょうね。

しかしこれは見えないところ、写真検証がなかなか難しいので次の機会に。

 

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ふとしたところからいつもの自分の知りたがりが出てしまってしつこく質問攻めにしてしまった和田さん、お付き合い及び情報ご提供、どうもありがとうございました。 

https://cyclingwear.jp/

 

おまけ、一度SNSで告知しましたが、その後写真を追加した世界選のFlickrアルバムのリンクを貼っておきます。

【1日目】

20190202_Cyclocross World Championships (day1)_Men's Jr., Men's U23, Women's Elite | Flickr

【2日目】

20190203_World Championships Cyclocross_day2_Women's U23, Men's Elite | Flickr