tannenbaum居眠り日記💤

観戦者の目による、おもに自転車(おもにシクロクロス)関連のすみっこネタブログです。

世界選ベルギー代表にToonは弟Thijsを召喚希望(がかなうかどうかは今日次第?)

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先日のベルギー選手権後の説教部屋にて。右がToonの弟、Thijs Aerts

ベルギーの男子エリートはToon Aertsがタイトルを取りましたねー。Wout Van Aertの失意がどんなだとか、新チャンプToonの身辺をめぐる細かいニュースとかがベルギーのメディアを賑わせていたようで。
そしてそうこうするうちに今日はワールドカップPontchâteau。Mathieuはお休み。

www.nieuwsblad.be

前回ここで開催された2016年ヨーロッパ選手権ではMathieuとWoutのにらみ合いに乗じてクレバーに走ったとされるAertsが勝利しているコース。ドライでスピードコースなのだそうです。ワールドカップの総合争いはAertsがWoutに7ポイント先んじているけれど、今日勝利すれば80ポイント、2位は70ポイント。ここで逆転なるか、差が広がるか。ToonとWoutの争いが熱くなりそうという話。

 

www.nieuwsblad.be

国内タイトル獲得後の一連のニュースの中でToonが弟のThijs Aertsを世界選の代表メンバーに希望しているというのが出ていた。よく読めないけど、安心してアシストしてくれる存在ということなのかな。Woutに対するMerlierのように、自分にもThijsが必要、というのを代表監督のSven Vanthrourenhoutに話してみる、と言っていたらしい。

 

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左が代表監督Sven Vanthrourenhout。

ベルギー代表メンバーはこのPontchâteau後に発表されるので、現世界チャンプのようなサポート体制を作ってもらえるかどうかは今日のレースの結果に左右されるのではという話。
今回のベルギー選手権、Toonの弟のThijs Aertsは5位だけども驚きの5位と書かれていたので、多分当然選ばれる位置にはいないんだろう。

当確とされるのが

  •  Van Aert
  • Toon Aerts,
  • Michael Vanthourenhout 
  • Laurens Sweeck
  •  

当落線上が

  • Quinten Hermans,
  • Daan Soete
  • Tim Merlier
  • Jens Adams
  • Gianni Vermeersch
  • Thijs Aerts

 世に兄弟ライダーは多くいますが、ビッグレースに兄弟をチームメンバに入れてくれという選手のいかに多いことか。

 

角帽対ヘルメット(大学構内レースへの反対運動)

昨晩のDVV Brusselsは中継ストリーミングが途切れてたので飛び飛びに見ていたけど男子は終盤はよく見られた。コースは言われていた通りアップダウンが豊富、男子は1位2位は予想どおりでVan der Haar、Miahcael Vanthourenhoutと Eli Iserbytによる表彰台のラストポジション争いはマイクル君が獲った。女子はCeylin del Carmen Alvaradoがついに初のビッグレース勝利、これまでも表彰台にはよく上ってたけど。ドミニカ生まれのボンバーヘッド、いよいよ来てますね~。カントはクラッシュして遅れてしまい総合タイム差が縮まったらしい。
表彰式で選手に授与される角帽がよくて、とくにアーツは似合ってた。彼は被り物が似合う。(以前のFIDEAのニット帽にほれ込んだのも、アーツが表彰式にかぶって出たのを見たから)。

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ほらね。

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ライヴでキャプチャしてたらマイクル君は下向いてしまった。Mathieuは失敗。

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大学のロゴが入ったニットキャップが配布されたらしい。日本の会場でもぜひ。

↓こちらの記事に女子の表彰式の角帽写真があります。

www.wielerflits.nl

https://www.nieuwsblad.be/cnt/dmf20190105_04081982

現在使用中の大学構内のどまんなかでレースなんてよく開催できたものだと思っていたら、やっぱり学生の一部から反対運動があったらしい。1200人が署名し「試験の一週間前に学内立ち入りができないなんて」と中止を訴えたとか。

コースがキャンパスどまんなかを通過するため設営のためなどで学生が立ち入りできない場所が多かったのが良くなかったらしい。

そこでコースを若干変更して立ち入れる箇所を作ったり、学生のレース入場料を無料にしたりしたのだとか(試験勉強しなくていいのか)。

Verveckenによると開催地がBrusselsに決まった時にはほかに候補地があったけれども、大学側からオファーがあったのだそう。
・授業休みの間にレース開催するのはいい考え、と思った大人達が考えるよりも、試験前勉強を学内でやりたい学生が多かったということらしい。次回は開催時期を考えるとのこと。
・大学クロスという趣向は新鮮だったけども大学としては宣伝と考えているのかな。

・以前信州クロスが山梨医科大学で開催していたと聞いたけれど、メジャースポーツのベルギーにおいてさえクレームに。当時の日本での反応はどんなだったんだろう。
・ちなみに札幌で下宿しているお嬢も「試験前やレポート追い込み時期は大学で勉強したい。人がまわりにいたほうが勉強できる」と言っていた。アパートだとテレビ見ちゃったり。まあ大学のすぐ近くに下宿しているし(猛吹雪のときはあきらめるらしい)、家にずっといると暖房費もかかるし。

・あちらではケルメスなんかがちょっとしたお祭りみたいに開催されしょっちゅう道路が通行止めになったりして、人々はそういうのに慣れっこなのかと思ってたけど、人が日々行き交って現在進行形で生きている施設をせき止めて使うレースというのは、いろいろ軋轢があっても仕方ないのかもしれませんね。

(色々書いたけど何が言いたかったかというと、アーツの角帽姿を貼りたかったのだった)

フランス語とオランダ語世界を走り抜ける大学シクロクロス(DVV Brussels)

今日のDVV Trofeeは初めてのコース、ブリュッセル。大学構内で行われるレースの最初の勝者は誰か?とか言われてますが、今日はワウトはこちらはスキップしてフランスのレースに出るそうです。。。なんでも、お金がよかったとか。。

www.nieuwsblad.be

ブリュッセル自由大学の中で行われるようですが、以前日本でも廃校になった建物で行われたような気がするけれど、現在使われている学校の敷地でのレースってほかにあったかしら。

↓公式サイトから。

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↓レース公式サイト。あ、ラース・ボームが出るんだ。

www.sport.be

コースは学内の校舎や運動場の周囲を縫って設けられているようだけれど、なんか説明を見ていると大学が二つに分かれているみたい?

Brussels大学のシクロクロスはVUBとULBのキャンパスを分かつ道路がスタート地点になり、選手たちはまずフランス語圏側に突入する

なるほど、ベルギーはいろんな政府公共機関がフランス語圏とドイツ語圏でそれぞれ並立していると聞くけど(日本人旅行者にとって身近なのは観光局が別々なこと)。

で、ブリュッセル大学について検索すると

ブリュッセル自由大学 - Wikipedia

1935年にはフランス語とオランダ語両方で教えられる分野が出来、1963年には全ての学部、分野で二言語対応をした。その直後の1968年ルーヴェン・カトリック大学が言語分裂を起こすと、翌1969年10月にはブリュッセル自由大学も2つの異なる大学に分裂し、1970年5月28日には正式に2つの別れた大学となった。(フランス側はUniversité libre de Bruxelles、オランダ側はVrije Universiteit Brussel)大学は分裂したものの、大学間の学術連携・協力は現在も密接に行われ、学生・教員・研究者の交流も盛んに行われている。

 ああそれで記事にVUBとULBって出てくるのか、分裂して併存してる感じなのか。。難しいね。実況ではこのあとオランダ語圏に突入しますとかいうんだろうか、まあ逆に双方の融和のイメージにつながるのかな?

・コースはアップダウンが激しいようで。特に一つすごい下りがあり、気合の足りない選手は乗って下れない選手もいるかも?そのあとの円形演技場?広場?廻りの繰り返しのアップダウンが勝負を左右するとかVerveckenさんは言っているようです。
・DVV Trofeeはこのレースとあと一戦のみ、総合タイム争いはBaalで勝って首位を奪ったMathieu van der PoelとToon Aertsの間の差8秒でこれも注目って書いてあるけど、このシリーズのタイム争いって中間ボーナスポイントとかFastest Lapとかなんだかよくわからないのでした。
・そしてにわか氏の話だとMathieuは総合タイムみたいなのには興味がないそうで。。まあ純粋な勝負とは違うぜ!というところはわからないでもないけど、今やそういうルール作りでもしないと拮抗する場面がないじゃないですか。少し前のことでしたがよく考えましたよね、Verveckenさん。
・考えてみたらMathieuはRaymond Poulidorの孫でフランス語も達者に話すのだった(何かのレース後のインタビューでみた)。そんな彼がオランダ、フランス語圏に分かれている大学のキャンパスを駆け抜けるのは地つづきのヨーロッパとはいえ、面白いかも。

 ・ちなみに、女子の総合タイム差はSanne CantがLoes Sels に対し2分34 秒リード、Nikki Brammeierから4分38 秒のリードを奪っているそうです。

Anthony Clarkの世界選選出は?

 

【Anthony Clarkにピックアップされた私の写真】
Instagramを今朝久しぶりに見に行って驚いた。自分のあまりピントのよくない写真がAnthony Clarkにピックアップされていて、いいねがたくさん付いていた(笑)スターライト幕張での一コマ。
・Emily Kachorekが自分のレース後疲れているにもかかわらず、Anthony Clarkを追いかけて(買い物したビニール袋片手に)激を飛ばしながらスマートフォンで彼を撮っているシーン。

 
 
 
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I love this pic.. hahaha found this pic of @eekachorek cheering me on to my win at star light cross in Japan.... @firtreezzz nailed the 📸it makes me so happy to have support of @squidbikes and teammates like Sammi and Emily and Chris ... Ahhhhhhh and they told me if I make worlds there going ... Best day ever .♥️😍♥️🤭♥️😍🌪️🤭♥️🤭♥️🤭🌪️🤭♥️🤭♥️🎩🎩🎩🎁🤯🤯🤯🎁🎄🎁🎁🎄🎁🎄🎁🎁🧟‍♀️🎁🧟‍♀️🎁🐕👻🐕🗻🐕🐙🐕🗻🐕🗻🐕🗻🐕🗻🗻🗻🙀i never worked so hard in my life .. hard work everyday .. keep that grind @#$_ money if we run out we go make more ... We're defined by who we are and that happens by wnnanaanna hard work 🙀🗻🗻🐕♥️♥️♥️🤭🤯🤭🤭🤯🤭🎄🤭🎄ahh I love life ♥️♥️♥️🤯

🐙Anthony Clark💣🔰さん(@tweakn101)がシェアした投稿 -

・写真自体、どこにもフォーカスはきちんと合っていないorz…そういえばFacebookアルバムにAnthonyさんのタグ付けてこの写真をアップしたところ、すごくいいね!がついて友達申請があったことを思い出した。
・彼は諸国行脚ツアー中色々な写真をアップしていたけれども、その一つにピックアップされたのは嬉しい。写真の出来よりもシーンをとらえたこと、が評価された一例。
・コメント欄でAnthonyさんは世界選メンバーに選ばれることを切望していた。
・彼のUCIランキングは米国国内エリートで現在4番目、先日の米国選手権の順位は8位。昨シーズンの米国代表男子エリートは7名選出されている。アジア圏で稼いだUCIポイントが実力と正比例しているかは議論があるだろうけれども、実力アップしているのは確か。果たして、彼の世界選出場はなるでしょうか。昨年は1月16日にメンバー発表がされている。

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(トップでゴールに飛び込み、Above Bike Storeの須崎さんとゴール後抱き合う写真。後続の選手と接触しないか主審のクリスマスさんがはらはらしている)

・昨シーズンの野辺山では日本人と拮抗する争いをしていたけれども、今シーズン来日した彼は一回り研ぎ澄まされた体型になり、独走レースが多かった。
・日本のレースシーンに刺激を与えてくれた彼がさらなるステップアップができるといいなと思う。

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(野辺山Day2、アップ中のところHi、というと挨拶が返ってきた)

 ↓の写真はEmilyさん。今回の日本のレースをもって引退を発表した。会社とチーム運営に専念するのだとか。北京で勝利したのを見たのが彼女との最初の邂逅だったけれども、お疲れ様でした。

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 【TDW御大からいいねがついた写真】

取り上げてもらった自慢の次にはいいねがついてびっくりした自慢をついでに。突然巨匠Tim de Waele御大のいいねがついた写真。↓
飯山ナイトレースの薄暮の時間帯に撮影した、コースを広い範囲で捉えた、なんということもない劇的でない写真。20㎜レンズの広角で引いた視点で下ってゆく選手を小さく撮ったもの。もはやこんなに引いてしまうと選手というよりコースを撮ったというべきか。

https://www.instagram.com/p/Bp17l7pllel/

#Cyclocrossmeeting #iiyamanightcross #cyclingphotos 引きすぎてレース中には見えないけれど 、レース中。

まあなんだか新鮮な画角だったのでしょう。

 

レースに出かけると最近は一回に1000枚ぐらい無駄にシャッターを切るけど、技術も機材も不足な自分の写真の持ち味は「切り取り観点」にあるんだろうと思う。すこしずつでも技術もレース後の写真処理能力もアップしたい。。

欧州女子レースが今エキサイティングな理由(Velonews記事)

www.velonews.com

ヨーロッパのビッグレースにおいて、女子のレースが男子レースよりもいつも誰が勝つかわからなくてエキサイティングになっている理由について、ぼ~っと生きてる私は「いいよね~♪」以上に考えておりませんでした。ごめんなさい。
まあ「お金が前よりよくなったから?ヘレン・ワイマンが動いてルール変わってきてたような」とうっすらと感じていましたが、

 Velonews昨年12月8日付の冒頭の記事をざっと。間違ってたらごめんなさい。

2018年12月4日の記事の時点でワールドカップ、Superprestige, DVV Trofeeの三大レース12戦を8人の女子選手が勝利を分け合っている。

[盛り上げたいならお金を]

UCIルールの改定により多くの女子選手がシクロクロス専門あるいはロードやマウンテンバイクとの兼業で生活ができる流れになっている。ロードやマウンテンバイクの選手の年間レースの選択肢にシクロクロスを走るインセンティブが加わった。
・2013年Louisvilleの世界選手権より男女の賞金を同額にすべきと義務付けられた事に始まり、2017年のルール改正ではUCI-C1とC2レースにおいて男女の賞金は同額と定められた(World Cupはまだ対象外)。これによって多くの場合ロードやマウンテンバイク兼任選手として、中にはシクロクロス専門選手として、多くがシクロクロスに参入するように。
・ベテラン選手Nash(Clif Bar)のコメント:「ついに女子選手もクロスでお金を得て、遠くに遠征し、チームが女子レースに注目し厚いサポートを受けられるようになってきた」
・例えばLucinda Brand (Sunweb)は優れたローディーだがTaborに勝利し、

↓(2017年のOmloop勝者ルシンダさんは、シクロクロスでも常連に)

 
 
 
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MTBでフルシーズン走っているEvie Richards (Trek Factory Racing)は昨シーズンNamurで勝利し今シーズンもワールドカップ4戦中3戦でトップ10に入っている。

↓(太目の一本三つ編みが目印の英国人MTB選手、エビちゃんRichards)

・そして4年をかけ徐々に女子への支払額は増額されてついに2020-21シーズンでWorld Cupも男女エリートの賞金が同額になる。
・どんどん参戦する選手層が厚く、異なる訓練を受けた選手が集まるようになり、女子レースは技術的に向上し、さらなる鍛錬が必要になってきた。
・米国人ライダーElle Andersonはトレーニングがうまく行き調子よくレースで追い込めて走れたとしても「え、こんな順位どまり」と感じるようになったと言っている。
・さらに、2017年のルール変更で、UCI登録のシクロクロスチームは最低1名以上の女子エリート選手を抱えることが要求されるようになった。Andersonはこの点も女子のトップ選手にチャンスをより多く与えることになったと語っている。

[出場レースの選択自由度]
・男子のレースでは40名程度のトップ選手はWorld Cup, Superprestige, DVV Trofeeのすべてに出場するのが一般的で、毎週同じ顔触れで戦うことになっている。それはスタートマネー契約や、スポンサーとの関係によるもの。
・それに対して女子のスタートマネーは少額か、ない場合もある。それで女子選手たちは自分の調子のピークに合わせて出場するレースを選ぶことができている。

・Brandはロード世界戦に出場したあと北米のワールドカップはスキップし、その後4戦目のワールドカップで勝利している。Betsemaはシーズン初めのワールドカップとDVV Trofeeを回避したあとKoksijdeで勝利した。MTBでワールドカップに出場しているJolanda NeffとPauline Ferrand-Prevotはシーズンの終盤に姿を現す。

 
 
 
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↑(先日ストリーミング中継で事前インタビュー受けていたヨランダさんは注目株だけあってBaalで勝利しましたね。Nysとトレーニングしたといってたような。)

 

・「女子選手は純粋なCX選手ではない - 彼女たちは厳しいMTBやロードシーズンの後にやってきて、シクロクロスのレースにぽっと現れたり姿を消したりしている。それは彼女たちはシーズン中の異なる時期を目標とすることができるから」とSimon Burney (”Cyclocross Training and Technique"の著者)は語った。「そのことがレースはそれまでとかなり異なりぐんと魅力的で楽しいものにした」
・調子が良くてハングリー精神にあふれた選手たちがシーズンの様々なタイミングで出現し、レースに予測不可能な要素を与えている。


[若手の台頭]
・世代交代が進行中である。何人もの若い才能ある選手たちが大御所たちが選手を続ける傍らステップを上がっている。

https://s27394.pcdn.co/wp-content/uploads/2018/12/GettyImages-533325348.jpg

(画像:Velonewsより大御所たち、左からCompton, Vos, Nash)

・世界選7勝経験のあるVos(Waowdeals)や、ワールドカップ24勝のKatie Compton(KFC Raging-Trek-Knight Composites)に交じりRichardsのような若く才能ある選手が参戦している。
・「若いときにもっとサポートを受けてよい機材を与えれば、彼らはより早く強く速くなれる」とコンプトン。若いトップライダーたちは19-25歳でとてつもないエネルギーを秘めている。
・世代交代はUCIの女子の若手選手発掘活動の一環で2016年の世界選以降女子のU23カテゴリ創設を受けたた結果でもある。これまで3回のU23女子の世界選は将来のエリート女子シクロクロス選手のショーケースとなっている
・Richardsは2016年と2018年にU23 のタイトルを獲り、すでにエリートの中でもトップレベルに到達している。Annemarie Worst (Steylarts-777)は2017年のU23勝者だが、今シーズンGietenと欧州選手権に勝っている。

(キリリとした目元が印象的なAnnemarieさん)

 
 
 
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Enjoy your holiday and Merry Christmas! 🎅🏻🥂⛄

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・ここ3年に世界選U23 表彰台に上がったほかの選手たちも実績を上げているEllen Noble (Trek Factory Racing) Caren Alvarado (Corendon -Circus)や、Betsema, そしてAnnemarie Worstがそうだ。

・選手層が厚くなったことで女子選手たちは足休めをする日が持てなくなった。
・「自分がヨーロッパで走り始めた2013-15年、調子がよければポディウムに上れるような女子選手は5-7人程度しかいなかったけれど、今はその人数は二倍ぐらいになっている。」とAndersonは語る。「トップ選手はワールドカップでもベルギーのレースでもどのレースにも10-15人程度いて、以前よりもたくさんの才能ある選手たちが入り乱れ、勝つたり表彰台に乗るには前よりもより厳しい戦いをしなければならなくなっている。

 

 [カント圧勝時代は短く]
・昨シーズンのワールドカップ9戦5勝、Superprestigeを8戦3勝し総合優勝、DVV Trofeeを8戦5勝して世界選タイトルも取ったが、今シーズン4勝はしているものの上記メジャーシリーズでは現時点ではDVVのNielだけである(※この記事が書かれたのは12月初め、その後ZohnhovenとDiegemで勝利)。
・Cannondale- Cyclocrossworld.comのチームマネジャーStu Thorneはそれを潮の満ち引きのようなもので、Comptonもそのように2018年はスロースタートだったと指摘した。
・Comptonはカントが昨シーズンほとんどすべてを手に入れてしまったため、トレーニングを行い集中してレースに臨むことへのモチベーションが低下していることを指摘。
・彼女が深く集中して本当に勝ちたいと思ったとき彼女は別の選手に変貌する。今シーズンもそういう彼女を時折見ることはできる。「彼女は自分以外のほかの選手がどれだけ自分同様に速いかについて本当に気づいていない。」
・特定の選手が席巻する状況になく、5人から10人の選手が調子のよい日には勝つ可能性がある。おかげで自転車レースは結果が読めなくて観戦するのが純粋に面白いものになっている。年末年始のレース集中期はシクロクロスファンにとって贈り物になるだろうし選手たち自身もエキサイトしている。

 

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・動いたのはヘレン・ワイマンだけではないだろうけれど、男女差をなくしていこうという動きが、結果として現在の女子レースの活況につながっているというのはよいことだし興味深い。

・女子は金銭的に男子との差が縮まってきたことで参戦者が増えロードやMTBの選手が「自分の調子に合わせ」自由にレース時期を選んで参戦しリザルトが読みづらくなって、混戦が面白いという状況のようで。

・いっぽうシクロクロスのトップレースといえば、上述の三大シリーズ戦で同じ顔触れが毎週毎週戦ってるイメージ、そうするのがトッププロの務め(なのだと、Nysがシーズン途中でレースをスキップしてマヨルカに行ったStybarを批判したこともある。)だと思っていた。
・男子の専業プロ同様のCantのような選手にしてみれば、たまったものではないような(Pauline Ferrand-Prevotに敗れた世界選のあと、毎週レースに出場している自分より脚がフレッシュな状態の選手のほうが有利だというコメントをしていた)。。なんとか切り替えてパートタイム選手たちを気合で迎え撃ちしてくれるといいと思うけど、気の毒な気もする。。

 

 

 

26歳2児のママはKoksijde勝者

今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。昨年は近所に住む義父が亡くなったり仕事の担当が変わって長時間勤務傾向なこともあってなかなか更新できませんでしたが、レース会場には出かけており、今年はもっと色々書きたいと思っております。
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youtu.be

このところ、欧州のシクロクロスでは女子レースが盛り上がっていますね。男子が独走レースばかりなのと対照的。今日は誰が優勝争いをするのか、毎回楽しみです。
Katie Compton(40歳)のようなお馴染み大ベテランが一線で頑張る一方、私が北京で目撃したCeylin del Carmen Alvarado(20歳)のような若い選手が台頭、先頭争いを繰り広げるメンツが数年前とは顔ぶれが更新されていて、色とりどりで目が離せません。

そんな中、年齢からすると異彩の経歴を持つのがにわかマニア氏(※女性の年齢にやかましい)が折に触れ私にInstagramのリンクを送ってくるDenise Betsema(確か、この選手は26歳だけどどうだろう、と言って送ってきたのが最初。笑)。

www.instagram.com

インテリア系のインスタグラマー?

www.instagram.com

お嬢ちゃんがふっくらニコニコで可愛い。上にお兄ちゃんもいるようだ。
しかしこれが今シーズンヨーロッパ選手権3位、Poprad, Neerpelt, Aigle, Hittnau, Lutterbach, Wachtebeke, Koksijde, Eschenbach と Antwerpenで勝利を重ね、Marlux-Bingoalと2021年までプロ契約に至った破竹の進撃中な女子選手のInstagramなのでした。にわかマニア氏でなくてもこれは注目したくなりますね。

 
 
 
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26歳にして、すでに二人のお子さんがいる彼女が急に台頭してきたというのは子育て時期との関係があったみたい。

http://www.deniesoverseas.com/ ←本人公式サイト。センスが良くてかわいい。

 

Deze 24-jarige kanjer van Texel combineert het moederschap met topsport – WielerVerhaal

2017年(昨シーズン)の10月、当時はSuperprestigeのGietenで11位、ということが話題になるレベルの選手だった。例によって蘭英翻訳で大意をとってみる。 

・18歳HAVO(高校卒業資格?)の試験期間中に予想しない妊娠に気づいたけれど嬉しかった。当時MTBでオランダ代表チーム入りを目指していたけれど、若いカップルにとって、立て続けに年齢の離れていない二人の子育ては、楽しくて、遣り甲斐のある経験になっている。

・4年後にMTBレースに復帰したときにはU23の年齢を過ぎていた。予想を上回って、国内では勝利を重ね、国際レースでも表彰台に上り、Benelux Cup Mountenbikenで総合首位を獲得したが、2016年に初めて出場したSuperprestige Gietenのレースでシクロクロスに「ハートを盗まれた」。以来、シクロクロスでトップ選手となることを目標に活動。

・トレーニングと、両親の自転車店での仕事、子育て、通信制大学での勉強を両立させるには計画性が必要だったけれども、自分の競技生活は家族と切り離せないものになっている。子供のいないほかのトップ選手との違いについて感じることはあるけれどレースが終わって子供が駆け寄ってくるとき自分が選んだ道はよくできた選択で、美しい道のりであると感じる。

考えてみると、今後妊娠出産によるキャリア中断はないということですよね。26歳にして。そして大きな実績を上げる前に子育てに入ったことで、復帰後必要以上に注目されずにマイペースで表舞台に登ってこられたかも。
時々他の分野でも早めに子供を産んでその後仕事に注力し、成功した女性の話を聞くけれど、早めに子供を産んで、人生経験による精神力と家族による心の充足感とともに戦うベッツママ(にわか氏命名)の今後に注目ですね。

www.cyclingnews.com

CNにセミプロ→プロ契約のニュースが出ていたけれど、Marlux-BingoalのマネジャーJurgen Mettepenningen 氏は彼女と契約したのはまさに当たりくじ、さらに女子レースの注目度が上がり、レースの視聴率が男子との差を縮めているこの流れの中ではMarluxはまさにホクホクといった感じらしい。

www.texelsecourant.nl

この記事は2018年のものだけれど、写真は少し前のものなのかな?現在よりかなりふくよか、ずいぶん減量したことが伺われる。かなりの計画性と努力ができる人なのだろう。子育てやインテリア、素敵な暮らしとトップアスリートの生活の両立、なかなか簡単なものではないだろう。尊敬する。

 余談ですが11月終わりの野辺山で織田カメラマンと女子選手のInstagramの話をしたところ、やはり彼女のアカウントはフォロー済みで、おしゃれインテリアと子供の投稿の話が出ていた。にわか氏によれば、その時点で彼女をフォローしていた日本人は織田さん、池本さん、にわか氏の三名のみだったそう。
フォローすべき海外選手を知りたければ、彼らのフォロー先を踏まえるのが早道かも?笑。

 

 

ワウトの春一番(Strade Biancheで表彰台)


Wout van Aert cramps up on final climb - Strade Bianche 2018

Wout Van AertがStrade Biancheでなんと表彰台に上った。先日Omloop Het Nieuwsbladで今後本格参入予定の春クラシックシーズンに突入、30位台の成績を収めて、十分通用するところは見せていたけれど、まさかのいきなりブレーク。
残り45キロメートルからツールの総合争いに絡むビッグネームRomain Bardetと共にアタックしたのは、今がそのタイミングと思ったのと、逃げグループ内の協調がよくない中、Bardetは自分同様明確な目的をもって走っていると感じたから、とVan Aertはコメント。
そして最後の急峻な登りで両脚が攣って転倒しながらも、タイムロスを最低限に立ち上がりバイクを押し、後輪にまたがりながらサドルに戻った気迫の走りは評判になった。

そもそもWoutのチームがこのレースにワイルドカードで招待されたのは、わりと直前の話でしたよね。たしかOmloopのちょっと前。そしてレース前の記者会見に出し、結果、活躍があったことで主催者もなかなかの決断をして、レースを盛り上げたことになります。


Wout van Aert meets Peter Sagan before Strade Bianche
(↑レース前記者会見でサガンと並んでいたVan Aert、レース前から注目はあったが、表彰台とまでは予想されておらず。)

【話は戻って世界選直後】

http://m.sporza.be/#!/snippet/5a775d3eb5a1be54418ef9fd

著名な自転車レース解説者のMichael Wuyts氏がValkenburgの世界選からTVスタジオに直行し、Van Aertの勝利は完ぺきなピーキングの成功によるものであると述べた。

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(↑ベルギーではツールの解説もこの人らしい Wuyts氏。)

シクロクロスシーズン中に休息期間を設け、去年ほどの成績はおさめずトレーニングにあてた。ライバル選手たちよりも1,2回多く休息期間を設け、世界選のタイミングでとびぬけたコンディションに持ち込むことができた。

その反対がVan der Poelで、彼は肉体改造をしてシクロクロスシーズンの間じゅうベストな状態になるように仕上げて今季26勝とあらゆるところで勝利をおさめた。それがプレッシャーになるとき、今日のようなことが起こる。Sven Nysシンドロームだ。
(以下略)

 ・・と、Van Aertがコンディションを世界選がピークになるように、それに対してVan der Poelがシーズン中に合わせて調整した、という点が言われていました。

Mathieuはもう23歳、まだ自転車への取り組みがplayful way (遊びっぽい姿勢?)だが、もうそのようなレベルではない。今こそ真のトレーナーに「シーズンのオーガナイズのしかた」の指導を受けるべきだ。レース出走数の「ダウンサイズ」はオリンピックに向けMTBチャンピオンを目指す彼に良い影響があるだろう。

 いかにVan Aert陣営が練りに練った構想でシーズンに臨んでいたか。昨シーズンのようなガチンコ対決が減ったことは、Van der Poelが一回り大きくなった体型とともにより強くなったことと、Van Aertがシクロクロスシーズン当初からこの春のクラシックレースシーズンを見据えていたことが重なった結果だったのかと改めて。

【予定どおり】

9月のシーズン初め、まだロードレース用の身体だったVan Aertが冒頭のワールドカップで良いところがなく、今後彼の見据えているロードレース選手としての進路と、調整方法やシクロクロスとの両立についてはすでにメディアに出ていたところでしたね。

・下の記事中で未定となっていたパリ~ルーベでのワイルドカード出場はその後決まっており、今年のパリ~ルーベでVan Aertを見ることができます。

tannenbaum.hatenadiary.jp

でもいくら、今年春のパリルーベを年間ターゲットと見据えていたとしても、シクロクロスシーズン中に目の前のレースでもっと行きたいと欲はでないものか?と選手心理について解説の足立さんに聞いてみました。

・あれだけ争っていると、今日は勝てるとか負けるとか、スタートしてある程度判ってしまうものです。
・昨シーズンは、WC(ワールドカップ)とSP(スーパープレステージ)のタイトルを二人はシェアしていましたが、今年はマテューが、昨年の世界選の雪辱をとばかりに圧倒的に全てに勝ちに行って、去年ほど力が拮抗していないと悟ったワウト陣営は考えを世界選一点にスイッチしたのかと推測します。
・ワウト陣の策は、ロードレースでツール狙いの選手が他のレースを調整ととらえて走るようになった時に似て来たと思います。

 なるほどね。それに、ロード界に打って出るのに「スーパープレステージ」や「ワールドカップ総合優勝」というタイトルよりも「世界選手権優勝者」のほうが皆がほほう、と思ってくれそうですよね。

あと、足立さんが指摘したのが

・ニールス参謀長官の戦略。

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(↑左端がワウトの指導者、知将Niels Albertの現役時代。)

世界選のタイヤもこの人と共に選択したものとされています。そして実際には使わなかったタイヤの使用情報を事前にリークしていたのは情報攪乱だったという説も。現役当時Nysからはニールス君あれこれ策を弄するのはいいことじゃありませんよ、純粋に脚で勝負しましょうよ、という苦言も呈されていたアルベルト。あ、今回の世界選の前もNysなんか言ってた(笑)。しかし今回は小知恵というより深謀遠慮ですよね。

しかし思い出したけど、こういうど根性だったよなあ、ワウトの走りの魅力。↓


Wout van Aert Strade Bianche 2018 finish

 シクロクロスファンとしては、CXHairs氏のツイートのハッシュタグのような
「クロスの季節は去った」という感慨にふける気持ちもあり。今シーズンのクロスが終わったというのと、ワウトの自転車選手人生も新しい季節へと。

www.nieuwsblad.be

ベルギーのロードのナショナルコーチKevin De Weert はクロスとロード両方をハイレベルで両立維持するのは無理だ。選択しなくてはならない。という考え。世界選に連れていくつもりはないが、ヨーロッパ選手権グラスゴーのコースは彼のようなパンチャーに向いていると思う。とコメント。

ともあれ、彼の目標としているパリ・ルーベでの活躍が楽しみです。

 

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【おまけ:シクロクロス界からのコメント】

sporza.be

 (Toon Aerts)
シクロクロス選手なら夢見るStradeのスタートライン、自分も走ってみたい。

 (Eli Iserbyt)
Strade Biancheは登りもあるのでこの結果に驚いた。彼はちょっとボーネンに姿勢が似てるよね。自分はまだいまのところロードはクロスの準備と考えてるよ。
(Tim Merlier) 
TV観戦中うたた寝し、目が覚めたらワウトが逃げているところだった。チームメイトで友達が世界で最も美しいレースで前を走ってるなんて、何が起こっているのかと思った。
(Michael Vanthourenhout)
ヤキモチやいちゃうね。自分はいまのところあくまでもクロスがメイン。ロードも走るけど。
(Gianni Vermeersch)
シクロクロス選手のレベルが高いことを示せてよかった。自分は夏のロードは調子良かったのに逆にクロスで実績があげられなかった。Van AertやVan der Poelとの違いは彼らは夏場もクロスでも両方成績が挙げられることだね。

↓本記事のタイトルなんですが、内容的にも新しいスタートがテーマのキャンディーズの歌。


春一番 キャンディーズ