グレアム・オブリー伝記映画The Flying Scotsman(邦題:トップ・ランナー)見ました
アワーレコード挑戦というのは1,2年前バックステッドが挑戦したときのドキュメンタリーをみたけれど、本番前の緊張、家族の心配、達成ならずに終わったあとの消耗と失望、まさに過酷。でもいまひとつぴんとこない分野だった。映画をみて国際規格にあったバンクを予約し、計測者を雇い、とかなりの費用が必要なものらしい。ということ、さらにアワーレコード更新に関する世間の注目も、オブリーが記録を出した当時はとてもホットなものだったということを知った。
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2008/06/06
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- アスリートであると同時に、発明家といってもいいようなオブリー。彼の斬新な発想の自転車とライディングポジションに後追いで規制をかけていく国際自転車連盟(UCI、映画ではWCF)との戦い、という面も大きいが、困難に出会ったときの自分の心との戦いを描いた部分が大きい。
- 歯を食いしばり走る彼の背景が流れるように後ろに飛び去っていくシーンにしびれた。
(参照)『The Flying Scotsman』到着&鑑賞 - HONK de BONK
(注:以下、長い&ねたばれ含みます)
自転車とライディングポジションを斬新な発想で改良し実践したオブリーが自転車連盟の不興を買い、準備時点ではルール遵守のセッティングで出場しようとしても、あと出しのルール変更を次々に繰り出されるシーンは胸が痛んだ。なぜ、あれほどまでに彼の走りが規制されたのかが最初わからず。
(連盟のえらいさんたちの会議シーン、英文字幕からピックアップ)
But, how can manufacturers persuade people to buy the right bike when a washing machine on wheels can break records?
しかし洗濯機の部品をホイールに使って世界記録が出せるとなると、どうやって自転車メーカーは人々に「正しい」自転車を購入するように仕向けることができる?
- 自転車業界では市販品に近い自転車で大きな大会で業績を上げることにより消費者の購買意欲を促すという要請も強い。特殊になりすぎ、売りものと乖離しすぎるとそういうメリットがないということだったのか。
- さらにオブリーのスタイルは「醜い、グロテスク」。だと。
- 究極の速さのためにさまざまな方法を模索てゆく、そういう特殊な分野として認める道もあっただろうに、、。
- レコード達成当時のルールでは有効な機材で出されたオブリーたちの時代のレコードを後年になってから遡りまとめて正式な記録からはずすってのはなんとも残酷な話だ(UCI hour recordとは別のBest human effort記録として分けられてしまった)。
- Hour record - Wikipedia, the free encyclopedia(アワーレコードについて)
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- 森の中を自転車を担いで歩く最初のシーンを何気なく見ていたが、実は心が凍るような場面だったことがあとでわかる。フードをかぶり闇の中にうずくまってしまう自分から抜け出そうと何度も立ち上がる彼の奮闘。
- 当局からの逆風に手を変え品を変え対応する反骨心とアイデアの豊富さ。
- 病を抱える彼のことをよく理解し、ただ彼を過保護に守るだけでなく、強く支える奥さんが天晴れだ。旦那があんな独特なアイデアの自転車をつくって不思議な乗り方をしても嫌にならないところがすばらしい。
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映画ではボゴダの世界選(1995年)で復活を遂げたオブリー、2004年のNacoさんのこの記事で再度アワーレコードに挑戦するといっていたらしい。が、Wikiによれば結局まだ行われていないらしい(UCIアワーレコードなのかベテレランレコードを狙うつもりなのかも定かではない)。2006年映画の製作にも顔を出した(トラックを走るシーンは彼自身だという話も)
最近ではRevolution15(2007年11月)で4km追い抜きに出場している。
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(その他)