tannenbaum居眠り日記💤

観戦者の目による、おもに自転車(おもにシクロクロス)関連のすみっこネタブログです。

一人の人間のさまざまな側面と、ものごとの是非

ずっと差しさわりのありそうな問題は避けていましたが、意見が特にあるわけでもないですが、ただ印象に残った記事を紹介するだけなら。。

  • ここ数日USADA証言をしたランス・アームストロングの元USPSチームメイトたちの名前と処分が公表されて騒がしいけれど、色々な見方があるとおもうけれど、私は英語の記事ぐらいしか拾えないのでちょっと目についたのをピックアップして荒く紹介(ちゃんと訳してないので、詳しい点を確認したい方は原文を読んでください)

【薬物使用を断ったら首になった】
スコットランド人Brian Smithは今Endura Racing teamのマネジャーでEurosportなど英国で有名なコメンテータとして活躍し、Braveheart Fundという若手選手育成のための基金も創設している、元英国チャンピオン、モトローラ時代ランスのチームメイトだった。

  • 94年、コモ湖畔。チームに貢献でき、英国チャンピオンのタイトルも獲り、着実な成果を挙げられたシーズンだったと感じていた練習中にランスと横に並んで会話、"performance-enhancing drugs"についてどう思うか聞かれ、自分はプロになるときに選手だった父親との間で薬物はけして使用しないと固く約束したこと、これからも使う意思はないことを伝えた。
  • その2週間後マネジャーに呼ばれ、契約更新しないと伝えられた。そのあと何度もそのときに薬物使用に前向きな返事をしていたら、自分の人生はどう変わっていただろうかと思った。オリンピックには出場したけれど、ツール・ド・フランスに出場できなかったのは残念だ。
  • ドーピングをしている選手たちのことは知っていたが、最近USADAにより公開された驚くべき証拠の数々に、その全貌を知っていたわけではなかったことがわかった。ドーピングをした選手たちによって、自分がツールを走れたかもしれないチャンスや、もっと良い生活、というものから除外されたように感じた。
  • 証人たちについて、彼らはこれまで得た大きな家を取り上げられることはないし、それで得た金銭を戻すようには思えない。
  • 自分はBraveheart基金の活動で子供や若者が自転車競技をするための資金援助をしているが、その結果が子供たちを薬物使用の道につなげることとなるなどと考えたら、本当に正しい活動なのかわからなくなる。
  • ここにいたるまでの道のりで多くの犠牲者を出してきた。自分としてはいつもあのコモ湖畔を走っていた練習の日が思い起こされる。

【ランスはすばらしい同僚だった、証言者たちへの軽減ペナルティには疑問】

Roger Hammondは現役時代一貫してクリーンな選手として知られていたが、2005年と2006年にDiscovery Channelにクラシックレーサーとして在籍していた。(ちなみにランスと一緒に出場したレースは2つ)

  • ランスは自分に一度も薬物使用するよう言ったこともないし、自分の倫理を曲げるよう強制したこともない。
  • ディスカバリー在籍中の2年間、一度もドーピングに関することを目撃も見聞もしていない。自分は本当に何も目撃しなかったけれど、USADAは自分の意見を聞きに来なかった。
  • 自分にとっては、素晴らしい同僚で、親切に面倒を見てくれた。もし「これ」が彼の「ポリシー」だったとしたら、自分はその「ポリシー」を強制されたことはなかった。

===============

  • 今回証言した元同僚ライダーたちへの扱いは寛大すぎる。冬のオフシーズンを含む6か月の出場停止というのは、数年間人々をだましておいて、結局いいよというようなもの。
  • 証言者もランスと同様の扱いを受けるべき。彼らは強制されたという弁明をしているが、薬物使用するというリスクを選択したんだ。それによって薬物を使わずに誠実に走っていた選手たちを引きずりおろしていたんだ。本当に同情されるべきなのは、ドーパーたちと対抗して走っていたために、プロとしての成績を収められなかったクリーンな前途有望だった選手たちの方だと思う。

【証言者たちへの寛大な措置はそれに値するもの】

David Millarはドーピングによる出場停止から復帰後、さまざまな発言でクリーンなスポーツへの貢献をしている。
彼は証言者たちへの軽減されたペナルティに関してはHammondの意見と異なる。

  • これはこの問題を前進させるために必要だったと思う。これらの証言を得るのは、見返りがなければありえなかったことだ。個別の選手への制裁の問題よりも今は"Whole Process"のほうが大切な、鍵となる時期だった。
  • 情報提供で完全に恩赦されるのは自分も納得いかなかったと思うが、ある程度の懲罰は必要。考えられる限りベストではないか。
  • ここ数日で起こっていることは痛みは伴うが、自転車界にとって素晴らしいこと。詳細が発表されたときは自分にとても辛く、動揺したが、情報提供者たちの名前が明かされ出場停止になるというのはかつての自分もそうだった。
  • 証言者のうちヴァンデベルデとバリーとは話をした、彼らは悪い人間ではなくて良い人間だ。彼らを100%支援する。
  • Hein Verbruggen (前UCIプレジデントで現在名誉プレジデント)については長い間薬物使用を看過していたことから、辞任をすべき。(以下略)

===================
この3名のこれだけの話見ただけでももうおなか一杯です。まだまだいろんな立場から関係する人がいろんな意見をいっているのでしょうが。みんなそれぞれの立場から、いうべきことを言うのはそれぞれ結構だと思います。というか、そういうことなんですよねえ。。

  • この3人はそうじゃないと思いますが、今回のことを受けてとたんにひらりといままでの手のひらを返すとか、ええ、知らなかったそれはひどい、と被害をいまになっていいたてるのはどうかと思いました。
  • 仕事や生活が懸かっている方々の発言は、本心かどうかはわからないですが。

感じたのは

  • 人は同じ一人の人間でもさまざまな側面を持っている--敵に対しては容赦ない対応をし、「身内」にはすばらしく魅力のある人物。少し前に話題になった個人雇アシスタントが裁判にしていた話の内容など見ると、そういう人だったんだろうと想像。
  • クリーン派として時には激しい口調で話すハモンドが、ここ数日の潮流にあえて逆らうようなランスを褒める証言をしているのは意外。
  • が、このあえての発言は自分の見聞したことだけを話すというだけでなく、別方向への「当てこすり」なのではないかという印象。
  • 証言者たちに厳しいことを言っているのは、もちろん自身が薬物を使用しないで多くのチャンスを実際に奪われたと感じているからだと思うけれども、「自分で選択したなら、それなりのリスクを負うべき」とか、強制されましたという弁明姿勢を批判したいのだろう。弁護士が付いたら当然言わせるように見えるけれど。
  • ミラーが云っているように今回のいわば司法取引的な形で証言ずらりとさせたことは大きな流れを重視した戦略の勝利だとは思う。
  • その点ミラーに同意するが、そのあとの「いい人間だからサポートする」という発言は、全体の流れとは、切り離して考えるべき。
  • ハモンドも、よくしてもらったランスには直接批判をしていない(ところで、朝みたハモンド発言の記事が、なんどか見直すたびに言葉づかいが変更されている気がする。。)
  • スミスのエピソードは、今回の証言者たちが出てくる前にも語っていたことなのかどうか。。