Wolfgang Lötzsch のその後
DVDを返却されたとき、私の記憶に残っていたのは薄暗い作業場、スキンヘッドのたくましい男性、勝利の証しの月桂樹の輪が鈍く光っているという絵だけ。
- 帰宅後、自分の日記を検索した。
…西側のメディアに取り上げられたことでシュタージの監獄に10ヶ月間投獄される。ここで彼の選手生命は終ったと見るのが普通だが、彼は毎日3000回のスクワットと400回の腕立て伏せを窓のない8平方メートルの部屋で行い体調を 維持した。
- ジャパンカップの時、鶴カントリーの坂で1年ぶりに再会したお友達からDVDを返却された。長いこと有り難うと。
自分でもすっかり忘れていて独アマゾンからわざわざ買ったことは覚えていたが、ストーリーが思い出せない。
- その時一緒にいた別の友人に、話が思い出せないけれどドキュメンタリーで英語字幕ある、映像がなかなかよくて、東ドイツ時代のレース映像が雰囲気あるよ、という適当な説明をして、体よくまた貸し出した(1年後に返却でOK)。
ルーラーマガジンの記事に読み入ってしまったことから購入したのだった。
2009-04-15 - tannenbaum居眠り日記zzz(←くわしい翻訳がこの記事にあります。)
当時、相当インスパイアされて、やや面倒だったのに購入したのだった。
- 秘密警察から要注意アスリートとして迫害ターゲットとなり、ビッグレースに思うように出場できないながらも勝利を重ねていたヴォルフガング・レッチュ。
- 壁の崩壊時37歳。40歳で統一後のドイツチャンピオンとなった彼は、時代が違っていれば、今頃かなり良い暮らしと地位が手に入っていたかもしれないが、DVDのドキュメンタリーではチーム・ミルラムのいちメカニックだった。
http://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Wolfgang_L%C3%B6tzsch?uselang=de
- いま調べた限りでの彼の最新の消息としては、ドイツのコンチネンタルチームNSP-Ghostのメカニックをしているらしい。
http://www.team-nsp.de/index.php/team/management-und-betreuer
- ドイツのスポーツ殿堂入りも果たし、社会的名誉は回復されているが、彼の失ったものはあまりに大きい。
http://www.hall-of-fame-sport.de/galerie/portrait/74
今回のことで自分が一番衝撃を受けたのは、ドキュメンタリーの内容よりも、何に感銘を受けそのDVDを購入したのか、忘れていたこと。
- 自己を律すること、目標を見失わないこと。色々と感じた事を完全に忘れていた。一歩進んでまた下がる進歩のなさ。
再度感じるのは人間自体が堕落してしまう可能性もあったはずなのに、彼は家や庭を整え、地味でありながらまっとうな暮らしを営んでいるということ。