tannenbaum居眠り日記💤

観戦者の目による、おもに自転車(おもにシクロクロス)関連のすみっこネタブログです。

StybarのParis〜Roubarix

Stybarがこんな場面で、Paris-Roubaixを走っていた。



しかし日曜日のパリ・ルーベですよ。

  • 数々の難セクションを超えたあと「誰が残ってるか」というのは本当にお楽しみなレース(真剣に応援する選手がいるときは難所後の面子チェックは心臓ドキドキ)なのですが、終盤残り23キロメートルあたりカンチェラーラが飛び出したときにぴったり後ろについているクイックステップの選手がStybarとわかったときには、借りたばかりの娘の小さな部屋でおおっ、と声を上げてしまった。(娘はヘッドホンで音楽を聴いていたのでよかったけど)
  • その場面が訪れる前、すでにシクロクロス界からは称賛の声が。まだ残り25㎞、シクロクロス選手Sven VanthourenhoutはStybarに祝福のメッセージ。たしかに無傷で終盤まで生き残れたパリルーベ初陣というのはそれだけですごいこと。

Cancellara Takes Paris-Roubaix Win in Sprint, Cyclocrossers 'Round the World Mourn Stybar's Poor Luck - Cyclocross Magazine - Cyclocross News, Races, Bikes, Photos, Videos
上記をリツイートした直後、スティビ―がカンチェの飛び出しについてゆくのを見て、シクロクロス関係者多数な自分のタイムラインが色めき立つ。カナダ人の女性は「何か靴にくっついてるなーってカンチェは思ってるんじゃない?」
↓Wellens

↓Nys

  • しかし、直後に沿道の観客と接触して、落車はしなかったものの、コース復帰に時間がかかってアッという前に引き離される。まずクイックステップのチームメイトVandenberghが残り16キロメートルで観客と接触してひどい落車、そして直後の残り14.8キロメートルでStybar。


↑2分02秒、誰かの腕に当たってはじかれるように反対側に飛んでゆくStybarが写っている。すぐにペダルが入ればなんとかなったかもしれないけれど。

  • ロスした直接のタイムだけですぐに元のスピードに乗れるはずもなく、どんどん差が開いてゆくのをああああ、と眺めていたら、ユーロスポーツの英語アナウンサーが「ひどい、まったくひどい」と激昂。それを解説者のBrian Smithがなだめるように"That's Paris Roubaix"という言葉を挟んで淡々と解説を続けていたのが印象に残った。

このレースはいかなる強力な選手であっても一瞬の出来事ででレースを失ってしまう、してはいけないタイミングでミスを絶対にしてはいけないことと、運に恵まれることが必要なんですよね。。
Stybar's Paris-Roubaix ruined by collision with spectator | Cyclingnews.comCN記事。

  • Stybarはレース後、自分の脚はほぼ完璧な調子であったことを語って、さらに、カンチェラーラを含む先頭集団を形成した時、後ろの集団にチームメイトのニキ・テルプストラが居たことで積極的に脚を使う必要のない優勢な状況であったこともあり、最終局面になったときの自分のスピード(スプリント力?)は1番か2番だろうと考え、最後の勝負について頭を巡らせていた。
  • そのときにカメラをもった人か何かが自分のシフターに接触して転倒しそうになり、落車は免れたがペダルがすぐにはまらなかった。それでカンチェラーラたちは行ってしまい、240㎞のあとの5-10秒差であのコースではもう差を縮めることができなかった。
  • 初めてのパリルーベについて、Stybarは激しく失望したと同時に最初の挑戦でよい結果を収めたことに満足している、と達観したコメントもしていたらしい。たしかに残り25㎞の時点でSven Vanthourenhoutが祝福していたように。

Znedek Stybar On Spring Classics, Paris-Roubaix and Cyclocross - Cyclocross Magazine - Cyclocross News, Races, Bikes, Photos, Videos
Cyclocross Magazineがフランドル終了後、パリルーベ前にStybarにインタビューしていたものが昨日出ていた。

  • ロードレース転向して、春クラシックに出るのは初めてのシーズンとなるらしい(そうでしたっけ?)。そのために、シクロクロスのシーズンは短くなった(世界選もスキップ)。春クラシック冒頭からもっと良いリザルトを上げられれば良かったのだが、そうもいかない。
  • いまの段階では自分はエースとして走るチャンスはない、チームメートから経験を吸収し、その後自分のために走るチャンスがでてくるんだ。まず自分はチームから信頼を得るため実力を証明しなければならない。

今回のパリ・ルーベでチーム内のクラシック組の中で、自分のために走る地位まで昇格したでしょうか。。(このインタビューは面白かったので、別エントリで取り上げるかもしれません)
Stybar capable of beautiful road career, says Nys | Cyclingnews.com
Nysはパリ・ルーベ後、Stybarはロード界で素晴らしいキャリアを築けるであろうとコメント。

  • ほんの一握りのシクロクロス選手がロードで成功しうる。Stybarはその一人。
  • 本来の才能でいえばラース・ボームのほうがロード選手としての才能に恵まれていると思うが、Stybarの強みは「マニアック」(←非常に熱心なこと)。
  • チーム内では彼が「いきすぎ(大げさ?)"exaggerating"」と笑うような雰囲気があったらしいことが噂で伝わってきていたが、もう笑うものはいなくなるのではないか。

Stybarが早期に結果を出そうとして、慣れないロードのプロフェッショナルたちの世界でやや浮いていたかもしれない雰囲気はわかるような気がする。。。しかし、チェコ人としてベルギーシクロクロス界でやってきた「異文化対応」能力、なんとなく明るくとぼけた雰囲気でいろんな壁は乗り越えやすいタイプなのかもしれない。

Zdeněk Štybar ←戦績。

  • 上記CXマガジンのインタビューで彼としてはやはりクラシックの経験を積むことを第一と考えていて、グランツール、シーズン後半については追って検討するらしい。ヴエルタは出るらしい。
  • シクロクロスについては、次シーズンHoogerheideのCX世界選はベルギーの拠点(ガールフレンドの家)から15㎞しか離れていない、が、チームの方針次第といっている(カタールに呼ばれるかどうか?チームに呼ばれたらなんであっても必ず応えなければならない)
  • 来年が正念場になると言っていたようで。。
  • 移籍の時にもそのようなことを言っていたし、年齢(27歳)を考えると煮え切らない成績で何年も過ごすより、ロードでビッグになるか、それとも3年程度で区切りをつけて再びシクロクロスにもどるか、という背水の陣なのかもしれない(それにしては、いつも楽しそうだけれど。。)

Source: chicago.cx via Jessie on Pinterest