Rick ZabelのBMCゆき
2011年世界選手権でのRick Zabel。このときは気持ちを高揚させるためか、髪をプラチナブロンドにしている。大舞台での毛染めは子供時代からの刷り込みか(苦笑)(Photo:ルッカさん)
未確定段階で当日記でも言及していたが、現ラボバンク若者チームのRick Zabelが2014年、BMCに加入することが発表された。
BMC signs young sprinter Rick Zabel for 2014 - VeloNews.com
BMCはワールドツアー参加チームの中でも超プロ集団だし、自らの考えを語れる選手たちがいる。たとえば、エヴァンス、ジルベール、フースホフトやヴァンガードレンなど。ビッグスターが沢山だ。彼らをチームメートに持つことは、僕のような若い選手にとってとても素晴らしいことだ。沢山のことを彼らから学べる。(リック・ツァベルのコメント)
まあつまり、大物がいっぱいいる、僕そんなチームに加入できるなんて、超クールじゃーん?と(笑)
↑2011年エシュボルン・フランクフルトU19の部で勝利したリック君をハグする、ゴールに乱入した父ツァベル。(写真:Leopardさん)
(今回、くまたろうさんも2011年ベルリン6日間で目撃したツァベルパパのステージパパぶりをアップしているRick Zabel to BMC (ツァベル息子2014よりBMC) - HONK de BONK)
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- 私はこの一報を聞いて「父も抱き合わせでコーチとして加入するんじゃ。。」などと妄想が働いてしまったが、無理からにツァベル家とBMCを関連づけようとすれば、TモバイルやハイロードにいたAllan Peiper(BMCのパフォーマンスマネジャー)がマネジメントにいる。ドイツ人選手としては、ブルクハート、ネルツがいる。まあ特にコネ入社という訳ではないのかな。
- 一応というか、あきらかにリック君もお父さん同様スプリンターのようですが、Peiper氏によれば父ツァベルのようにどのような地形にも対応できるタイプのスプリンター。ふーむ、グランツールで後半の険しいステージになっても比較的元気に走れるスプリンターになるのかな。なんていうとチーム内の総合リーダー系の選手は眉をひそめるだろうか。。
- 私はしばらく彼のジュニア時代からのリザルトを追ったりしていたのですが、たしかにトップクラスなのだけれど決してドイツでもダントツではなかった印象。トラック競技(確かマディソン)で国内タイトルは獲ったことはあるけれども。U17のころはドイツ国内ランクでトップ5とか10に入るぐらいだったような。
- しかしその後成績上昇してきたようだ。アンダー19のときには国内2位。そしてU23の国内選手権を昨年獲って、エリートクラスの国内ランキングは現在12位。
rad-net.de | Radsport | Radrennen | Ergebnisse | Bundesliga | Breitensport | Hallenradsport | Mountainbike | Querfeldein | BMX | Trial | Einrad←ここからリック君の過去の国内ランキングも見られます。
- 何よりも、リック君には大きな勝利を挙げる「運」のようなものがあるように見える。
- たとえば、2011年にU23のケルン周回レース、エシュボーン・フランクフルトと2連勝したときは、父ツァベルも自分ですら同年にこの二つを勝ったことはないと手放しで称賛。←ステージパパ大喜び、フランクフルトでの勝利シーンの写真つき現地レポ。
2011年エシュボルン・フランクフルトU19のゴール直前の写真。前を行く選手より明らかに余裕。(Photo: Leopardさん)
- 現在Rabobank Developmentチーム所属だが、今年三月おわりのTour de Normandieでステージ勝利して勢いが付いたらしい。
- そして4月、U23のフランドル1周勝利。、優勝候補はほかにも居たが、最右翼候補のベルギー人のアタックがつぶされ、スプリントのライバルが他選手の足の痙攣で前に出られない中、キャリア最大の勝利を挙げている(この件、ブログに書いたつもりだったが、FBどまりだった。)。
Espoirs Central: Rick Zabel sprints to Ronde van Vlaanderen U23 glory←このときのレースレポート@Espoirscentral*1
目がねむそうなんだよねー輪郭はパパに似てるけどね(Photo:ルッカさん)
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- しかし、このチーム、話題性のある選手を獲るのが好きだなあと思ったのも正直なところ。新生BMC立ち上げのときのアルカンシェル経験選手かき集めっぷりが目を引いたBMCはオーナーが有名な自転車好きの実業家、アンディ・リース氏。フォナックでフロイド・ランディスを擁しツールを制覇した夢がついえたあとも、まだなおかつ自転車チームを保有するというリース氏のインタビュー記事をみつけた。↓(自転車系ではなくスイスのビジネス情報サイト)
ツール・ド・フランスでビジネスチャンス - SWI swissinfo.ch
- まあ、自転車ブランドBMCを買収したんだから自転車チームに投資するのは当然なことというのはわかるけれど。*2
- 将来グランツール勝利を挙げるのではと嘱望されているヴァンガードレンを獲得して、大物エヴァンスが目の上にいるけどうまく育つといいなあ、と内心心配していたところ、先般カリフォルニアで総合優勝したりして、順調に育っていることを考えると、リック君も、いい意味で大物に囲まれ、ベテラン選手のアドバイスを受けてすくすくと育ってくれるとよいけれど。
- とりあえずはジルベールのかばん持ちか、フースホフトの厳格な指導か、、などと妄想してくまたろうさんにツイッターで聞いてみたところ
「フィニーの舎弟というのも。二世同志で」という説を提唱(笑)
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- そういえばリック君について以前感心した記憶がある。[自転車]ツァベルの息子は今季13勝 - tannenbaum居眠り日記zzz←そのときの当日記。
父ツァベルが現役時代終盤、Aldagと一緒に会見し、過去のドーピングを告白したときのこと。まだ年端のいかない14歳のリック君は地元メディアBildにコメントを求められた。思春期の子供、それも父と同じ競技を志している子供には厳しい質問だったと思うが(それでもその子にコメントをとりにゆくところが流石センセーショナルなぶち抜きの多いBildらしい)、そのときリック君のコメントは、
- 父からは直接ドーピングをした事実と、その理由を聞いた。
- そのことについては僕が大げさに許すとかいう問題じゃないと思う。
- 僕自身にはかかわりのないことだし、父と自分の間柄は以前と同じ。完全に理解し合っている関係であることにかわりはない。
肝の据わった子供だと思った。
- とりあえずそんなこんなで逆風吹き荒れたドイツ自転車界の将来もありますので、ある意味広告塔的な立場になりそうな彼には、是非がんばってすくすく育っていただきたいですね。