知の逆転
小僧が学校の課題のために買った本を手にとると、案外とても面白い小説だったことはいままでもあったけれども、今回は小説でないけれどもツボにはまった。
- 作者: ジャレド・ダイアモンド,ノーム・チョムスキー,オリバー・サックス,マービン・ミンスキー,トム・レイトン,ジェームズ・ワトソン,吉成真由美
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2012/12/06
- メディア: 新書
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- よくあるビジネスマン用の鼻につく啓蒙書か、あるいは読んでいると言えばとりあえずカッコがつくたぐいの本なんでしょ、と思ったけれども、読んでみるとすんなり読みすすめられて嫌味なく面白い。
- 言語学、人類生態学、人工知能、脳神経外科医、分子生物学、コンピューターサイエンス、・・現代の知を代表する人々がそれぞれの考え方を平明な言葉で語っている。各人がいろいろハッとさせられることや、えーそうかな?と思うことも言っているけれども、自分の考えについて自然で普通な姿勢で語っているように感じるのは、インタビュアーの吉成真由美さんの力があるのだろう。各人の業績について予備知識がなくても、読めばおおよそが分るようになっている。
- 彼女自身たいへんに頭のよい人で難解で高度な内容でも普通に楽しめるように編集し文章にできる才能(と、夫いわく、美貌)の持ち主。この人たちに会うまでは、。。という情熱に基づいて作られた私花集のようでもある。
- こういう人が私の高校時代の数学の先生だったら進路も違っていたかもしれない:私は、自分の書いた数式を、理解の足りない生徒にわからせるよりも自ら酔うような教師に高2のときにあたって以来、決定的に数学から落ちこぼれた。
- いずれにせよ、ものごとを考えなおして頭がやわらかくなったり、気づく点をみつけたりできる楽しい本。
そして、急速にかわる世の中だけれども、各分野でこんな風に邁進する人々が真実を求めているかぎり、人間は進歩してゆくだろうし、かならずしも悲観することばかりでもないのでは?とも思える。
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- そういえばいつも名前を忘れてしまうJared Diamondの「銃・病原菌・鉄」なんですがいい加減タイトルを覚られたと思います(よく思い出せなくて「なんとかと、なんとかと、鉄」とか言ってる。苦笑)
- アカマイという会社は何をやっているのか、結局いまいちわかってないのだけれど、大学の先生たちがひょんなことから事業を立ち上げてゆく道のりが、ベンチャー投資の専門家ではない、中の人の感覚を通すとこういう感じなのか、、というのが興味深かった。
- このインタビューは共通の質問として、全員に若い人たちへの推奨書を挙げさせているけれども、若くないけれどもいくつか読んでみたいと思った。なお、小説は読んでも意味がない、という人もいれば、読み捨て系の探偵小説をたくさん読むという人もいて、それぞれ。