tannenbaum居眠り日記💤

観戦者の目による、おもに自転車(おもにシクロクロス)関連のすみっこネタブログです。

After all these years: 時は流れて(Stefan Deniflのグランツール初勝利)

北京の砂塵から、突然ブエルタ・ア・エスパーニャに飛びます。
かつて連日動向を追っていた若い贔屓選手が、その後年月を経てチームがワイルドカード出場したブエルタで、グランツールのステージを初めて獲った。

www.cyclingnews.com

 母国オーストリアの連邦大統領からもお祝いのツイートがあったようだ。オーストリア人初めてのブエルタステージ勝者らしい。しかし、報道ではチームバスが燃やされるという事件を乗り越えた、プロコンチネンタルチーム選手の「大金星」感が強調されてるなあ。やっぱり。

 

Stefan Deniflは私が2010年ごろ追っていたCervelo Test Teamの若手有望株として注目していた選手。

カルロス・サストレ、トール・フースホフト、ハインリヒ・ハウスラー、ロジャー・ハモンド、サイモン・ジェラン、ジェレミー・ハント。。。グランツールもワンデイレースも見せ場があり、楽しいチームだった。
当ブログの検索窓に「デニフル」と入れてみると2010年は日々垂れ流しのごとくデニフルの動向について書いている。楽しそう、私(おバカ記事多すぎ)。

20100709172237

(2010年、ツアー・オブ・オーストリアのベスト・オーストリア人賞の表彰台。連日同じコーヒーメーカーをゲットして8台くらいもらっていたはず。お肌ピチピチです)

・TTと山岳が売りのチロル地方出身オーストリア人若手選手だった。MTB出身。
・当時のチームメイトであるオスカル・プジョル(現Team UKYO) に2010年Japan Cupでデニフルのことを聞いたら「デニフルは上りとTTのほかも、何でも出来る選手、そして良い奴」と言っていた。

http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/t/tannenbaum/20101024/20101024092453.jpg

プジョル(2010年Japan Cup)。当時はキュートなキャラだった)

ツアー・オブ・カリフォルニアの上りステージでジョージ・ヒンカピーのような大物相手にプジョルと交代で波状攻撃を仕掛けたのは印象的。ツイートなどの発言は率直シンプル、応援するのが楽しかった。

・しかし、彼の加入後たった1シーズンでサーベロ・テストチームは解散することになり、チームは散り散りに。

・デニフルはその後、レオパード・トレック、ヴァカンソレイユ、IAM、そして現在はアイルランドのプロコンチネンタルチームAqua Blue Sportへと。

・追っている間は、真っ正直な走りでベテランにひねられていた印象だけれど、当時はツール・ド・フランスをいつかは獲ってやるみたいな気持ちでいたのでは。

2010 Cervelo Test Team (PCT)
2011 Leopard Trek (WT)
2012 Vacansoleil - DCM (WT)
2013 IAM Cycling (PCT)
2014 IAM Cycling (PCT)
2015 IAM Cycling (WT)
2016 IAM Cycling (WT)
2017 Aqua Blue Sport (PCT)

http://www.procyclingstats.com/rider/Stefan_Denifl

・ビッグレースに出られるチームを渡り歩いてはいたものの、今回の勝利に至るまで勝ちはわずか2。しかしその間、ツールド・スイス(2015)で山岳賞総合1位獲得、ジロ・デ・イタリア山岳賞総合4位(2016)母国のステージレース、ツアー・オブ・オーストリアでは常時総合トップ10以内。山岳に強いチロリアンライダーとしてプロトンで実績を積んでいたようだ。

・今シーズン、ツアー・オブ・オーストリアで初めて総合優勝している。そして先日赤ちゃんが生まれたばかりみたい。

Victories by team/year:
2006: 1 victory
2007: 2 victories
2008: 3 victories
2009: 1 victory
2010: 0 victories
2011: 0 victories
2012: 0 victories
2013: 0 victories
2014: 0 victories
2015: 1 victory
2016: 0 victories
2017: 2 victories

http://www.cyclingarchives.com/coureurfiche.php?coureurid=17587

今回、デニフルのニュース記事の小さいゴール写真(一番上に貼ったもの)を見て、最近の彼の姿を写真で詳しくチェックするまではすこしだけ勇気が必要だった。

↓2016年の写真。

↑年齢相応の渋さがすこし加わった良い面構えになってる。。ああ、よかった~~。。(何を心配していたのか)
というかCerveloに入る前の姿に近づいた感じもする(金髪ロン毛前)。

http://www.dewielersite.net/db2/wielersite/beeldbank2013/13598320301184716.jpg

(ELK Haus-Simplon時代、2007)

  「人生において、成功や幸福に至る道のりはさまざまである。しかし、自転車レースにおいては、その道はただ一つ「Stefan, この自転車に乗り続けろ(すべてのコーナーをできるだけ速く通過しながら)」と自分に言い聞かせ続けていた。」


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この記事を書きながら、思い起こしていた古い歌。昔の恋人にばったり出くわし、まだ彼女に夢中な自分に気づいた、という歌詞。


Paul Simon -Still Crazy After All These Years

「Still Crazy After All These Years」のAfter all these yearsというのは「この歳月を経て」という意味に「今更だけど」あるいは「ようやく」というニュアンスが場合によって込められたりするみたい。

「何年も頑張ってようやく」グランツール勝利おめでとうStefan。そして「いまだに情熱をもって」走っていて、幸せそうで嬉しい。

しかしあんなに若いお兄ちゃんだった選手がすっかり苦節○年のベテランライダーになっちゃうなんて、自分も老けないほうがおかしい。ほんとうに。