tannenbaum居眠り日記💤

観戦者の目による、おもに自転車(おもにシクロクロス)関連のすみっこネタブログです。

東海シクロクロス最終戦 ワイルドネイチャープラザ@接待サイクロクロス(その1)

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運営のよさ、関東からのアクセスの良さでじわじわ関東のライダー達の間で注目度が上がっている、東海シクロクロスシリーズ。http://gcf-fukyu.p2.weblife.me/cx/index.html

  • なかでもワイルドネイチャープラザはアップダウンのある砂地獄コースで、砂好きのシクロクロッサーの間では是非走ってみたいコースであるらしい。異名は「日本のkoksijde」。koksijdeはベルギーの北海沿岸の砂丘地帯にある、トップクラスの格式を誇り、ドラマが生まれるコースである。今シーズンもワールドカップではベストレースではないかというNysとVan Aertの激しい闘いがあったコースですね。

ほぼ砂地のコースで、体力とテクニカルが必要とされる難しいコース。アップダウンも取り入れ、まさしくハードなコースと言えます。日本版コクサイデのコースと言えるでしょう。
UCIシクロクロスワールドカップを走っている感覚になりきってもらいましょう。

と、大会HPにもうたわれています。
年末JCXシリーズとして同会場で開催されたレースは都合がつかなかったが、今回は東海シクロクロスシリーズの最終戦としても開催される。行きたいなあ。「ぷらっとこだま」で名古屋まで行って昔の会社の友人と会い、当日はどこかの駅からタクシーか知り合いに拾ってもらい会場まで行こう、と手配を考えていたところ、カテ1選手が機材サプライヤーの会社の方を「接待サイクロクロス」でおもてなしする、というのに同行させていただくことになった。自分の希望は言葉にしてみるものですね。

  • しかし。昨シーズンこのコースで優勝しているカテ1選手に同行というのは、流石のんきな私でもお邪魔にならないようにするのにはどうしたらいいだろうか、着替えは極力持たず、でも雨対策は必要、レンズ3本は持参したい、、*1などと考えていたら先方は先手を打ち、荷物の容積制限について事前連絡がきた。いつもレース会場で大荷物をひきずっているのをチェックされていたらしい。飛行機の機内持ち込み荷物程度であれば自転車3台と人間3名ともに積めるらしく安心した。
  • 集合時間20分前に待ち合わせ駅に着いた自分は偉いと思っていたところ、サプライヤー様は50分前に到着していた。アスリートの世界は待ち合わせ時刻5分前集合ではなく、50分前集合だった。
  • 高速道路で移動する間、接待サイクロクロスということでカテ1選手の遠征を満喫するメニューが各種揃えられていた。その一環で、サプライヤー様も高速道路で運転するという体験もすることができていたようだ。

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  • 現地到着後のレース前夜の夕食。このときベテランレーサーが選択したのは、かつ丼でも、パスタでもなく、自分の好みやコンディションに合わせて自由な選択が可能なセルフサービス式定食屋である。東海から西日本寄りに多くみられる飲食店形態らしい。
  • もしかするとピリピリして、しょうゆの置き場ひとつ気に入らなくてもちゃぶ台返しなムードを恐れていたが、淡々とすべては進行した。
  • 一応神経を使っていたはずの私はひとつ失敗を犯した。「・・優勝するというのが接待なんですよね?」という発言である。あとでサプライヤー氏から注意された。無神経なメディア攻撃から選手を守るサプライヤー氏であった。
  • カテ1選手は消化しづらいものは選んでいない。サプライヤー氏と私がビジネスホテルのロビーフロアにあるテーブルで宴する横でお茶を飲んだあとカテ1選手は先に就寝した。
  • さて、一夜明けて。カテ1選手は自宅前道路工事によりここ数日睡眠が足りておらず、チームメンバーが昼の試走に間に合うよう後で車で迎えに来るということでホテルに残り、カテ3に出場予定のサプライヤー氏とわたしが朝いちの試走に向けて出発。周辺の道路は広々しており、岐阜羽島駅前から快適な15分程度のドライブでレース会場に。
  • 駐車場が1台ずつの間隔が広くて快適である。

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わあ、ほんとに砂だ。
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この轍の美しい模様の出方、つまり、砂のきめが細かい。自分が2012年世界選手権を見るためKoksijdeに行ったときに、砂のきめ細かさには驚いた。
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(Koksijde世界選試走日。)
この会場の砂はKoksijdeまではいかないまでも、いままで国内のレース会場で遭遇した砂(猪苗代、マイアミ、お台場)とは質が異なる。感触としてはほかの国内の砂は踏むとゴキュゴキュ、ざりざり、という大粒な感覚があるが、ここのはサラサラしゅるしゅるときめ細かく踏むと気持ちいい。

  • Koksijdeの砂は、急斜面沿いの砂を踏んでも案外滑らず、乾いていても踏むと適度に踏み固まるので、見た目よりも歩きやすい感想を持った。しかし、ここワイルドネイチャープラザの砂は斜面の砂をふむとするする崩れていく感じが違う。一日歩くと、おそらくKoksijdeより疲れそうである。じゃあレースに関してはどうよ?というところだけど、轍がKoksijdeほどはできにくいのかも。
  • 前日の試走では雨が降っており轍ができやすく、レース当日よりは走りやすかったと聞いた。

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  • 丘になっているエリアのアップダウンは激しい。崖崩れがあり丘の裏側?にあった急坂のアップダウンがコースから削られ若干イージーになったらしい。

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  • カテ1選手のチームであるフリッツェンは東海支部も有しており、メンバーの吉松さんがサクサクとテーブルを開いてクロスを掛けコーヒーを淹れてくれた。東海クロスといえばBUCYO COFFEEなので、当然朝からBUCYOマフィンを買うため並んだ(種類がたくさんあってかなり悩む)が筧太一さんおすすめのトークがひとしきりあって、楽しく選ぶ、さらに吉松さんのおすすめで当地名物「カイザー」という丸いパンにあんことクリームを挟んだもののイチゴ入りも買ってみた。東海クロス、この時点ですでに満喫態勢である。

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  • サプライヤー氏の自転車は事前にカテ1選手によってピカピカに磨かれタイヤも替えてあったらしい。これこそが接待サイクルクロス。接待する選手は今宿で寝ているけど。

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  • さて、サプライヤー様は、過去何度も偉大な勝利を重ねた伝説のチャンピオンなので、会場のあちこちに試走を始める彼のことをかたわらの知人に「ほらあの人だよ、レジェンドを見ていてごらん」と語る人が散見された。「彼は、特に、砂のコースでの走りが、宙に浮いているようだ、と言われた人なんだから、この砂の会場で彼が見られるのは大変な幸運。よく見ておくように」とうんちくを語っているのが聞こえたときには、私も内心むちうちになるほどうなずいていた。

しかしそもそも、彼の9連覇時代を知っている人のうちでも、どのくらいの人が、ここ数年の彼の闘病生活と、最近まで半年間入院していたことを知っているのだろうか*2

試走から戻ってきて、

あー、勝ってしまったらどうしよう

何度か繰り返すサプライヤー様。そしたらビールおごりますよ。

  • しかし、レース開始1時間前を切ってもサプライヤー様は勝ったらどうしよう?といいながらBUCYOマフィン、あんことクリームぎっしりのカイザーをどんどん食べる。レース前に何を食べても気持ち悪くなったことがないのだとか。胃袋が丈夫であることも偉大なチャンピオンの資質であるということを目の当たりにした。

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(私がつくったグラノーラバーを前日渡したのだが、その瞬間から食べ始めてびっくりした。瞬殺でなくなり、予定数より多くをサプライヤー様に差し上げることになった。)

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  • 会場の高いところからは木曽川の眺めも見えて、風光明媚です。
  • 地元支部の方とコース脇で見ているときにこれまで東海シクロクロスのレースづくりに尽力されてきた一人である蜂須賀さんと言葉を交わした。地元車連はレース開催に慣れており運営は手慣れているが、シクロクロスレースということになるとまだこれから、ということをおっしゃっていた。がこんな素敵なコースを作るなんて、素晴らしい。長年東海地区のシクロクロッサーたちは、関西に遠征して移動の苦労を味わってきたので、地元開催ができるという喜びは大きいという話。そうか、地元の皆が待っていたおらが地区のレースということなんですね。
  • 私からは、自分の周りの関東のレーサーの間で東海は運営がよくて走りやすいらしいと評判が出ているので、またこれから人気が出るのではないか、という話をしたけれども、うれしそうにしておられました。
  • カテ4は今回100人を超えるエントリーとなったが、4組に分け2組ずつ時差スタートする方式を取っていた。大人数でまとめて走っても後ろはレースにならないので、出場者につまらない思いをしてほしくないですから、と蜂須賀さん。

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カテ3スタート前。東海シクロクロスのスタート順は、東海のポイントを持っている人が前(「シード」)そうでない人たちが後ろ「フリー」。関西クロスと同じような形式ですね。

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  • 「クロスの鬼」佐宗さんがなにやらサプライヤー氏の自転車を世話しているように見えた。あとで聞くと、チャンピオンの空気圧がどのようなものか、手で触って確認していたのだとか(たぶん1.2-1.3気圧ぐらいとのこと)。佐宗さんから見て、かなり低かったらしい。かなり長いこと触っていた。

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(そういえばKoksijdeの試走日U23のオランダ代表Twan van den Brandにcrosscheckさんが空気圧を尋ねたときには、メカニックが1.4、と答えていた記憶)
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  • さて、スタート直後、落車もみられたが。

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  • そして、砂の下りで

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  • 異次元の走り。

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  • 07年マイアミで彼を初めて生で見た時がよみがえる。砂の上を滑るようだ。今回このレースに赴いた目的、私もほぼ達成した感がある。
  • http://d.hatena.ne.jp/tannenbaum/20071126/p1←初生クロス観戦のときのチャンピオンの写真あり。
  • なお、この砂の下りの試走で彼が走るのを見ていた他の選手たちが「自分もあんなふうに下れるような気がした、そうなれるように練習したい気持ちがわいてきた。」と言って嬉しそうにしていたのも印象的だった。

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  • さてレースの先頭争いは、若者同志がヒートアップして、展開から眼が離せない。

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  • カテ3で、一部の人たちだけでなく、会場内のここまで多くの人たちがレース展開に固唾をのんで、声援を送る。東海の観客は、勝負の行方を見守るのに熱心だ、という感想を言っていた人がいた。
  • ということでカテ3は終了。ビールのおごりは今回はなし。

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  • おっ、私の事前チェックで優勝有力候補の國井選手だ。話を聞くと、直前までインフルエンザだったので、あまり期待しないでというような発言。それよりも、とチームメイトの山中選手推しがあった。私も直前までのリザルトチェックでこのところ上げている人だと思った名前だ。

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(このとき、顔はみえなかった。。)
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  • 元信州クロス組も筧五郎さんの訪問を受け、旧交をあたためていて和やか。まだC1のスタート時刻まで2時間ある。

*1:結局、コースの様子からして寄って超広角はつかわず望遠と35mm単焦点の2本に絞ることにした。

*2:現在は通常の勤務をこなし、出張もしている

Cyclocross Tokyo (Day2) 白い硝煙赤い光

【2日目】
今回のお台場は二日とも熱い戦いが観られてよかったです。

  • 前夜のCXHairのトークショー満喫により遅くなり、女子は残念ながらほんの少し観戦。午前中は風雨が激しかったそうなのですが、わたしが着いたときには終息していました。

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  • 男子エリートのスタート前、ちょっと出遅れたら前日とはくらべものにならないほどの人垣で、もうとても近寄れず。。報道陣の数もこれがシクロクロスとは思えないほど。あーあーとぼんやりしていると知り合いに「砂浜に出てくるところ狙いの場所に行っておけば」とアドバイスされ砂浜出口に。

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  • Garry MillburnとJeremy Powersが前で入ってくる。Millburnは2015年のオーストラリア選手権で3位の選手だとか。

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  • 竹之内選手、Ben Berdenに負けていない。

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  • 後ろ、つかえたか。

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  • もうこういうのが撮れたからあとは写真は失敗ばかりのでもいいかも、と思ってしまった1ショットごとに見応えあるひととき(世界選代表メカニックの橋本さん、アドバイスありがとうございました)

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  • 砂が選手の腰より上まで舞い上がっている。
  • さて、周回数がありますから、何か所かで観たいと思いとりあえずシケインへ。

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(全米シングルスピード選手権有力選手のTim Allen)
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(外国人は飛ぶのに、日本人は誰も飛ばないんだね、という観客の声が聞こえましたが、勝てばいいんです。力強いヒカル選手のフォーム)

  • この頃は戦況云々というより、あちこちで見てみようモード。シケインの横で知り合いのメディアの方とNys引退セレモニーの日程とか、Superprestigeシリーズ最終日の打ち上げパーティーの中継についてなど話したり。

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(アイスクリームだと思ってたら、けん玉を持っていた織田聖選手。)
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  • 林の中は泥。知り合いがここで撮影していたが、確かに光がいい具合に射しこんでいて、泥の表面が綺麗。泥の綺麗さってなんだろう。中村龍太郎選手。

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  • 竹之内選手の気迫。

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  • フライオーバー。前日とは一味違う迫力、スピードだ。橋口選手。

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(向山選手)
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  • スタート時の遅れを少しずつ詰めてゆく小坂光選手。このときすでにBen Berdenは抜いていた。

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(海苔の会社のゆるキャラの着ぐるみは、SNELの選手が入っていたという話。)
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  • さて終盤は砂浜で戦況を。観客の居並ぶコーステープ際に轍が集まる。波打ち際より走りやすいんですかね。

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  • このときは、竹之内選手が先頭で、後ろがJeremy Powers。ふくらはぎ故障と手の怪我を抱え痛みがあるだろうに、ここで日本の観客の前でレースを作る竹之内選手の姿勢に、自負心とか責任感というものを感じた。
  • そして、Powersは様子見なのか、苦しいのか?さらに、後方にはこの時点で小坂光選手がここまで迫ってきていて、場内大いに沸いている。

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  • 竹之内を追うパワーズ。顔が赤い。暑さがこたえているのか。

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  • あっ。竹之内、降車。パワーズもストップ。小坂光が迫る。

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  • 踏みとどまって先頭を守る竹之内、そこへ見る間に小坂が追いついた。一つ上の写真とさほど時間を置いていない。小坂、この区間が得意。

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  • 固唾をのんで先頭が来るのを見守るラスト2周回目。ラップされようとする橋口選手は後方から迫る先頭争いを邪魔しないように、気が気でない様子。

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  • 小坂、先頭。パワーズは竹之内の後ろ。すごい歓声。私も声を枯らしていた。手ぶれ防止レンズありがとう。

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  • このときのパワーズの心中、いかばかりか。

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  • 顔がかなり赤い。

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  • ラスト周回から二番目のフライオーバー。

ところで、CXマガジンの記事でこんなパワーズの言葉が引用されている。

シクロクロスでは、最終周回以前の周回は学びのセッションのようなもの。ラインを学び、エネルギーをセーブし、それを最終周回で一気に爆発させる」とパワーズは言っていた。

そして、パワーズは文字通りその通りにした。砂を叩きつけながらコーナーリング、フライオーバーを超え、そして最後のストレートに突進した。勝利に向かってパワー全開で走ったのである。

Cyclist.Sanspoの記事を見ると最終よりの前の周回でパワーズは波打ち際のラインを試していたとか。

実況アナウンスの白戸さんも、彼が切り札となるカードを切るのはいつか、というような言い方をしていたような記憶がある。

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  • ブリッツェン応援団の応援旗が燃えるよう。

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  • ラスト周回の砂浜、依然先頭の小坂光。

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  • パワーズ、波打ち際寄りにコースを取る。

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  • パワーズが波打ち際寄りから一気に追い抜いた!

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  • パワーズ前へ。あああーという観客。

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  • 砂浜を戻ってきたときはすこし離れていた小坂、テクニカル区間で少し詰めたが最終のコーナーまでに逆転には至らず。もう、抜き所はない。

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  • ヒカル選手に観衆の気持ちが集まっている。

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  • ブリッツェン応援団。よくやってくれた、という言葉が聞こえた。

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この前夜トークショーでRapha Cycle Club Tokyoで話を聞いたCXHairのBillさんによるレポート(RaphaのHPより)。彼は一昨年の大雪、昨年の風雨を知っていてお台場で行われるこの東京シクロクロスの特徴として、砂のほかに「(ふつうでない)天候」を挙げていた。

  • スタート直前、あまりの暑さに半袖にカットされたPowersとMcDonaldのジャージの袖はサイン付きでファンの手に渡ったらしい。
  • "unreasonably"な暑さにやられてPowersは前半特に本来のテクニックを発揮できないほど参っていた。
  • 竹之内と連なって走り、彼のミスに乗じてリードしたが、その間、小坂がひたひたと迫り、抜け出し、リードを奪った。
  • パワーズにとっては自らの腕から勝利がみすみすこぼれ落ちてゆきそうな「なんてこった!」な局面(本当は書けない言葉だったのをBillさんが"Oh shoot"と書き換えたのか。苦笑)。
  • ここでパワーズとしては、負けるにしても自分の本領を発揮したうえで、限界以上に力を出し切りたいと思ったらしい。
  • パワーズが暑さに苦しんだことで、会場の多くのファンにとってはスリリングな最終周回になった。
  • 最終周回、コースに抜きどころが少ないのを知っていたパワーズは早めに仕掛け、最終コーナー(その後ぬかしようがない)で前をとり、勝利した。
  • レース後ファンとにこやかに会話し、サインするパワーズは、レース半ばまではどうしようもなく消耗していた、レースのラスト10分の努力のおかげでレース後笑顔になれた、熱狂的な大観衆の前で光や悠といいバトルができてよかった。と言っていたようです。

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  • 正直ほっとしただろう。勝ってなかったら、レース後のサインはこんなに和やかだったかどうか。

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(レースに関する参照記事)

ブリッツェンのレースレポート。

竹之内選手のブログ。

前半リードを奪っていた竹之内選手は、自分の故障との関係で、これ以上スピードアップしたら1周回増えてしまい自分が走りきれないことを恐れ、それ以上スピードを出さなかったのだとか。故障と戦いながらのレース運び。。そういえば、途中から竹之内選手の表情が辛そうにな気がして心配だった。ずっとこんな状況で気持ちを保ちながら、激しいレースを走ってきたんですね。
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  • 表彰台の竹之内選手は、すがすがしい表情。

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  • そして小坂光選手。砂浜でパワーズが一気に追い抜いたときは少しミスもしてしまったところもあるとか。もう一歩だったけれど、当初の遅れを冷静に挽回し、なお最後まであの闘い。今シーズンは一皮むけた強さを感じる。本人は全日本チャンピオンに目標を絞っている、という発言をしているけれど、今後また国際レベルと彼の遭遇が楽しみ。

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  • お台場のレースで選手が走っていてうれしいのはこういうところではないだろうか。ゴールする兼子選手に寄せられる拍手。

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  • さしのべられるたくさんの手。

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  • タッチしながらゴール。

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  • ゴール後語り合う、國井選手と合田選手。

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  • 談笑しながら掃除の手を止めない、合田選手。トップレベルでレースした後、家庭生活が待っている。

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  • 斎藤選手の背中に飛び散る泥の模様。

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  • 勤務の事情で競技からいったん離れる濱選手。これまでどうもありがとうございました。待っています。

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ということで、満喫したお台場も終わりました。夕方から女子納会があり、わいわいお台場の景色を楽しみながら語ったのでありました。
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皆さま、お疲れさまでした。

Cyclocross Tokyo 2016 (Day1) 幻のおにぎり伝説

お台場のシクロクロス。去年行ったっけ?そういえば、息子の受験で行っていませんでした。その前は、雪で、2日目はかろうじて。今年は2日とも観られました。
【1日目】

  • 朝起きたら頭痛で動けず。回復を待ってのろのろ出撃しました。
  • 天気いい。

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(なんか、さわやかだぞー!)(超広角レンズでフライオーバー撮影は楽しかった)
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(上の人とどっちが爽やかでしょう?)
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(ああああ、この造形…)
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(逢いたかった〜ビブちゃん)
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(いい戦いだった。)
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(低い構えの織田聖選手)
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(世代を超えた戦い。)
M1の筧五郎選手と、C2の織田聖選手。マスターズチャンピオンと、ジュニアチャンピオン。レース前に同時スタートを知った筧五郎選手が「かかってこい。全力で倒してやる」とFBでコメントしたものだから、両者メラメラでスタートし、そのままガチンコ勝負になったらしい(そんなやり取りはレース後知った。)
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絶対、譲らない。という強い対抗意識が、観客にも伝わってくる。

  • 近くにいた足立さんが、朝おにぎりがどうのこうの、といっているので聞き直すと、朝コンビニで筧五郎選手と遭遇したときに、お金をうっかり彼が持っていなかったというので、おにぎりを1個買ってあげた。それで彼が勝ったらいわば、自分のお陰だ。という論理であった。勝っちゃったら、どうしようかな〜とはずんだ声で言っている(苦笑)

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(勝ったら筧さんこのあと何を言われることやら。。)
レースは、年の差2倍以上?筧選手が思う通りに進めているように見えた。最初、後ろについていたが、、しばし差を広げる。ベテラン、強いねーと沿道の観客たち。しかし、後半。
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(ヒジリ選手が行った。)
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  • いつも独走している織田聖選手がほかの選手との競り合いを見せている。観客も喜んでいた。

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(毎周回ジャンプ。)
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(勝利が決まったかに見えたあと、さすがにきつそうな様子も。)
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(筧五郎選手、よいレースをありがとうございました)

  • 世界選でごちゃごちゃの集団の中、大丈夫だろうか、と心配していたが大きなトラブルなく走ったヒジリ選手、これからどんどん色々な経験を積んで、どんな風にステップを登っていくのか。楽しみです。

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いい表情。(Photo by 春日部写真店さん via 須崎さんのflickrより)

  • レース後、聖選手に遭遇したら、普段寡黙な印象の彼が嬉しそうに、絶対勝ちたかったから、本当にうれしい。今回のレースは、レース前の筧さんの言葉でとても燃えていた。と積極的に話してくれた。

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  • http://www.56cycle.com/archives/2750 ←筧五郎選手のブログ。スタート順が後方だったのを、チャンピオンジャージへのリスペクトを、という周囲の声でマスターズ前列に移動してのスタートだったらしい。

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(筧さんが勝っていたらおにぎりの伝説として、10年は語られるところでした。)

  • レース後数日、筧さんからブログ用にアダチモフの写真を要請された。おごったおにぎりが1個だったからなのかもしれない、2個だったら、、

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その後もレースを見て、エスキーナのアヒージョ丼を食べて、満足のうちに日が暮れていった。
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  • そしてこの後夜、Rapha Cycle Club Tokyo でCXHairsのトークショーとなる。長い一日であった。そして翌日もレース。この二日は、いわばお祭りですので。

CXhairs presents シクロクロス世界選手権2016 レビューナイト with ジェレミー・パワーズ に行ってきました

お台場は盛り上がりましたねー。全部は見られなかったのですが、男子エリートを始め、見応えある戦いが随所にあった印象です。で、その話は別途ということで、Rapha Cycle Club Tokyoにおいて土曜日の夜に行われたトークショーに行ってまいりました。

  • Rapha Cycle Club Tokyo は昼間のレース疲れをものともしない人たちが詰めかけていました。In the Crosshairs (CXHairs)というサイトでシクロクロスのレースレビューを書いているBill Schiekenさんがメインのトークを行い、翌日のエリートレースの最有力優勝候補のJeremy Powersも臨席。Rapha Japan代表矢野さんの逐次通訳でヒアリングに自信のない人も(私だ)楽しめました。

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フィンガーフードや飲み物を楽しんで小腹も満たせました。なんてお洒落。

  • この日のイベントはBill Schiekenさんがレースのビデオを題材に、#SVENNESSの動画で好評を博しているレース解説をするというもの。

(Bill Schieken氏)
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(モニターわきで語っている、ひげの男性がBillさん。)

  • http://www.cxhairs.com/ ←In the Crosshairsという彼のサイト。米国やヨーロッパのレース講評や、選手を招いてトークするPodcastのコーナーもあり、そして有名な#SVENNESS。
  • https://vimeo.com/148756834 ←現在公開されている最新版#SVENNESSは、今シーズンのKoksijdeのレースを解説しているもの。


https://vimeo.com/148756834より画面キャプション)

  • レースビデオの進行に沿って時折こんなキャプションが挿入されてゆくのですが、かなり興味深いのでおすすめです。英語が瞬時に読解できなければ、一時停止すればよいのです(笑)
  • Billさんは長身の方でもともとバスケットボールの選手だったそうですが、故障後は指導などをしていて、そのため、試合の動画を見て分析することについてはお手のもの、シクロクロスを解説しているところがほかに見当たらないというところで始めたのだそうです。

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(Jeremy Powers選手)

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(日曜日のエリートのレース、終盤のPowers)
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(手前に座っている男性がPowers)

  • Jelly Bellyでロードと掛け持ちしてTour of Californiaなどに出場していたところ、2007年に米国で最初に結成されたプロのシクロクロスチームCyclocrossworld.comでシクロクロスシーズンは過ごすようになり、2010年にUSGPという国内シリーズを勝ち、ワールドカップでシングルリザルト、2012年に国内タイトル、2013年まではロードと掛け持ち、昨シーズンからシクロクロス専従となったのだとか。
  • アメリカも以前はシクロクロスだけでは食べてゆけなかったけれども、今ようやくそれが可能になってきたとのこと。シクロクロスシーズンのオフが短くなったというのもあるようですが、オフの間彼は自転車クリニックや指導をしているようです。ロードで夏場も長期巡業の生活と比べたらずいぶん家族思いな暮らしができそうですね。
  • さて、トークショー前半はJeremy Powersの米国内レースを中心に彼の走りについての解説、後半は、先日のZolderの世界選手権男子エリートレースの解説しているリリース寸前の#SVENNESS最新版を見ながらのトークでした。
  • とにかく、前へ、前へ。位置取り争い、米国内レースだと知り合いだらけで、声を掛け合ってという面もあるけれども、ヨーロッパで何十か国もの選手が出てくるワールドカップなどになると言葉ではなく、肘でやりあうしかないという話。
  • シクロクロスでは、スタート後最初に前方から取り残されるとどれだけ後方に追いやられてしまうかという実例を矢印で。
  • 舗装路区間というと、ヨーロッパの回りの選手は足休めどころ。しかし、アメリカの選手は、そこでハッスルしないと前に出るチャンスがないのだとか。でもそうすると全く休めなくなってしまいますね。。
  • そんなアメリカの選手、以前は本場の選手たちにはスルー扱いだったところ、先日のレースでJeremyさんの進路をふさいでしまったVan der Poelが後でショートメッセージでごめんね、とJeremyさんに言ってくる程度に市民権を得てきたのだとか。

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  • 後半。世界選男子エリートのレースを題材とした#SVENNESS未発表最新版事前公開。ファンデルハールがラスト勝負をかけたシーン。難易度の非常に高い急坂下り+直後コーナーでVan Aertが毎周回片足をペダルから外してコーナーを曲がっていた場所で一気にVan der Haarがすごいスピードで抜き去ったシーンは、プロのJeremyさんからみてもイチかバチかの超絶プレーな賭けだったそうです。
  • こういう特別なカードは、レース序盤ではなく勝負どころの最終局面までとっておく、ジョーカーのようなものだそう。
  • 勝負の分かれ目となった登りのあとのコーナー区間ですがVan der Haarがレース後にメディアに語った「インナーに落としたつもりが、アウターに入ったままだったミス」は本当の遅れの要因というよりも、むしろ言い訳的なもので、それ以上にもう彼の脚があの場面では残っていなかったようである、という説明をBillさんはしていました。ふむふむ。

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  • Billさんがとても好きなセクションというのがZolderのキャンバー登り、例の上ラインからでも下からでも行ける折り返してのぼってゆく区間。SVENNESSの第一作めでも取り上げられていた。Van der Haarが上側を通過したときにJeremyさんが「ここは下のほうがよかった」とコメントしたので、「今回のみの話なのですか」と聞くと「そう。今回の状態では上を行くとパワーがより必要となる。その時の状況や選手のパワーにもよるけれども、Van der Haarについては今回は下のラインがよかったのでは」というようなことを言っていた。
  • あとBillさんがいままでのレースで最もエキサイティングだったのはどれ?と聞かれると、今回の世界選もそうだけれど、あとは2007年、例の「飛ぶシケイン事件」カメラバイクにコーンが飛ばされ、それによりWellensとNysが転倒し、あわや米国人Jonathan Pageが優勝か?などのドキドキ展開だったレースを挙げていた。何を隠そう、私がシクロクロスにハマったレースである。↓


(アクシデント後の展開がエキサイティング。一度は、観ることをお勧めする。この世界選後、カメラバイク関係者を相手取って手首を骨折しながら完走したWellensが訴訟を起こすと息巻いていたという記事を読んだ記憶がある。)

  • Jeremyさんは子供の頃エネルギーが有り余る問題行動があったようだけれど、自転車競技と出会ってうまくいくようになったとのこと。温厚で、とても親切にファンサービスする彼には好感をもちました。今度アメリカにおけるシクロクロスの発展と展望についても話をお聞きしてみたいです。夜までイベントに出て、そして、翌日のあの勝負ですよ。色々な面で楽しませてもらいました。ありがとうございます。

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(FRIETENチームのステッカーをあげたらにこにこして、私の着ていたFRIETENのジャージのロゴには目がとまってたよ。とコメント(やっぱり笑えるのだろうか。。))
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(翌日のレース後、ファンサービスに余念がない。親切な態度を崩さないプロ。)
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矢野さんのツイートにもあるけれどレースに出る人たちもこういう見方をして分析するっていうのが浸透するとよいですね。テクニカル、戦術解説実戦用、というレクチャーができる人、国内にもいらっしゃると思いますけど。
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実は私、現在のRapha Cycle Club Tokyo訪問は初めて。お洒落サイクリストとは最も遠い人種なのでちょっと敷居が高かったんですが、それを上回る今回のコンテンツの楽しさ(写真家さんのトークショーもあったが、全部出るわけにもいかず)*1。今後も、色々と楽しみにしております。
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*1:Raphaの小俣さんには「来ると思ってました」と言われました。苦笑

世界選2016後のVan der Haarコメント


ゾルダーの世界選手権は最後まで手に汗握る展開。誰が勝つか?がわからなくてドキドキでした。よりによってVan AertのホイールにVan der Poelの足がすっぽり、だなどと信じられないアクシデントがあったのもありましたが、普段からレースをワクワクさせるのに貢献している、フェアプレーな攻めの姿勢の "ジャック・ラッセル・テリア" わんここと、Lars van der Haarには千載一遇のチャンスに。個人的にはタイトル獲ってもらいたかったかも。もちろん若武者Van Aertの強さは素晴らしかったんですけどね。
http://www.wielerflits.nl/nieuws/137599/lars-van-der-haar-pakt-zilver-zat-op-buitenblad-stomme-fout.html ←世界選振り返るVan der Haarコメント。

  • 優勝候補二人が絡まってロスした隙、よいペースで走れたが、自分にはあれ以上の加速はできなかったと。
  • 勝負を決した登りのセクションでなぜ脚が止まったかというと、ギアを変えていたつもりだったのに、見たらアウターにチェーンがあった。クリックしたはずだったが、致命的なミスを起こしてしまった。それ以外自分は何のミスもしていなかったのに。それがなかったら勝てたかどうかはわからないけれど、Van Aertは強かった。

というようなコメントをしていたようです。Van Aertが前に出た後の差のつき方が顕著だったので、どうした、もう気持ちが切れたのか?などと思っていたのですが、そういったことで勝負が分かれてしまったんですね。
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  • あと、ベルギーの観客が自国選手を応援するあまり逃げているときのオランダ人の彼にブーイングどころかビールまで掛けていたことについては、「彼らは恐れているんだ」と思うようにしていたのだそうです。
  • 曲りなりにもエリートのトップ選手が世界選手権のタイトルを争っているのですから、文化として会場でビールが販売されているにしても、プロ観客かもしれないベルギーの方々には下品な行動は抑えめにお願いしたいです。http://velonews.competitor.com/2016/01/news/worlds-fans-pelt-van-der-haar-with-beer-spit_394292
  • でもまだ24歳の彼なので、より若い強力選手たちはいるものの、またいずれタイトルのチャンスはあるのではと思いますが。

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  • さて、現時点のホットな話題として、彼の現チームTeam Giant-Alpecinとの契約期間が今シーズンまでということで、移籍先についてあれこれ注目されているようですが、現在の有力候補はMarlux-Naporeon-Gamesと言われていますね。現エースのパウエルスはどう思うんだろうか。。Nysがマネジメント入りするFIDEAだって彼がほしいのでは。。などと、色々注目ですね。

http://www.hln.be/hln/nl/952/Wielrennen/article/detail/2602249/2016/01/31/Van-der-Haar-in-gesprek-met-Marlux-Napoleon-Games.dhtml

サルとトドのオランダ・ベルギー珍道中(その2)モリタロウは見た!本場のレース(後半)本気な人には道がある。

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【一人目:モリタロウ(後半)】
10.オランダ人の「すっきり片付け主義」について
・池本さんは綺麗好きでマメに片づける人ですが、自分はその点で遠征中に何度も叱られました。身の回りや荷物が整理されていないことで、スペース的にも時間的にも回りに迷惑をかける。ただでさえ、日本人があちらの国のスポーツをしているというだけで不利なのに、そういう面でもマイナス面を周囲に見せてはいけない。ということをよく言われました。

・レース時の荷物を一つにパッキングするよう言われたのですが、自分は一つにまとめるようなバッグをもっていなかったのと、それまでそうしていなかったので大変でした。言われてから、迷惑かけないよう前の晩にきちんと揃えてから寝るように気を付けました。自分はこれまでレース時の準備などはその場で考えついた順にやっていたのですが、池本さんは普段のレースから一切迷いなく動いていて、そうできる準備をあらかじめしています。
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(池本さんの国内遠征時の車内。)
[私も池本さんの遠征用の車内がきれいに片付いている印象が強いのですが、あの「片付け主義」はオランダの文化というか、常識なんでしょうか、むこうの選手の車内はみなああいう感じなんですか?]
・そうです。日本の一般的な選手と比べむこうはどの選手の車内もとてもきれいですね。選手にサポートスタッフが必ずついてきているのもあるのでしょうが。
・オランダは国民性なのか、家の中も町も道路もとにかくきちんと片付いてきれいでした。
・滞在したヒュープさんの家は部屋の中に余計なものがない。床にはモノが何一つ置いてありません。食器棚の中にはとてもキチンと揃えたフォークが並んでいました。大きな倉庫が家の敷地内にあって、余分な道具やものが倉庫に整理されて入っているんです。
・調味料や食材も部屋の表にでておらず裏に収納するようになっていました。しまう場所がはっきり決まっていて変えないから、池本さんは数年ぶりのヒュープさんの家なのに、ふっと裏にはいっていってほしい調味料が持ってこられるんです。(←主婦として参考になります)。決められた所と違うところにモノを置くと、すかさず注意されます。
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(部屋の輪郭がちゃんと見える。日本はこうはいかない家が多い)
・夜中の一時頃まで親戚を招いたホームパーティーでたくさん料理を出しても、寝る時までにあっと言う間に台所がピカピカに片付いていたのも驚きました。備え付けの食洗機がとても大きくシンクは小さく、こまかいことをせず残りモノは全部捨て、汚れがついたまま食洗機に全部突っ込めば食器が片付くようでした。
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(池本さんの知人のスーパーマーケットの事務所にあるキッチン。事務所なのに、大きい食洗器らしきものがある)


[自転車店の写真をみても、パーツを隅から発掘するようなお店も多い日本とは雰囲気が違いますね。すっきりしています。]
・車のディーラーのショールームみたいな感じが多いですね。店頭にはスモールパーツは出ていなくて、裏に分類収納されていました。
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(この店の裏の棚は十分整理整頓されていると思ったが、池本さんはこの写真に対し「あまり片付いていないようだ」というコメントをしていた。我が家のフードパントリーはこの棚よりもっと乱れている。オランダ人には見せられない。)

[道もそうなんですね。]
・路肩がきれいて、落ち葉が落ちていないです。清掃車がよく掃除しているようでした。サイクリング用道路もストレスなく走れるようにできていましたね。
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11. ビッグレース、Diegemの沈黙と霧ヶ峰
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(Van AertやVan der Haarら有名選手が並ぶLoenhoutの試走風景、手前のFIDEAは誰だろう)
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(アップしているのはFIDEAのVan Kesselか?)

[SuperprestigeのDiegemとBpostBank SeriesのLoenhoutという、シクロクロス界ではワールドカップよりも実質的な地位が高いとされる最高峰のビッグレースに身を置いてきたわけですが、どうでしたか。]


(レース動画)
・レベルが合わなかったというのはあると思うのですが、それを上回る経験があったので、出場して良かったと思っています。
・Diegemのスタート前、ナイトレースですが、60名以上選手がいるのに誰も音をたてず静まり返って集中しているんです。それは今回の遠征の中でも特別忘れられない瞬間になりました。ちょっと以前の信州クロスの霧ヶ峰のスタートのシーンとした様子にも似ているように思いました。レース内容としては歯が立たなかったのですが、それにもかかわらず、Diegemのあのレースを走ることができたのはよかったと感じています。
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(明るさの残る空が、だんだんと黒くなって、完全に夜に)
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・Diegemは照明が効果的で夜の光景を箱庭というか劇場のように魅力的に見せていて、走っていても気分が良かったです。
・雰囲気だけでなくコースも面白かったです。アップダウンが適当にあって路面も一部泥があったり、街中の路地裏を走ったりでバリエーションがありました。無我夢中で乗ってしまったのですが、泥は乗らなければよかったとあとで思いました。池本さんは降りていました。
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(こんな狭い路地裏がコースの一部。レース動画にも映っている)
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(洗車場。中央が松井さん)
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(ピットのハリーさんと松井さんにも照明が当たって劇場のようである)
・LoenhoutはBMXのコースを利用していたのですが、ジャンプできないと勝負にならないところがありました。溝と、それをジャンプで超えるVan Aertの写真(Cyclephotos)溝がコースを斜めによぎっていたりして、それぐらい高速で突入できるコースだったのもあるんですが、トップ10の選手はみなバニーホップで通過していました(←モリタロウもバニーホップする人になったら、皆喜ぶと思うんだけど、と言ったところ爆笑)

[DiegemもLoenhoutも場所柄、観客のガラがよくないと聞いていますが。]

  • ディーヘムのほうがガラが悪かったように思います。飲んでいる人だらけで。

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(投げ捨てられたコップが一面に。ひどい)
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(スタート地点の背後に見える、教会の塔)

12.日本との違い
[レースで自分が勝てそうなレベルの人は居ましたか?]
・いません!(断言)DiegemやLoenhout、ナショナルレース(のエリートクラス)に出場するのはプロ、セミプロ、サポートを受けているハイアマチュアだけです。招待されていない自主参加の選手も、プロに近いレベルの人たちでした。自分が少し話したフランス人の選手は本業の休暇をやりくりして取って、年末年始を利用して走りにきているようでした。
[中間さんもサポートを受けているハイアマチュアではないのですか?]
・(無言)
・自分としてはオランダのナショナルレースをもっと走りたかったです。ナショナルレースも「上を見ている」プロ狙いや、ロードのプロなどが走っています。ナショナルレースはエリートの下のアマチュアクラスというのがあるのですが、それも、エリートレースに出るだめ準備段階の人たちが走るもので、エリートで走れるぐらい速い人もたくさんいて、やはり「上狙い」の人たちばかりです。日本のように素人が自分の趣味で出場するレースとは全く違います。それ以下のレベルのレースについては、よく知りません。
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(林の中のナショナルレース、Rouselにて)
・ファン(楽しみで走る人)は「レース」においてはみかけませんでした。今回池本さんが自分の帰国後オランダのナショナルレースGP Gronendaalでギリギリ完走しましたが、日本人がナショナルレースに出たとして、完走できるレベルというのは日本のだいたいトップ10クラスの人たちではないかと思います。

※(ナショナルレースについて)http://www.knwu.nl/veldrijden/wedstrijdkalender/201601 ←オランダ車連のHP, ナショナルレースの今年1月のスケジュール。 UCIレースの下のランクに位置する国内シリーズだが、レベルは高く、オランダ、ベルギー以外のUCIレースに匹敵するレベルではないかとの事。なおエントリーフィーは無料だとか。

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(Rouselのレース終了後。渡欧直後の移動疲れと、日本とのスピードの違いにぐったり)
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(左の男性がMike Teunissenのメカニック。右はZZPR(旧ORANGE BABIES:Twan van den Brandの所属チーム)のメカニック。)
・むこうのレースでは、ともかくスピードがないと話にならないことを痛感しました。
・スピードを落とさせる箇所を作らないコースづくりがされていました。それとは逆に、上りシケインなど、コース中にかならず減速させる区間を設ける日本は敷地の狭さや、安全面を考慮しているのではと思います。しかしその結果、日本のレースは本場と別物になってしまったように思います。
・レースに関する情報の告知がないです。知っている人がいないと受付の場所すらわからないし、駐車もどこにしていいのかわからないです。
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[中間選手は今シーズンUCIポイントを獲得(1ポイント)して臨みましたね。]
・遠征時のレースで少しでもよいスタート順を取ろうと、出発前の国内レースでUCIポイントを狙っていた(中間選手は猪苗代でUCI1ポイントを獲得)けれども、UCIポイントをもたない池本選手とDiegem,、Loenhoutではスタート位置は変わりませんでした。また、Rouselのナショナルレースでは池本選手が自分と間違われてUCIポイントをもっているからと最前列に連れて行かれましたが、走り出すとあっという間に実力に応じた位置で走ることになっていました。
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(Loenhoutのスタート前風景。確かにUCIポイントを持っている中間選手と、持っていない池本選手の位置はほとんど変わらない。)
・スタート順が後ろでも日本ほどスタートストレートのコースが狭くないので、抜かしどころはありました。Loenhoutの時、ラース・ボームが全くクロスにでていなかったので自分の近くからスタートしたけれど、スタート直後の密集した中をすいすいと前に出て行きました。あれを見るとスタート順が悪いからという言い訳はできず、結局脚で順位が決まるのだと思いました。
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(スタートフィニッシュのストレート区間のコース幅が広い)
・開催スケジュールが日本のように詰まっておらず、試走時間が十分にありました。各カテゴリー(トップ、アマチュア、アンダー、ジュニア)の間がそれぞれ30分くらい確保されて、毎回そのときに試走できるようになっていました。最後のトップのレースは15時頃開始。)日本のようにカテゴリーが沢山になったら、詰め込まず二日間のレースにするという選択もあると思います。
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(スタートの時点でかなり陽が傾いているように見える。)
・エリートクラスの下がアマチュアクラスなのですが、かなり速くエリートで走れそうな人でもエリートで走るための準備段階として出場する人が多く、日本のカテ2とは違う位置づけのように見えました。シマノの松井さんが出場しても完走できないレベルでした。自分たちは国際ライセンスでエリート登録だったので、エリートクラスに出場しました。
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(Rouselのスタートリスト)
・なんでも平等ということではなく、ピットも駐車場所も実力次第で優先されます。ピットもサポートしている選手の順位次第で優先順位がはっきりしています。日本はもっと皆が平等な感じが強いですが、むこうではその点厳然たるものがあります。
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(ピットでのヒエラルキーは選手の順位によって決まる。後方に控えざるを得なかったハリーさん)

  • 駐車場所については今回の遠征では竹之内選手のサポートのランジットさんが確保した場所(ラボバンクのバスのとなり)を使わせてくれて、大変助かりました。そうでなければとても不便なところに車を止めざるを得なかったと思います。

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・オランダのナショナルレースについては、昔のシクロクロスミーティングに雰囲気が似ているなと思いました。淡々とアナウンスが流れて、ただ、レースするだけ、さっと集まって自分のレースが終わったらさっと帰る。自分はそういう雰囲気が好きですね。こういうことを言うと差支えるかもしれないのですが、あまり賑やかすぎるよりも静かに集中するというレースが好きです。お台場でカウベルの音や人々の歓声でベン・ベルデンが後ろから声をかけているのも気づかなかったため、頭を殴られた、という事件も自分にはありましたし(苦笑)。

・ナショナルレースでもお互いに言葉をかわさないわけではないのですが、レースが社交の場という感はなかったです。ツールトクトでも長々と無駄話をしないで、自分のペースで走って、話す機会があればちょっと話して、また走る。自分が走り終わったらとっとと帰る。それ以外の要素はない。そのような雰囲気はかつての信州クロスを思い出しました。あのような雰囲気が、自分は好きです。
下の4つは、Rouselのナショナルレースの動画。松井さん撮影。音声あり




(ピット周辺から撮った動画だが、たしかに、淡々とレースだけしている印象。)
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霧ヶ峰のスタート時。2012年。)

ツールトクトは森の中を走り抜けるサイクリングイベントですが、走っていてとても気持ちよく、それだけでもオランダに走りに行ってもよいぐらいです。
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  • ツールトクトのほうには趣味で走る人たちが出ていました。それでも皆フォームは正しく、スピードは速かったです。路面の砂地が滑りやすく、風はきつく天気は悪く、そいういった中で正しいフォームで走らざるをえなくなってゆくのでは、と池本さんは言っていました。
  • 日本のファンライダーはツールトクトを走るだけでも十分満喫できるように思います。


(楽しそうに走るモリタロウ選手)
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受付。荻島さんはしょっちゅうツールトクトで走っているらしい。確かに荻島さんのブログで毎週末Tourtochtを走っているという記述をよく見かけていた記憶がある。

※(ツールトクトについて補足)http://www.ntfu.nl/kalender/kalender.aspx ←サイクリングイベントのカレンダー。クラブチーム主催らしく、毎週末多数開催されている。当日受付可能。参加費5ユーロぐらい。

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(途中の補給地点。年齢が高いように見えるが、こういう場所で止まって食べるのは年長者で、若い人たちは止まらずに走り続けるのだそう。荻島さんも休憩せず走り続けたらしい)

13. 竹之内選手の凄さ
・今回竹之内選手に色々助けてもらったのですが、彼の凄いところはなかなか日本には伝わっていないように感じました。
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(このあたりまでオタクっぽいファンが入り込んでくるのは、竹之内選手目当てなのではないか。)
・継続してベルギーで活動し、協力してくれる人がいて、活動するための自分の場所があって、さらにちゃんと現地のファンがいる。自分たちがDiegemで竹之内選手の確保した場所で(本人は負傷のためDNS)アップしていると、いろんな人から竹之内はどうしたと聞かれました。すこし前現地のTV番組に取り上げられたせいもあるかもしれないです。彼の継続した努力と、それによって築いてきたベルギーでの基盤については、日本チームもお世話になっているようです。
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・スポットで遠征する者にはけしてできることではないと思います。日本の他の選手はみな本業や別の要素があってそこまでしていない、できないのですが、そこが竹之内選手と他の選手との本気度の違いではないかと思います。

14. 継続
シクロクロスは代車やスペアホイールなど装備がたくさん必要で、洗車もしなくてはならないので、身軽に出かけてレースに出るということができません。海外でレースできる環境を維持することはちょっと行っただけの人間には難しいです。
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(一人当たりの渡航荷物はこの量。ある程度とおりがかりの人が手助けしてくれるらしいが、着替え関係をコンパクトにまとめたとしても相当な量の荷物。)
・継続して走る人間がいなくなるとその基盤は続かなくなってしまいます。池本選手は以前のつながりでオランダにそういう環境をまだ用意できますし、竹之内選手はずっとベルギーにいることでそれを維持していますが、今後日本人であとに続く人たちがいるのかどうか。
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(辻浦選手が毎年ヒュープさん宅に置いて行ったジャージがいまだにきれいに飾ってある。)
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(黄色いジャージが鈴木祐一さん、その下三人並んでいるのが杉山さん、佐宗さん、鈴木雷太さん、黄色い鈴木さんの下の青いジャージが鈴木雷太さん)
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(何年の代表チームだろうか。左から私服男性がハリーさん、鈴木祐一さん、山下さん、杉山さん、鈴木雷太さん、小坂正則さん、大原さん、藤森さん)

15. 本気で思えば
・手配が自分でするのは大変だからとか、上げ膳据え膳でないとどうしていいかわからない、、等ということで行きたくても行かないでいる人が多いのかもしれないけれども、一度ぜひシクロクロスの本場で走ってみるとよいのではないかと思います。走りたいと誰かツテを探して本気で頼み込めば走れる場所はどこかにあるはずではないかと思います。
・自分はこのあと二人目の子供が生まれる予定で、しばらくは難しいですが、状況が許すようになれば、必ず再び本場で走りたいと考えています。
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シケインの後方、辻浦選手)
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MTBのレースに出ていた池本選手:地元紙に日本からの訪問者、と掲載された)

モリタロウ編、以上】

サルとトドのオランダ・ベルギー珍道中 (その1) モリタロウは見た!本場のレース(前編)

2015年12月24日から2016年1月4日まで、オランダ・ベルギーのレースを走って来たフリッツェンチームの中間森太郎選手と池本真也選手の二名。
10代の頃から代表チーム時代も含め10年近く現地に通っていた池本選手(37歳)と、海外レース経験が35歳にして初めての中間選手の組み合わせ、そして、ナショナルチームという形ではなく個人参戦、日本からの同行スタッフなし、という近年見られなかった形のヨーロッパへの個人挑戦ということで、帰国したお二人に私がインタビューしてまいりました。海外経験も体型も対照的で「サルとトド」とも呼ぶ人も居る(苦笑)組み合わせの中間さん、池本さん、ご協力有難うございました。
(本文中の写真は池本さん(一部荻島美香さん撮影)、中間さん、松井さんご提供、過去の国内レース写真は私が撮影したもの。)
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【一人目:モリタロウ(前半)】
1.笑顔の裏。
[FacebookInstagramの二人の投稿を見ると、遠征は楽しかったようですね。]
・チームのスポーツディレクター(足立氏)から積極的にSNSに写真をアップするようにという指示があったのですが、写真を撮る余裕があるのは楽しいときだけなので、結局楽しい写真をたくさんアップすることになりました。レース前後の写真は自分たちでは撮れませんし。楽しいだけではなかったのですが、遠征したことは本当によかった、忘れられない体験になったと思っています。
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2.到着の 出鼻をくじく レンタカー
・オランダに到着したのはクリスマスイブの夜でした。クリスマスで営業時間の変更があったのか、予約しておいたはずのレンタカー会社の受付がクローズしていました。池本さんが空港のインフォメーションセンターの人に聞いたほかの場所にたまたま来ていたその会社の送迎車が出ようとするところを走りながら大声でようやく呼び止め、スペースがないので二人分は乗せられないというのを無理に座席に自転車を抱えて乗り、自転車4台含む大荷物ごとなんとか移動、車を借りたところ、小さすぎて二人分の荷物が入らず、さらに池本さんが交渉し大きい車に変えてもらったのですが、それが、ダチアというふわふわするルーマニアの自動車でした。
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・その車が今回のハイライトともいえるDiegemのレースの前日にパンクしてしまいました。スペアホイールなしでDiegemに行くのは危険ということで結局、サポートの70歳代のハリーさんが片道350キロもの距離を運転して送迎してくれることになりました。
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・空港でのレンタカー事件は旅の出だしだったのもあり、自分は交渉していたわけではないのに気持ちがへこんでしまいそうでした。自分ひとりだったら、予約した送迎車が来ないというだけで、よく分からずそのまま空港で夜明かししていたと思います。
・帰国は自分は池本選手よりも一足先だったので、1人で空港脇のホテルに泊まって帰るはずでしたが不安だったところ、シマノの松井さんが出発前日自宅に泊めてくれて、空港まで車で送ってくれました。今回の遠征はサポートの方々の協力に恵まれ、無事に遠征を終えられた自分は本当に幸運だったと思います。
・ちなみに、海外経験は結婚式で行ったハワイのみです。
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3.サポート体制
・今回の遠征のピットはハリーさんが全部入ってくれました。DiegemとLoenhoutには荻島美香さん、Diegemにはシマノ駐在員の松井さんが入ってくれました。また宿泊先はオランダで以前日本チームが宿にしていた元オランダナショナルチームマッサージャーのヒュープさんの家でした。
・そのほか、Diegemでは竹之内選手と、竹之内選手のスタッフであるランジットさんに駐車スペースを使わせてもらうなどの便宜を図ってもらいました。
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(今回の遠征ですべてのレースのサポートをしてくれたハリーさん。)
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(元全日本チャンピオン、マスターズ世界選チャンピオンの荻島美香さん)
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(赤いジャケットが松井さん。このスペースをDiegemの時に仕えたのは竹之内選手とランジットさんのお陰。)
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(確かに、Rabobankのバスの隣。)

4.カテ1選手までの道
[競技を始めたころのことや、現在にいたるまでについて話をお願いします。]
・運動神経は悪くなかったけれども特別なことはしていませんでした。中学の時に陸上競技部で中距離選手でしたが、何かの部活に入らなければいけないから所属しただけで特別練習に打ち込んだ記憶はありません。試合の緊張感が嫌で練習はでてもいいけれど大会には出たくないと5回くらい先生に直訴した記憶があります。
・大学生の時にオートバイを始めたかったのですが資金が足りないのと親に止められたのでマウンテンバイクを買ったのが競技に入るきっかけです。2、3年でJapanシリーズのエリートになり、その年にシクロクロスも始めました。
シクロクロスを始めたきっかけは、小坂正則選手を見たことです。大きいギアで踏みつけてゆくスタイルが恰好よくて一緒に走れたらいいなあと思いました。当時トップは辻浦選手、小平選手が対抗馬でした。全日本には間に合わなかったものの最初のシーズン中にカテ1に上がりました。全日本の直前のカテ2のレースで昇格できず残念だったのですが暫くレースを休んでいた鈴木雷太さんが出てきてしまったんです。自分以外全員ラップされてしまいました。その次のレースで上がれたのですが。
・当時出入りしていたショップ(三上和志さんのショップ3UP)と周囲の人たちに励まされたり、サポート7及び援助をしてもらいながら転戦を続けステップアップできて、継続して頑張れたように思います。その後大学生の間に「チーム埼玉県人」というショップベースではないチームを山辺氏、日向氏らと結成しました。
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(私が中間選手を初めて見た頃の写真、GPミストラル2010-11シーズン)
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(2011年 GPミストラル第5戦にて)
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(2012年 GPミストラル第5戦にて)
・そのころ出ていたのは、当時シクロクロスミーティングと呼ばれていた信州クロスです。当時の藤森クロスの一貫した姿勢は、世界を目指すというものだったので、いつかはヨーロッパの本場のレースを走りたいという思いは当時皆が持っていたものだったと思いますし、自分もその後もずっと持っていました。今回の遠征についてこのチャンスをぜひ生かしたいという気持ちになったのは信州クロス時代のそういう下地があったからだと思います。
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(2012年 信州シクロクロス 霧ヶ峰にて)
[近年はシクロクロスに絞っているようですが。]
・子供との時間もとりたかったし、自転車にかけているものを減らす選択をする時点でクロスを選びました。MTBは機材の更新が激しいので。

5.モリタロウはどんな選手?
[どんなコースが得意ですか?好きなレースは。]
・ギリギリ乗れるか乗れないかぐらいの少しテクニカルで重いコンディションのコースが好きですね。全員は乗っていけないような。ハイスピードでカラカラなコンディションのところは好きではないです。マキノとか。14-15シーズンの全日本選手権の会場になった菅生は自分向きだったと思います。高低差が大きいセクションもあったのでコースの全部が好きということではありませんでしたが。コンディションが悪いのが好きというのは、前もって選べないところが難しいです。
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・今回のオランダ・ベルギー遠征は例年になく暖かくてドライだったんですが、今シーズンは膝の故障で自分のコンディションは良くなかったので、たとえ今回路面が重いコンディションだったとしても、もっと差がついていたのではないかと思います。
[その菅生の全日本選手権の前、リラックスしたムードで氷点下直前の気温のなか、アイスコーヒー飲んで談笑してましたよね。]
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・レースの前は普段通り過ごしたほうがよく、あまり特別なことをしないほうが結局いいということに最近気づきました。以前は緊張がすごくて、ピリピリしていたんですけれども。近年メンタルトレーニング関連の書籍などを読んで克服できたように思っています。たくさんレースに出て場数を踏んだのもあるかもしれません。
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[体型は以前と変わったのですか?]
・あまり変わってないです。

6.働くパパの海外遠征
[小さいお子さんがいるサラリーマンが1週間以上家を空けたわけですが、大変じゃなかったですか。]
・妻は大変だったと思います。共働きで、息子は保育園児です。普段は保育園の送迎は行きは自分が送っているのですが、不在中妻は行きも帰りもどちらもしなければなりませんでした。ただし息子は3日間スキー合宿で不在でした。
・今のチームに替わって海外遠征の話が出てもなかなか妻に言い出せませんでした。一方、金額や日数が具体的にどうなるのか分からないと妻に説明できないと思ったので行くという前提で池本さんやチームメイトでベルギー駐在員経験がある根本さん等から色々な情報を集めました(←綱渡り)。
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(インタビュー時のサラリーマン姿の中間選手:Mile Post Pro Bike Shop http://www.milepost.jp/にて。)
・そして、10月頃ようやく妻に話してみると意外と、「いいよ」と言ってもらえました。妻はレースに興味があるのではないのですが、今回も遠征に行ってきて、すごく楽しそうな自分を見て、また行けば?と言ってくれています。妻はさっぱりした性格なんです。レースはお台場や野辺山、先日のろまんちっく村などは子供と見に来てくれました(←嬉しそうな表情)、
[普段の練習や遠征で家をあけることがかなり多いことについてはどうなんですか?]
・けっこう色々いわれてますよ。むずかしいです。。(←言葉少な)。
[息子さんはお父さんがレースで走っているのを見てかっこいい、って言ってくれますか。]
・はい、でも遅いけどね、と言われます(苦笑)
・職場では、年末にまとまった休みを取るのは前代未聞で、やや波紋があったのですが、妻が二人目を妊娠していてこの後旅行になかなかいけなくなるので、と説明したところ、うまいこと誤解してくれたみたいで(笑)あとで結局わかっいてたような感じもしますが。
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7.家族に遠慮、職場は前代未聞、チームメートは苦言。それでも行きたい。
・今シーズンの年末年始、遠征を希望するか?池本選手は既に遠征することは決めているが、彼を案内役としてあてにすることはできない前提だが。という話がスポーツディレクターの足立さんから出たとき、藤森氏のシクロクロスミーティングでクロスを始めた自分は海外を目指したい気持ちはずっとありましたので、このチャンスをぜひ活かしたいと思いました。アメリカやその他の国というよりもシクロクロスの本場で走りたいと思っていました。
・既にオランダのナショナルレースへの遠征を決めていた池本さんに、一緒に行かせて下さい、とお願いしたのですが、厳しい話がありました。「受け身でいれば連れて行ってもらえるような甘いものでなく、全て自分で手配ができないといけない、また、選手としての取組姿勢も現地では厳しく周囲の人々から見られることになるので観光したりビール飲むような要素は皆無である」等と言われました。池本さんからは「いいよ、一緒に行こうぜ!」というような言葉は結局言われずじまい(苦笑)でしたが、それでも走りたいという気持ちがあれば行くべき、という足立さんからの言葉もあったので、行くことに決めました。
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(Mile Post Cafe http://www.milepost.jp/category/1994731.htmlは隅田川の夜景が眺められ、料理もおいしく、よいところでした。)
・ところが、いざ行ってみると案内人役はしないと言っていた池本さんはさまざまな面で気を使ってくれました。オランダ人の同世代の友人たちにサポートしてもらうという選択肢もあったところを、自分のために日本語が通じやすい方々(荻島美香さんやハリーさん)に声をかけてくれました。叱られた場面も何度もありましたが。また、自分は語学ができないですが、自分からも話せ、言ってみろ、と話す経験を積むように何度も仕向けてくれました。
[シーズン中、けがで休んだ時期もあったりして、私も本当に行けるのか心配だったのですが、決行しましたね。]
・猪苗代のレースは好調に走れていたのですが、その後もともと痛めていた膝が悪化して歩行困難になり、1か月自転車に乗れませんでした。その後も調子は上がらない状態のままで遠征になってしまったのが残念です。
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8. パワーマックスによるトレーニング
[今回の遠征でスピードが必要というのを感じて、今後のトレーニングについて何か考えていることはありますか。]
・これまでもバイクぺーサーをしてくれる人はいますし、去年からお願いしているのですが、チーム埼玉県人に在籍している芝田さんという競輪選手が自分のパワーマックスというエアロバイクのようなトレーニング器具を貸してくれ、メニューも組んで指導してもらっています。負荷が変更できて、心拍に合わせて色々設定やメニュ−を変更します。ただ理論というより、やってもらっているのは3−4時間かけての体育会系指導ですね、掛け声をかけられながら。自分でお願いしてやらせてもらっているので、帰りたいと思うほど辛くてもやめられないです。
・芝田さんにはペダリングについても教えてもらっています。こぐときに骨盤を動かすという練習をしています。上半身を動かさずに、骨盤を高速でグルグル旋回させると競輪選手のようにもがくことができます。骨盤が動くようになれば、ペダリングがもっと「ぬめっと」なる(コンディションが悪い時、疲れているときでも骨盤を使ってこぐことができる)、上半身と骨盤の連動がうまくゆけばもっと力強く速くなれるようです。

9. 続ける原動力
[体育会系でなかったモリタロウ選手が、帰りたいと思いながらも競輪選手に稽古をつけてもらうような辛い思いをしてまで続けているのは何なんでしょう。楽しい点というのは。]
・楽しくはないです(笑)満足したいからでしょうか。満足というのは、よい走りができるかどうかという点についてです。満足できる走りに結果がついてくると。もっと満足したいと思うことが原動力になって走っている感じ。
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・たぶん世界チャンプになれるぐらい速くならないと満足しないから、ずっと満足できることはないと思いますが。
・人と競うことが目的ではない。相手がどう、というより、一秒でも早くゴールしたいという本能がベースにあって走っているので、かけひきも得意ではなく、うまい人にいいように使われてしまうんですよね。
・最初はマウンテンバイクで遊んでいるだけだったんですけどね。一年には1度ぐらいは今日はよかったなあ、と思うことがあるんです。
(次回、遠征話の核心に迫る、また、主婦にも有益なオランダ流すっきり片付け事情)