1984(ウールジャージと並木道)
若かりし頃に流れていた音楽は、子供のころの食べ物の香りのように記憶を呼び覚ますのかもしれない。
在宅勤務中の音楽について話題になったりしていましたが、自分は日によって違っていて、人の声をなんとなく流すときはNHK第一放送や、ブライアン・イーノとかのアンビエント系プレイリスト、ハワイアンとか、バロックとか、能楽のときも。「寝る前用、リラックス」という触れ込みのものもしっくりくる。
イケイケ系のは自分の仕事中にはあまり合わず、逆に鎮静化させてくれるのが合う気がする。もしかして、デフォルトでは興奮してるのか。そして本当に追い込まれたときは気が付くと何も聞いてない。
で、ある時どういう関係かでてきた動画。サムネイルに出てきた自転車ジャージに、スクロールの手が止まった。
The Style Council - My Ever Changing Moods
1984年リリースの、英国のバンド、スタイル・カウンシルのMy Ever Changing Moods.
就職したら給料は未来永劫上がり続け、不動産も株も買えば値上がりするものとされていた。この曲を聴くとどの子がどこのDCブランドの服を着て、誰がどんなクルマに乗ってたとか、授業の代返とか、著書さえ買えば優をくれる教授とかがふっとよみがえる。ああおバカ学生時代。
バイトを週4日入れ、大学の授業抜け出して友達と「カフェバー」で油を売ってるときにかかっていたような曲。そんな当時の空気を思い出させる。
このアルバムは当時の私の周囲では必須科目だった気がする(ダビングしてもらったカセットテープしか持ってなかったけれど)。ステンカラー・コートの着こなしカッコいいね。
- この曲のPVを30数年後に初めて見てなんだかびっくりした。いや、見ていたけど当時興味なかったのかも。
- Modの父、Paul Wellerが自転車をやる人で、ウィギンスやブライアン・ホルムなど自転車界にこの人のファンがいる話は見聞きしていたので乗っていることには驚かなかったが。
- しかし、私の青春時代当時の流行りの曲とウールのサイクルジャージとレトロ風味の自転車が同時代だったのか。1984年はそんなに昔だったのか、、。
- いや、もしや、ポール・ウェラ―は当時としてもレトロなウールジャージがイケてるっていうことで着てたとか?
・・と思ってFacebookに書いてみたところ、
「当時は化繊とウールが混在していた」
ツールや世界選などの世界トップクラスのレースは化繊。
と当時高校生だった(意外と世代が近い)ネモトさんがコメントくれました。ネモさんは即座に「サーティ・ワン」という所属していた強豪チームのウールジャージと、ローラン・フィニョンが写真で着ているのをよく見る、ルノーの白に黒と黄色のチームのウールジャージの写真も貼ってくれました。
- レトロじゃなくて、普通のそのころのジャージだった。。自転車もバーコンでシフトチェンジしてるし。。。*1
- 私、、古い人間。。。思っていた以上。。
その時代の自転車レースの動画をちょっとさがしてみたりした。そう、その時代はツール勝者でいうとイノー→フィニョン→レモンというツール王者の移行期、歴史に残る色々な逸話があったりした時代ですよね。
Kellogg's Start Cycle Championship 1985 - Manchester & Cardiff (incomplete)
これは1985年のKellogg's Start Cycle Championshipというレース、スタート前列には元ツールの覇者Lucien Van Impeが出ていたり、Allan Peiperがすごいかっこいいサングラスをしていたりだけどジャージは化繊のようだ。ただしデザインはウール時代のに近いものも多い。
- だけどここでもひっかかったのがオープニングの音楽。
U2の”Pride"という有名な曲が使われているんだけれど、自転車周りに感じる古ーい感じと、自分がこのU2の曲に感じる古さにはかなり感覚的なズレがあるのだった。
U2 - Pride (In The Name Of Love)
これですね。
だからどうなの、といわれてもとにかく当時音楽は自分に身近にあったが、そのころ自転車に興味を持ってなかったせいなのかもしれないけど、傍からみるといっしょの「30年以上前」なのだった。まあ、それだけの話。
※(ウエアの変遷についてちょっと検索したので次回はその話題に続く)
(追記)こちらの記事もアップしました。自転車ジャージの歴史を知らなかったので - tannenbaum居眠り日記💤
あとこの冒頭に取り上げたPV、並木道を走る風景はよくオランダあたりのレースに出てくるよね。というのも思ったら、エクニさんからは
「GPミストラル感があふれる」
というコメント。そう、ミストラルにはこういうまっすぐな並木道(短いけど)があって、なかなか絵になったのだった。私にはあの並木を効果的に絵にする力もレンズもなく、いまいちの写真しか残っていない。横から見たところの写真はあった。
まあいずれにしてもシクロクロスを見慣れた人間にはなんだか親和性が高いPVだった。
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余談ですが、自転車乗りのミュージシャンといえば大学時代の自分がより熱心に聞いていたのはこっちのほうだった。David Byrne。やっぱりこの人も細いね。
Talking Heads Full Concert 11 04 80 Capitol Theatre OFFICIAL
びっくりしたのは、卒業旅行で訪れたモロッコとスペインでやたらトーキング・ヘッズがそのへんのラジオで流れていたこと。オレンジやオリーブの畑が連なる乾燥した丘陵地帯を走るフロントガラスにヒビが入っているベンツの観光バスの中でけっこう長い時間流れていたな(かなりの余談)。
ディヴィッド・バーンはBicycle Diariesという本を出している。
*1:「まだデュアルコントロールレバー無い時でダブルが普通でインデックスも無い時。」っていう解説はすぐにわからなかったけれど