ぶち猫ブラザーズの活躍と旅立ち
お隣のおばさんによれば、我が家の庭は、昔から猫に好まれる通り道兼休憩所みたいな場所だったらしい。考えたら、猫から見ても、あとから引っ越してきた自分たち家族のほうがこの土地の新入り。
この子一時期うちの庭でかなり幅をきかせていて、バッタなどを置いて行ったりしていた。
(桜の花びらみたいに耳がなってるのは、地域猫の証だそうです)
地域猫が多い地区で、引っ越し当初からいろいろな猫をみかけた。
うちのウッドデッキは人間の利用頻度は低く、おもに猫が立ち寄ってごろごろし爪とぎする場所になった。
(人が出入りする目の前に座る割に油断がない面構え)
猫ウォッチは好きなので、トイレさえしないでくれれば問題なかったが、けっこう花壇にトイレされたので困った。
ショバ代のつもりなのか、玄関先にバッタなどの貢ぎ物?が置かれることが頻発した時期もあった。
そして玄関前では少し前まで隣家の高齢猫ネロ(黒猫)がよくウトウトしていた。去年ついに18歳で亡くなったが、そこは前の家があったころからのお気に入りの場所で、庭の形が変えられ新しい家が建っても定位置は変わらなかったらしい。なんだか不思議。
そして新型コロナ問題で私がずっと在宅勤務だった時期、ネロちゃんの後継者として隣家にもらわれてきた保護猫の白黒ぶち兄弟(2歳)がうちの庭に常駐するようになった。
ハチワレの子とホルスタイン柄の大柄な感じの子で、同じ時に産まれたらしいけど父親が違うらしく顔つきも体つきも似ていない。
二匹は去年お隣にもらわれてきたらしいが、ずっと無人に等しかったうちの庭に突然おばさん(私)がうろうろするようになって、どう思っていたんだろうか。
だいたい朝、隣のおばさんがいってらっしゃーいというと、塀を越えてうちの庭にやってきて、お昼ごろおばさんがご飯よーというと帰っていく。まるでうちの庭が幼稚園みたいだった。
彼らが庭を探検して、え、これなになに?という感じの初々しい様子が見ていて面白く、ぴょんぴょん虫をおいかけたり、庭の隅の穴をのぞき込んだり。私は家に籠り切りの日々だったが、うるおいを与えてもらった。
なによりこの子たちはトイレをしていかないのが素晴らしい(笑)
悪さしてたら言ってくださいねと言われたが、トイレしないし、鉢植えなどにいたずらもしない。
(鉢植えは倒さないが、実家の庭から引き上げてきた動物の置物が時々倒されていた。敵とみなしたのかもしれない。)
一度うちのブルーベリーの肥料(5㎏入り袋)を戦果品のようにおばさんのところに持って帰ったことがあるぐらいだ。返却された肥料袋は角のところに歯形がついていた。肥料は半分くらい残っていたので2-3キロを運んだことになる。どうやって肥料を咥えてブロック塀を上ったのかは謎。
先代のネロはイタリア語で黒という名前だった。今度は中国語が採用されたらしく、ヘイ(黒)とマオ(猫)。
(塀の上のへーちゃん)
(マオちゃん。ひげ長い。そして洋猫みたいに尻尾太い)
おばさん曰く、去年1歳で引き取ったときの二匹はそれまで野良猫だったので苦労し、その後黒っぽいヘイちゃんは甘えてくるようになったらしいが、白の多いマオちゃんは1年たった今も膝に乗らないし、なでさせないらしい。性格も違う二匹みたい。
庭の手入れをしていると、足元近くをこわがらず通過する二匹にびっくりした。携帯で写真を撮った。甘えてこないけど、慌てて逃げることもない。
へーちゃんはいつもちょろちょろしている印象だが、私をみかけるとしばらく近くにいて、その後去っていく。あ、いつもの庭のおばさん?ちーす、ごろーん、じゃあまたねーいそがしいんだ、みたいな。
ちょうちょか虫に夢中になっているときに一眼レフを持ち出してみたが、そのときは沢山へーちゃんを撮ることができた。ちょっと野生っぽく目がギラっとしてた。
(眉毛?が線香花火みたい)
ある日在宅で仕事中に、マオちゃんに窓の外からまじまじと見つめられたときにはややドギマギした。彼はなつかないけど、人をよーく観察する。そして案外撮られるのは嫌いじゃないみたいだった。
あるとき二階のベランダから庭のマオちゃんに声をかけたとき、最初びっくりしたあと、地面から塀に飛び乗りこっちをじっくり見て、太いしっぽを「ふぁっさ、ふぁっさ」とゆっくり振っていた。
また違う日に勝手口に近い部屋でミシンを使っていたとき外をうろうろするマオちゃんのシルエットが見えた。声をかけるとまた戻ってくる。
勝手口のドアをあけて声をかけてみると、「庭のおばさんは上からも出てくるし、このドアからもでてくるのか」とまたつくづくじいっと見られることになった。またしっぽをゆっくりふぁっさふぁっさしていた。
(ふーん、こっちからもでてくるんだー)
(大雨の後で泥とゴミだらけ。。)
猫写真家の第一人者である岩合光昭さんの本を読むと、猫に撮らせてもらうには、まずこっちからじろじろ見ないで、相手の猫に自分を観察させること、と書いてあったので、沢山観察してもらえばもう少し慣れてくれるんだろうか。と考えたり、塀を上ったり下りたりするところを流し撮りできないかなどと考えたりしたがなかなか難しい。
私のアプローチが悪いのか、小さいレンズをつけていても緊張されるので、望遠レンズですこし離れて撮るようになった。
二匹の滞在時間が増えるほど、ほかの猫をみかけなくなり、フン害がなくなった。とてもありがたい。飼い猫が常駐する家の庭は、野良猫がフンをしなくなるというのは本当なんだ。
(おばさん毎日枝いっぱい切るなあ。。)
ある日のこと、小事件を目撃。
庭でにらみ合い双方声をあげているマオちゃんとよその年上猫を見た。
ナーオ、ナーオ、マーオー!!!
うぁーおうう・・うぁーお・・
とただならぬ声をお互い張り上げてなかなか終わらない。
遠くから望遠レンズで見ていると、やがて相手の年かさの猫が目をそらし、立ち去った。マオちゃんは胸を張って座り、相手のしっぽをかいで見送っていた(血を見なくてよかった)。
これはもしや、マオちゃんが縄張りを主張して口喧嘩の末、年長者を出ていかせたのか?
(眼付悪・・いや強そうな猫だけど若造に譲ったのか。)
ノラネコのケンカ「鳴き合い」、勝ったオスは仁王立ち | sippo(シッポ) |
観察力あるひっこみじあんで静かな性格のようで、実は強気なやや謎キャラのマオちゃん。おばさんによれば、彼は身体能力に自信があるらしい。骨格が洋猫っぽく大きいし威嚇されたら迫力あるだろう。
ぶち猫の性質について書いてあるサイトをいくつか見ると、黒主体のぶち猫はフレンドリーで明るく、白主体のぶち猫はおとなしいが案外強気、とあった。まさにそんな感じ。猫の毛色が気質に影響することが多いのは、毛の発色と、神経系の発達に関連性があるというのも読んだ。なかなか面白いね。
(ものおじしないへーちゃん)
そして緊急事態宣言が解除され、私は長期入院している叔母の都内の留守宅マンションからベランダのゼラニウムを5鉢一気にレスキューしてきた。臭いけど強いゼラニウムは、ドライフラワー寸前だったが、うちの庭で放置しているうちにみずみずしく復活して花芽をつけた。
これは猫が嫌いな植物と聞いたが、どうなんだろう。
(ローズマリーも猫が嫌いと聞いたことがあるが、へーちゃんは頭を突っ込む。)
私は50%出勤になり、家にいることが減り、業務もそこそこあわただしく、在宅の日も外をみないことが増えた。気づくと最近は二匹をあまりみていない。
隣のおばさんによれば、大人になってきた二匹は遠征距離がかなり伸び、もうおばさんが塀越しに「ごはんよー」といっても声が届かないので、二階のベランダからかえってらっしゃーいと何度も大声で呼んでいるのだとか。
夜も遅くまで帰ってこないし、ごはんっていってもなかなか来ないし、一体どこまで行ってなにしてるのかわからない、困ったもの、という話を聞いてこれはまさに18-20歳くらいの元気盛り男子の行状なのでは、と思ってしまった(二人は去勢してあるけど、雌猫には興味はあるらしい)。
ああ、それで二匹をあまりみないのか。。そして庭も5月ごろの花壇のさっぱりした時期を過ぎ、しつこい梅雨で湿気が充満しその上に臭いゼラニウムや、レモンのにおいの強い蚊連草などが玄関先に導入され、花壇はトマトやインゲンなどの野菜が生い茂って暗くなり、あまりいごこちのよい場所でなくなったのかも。
おばさん曰く、最近遠征にいくときは玄関と花壇があるうちの前側ではなく裏側を通って出ていくそうだ。表にはゼラニウムがずらっと並んでいる。
表の花壇を野良猫のおとしものから防御するためには、家の表側のゼラニウムたちをどこかに移動させ、花壇方面に二匹の痕跡をしっかりつけてもらったほうがいいのかもしれない。
あの隣のゲーセン前はおれたち毎日よくいったよなー今思うと子供の遊びでわらっちゃうよなーとか兄弟で言い合ってたりして(笑)
とちょっと寂しい思いだ。
でも家にいると囚人みたいで窒息しそう、といっていた同僚もいる中、私がうるおいのある在宅期間をすごすことができたのは、若いぶち猫兄弟がちょろちょろしてくれていたから、とつくづく思う。
おばさんにはお礼もかねて一眼レフでよく撮れた写真をプリントしてプレゼントするつもり。
またおいでー。