tannenbaum居眠り日記💤

観戦者の目による、おもに自転車(おもにシクロクロス)関連のすみっこネタブログです。

世界選2016後のVan der Haarコメント


ゾルダーの世界選手権は最後まで手に汗握る展開。誰が勝つか?がわからなくてドキドキでした。よりによってVan AertのホイールにVan der Poelの足がすっぽり、だなどと信じられないアクシデントがあったのもありましたが、普段からレースをワクワクさせるのに貢献している、フェアプレーな攻めの姿勢の "ジャック・ラッセル・テリア" わんここと、Lars van der Haarには千載一遇のチャンスに。個人的にはタイトル獲ってもらいたかったかも。もちろん若武者Van Aertの強さは素晴らしかったんですけどね。
http://www.wielerflits.nl/nieuws/137599/lars-van-der-haar-pakt-zilver-zat-op-buitenblad-stomme-fout.html ←世界選振り返るVan der Haarコメント。

  • 優勝候補二人が絡まってロスした隙、よいペースで走れたが、自分にはあれ以上の加速はできなかったと。
  • 勝負を決した登りのセクションでなぜ脚が止まったかというと、ギアを変えていたつもりだったのに、見たらアウターにチェーンがあった。クリックしたはずだったが、致命的なミスを起こしてしまった。それ以外自分は何のミスもしていなかったのに。それがなかったら勝てたかどうかはわからないけれど、Van Aertは強かった。

というようなコメントをしていたようです。Van Aertが前に出た後の差のつき方が顕著だったので、どうした、もう気持ちが切れたのか?などと思っていたのですが、そういったことで勝負が分かれてしまったんですね。
=======

  • あと、ベルギーの観客が自国選手を応援するあまり逃げているときのオランダ人の彼にブーイングどころかビールまで掛けていたことについては、「彼らは恐れているんだ」と思うようにしていたのだそうです。
  • 曲りなりにもエリートのトップ選手が世界選手権のタイトルを争っているのですから、文化として会場でビールが販売されているにしても、プロ観客かもしれないベルギーの方々には下品な行動は抑えめにお願いしたいです。http://velonews.competitor.com/2016/01/news/worlds-fans-pelt-van-der-haar-with-beer-spit_394292
  • でもまだ24歳の彼なので、より若い強力選手たちはいるものの、またいずれタイトルのチャンスはあるのではと思いますが。

=======

  • さて、現時点のホットな話題として、彼の現チームTeam Giant-Alpecinとの契約期間が今シーズンまでということで、移籍先についてあれこれ注目されているようですが、現在の有力候補はMarlux-Naporeon-Gamesと言われていますね。現エースのパウエルスはどう思うんだろうか。。Nysがマネジメント入りするFIDEAだって彼がほしいのでは。。などと、色々注目ですね。

http://www.hln.be/hln/nl/952/Wielrennen/article/detail/2602249/2016/01/31/Van-der-Haar-in-gesprek-met-Marlux-Napoleon-Games.dhtml

サルとトドのオランダ・ベルギー珍道中(その2)モリタロウは見た!本場のレース(後半)本気な人には道がある。

DSCN0017

【一人目:モリタロウ(後半)】
10.オランダ人の「すっきり片付け主義」について
・池本さんは綺麗好きでマメに片づける人ですが、自分はその点で遠征中に何度も叱られました。身の回りや荷物が整理されていないことで、スペース的にも時間的にも回りに迷惑をかける。ただでさえ、日本人があちらの国のスポーツをしているというだけで不利なのに、そういう面でもマイナス面を周囲に見せてはいけない。ということをよく言われました。

・レース時の荷物を一つにパッキングするよう言われたのですが、自分は一つにまとめるようなバッグをもっていなかったのと、それまでそうしていなかったので大変でした。言われてから、迷惑かけないよう前の晩にきちんと揃えてから寝るように気を付けました。自分はこれまでレース時の準備などはその場で考えついた順にやっていたのですが、池本さんは普段のレースから一切迷いなく動いていて、そうできる準備をあらかじめしています。
12660410_950811151666784_1907940994_n
(池本さんの国内遠征時の車内。)
[私も池本さんの遠征用の車内がきれいに片付いている印象が強いのですが、あの「片付け主義」はオランダの文化というか、常識なんでしょうか、むこうの選手の車内はみなああいう感じなんですか?]
・そうです。日本の一般的な選手と比べむこうはどの選手の車内もとてもきれいですね。選手にサポートスタッフが必ずついてきているのもあるのでしょうが。
・オランダは国民性なのか、家の中も町も道路もとにかくきちんと片付いてきれいでした。
・滞在したヒュープさんの家は部屋の中に余計なものがない。床にはモノが何一つ置いてありません。食器棚の中にはとてもキチンと揃えたフォークが並んでいました。大きな倉庫が家の敷地内にあって、余分な道具やものが倉庫に整理されて入っているんです。
・調味料や食材も部屋の表にでておらず裏に収納するようになっていました。しまう場所がはっきり決まっていて変えないから、池本さんは数年ぶりのヒュープさんの家なのに、ふっと裏にはいっていってほしい調味料が持ってこられるんです。(←主婦として参考になります)。決められた所と違うところにモノを置くと、すかさず注意されます。
12620427_932455170164866_1318190971_o
(部屋の輪郭がちゃんと見える。日本はこうはいかない家が多い)
・夜中の一時頃まで親戚を招いたホームパーティーでたくさん料理を出しても、寝る時までにあっと言う間に台所がピカピカに片付いていたのも驚きました。備え付けの食洗機がとても大きくシンクは小さく、こまかいことをせず残りモノは全部捨て、汚れがついたまま食洗機に全部突っ込めば食器が片付くようでした。
12625765_935581249852258_1548764985_n
(池本さんの知人のスーパーマーケットの事務所にあるキッチン。事務所なのに、大きい食洗器らしきものがある)


[自転車店の写真をみても、パーツを隅から発掘するようなお店も多い日本とは雰囲気が違いますね。すっきりしています。]
・車のディーラーのショールームみたいな感じが多いですね。店頭にはスモールパーツは出ていなくて、裏に分類収納されていました。
12510555_932455033498213_24332055_o
12362346_949679121778930_525754046_n
1889196_1495242507452255_1535709225_n
(この店の裏の棚は十分整理整頓されていると思ったが、池本さんはこの写真に対し「あまり片付いていないようだ」というコメントをしていた。我が家のフードパントリーはこの棚よりもっと乱れている。オランダ人には見せられない。)

[道もそうなんですね。]
・路肩がきれいて、落ち葉が落ちていないです。清掃車がよく掃除しているようでした。サイクリング用道路もストレスなく走れるようにできていましたね。
12443807_932455210164862_1277151995_o

11. ビッグレース、Diegemの沈黙と霧ヶ峰
DSCN0073
(Van AertやVan der Haarら有名選手が並ぶLoenhoutの試走風景、手前のFIDEAは誰だろう)
DSCN0027
(アップしているのはFIDEAのVan Kesselか?)

[SuperprestigeのDiegemとBpostBank SeriesのLoenhoutという、シクロクロス界ではワールドカップよりも実質的な地位が高いとされる最高峰のビッグレースに身を置いてきたわけですが、どうでしたか。]


(レース動画)
・レベルが合わなかったというのはあると思うのですが、それを上回る経験があったので、出場して良かったと思っています。
・Diegemのスタート前、ナイトレースですが、60名以上選手がいるのに誰も音をたてず静まり返って集中しているんです。それは今回の遠征の中でも特別忘れられない瞬間になりました。ちょっと以前の信州クロスの霧ヶ峰のスタートのシーンとした様子にも似ているように思いました。レース内容としては歯が立たなかったのですが、それにもかかわらず、Diegemのあのレースを走ることができたのはよかったと感じています。
DSCN0038 DSCN0043
(明るさの残る空が、だんだんと黒くなって、完全に夜に)
DSCN0049
DSCN0050
・Diegemは照明が効果的で夜の光景を箱庭というか劇場のように魅力的に見せていて、走っていても気分が良かったです。
・雰囲気だけでなくコースも面白かったです。アップダウンが適当にあって路面も一部泥があったり、街中の路地裏を走ったりでバリエーションがありました。無我夢中で乗ってしまったのですが、泥は乗らなければよかったとあとで思いました。池本さんは降りていました。
12596983_492353604281309_336536554_o (1)
(こんな狭い路地裏がコースの一部。レース動画にも映っている)
12633316_492353334281336_640708381_o
(洗車場。中央が松井さん)
DSCN0061
DSCN0062
(ピットのハリーさんと松井さんにも照明が当たって劇場のようである)
・LoenhoutはBMXのコースを利用していたのですが、ジャンプできないと勝負にならないところがありました。溝と、それをジャンプで超えるVan Aertの写真(Cyclephotos)溝がコースを斜めによぎっていたりして、それぐらい高速で突入できるコースだったのもあるんですが、トップ10の選手はみなバニーホップで通過していました(←モリタロウもバニーホップする人になったら、皆喜ぶと思うんだけど、と言ったところ爆笑)

[DiegemもLoenhoutも場所柄、観客のガラがよくないと聞いていますが。]

  • ディーヘムのほうがガラが悪かったように思います。飲んでいる人だらけで。

12632962_492353607614642_137634792_o
(投げ捨てられたコップが一面に。ひどい)
12626085_492353330948003_611932072_n
(スタート地点の背後に見える、教会の塔)

12.日本との違い
[レースで自分が勝てそうなレベルの人は居ましたか?]
・いません!(断言)DiegemやLoenhout、ナショナルレース(のエリートクラス)に出場するのはプロ、セミプロ、サポートを受けているハイアマチュアだけです。招待されていない自主参加の選手も、プロに近いレベルの人たちでした。自分が少し話したフランス人の選手は本業の休暇をやりくりして取って、年末年始を利用して走りにきているようでした。
[中間さんもサポートを受けているハイアマチュアではないのですか?]
・(無言)
・自分としてはオランダのナショナルレースをもっと走りたかったです。ナショナルレースも「上を見ている」プロ狙いや、ロードのプロなどが走っています。ナショナルレースはエリートの下のアマチュアクラスというのがあるのですが、それも、エリートレースに出るだめ準備段階の人たちが走るもので、エリートで走れるぐらい速い人もたくさんいて、やはり「上狙い」の人たちばかりです。日本のように素人が自分の趣味で出場するレースとは全く違います。それ以下のレベルのレースについては、よく知りません。
12596638_492352170948119_1493875123_o
(林の中のナショナルレース、Rouselにて)
・ファン(楽しみで走る人)は「レース」においてはみかけませんでした。今回池本さんが自分の帰国後オランダのナショナルレースGP Gronendaalでギリギリ完走しましたが、日本人がナショナルレースに出たとして、完走できるレベルというのは日本のだいたいトップ10クラスの人たちではないかと思います。

※(ナショナルレースについて)http://www.knwu.nl/veldrijden/wedstrijdkalender/201601 ←オランダ車連のHP, ナショナルレースの今年1月のスケジュール。 UCIレースの下のランクに位置する国内シリーズだが、レベルは高く、オランダ、ベルギー以外のUCIレースに匹敵するレベルではないかとの事。なおエントリーフィーは無料だとか。

12631156_492352347614768_970076641_o
(Rouselのレース終了後。渡欧直後の移動疲れと、日本とのスピードの違いにぐったり)
12637098_492352327614770_371763670_o
(左の男性がMike Teunissenのメカニック。右はZZPR(旧ORANGE BABIES:Twan van den Brandの所属チーム)のメカニック。)
・むこうのレースでは、ともかくスピードがないと話にならないことを痛感しました。
・スピードを落とさせる箇所を作らないコースづくりがされていました。それとは逆に、上りシケインなど、コース中にかならず減速させる区間を設ける日本は敷地の狭さや、安全面を考慮しているのではと思います。しかしその結果、日本のレースは本場と別物になってしまったように思います。
・レースに関する情報の告知がないです。知っている人がいないと受付の場所すらわからないし、駐車もどこにしていいのかわからないです。
12490266_484425825074087_577603643_o

[中間選手は今シーズンUCIポイントを獲得(1ポイント)して臨みましたね。]
・遠征時のレースで少しでもよいスタート順を取ろうと、出発前の国内レースでUCIポイントを狙っていた(中間選手は猪苗代でUCI1ポイントを獲得)けれども、UCIポイントをもたない池本選手とDiegem,、Loenhoutではスタート位置は変わりませんでした。また、Rouselのナショナルレースでは池本選手が自分と間違われてUCIポイントをもっているからと最前列に連れて行かれましたが、走り出すとあっという間に実力に応じた位置で走ることになっていました。
DSCN0080
(Loenhoutのスタート前風景。確かにUCIポイントを持っている中間選手と、持っていない池本選手の位置はほとんど変わらない。)
・スタート順が後ろでも日本ほどスタートストレートのコースが狭くないので、抜かしどころはありました。Loenhoutの時、ラース・ボームが全くクロスにでていなかったので自分の近くからスタートしたけれど、スタート直後の密集した中をすいすいと前に出て行きました。あれを見るとスタート順が悪いからという言い訳はできず、結局脚で順位が決まるのだと思いました。
12465530_484425868407416_1421738201_o
(スタートフィニッシュのストレート区間のコース幅が広い)
・開催スケジュールが日本のように詰まっておらず、試走時間が十分にありました。各カテゴリー(トップ、アマチュア、アンダー、ジュニア)の間がそれぞれ30分くらい確保されて、毎回そのときに試走できるようになっていました。最後のトップのレースは15時頃開始。)日本のようにカテゴリーが沢山になったら、詰め込まず二日間のレースにするという選択もあると思います。
12632852_492352164281453_846099850_o
(スタートの時点でかなり陽が傾いているように見える。)
・エリートクラスの下がアマチュアクラスなのですが、かなり速くエリートで走れそうな人でもエリートで走るための準備段階として出場する人が多く、日本のカテ2とは違う位置づけのように見えました。シマノの松井さんが出場しても完走できないレベルでした。自分たちは国際ライセンスでエリート登録だったので、エリートクラスに出場しました。
12499514_932455113498205_704915531_o
(Rouselのスタートリスト)
・なんでも平等ということではなく、ピットも駐車場所も実力次第で優先されます。ピットもサポートしている選手の順位次第で優先順位がはっきりしています。日本はもっと皆が平等な感じが強いですが、むこうではその点厳然たるものがあります。
12438953_940940412653858_3945746591785950938_n
(ピットでのヒエラルキーは選手の順位によって決まる。後方に控えざるを得なかったハリーさん)

  • 駐車場所については今回の遠征では竹之内選手のサポートのランジットさんが確保した場所(ラボバンクのバスのとなり)を使わせてくれて、大変助かりました。そうでなければとても不便なところに車を止めざるを得なかったと思います。

DSCN0030
・オランダのナショナルレースについては、昔のシクロクロスミーティングに雰囲気が似ているなと思いました。淡々とアナウンスが流れて、ただ、レースするだけ、さっと集まって自分のレースが終わったらさっと帰る。自分はそういう雰囲気が好きですね。こういうことを言うと差支えるかもしれないのですが、あまり賑やかすぎるよりも静かに集中するというレースが好きです。お台場でカウベルの音や人々の歓声でベン・ベルデンが後ろから声をかけているのも気づかなかったため、頭を殴られた、という事件も自分にはありましたし(苦笑)。

・ナショナルレースでもお互いに言葉をかわさないわけではないのですが、レースが社交の場という感はなかったです。ツールトクトでも長々と無駄話をしないで、自分のペースで走って、話す機会があればちょっと話して、また走る。自分が走り終わったらとっとと帰る。それ以外の要素はない。そのような雰囲気はかつての信州クロスを思い出しました。あのような雰囲気が、自分は好きです。
下の4つは、Rouselのナショナルレースの動画。松井さん撮影。音声あり




(ピット周辺から撮った動画だが、たしかに、淡々とレースだけしている印象。)
DSC_4462
霧ヶ峰のスタート時。2012年。)

ツールトクトは森の中を走り抜けるサイクリングイベントですが、走っていてとても気持ちよく、それだけでもオランダに走りに行ってもよいぐらいです。
10534971_913955462045529_320594296_n
12394059_1544160579242785_1698795426_n
12357438_1060421837342192_1746084968_n

  • ツールトクトのほうには趣味で走る人たちが出ていました。それでも皆フォームは正しく、スピードは速かったです。路面の砂地が滑りやすく、風はきつく天気は悪く、そいういった中で正しいフォームで走らざるをえなくなってゆくのでは、と池本さんは言っていました。
  • 日本のファンライダーはツールトクトを走るだけでも十分満喫できるように思います。


(楽しそうに走るモリタロウ選手)
12632916_932454996831550_586389692_o
12647794_935581213185595_1788373941_n
12626128_935581216518928_2025904736_n
受付。荻島さんはしょっちゅうツールトクトで走っているらしい。確かに荻島さんのブログで毎週末Tourtochtを走っているという記述をよく見かけていた記憶がある。

※(ツールトクトについて補足)http://www.ntfu.nl/kalender/kalender.aspx ←サイクリングイベントのカレンダー。クラブチーム主催らしく、毎週末多数開催されている。当日受付可能。参加費5ユーロぐらい。

10401774_1670340883241509_1941798231_n
(途中の補給地点。年齢が高いように見えるが、こういう場所で止まって食べるのは年長者で、若い人たちは止まらずに走り続けるのだそう。荻島さんも休憩せず走り続けたらしい)

13. 竹之内選手の凄さ
・今回竹之内選手に色々助けてもらったのですが、彼の凄いところはなかなか日本には伝わっていないように感じました。
DSCN0018
(このあたりまでオタクっぽいファンが入り込んでくるのは、竹之内選手目当てなのではないか。)
・継続してベルギーで活動し、協力してくれる人がいて、活動するための自分の場所があって、さらにちゃんと現地のファンがいる。自分たちがDiegemで竹之内選手の確保した場所で(本人は負傷のためDNS)アップしていると、いろんな人から竹之内はどうしたと聞かれました。すこし前現地のTV番組に取り上げられたせいもあるかもしれないです。彼の継続した努力と、それによって築いてきたベルギーでの基盤については、日本チームもお世話になっているようです。
12650744_950052148409351_666277417_n
・スポットで遠征する者にはけしてできることではないと思います。日本の他の選手はみな本業や別の要素があってそこまでしていない、できないのですが、そこが竹之内選手と他の選手との本気度の違いではないかと思います。

14. 継続
シクロクロスは代車やスペアホイールなど装備がたくさん必要で、洗車もしなくてはならないので、身軽に出かけてレースに出るということができません。海外でレースできる環境を維持することはちょっと行っただけの人間には難しいです。
12596108_950811161666783_1150912987_n
(一人当たりの渡航荷物はこの量。ある程度とおりがかりの人が手助けしてくれるらしいが、着替え関係をコンパクトにまとめたとしても相当な量の荷物。)
・継続して走る人間がいなくなるとその基盤は続かなくなってしまいます。池本選手は以前のつながりでオランダにそういう環境をまだ用意できますし、竹之内選手はずっとベルギーにいることでそれを維持していますが、今後日本人であとに続く人たちがいるのかどうか。
12633310_932455476831502_185350384_o
(辻浦選手が毎年ヒュープさん宅に置いて行ったジャージがいまだにきれいに飾ってある。)
12632981_932455466831503_1597627427_o
(黄色いジャージが鈴木祐一さん、その下三人並んでいるのが杉山さん、佐宗さん、鈴木雷太さん、黄色い鈴木さんの下の青いジャージが鈴木雷太さん)
12637244_932455490164834_1681357165_o
(何年の代表チームだろうか。左から私服男性がハリーさん、鈴木祐一さん、山下さん、杉山さん、鈴木雷太さん、小坂正則さん、大原さん、藤森さん)

15. 本気で思えば
・手配が自分でするのは大変だからとか、上げ膳据え膳でないとどうしていいかわからない、、等ということで行きたくても行かないでいる人が多いのかもしれないけれども、一度ぜひシクロクロスの本場で走ってみるとよいのではないかと思います。走りたいと誰かツテを探して本気で頼み込めば走れる場所はどこかにあるはずではないかと思います。
・自分はこのあと二人目の子供が生まれる予定で、しばらくは難しいですが、状況が許すようになれば、必ず再び本場で走りたいと考えています。
12597044_932455453498171_1398513556_o (1)
シケインの後方、辻浦選手)
12591929_932455193498197_1442708833_o
MTBのレースに出ていた池本選手:地元紙に日本からの訪問者、と掲載された)

モリタロウ編、以上】

サルとトドのオランダ・ベルギー珍道中 (その1) モリタロウは見た!本場のレース(前編)

2015年12月24日から2016年1月4日まで、オランダ・ベルギーのレースを走って来たフリッツェンチームの中間森太郎選手と池本真也選手の二名。
10代の頃から代表チーム時代も含め10年近く現地に通っていた池本選手(37歳)と、海外レース経験が35歳にして初めての中間選手の組み合わせ、そして、ナショナルチームという形ではなく個人参戦、日本からの同行スタッフなし、という近年見られなかった形のヨーロッパへの個人挑戦ということで、帰国したお二人に私がインタビューしてまいりました。海外経験も体型も対照的で「サルとトド」とも呼ぶ人も居る(苦笑)組み合わせの中間さん、池本さん、ご協力有難うございました。
(本文中の写真は池本さん(一部荻島美香さん撮影)、中間さん、松井さんご提供、過去の国内レース写真は私が撮影したもの。)
12620530_932455083498208_1557451354_o12620903_932455173498199_1704496767_o12630748_932454966831553_1126104939_o12630916_932454983498218_679154538_o
【一人目:モリタロウ(前半)】
1.笑顔の裏。
[FacebookInstagramの二人の投稿を見ると、遠征は楽しかったようですね。]
・チームのスポーツディレクター(足立氏)から積極的にSNSに写真をアップするようにという指示があったのですが、写真を撮る余裕があるのは楽しいときだけなので、結局楽しい写真をたくさんアップすることになりました。レース前後の写真は自分たちでは撮れませんし。楽しいだけではなかったのですが、遠征したことは本当によかった、忘れられない体験になったと思っています。
DSCN0087
2.到着の 出鼻をくじく レンタカー
・オランダに到着したのはクリスマスイブの夜でした。クリスマスで営業時間の変更があったのか、予約しておいたはずのレンタカー会社の受付がクローズしていました。池本さんが空港のインフォメーションセンターの人に聞いたほかの場所にたまたま来ていたその会社の送迎車が出ようとするところを走りながら大声でようやく呼び止め、スペースがないので二人分は乗せられないというのを無理に座席に自転車を抱えて乗り、自転車4台含む大荷物ごとなんとか移動、車を借りたところ、小さすぎて二人分の荷物が入らず、さらに池本さんが交渉し大きい車に変えてもらったのですが、それが、ダチアというふわふわするルーマニアの自動車でした。
DSCN0066 12632861_492352337614769_2118654882_o
・その車が今回のハイライトともいえるDiegemのレースの前日にパンクしてしまいました。スペアホイールなしでDiegemに行くのは危険ということで結局、サポートの70歳代のハリーさんが片道350キロもの距離を運転して送迎してくれることになりました。
12583673_932455043498212_320111372_n
・空港でのレンタカー事件は旅の出だしだったのもあり、自分は交渉していたわけではないのに気持ちがへこんでしまいそうでした。自分ひとりだったら、予約した送迎車が来ないというだけで、よく分からずそのまま空港で夜明かししていたと思います。
・帰国は自分は池本選手よりも一足先だったので、1人で空港脇のホテルに泊まって帰るはずでしたが不安だったところ、シマノの松井さんが出発前日自宅に泊めてくれて、空港まで車で送ってくれました。今回の遠征はサポートの方々の協力に恵まれ、無事に遠征を終えられた自分は本当に幸運だったと思います。
・ちなみに、海外経験は結婚式で行ったハワイのみです。
12637174_492352730948063_1239577197_o

3.サポート体制
・今回の遠征のピットはハリーさんが全部入ってくれました。DiegemとLoenhoutには荻島美香さん、Diegemにはシマノ駐在員の松井さんが入ってくれました。また宿泊先はオランダで以前日本チームが宿にしていた元オランダナショナルチームマッサージャーのヒュープさんの家でした。
・そのほか、Diegemでは竹之内選手と、竹之内選手のスタッフであるランジットさんに駐車スペースを使わせてもらうなどの便宜を図ってもらいました。
DSCN0019
(今回の遠征ですべてのレースのサポートをしてくれたハリーさん。)
12625647_950052158409350_917848612_n
(元全日本チャンピオン、マスターズ世界選チャンピオンの荻島美香さん)
DSCN0032
(赤いジャケットが松井さん。このスペースをDiegemの時に仕えたのは竹之内選手とランジットさんのお陰。)
DSCN0025
(確かに、Rabobankのバスの隣。)

4.カテ1選手までの道
[競技を始めたころのことや、現在にいたるまでについて話をお願いします。]
・運動神経は悪くなかったけれども特別なことはしていませんでした。中学の時に陸上競技部で中距離選手でしたが、何かの部活に入らなければいけないから所属しただけで特別練習に打ち込んだ記憶はありません。試合の緊張感が嫌で練習はでてもいいけれど大会には出たくないと5回くらい先生に直訴した記憶があります。
・大学生の時にオートバイを始めたかったのですが資金が足りないのと親に止められたのでマウンテンバイクを買ったのが競技に入るきっかけです。2、3年でJapanシリーズのエリートになり、その年にシクロクロスも始めました。
シクロクロスを始めたきっかけは、小坂正則選手を見たことです。大きいギアで踏みつけてゆくスタイルが恰好よくて一緒に走れたらいいなあと思いました。当時トップは辻浦選手、小平選手が対抗馬でした。全日本には間に合わなかったものの最初のシーズン中にカテ1に上がりました。全日本の直前のカテ2のレースで昇格できず残念だったのですが暫くレースを休んでいた鈴木雷太さんが出てきてしまったんです。自分以外全員ラップされてしまいました。その次のレースで上がれたのですが。
・当時出入りしていたショップ(三上和志さんのショップ3UP)と周囲の人たちに励まされたり、サポート7及び援助をしてもらいながら転戦を続けステップアップできて、継続して頑張れたように思います。その後大学生の間に「チーム埼玉県人」というショップベースではないチームを山辺氏、日向氏らと結成しました。
DSC_0852-t
(私が中間選手を初めて見た頃の写真、GPミストラル2010-11シーズン)
DSC_0647-t
(2011年 GPミストラル第5戦にて)
DSC_0967
(2012年 GPミストラル第5戦にて)
・そのころ出ていたのは、当時シクロクロスミーティングと呼ばれていた信州クロスです。当時の藤森クロスの一貫した姿勢は、世界を目指すというものだったので、いつかはヨーロッパの本場のレースを走りたいという思いは当時皆が持っていたものだったと思いますし、自分もその後もずっと持っていました。今回の遠征についてこのチャンスをぜひ生かしたいという気持ちになったのは信州クロス時代のそういう下地があったからだと思います。
DSC_4576
(2012年 信州シクロクロス 霧ヶ峰にて)
[近年はシクロクロスに絞っているようですが。]
・子供との時間もとりたかったし、自転車にかけているものを減らす選択をする時点でクロスを選びました。MTBは機材の更新が激しいので。

5.モリタロウはどんな選手?
[どんなコースが得意ですか?好きなレースは。]
・ギリギリ乗れるか乗れないかぐらいの少しテクニカルで重いコンディションのコースが好きですね。全員は乗っていけないような。ハイスピードでカラカラなコンディションのところは好きではないです。マキノとか。14-15シーズンの全日本選手権の会場になった菅生は自分向きだったと思います。高低差が大きいセクションもあったのでコースの全部が好きということではありませんでしたが。コンディションが悪いのが好きというのは、前もって選べないところが難しいです。
DSC_0745
DSC_0753
・今回のオランダ・ベルギー遠征は例年になく暖かくてドライだったんですが、今シーズンは膝の故障で自分のコンディションは良くなかったので、たとえ今回路面が重いコンディションだったとしても、もっと差がついていたのではないかと思います。
[その菅生の全日本選手権の前、リラックスしたムードで氷点下直前の気温のなか、アイスコーヒー飲んで談笑してましたよね。]
DSC_0114
・レースの前は普段通り過ごしたほうがよく、あまり特別なことをしないほうが結局いいということに最近気づきました。以前は緊張がすごくて、ピリピリしていたんですけれども。近年メンタルトレーニング関連の書籍などを読んで克服できたように思っています。たくさんレースに出て場数を踏んだのもあるかもしれません。
DSC_0392
[体型は以前と変わったのですか?]
・あまり変わってないです。

6.働くパパの海外遠征
[小さいお子さんがいるサラリーマンが1週間以上家を空けたわけですが、大変じゃなかったですか。]
・妻は大変だったと思います。共働きで、息子は保育園児です。普段は保育園の送迎は行きは自分が送っているのですが、不在中妻は行きも帰りもどちらもしなければなりませんでした。ただし息子は3日間スキー合宿で不在でした。
・今のチームに替わって海外遠征の話が出てもなかなか妻に言い出せませんでした。一方、金額や日数が具体的にどうなるのか分からないと妻に説明できないと思ったので行くという前提で池本さんやチームメイトでベルギー駐在員経験がある根本さん等から色々な情報を集めました(←綱渡り)。
DSC_7854
(インタビュー時のサラリーマン姿の中間選手:Mile Post Pro Bike Shop http://www.milepost.jp/にて。)
・そして、10月頃ようやく妻に話してみると意外と、「いいよ」と言ってもらえました。妻はレースに興味があるのではないのですが、今回も遠征に行ってきて、すごく楽しそうな自分を見て、また行けば?と言ってくれています。妻はさっぱりした性格なんです。レースはお台場や野辺山、先日のろまんちっく村などは子供と見に来てくれました(←嬉しそうな表情)、
[普段の練習や遠征で家をあけることがかなり多いことについてはどうなんですか?]
・けっこう色々いわれてますよ。むずかしいです。。(←言葉少な)。
[息子さんはお父さんがレースで走っているのを見てかっこいい、って言ってくれますか。]
・はい、でも遅いけどね、と言われます(苦笑)
・職場では、年末にまとまった休みを取るのは前代未聞で、やや波紋があったのですが、妻が二人目を妊娠していてこの後旅行になかなかいけなくなるので、と説明したところ、うまいこと誤解してくれたみたいで(笑)あとで結局わかっいてたような感じもしますが。
DSC_7874 DSC_7877

7.家族に遠慮、職場は前代未聞、チームメートは苦言。それでも行きたい。
・今シーズンの年末年始、遠征を希望するか?池本選手は既に遠征することは決めているが、彼を案内役としてあてにすることはできない前提だが。という話がスポーツディレクターの足立さんから出たとき、藤森氏のシクロクロスミーティングでクロスを始めた自分は海外を目指したい気持ちはずっとありましたので、このチャンスをぜひ活かしたいと思いました。アメリカやその他の国というよりもシクロクロスの本場で走りたいと思っていました。
・既にオランダのナショナルレースへの遠征を決めていた池本さんに、一緒に行かせて下さい、とお願いしたのですが、厳しい話がありました。「受け身でいれば連れて行ってもらえるような甘いものでなく、全て自分で手配ができないといけない、また、選手としての取組姿勢も現地では厳しく周囲の人々から見られることになるので観光したりビール飲むような要素は皆無である」等と言われました。池本さんからは「いいよ、一緒に行こうぜ!」というような言葉は結局言われずじまい(苦笑)でしたが、それでも走りたいという気持ちがあれば行くべき、という足立さんからの言葉もあったので、行くことに決めました。
DSC_7864-1
(Mile Post Cafe http://www.milepost.jp/category/1994731.htmlは隅田川の夜景が眺められ、料理もおいしく、よいところでした。)
・ところが、いざ行ってみると案内人役はしないと言っていた池本さんはさまざまな面で気を使ってくれました。オランダ人の同世代の友人たちにサポートしてもらうという選択肢もあったところを、自分のために日本語が通じやすい方々(荻島美香さんやハリーさん)に声をかけてくれました。叱られた場面も何度もありましたが。また、自分は語学ができないですが、自分からも話せ、言ってみろ、と話す経験を積むように何度も仕向けてくれました。
[シーズン中、けがで休んだ時期もあったりして、私も本当に行けるのか心配だったのですが、決行しましたね。]
・猪苗代のレースは好調に走れていたのですが、その後もともと痛めていた膝が悪化して歩行困難になり、1か月自転車に乗れませんでした。その後も調子は上がらない状態のままで遠征になってしまったのが残念です。
DSC_5395

8. パワーマックスによるトレーニング
[今回の遠征でスピードが必要というのを感じて、今後のトレーニングについて何か考えていることはありますか。]
・これまでもバイクぺーサーをしてくれる人はいますし、去年からお願いしているのですが、チーム埼玉県人に在籍している芝田さんという競輪選手が自分のパワーマックスというエアロバイクのようなトレーニング器具を貸してくれ、メニューも組んで指導してもらっています。負荷が変更できて、心拍に合わせて色々設定やメニュ−を変更します。ただ理論というより、やってもらっているのは3−4時間かけての体育会系指導ですね、掛け声をかけられながら。自分でお願いしてやらせてもらっているので、帰りたいと思うほど辛くてもやめられないです。
・芝田さんにはペダリングについても教えてもらっています。こぐときに骨盤を動かすという練習をしています。上半身を動かさずに、骨盤を高速でグルグル旋回させると競輪選手のようにもがくことができます。骨盤が動くようになれば、ペダリングがもっと「ぬめっと」なる(コンディションが悪い時、疲れているときでも骨盤を使ってこぐことができる)、上半身と骨盤の連動がうまくゆけばもっと力強く速くなれるようです。

9. 続ける原動力
[体育会系でなかったモリタロウ選手が、帰りたいと思いながらも競輪選手に稽古をつけてもらうような辛い思いをしてまで続けているのは何なんでしょう。楽しい点というのは。]
・楽しくはないです(笑)満足したいからでしょうか。満足というのは、よい走りができるかどうかという点についてです。満足できる走りに結果がついてくると。もっと満足したいと思うことが原動力になって走っている感じ。
DSC_4963
・たぶん世界チャンプになれるぐらい速くならないと満足しないから、ずっと満足できることはないと思いますが。
・人と競うことが目的ではない。相手がどう、というより、一秒でも早くゴールしたいという本能がベースにあって走っているので、かけひきも得意ではなく、うまい人にいいように使われてしまうんですよね。
・最初はマウンテンバイクで遊んでいるだけだったんですけどね。一年には1度ぐらいは今日はよかったなあ、と思うことがあるんです。
(次回、遠征話の核心に迫る、また、主婦にも有益なオランダ流すっきり片付け事情)

シクロクロス写真家Balint Hamvasの今シーズン写真集、クラウドファンディングで先行予約受付中

目にしたことがある人も多いと思うけれど、Cyclephotos.co.ukというサイトでシクロクロスを中心に発表している写真家、英国ベースのハンガリー人、Balint Hamvas氏の現シーズン(15-16)写真集の先行予約、というか資金募集中である。

===========
2015/2016 Cyclocross Album by Balint Hamvas — Kickstarter
Kickstarterというサイトの新商品企画にインターネット経由で先行投資的な予約を受け付け、商品化資金とするいわゆる「クラウドファンデイング」のプロジェクトとなっている。募集期間はのこり9日、現在のところ、目標額である17,500ポンド(約297万円)の76%超の出資申し込みが集まっている模様、集まらないと、この写真集は出版されない、とのこと。

このプロジェクトの宣伝動画。むっくりした体格、いつも黄色のレインパンツでレースを撮っているBalintさんによる説明のあと、Van Aert, Van der Poel, Katie Compton, Helen Wymanなどの有名選手も言葉を寄せている。

  • このプロジェクトに賛同し、出資の約束をする"Pledge"を申し込むには、通常の通販のようにクレジットカード情報を入力する。プロジェクトが成立しなければ、引き落としはないというわけ。プロジェクトが成立すれば、送付先情報などを入力することになるらしい。

============

  • Pledgeの金額別にreward(報酬)が呈示されている。そのパターンはいくつかある。

また、金額のすべてに"or more"とあるので上乗せして送金できるのではないか。

(以下、送料は別、1ポンド約169円))

    • 5ポンド 感謝とA5の写真プリント
    • 30ポンド 写真集1冊
    • 35ポンド 写真集1冊と、協賛した人たちへのThankyouのページに名前掲載
    • 50ポンド 10×8インチのサインと通し番号つき限定写真プリント、写真集一冊、名前掲載
    • 70ポンド 写真集2冊、名前掲載
    • 125ポンド 写真集1冊、名前掲載、大きな(23インチ×16インチ)サインと通し番号つき写真プリント
    • 150ポンド 写真集5冊、名前掲載3名分(送料がお得)
    • 500ポンド 写真集1冊、名前掲載、16-17シーズンのベルギーのどこかのレースの一つでフリッツとチョコレートつきで彼の仕事に連れ回ってくれる権利(!)

==============

  • このような商品購入型のクラウドファンディングを「目新しい/特色のある商品に先行投資して特典つきでお得に入手」する手段として考えるのもありだが、そもそも「クラウド(大衆)」が「ファンディング(出資)」するというためのものであり、リターンを期待というより、対象者のしていることに賛同し応援をする、という気持ちで投資すべきものなのだそう。そして、目標額に達せずプロジェクトが実行されないこともありうると念頭に置いておくべき(thanks to: @akirasekさん)。

(参考)クラウドファンディングとは|基本的な知識とメリットについての解説

  • Balintさんはこのプロジェクトを「自分はもうすでに何度も写真集を出しているのでプロセスは知っていて、資金が集まりさえすれば、自分が雷に打たれたり、クジラに飲み込まれたりしない限りは必ず出資者のもとにrewardは届けられる」、と言っている。さらに、Sven Nys現役最後の年として、見逃せないシーズンである、とも。
  • とりあえずわたしも申し込んでおいた。

===========

  • 先日、昨シーズンの写真集(現在販売されている最新版)を注文したが、以前同様見応えがあった。写真は、彼がかねてから説明しているように、レースの局面を切り出す報道むけの写真ではなく、レース会場、レース全体の空気や周辺のさまざまなものをとらえる写真。なので、商業ベースとしては簡単ではないだろうと思う。

 
Sanne Cantの闘志

この角度からの落車写真。

中島みゆきの歌が聞こえてくるような。。

サポーターたちのポートレイト。

(ところでこのSpecial Thanksページには織田カメラマンの名前があった。)

  • 写真のみの本ではない。主要シリーズ戦のリザルトや、彼が10年の間に培ってきた人脈を駆使した執筆陣による読み応えのあるコラムも掲載されていて、なかなか興味深い一冊になっていた。例えばベルギー在住のVelonewsのライターで米国人物理学博士Dan SeatonやCXHAIRSの Bill Schiekenなど。
  • 彼の写真集と出会った最初は2010年ごろid:fucchoさんが英国のEvans Cyclesの店頭で買ってきてくれたソフトカバーのものをいただいたもの。一般書店には売ってないと言っていた。http://d.hatena.ne.jp/tannenbaum/20100729/p2 ←そのときの当ブログ記事。
  • その後、2冊注文しても1冊しか届かず、クレームしても対応が遅れたトラブルもあった。自分ひとりで発送手配をしていると思われる(そして、あまり要領はよくない)。
  • しかし、自分のミスを認めてからは誠実な対応をしてくれた。そのときは1冊余分に送ってくれたばかりか、お詫びに何をしたらいい?と聞かれ「友達がLoenhoutを走る」と言ったところ、id:IKEMOTOさんが走っている写真をレース後ひっくり返して見つけてくれ、「チェックしたけれど、小さく写ったこれぐらいしか見つけられなかった。商業ベースでなければ自由に使っていい」と送ってきてくれた。

cyclephotos-looking-back-shinya-ikemoto-17
(by courtesy of Balint Hamvas@Cyclephotos.co.uk)この写真はしばらくIKEMOTOさんの当時のHPのトップを飾ることとなった。

  • 今回14-15シーズンの注文をサイトで入力するときに、「今回は1冊で注文します(笑顔マーク)」とコメントを付記したら以前の発送トラブルを覚えていて、メッセージを返してきてくれた。誤配送が心配なのか、発送前にSaitama-ken と Saitama-shiのどちらが大きい単位なのか?という質問も本人から来た。気のよさそうな人である。
  • ということで、申し込みはあと9日です。

Friedrichshafenには何をしに(ブログお休みしておりました)

今年初めてのエントリーになります。前回の足立さんの記事を書き上げた直後に、同居していた実父が先に行った母のもとに旅立ちました。仕事が忙しいピークで気づくと日々が過ぎ、まだおそらく本当には実感がわかないままです。

  • レース現場での観戦とブログは色々と落ち着くまでお休みしていましたが、相変わらず自転車とシクロクロス(とその他の趣味)への興味は尽きておらず、そろそろレース観戦もブログも復活しようと思いますので、よろしくお願いいたします。

=============

  • 先日、父が勤務していた会社のOB会会長さんが岡山からわざわざお線香をあげに来てくださいました。新入社員のときの上司が父だったそうで、当時ヒット商品となった農業機械の開発をしていたときの父の職人肌で熱心な仕事の様子をお聞きして、子供の私から見ていたのとは全く異なった父の姿について思ったりしてみました。古い資料や写真を見返していると、私の知らなかった色々なことを発見します。

DSC_7335

  • 社長さんのカバン持ちでヨーロッパ視察旅行に出かけた写真が出てきました。私は2−3歳で、留守を守っていた母が盲腸で動けなくなり、伯母がかけつけたときには一人でたくましく冷蔵庫の残飯を漁っていたという逸話は親戚の集まりで何度となく聞かされたことで、帰国後父から写真や8ミリカメラで撮った動画をふすまや裏の白いカレンダーに映して何度も上映会をしていたのは覚えているのですが、今あらためてこういう写真を見ると、まったく異なった視点で、父と再会しているような気がしました。若い頃はどんな希望を持っていたんだろう?

DSC_7351-t
DSC_7339
DSC_7347
Friedlichshafen Stadtという駅らしい看板が映っていた。フリードリヒスファーヘン市。

フリードリヒスファーフェンはドイツ、スイス、オーストリアの国境に接したボーデン湖に面した比較的歴史の浅い町で、かつてツェッペリン飛行船が作られていた街らしい、父は何をしに行ったのか。1960年代には飛行船はもう廃れていた。

ZFフリードリヒスハーフェンという会社があって、自動車部品や歯車で有名らしい。父は農耕作業を機械化する流れの真っ只中にいたようだが、おそらくほかにも自動車メーカーの工場の写真があることから、自動車の技術を農業機械に活用するという目的があったのではないか。そういえば結婚前に米国の自動車メーカーへの転職を誘われたことがあるらしいが、祖父がもう目が離せなくなっていたために、話を断った、と聞いている(最近日本からの撤退を決めた会社)。

  • などと考えてみても、もう父には聞けない。今も、あとでお父さんに聞いてみよう、と思ったりしてはっと気づくことがある。まだ、ちょっとしたことでも父がそばにいて、すぐ聞けるような気がしてしまうのだけど、もう直接聞けることはないのである。

「絶対的なスピード。」アダチモフ疾走インタビュー

当ブログでは以前、実はSuperprestigeを完走していたあの人、という記事を書かせていただいたことがあるが、その後も「恐るべき体力」「最近レースで見かけない」「自転車店はどこへ」「木こり」「チクテベーカリーのご亭主」「PTAと町内会で活躍」という噂の足立さんは神出鬼没。有名なチクテベーカリーにライドで出かけるサイクリストたちの間でも足立さんはどんな人か知らない、という人も多い。そんな彼(アダチモフ)がスポーツディレクターをつとめるチームのジャージを一新、エリート選手を複数獲得したというのでインタビューをさせていただきました。長時間疾走トークをどうもありがとうございました。
DSC_7237
(話が切り替わるときのコーナーからの立ち上がり速度に時折ちぎれながら、専門的な知識がない私なりにまとめてみました。)

1. フリッツェンのチームについて
https://www.facebook.com/Frieten-UGWorks-Bio-Racer-Cycling-Team-192156284197196/timeline ←チームのFBページ。
1) チーム名について

  • それまでのU.G.Works-Bioracer Cycling team(以下、「UGチーム」)を短くFrieten(フリッツェン)にしようと考えました。Frietenは、池本選手が宇都宮ブリッツェンをもじって「横浜フリッツェン」と名乗って遊びで写真を撮ってツイートしたりしていたのが由来です。*1

2)新加入選手二名について

  • チームのメインスポンサーは(株)アンダーグラウンドワークスで、ワンピースのジャージを新たに支給してもらえることになり、デザインを考えていたところ、中間選手は近年佐宗監督の家に泊まったりチームのメンバーとも交流が増えていて、ちょうど、チームの新しいワンピースジャージを計画中に「今のジャージはワンピースではない、ワンピースが着たい」という話をして来たので、うちのを着る?と言ったんです。
  • 池本選手は実質今までもピットや移動で同行したりサポートしていて、しかし彼はSuperprestige完走者しかチームメイトとして認めない、と豪語していたのもありUGチームは、じゃあ、サテライトだ!的な位置づけで絡んでいました。今回ワンピースジャージ計画中に「横浜フリッツェン」の名を使っちゃうよと言った所から、同じジャージを着ることに*2いわば、ジャージの新調に伴った話の流れの中で2名が合流した感じです。

DSC_5076
パワーライダー、中間森太郎選手。
DSC_6619
悪路で技術が生きる池本選手。
3)ジャージのデザインは、今流行中の「カルチャー系」ジャージと、やや雰囲気が違いますが。

  • ヨーロッパのチームジャージはスポンサーのロゴとスポンサーカラーの組み合わせ。その路線です。供給スポンサーと、チームメンバーの自営する会社や自分のロゴも入れてあります。

4)ジャージのロゴの中に、デリリウムのピンクの象がありますが、使用許諾を受けるのは大変だったのでは?

  • 当初、モルトガットDUVELにラブコールを送りましたが、断られた為、私がデリリウムの輸入者と知人だったので頼み込んで許可と一緒にロゴデータを頂く事に成功しました。

5)エースは誰ですか?

  • そのとき一番強い者がエースです。来週は私かもしれません。

6)チームで目指しているのはどんなことでしょうか(メールで聞いた質問)。

(足立さん提供の写真。)

私の求めている物はこういう、雰囲気的ななにかなのです。 チームで何をというよりは。 単純にレースを見に来ているシーンですが、20年前はこんな事をしている人達はまずいなかった(今でこそ宇都宮等で多く見られますが)向こうでは、こういうスタイルが当たり前で。 仲間が集まれば商店街に募金を募りウェアも作るのが当たり前で。
そして、レース会場では意外にレースそっちのけでおしゃべりに興ずる。例えば、レースを見に来る人たち全部が大して自転車とは縁のない人だったりするけど、観戦に来ましたというような、ヨーロッパの時間というか、文化に入り込むアイテムが、私の場合は自転車だったのです。
そんなスタイルにも憧れて実践していたら、(恐らく)ちょっと異質なプロトンができていました。

 1999年 Verona 世界選手権にて。
 
(足立さん提供の写真:↑パッと見、今の足立さんたちのチームが王滝や野辺山でとった写真かと思いました。)
(・・・文化的な。つまり、いまはやりのカルチャー系チームなのかな?)
7)エリート選手が本場ベルギー遠征をするという話ですが。

  • 今年の年末、池本、中間選手の二名がSuperprestigeのDiegemとBpost Bank Series(旧GVA Trophee)のLoenhoutを始め、オランダのローカルレースに数戦参戦予定です。
  • 中国、アメリカと遠征する選手は最近もいますが、本場はやはりベルギーオランダでしょう。というのを打ち出します。

ベルギー。オランダかぶれを体現するための文化系チームなのか。。。?)
竹之内選手が9月に今シーズンのレース予定を発表したときの足立さんのFBポスト。https://www.facebook.com/harunobu.adachi/posts/863882553681257?pnref=story

うちのクラブと被るレースがありそうだ。結果は出せないのは判っていても、後世に伝える為の挑戦だってある。(もちろん自己満足だってあるさ!)本場の嵐に吹き飛ばされるのも、また一興。何時だって両手を広げて、私たちの挑戦を待ってくれているのは、アメリカや、中国だけでなく、本場ヨーロッパも同じ、ただし、礼節を知っていなければアウトなのが彼の地だ。うち、怖いと評判で、後世の世代が寄ってこないけどw
Posted by 足立 晴信 on 2015年9月25日

DSC_5900
(走ったあとは、冷やさないように首に薄手のタオルを巻くのを本場の選手たちはやっているそうです。)

2.ベルギーで走っていた時期について
1)足立さんはそもそも、ロードレースの修行にベルギーに通っていた、と聞きましたが。

  • 修行というより向こうに行って、お気に入りのカフェをみつけて通う、レースに出られるコンディションのときは、ベルギー車連の"Sprint"を見て当日申し込みできるレースに出る、というもので、足掛け10年12〜13回くらい、走ったり、観戦するために渡航しました。ロードレースとシクロクロスの両方をベルギーで走ったんですが、私が最初に出かけた海外は、ベルギーシクロクロスです。その話がなかったら、知り合いの日本人が実は、現地でプロ選手をやっていたので、南米コロンビアでロード選手を目指していたかもしれないですね。
  • 最初はツーリングがしたかったのですが、ツーリングバイクより付属品が少なく安いロードバイクを購入したのが始まりでした。ロードを買ったからレースにもと、自転車競技同好会のある工業高校に進学しました。
  • 自転車部ではトラック競技中心だったので、先輩から借りたサイズの合わないピスト自転車でトラック競技を中心に走り始めました。そこでは個人追い抜きが得意な中距離選手で、周回を重ねてもラップタイムがあまり落ちず淡々と周回をこなすタイプで県大会では優勝できた位のレベルでした。もともと遠出=サイクリングがしたかったので長距離ばかり走っていました。お金がなくて補給食が買えず、公園の水を飲んではお腹を満たして走ったりなどしてたので、ドクターストップがかったこともあります。
  • 長距離のおかげか心臓は大きく立派なスポーツ心臓になり、肺を圧迫して逆に肺活量が一般平均より少ないほどになりました。心臓の弁も一つ伸びすぎていて不整脈が時折ありますが・・・。
  • 近年、練習をまるっきりしていなくても、ちょっと走って筋肉に刺激と感覚を与えてやれば、結構走れるのは、大きな心臓のおかげだと思っています。
  • 高校を卒業して、自転車店でアルバイトを始めたころから、兎にも角にも、海外のロードレース情報をイタリアの自転車雑誌Bici Sportや、当時出始めたレースのビデオなどで収集して、走り方から食べ物なんかを真似をしていましたね。自分は食べ物でもなんでもルーツに興味を持つ傾向、人と違うことをやりたい傾向がありますね。

DSC_0053 (2)

2)シクロクロスはどのように始めたのですか?

  • 高校を出てアルバイトをしながらロード選手を目指していましたが23歳になり大学進学した同世代も就職する年齢なので、そろそろ私も就職をするべきと考えて、建設関係の会社に就職しました。その前後、神奈川高体連と町田の高田フレンドで同期だった水竹氏に誘われてシクロクロスに参戦し、とんとん拍子に昇格したんです。始めて二年目に当時のシクロクロス全日本選手権が初めて開催され、そこで5位か6位に入りました。藤森氏が、最初から世界を目指すようにという方針でAJOCCを運営していたので、当時の選手たちは皆めざすは世界、というスタンスで走っていた時代でしたね。

DSC_7432
2011-12シーズンのGPミストラル第一戦にて。
3)ベルギーに遠征するようになったきっかけは。

  • 世界選手権の代表メンバーには全日本選手権表彰台の3人しか入れなかったんですが、藤森氏が代表メンバー以外のUCIポイントを持っている選手にもワールドカップ参戦を呼びかけていました。そのような形で声がかかった佐宗氏(全日本4位)が私を誘ってくれ、私も行ってみたいと参加しました。就職一年目で気が引けましたが、代表チームに同行してヨーロッパで走ると会社で説明したところ、逆に励まされて送り出してもらえました。当時日本人選手が多く宿泊先として利用していた、ベルギーB&Bを営む佐々木さん宅に泊まることとなり、その後も佐々木さん宅を拠点として夏もベルギーに通うようになりました。
  • むこうには名物のベテランレースアナウンサーがいて、Superprestigeを完走できた後は、何年たっても、「Superprestigeを完走した事もある、日本では強い選手だ」などとアナウンスしてくれてました。

4)足立さんは国内よりもベルギーのレース向きだった、と聞きました。

  • 日本にいるときも私はヨーロッパのレースの様子をイメージしたところから、脚を止めず長い距離を走る練習したり、ロンドヴァン尾根幹などと、仮想ロンド ヴァン ヴゥランデレン コースを作り上げ、”クラッシックレースごっこ”と称して走っていたので、日本のサーキットコースだったり、ごちゃごちゃしたコースよりも、ヨーロッパの高速を維持する荒れたパワーの必要なコースのほうが向いていました。だから、ディーヘムも夏のケルメスクルスも初参加でいきなり完走することができたのだと思います。


(初めてのケルメスクルス 逃げる3人を追走中、写真中央少し右白いヘルメット:足立さん提供)

  • アドレナリンの出方として、何度か強烈なスプリントがあると、脳内の何かが爆発してノリノリになるので、高速でテンションを保つ必要があるレースに向いていたのかもしれません。逆に、クロスなど日本の細かいコースだと、エンジンが回せずノッキングを起こしてそのまま終了してしまうようなことがありました。
  • その前から海外で走っていた選手や関係者たちは、私が最初からベルギーのレースで走れていたのを皆驚いていました。日本のワークス選手でも海外のレースを初めて走ると、まず高速に順応できずはじめのうちは完走などできないのが普通でした。
  • ロードは、道路をクローズドしているので第一集団に残れなければ、トップ通過後5分もすれば下ろされてしまいすし。クロスでは1周遅れれば、邪魔なので下ろされてしまうのがほとんどでした。
  • 日本のクロスコースは広い場所を確保しづらいという事情もあって、狭い場所にテクニカルな工夫をして作られる物が多かったり、どうしてもマウンテンバイクのクロスカントリー寄りなコースになってしまいがちです。

ヨーロッパは広いスペースの中にレイアウトされていますから。

  • また特に日本食を持参したり枕を持参する必要が私にはありませんでした。ベルギーに行ったら、ベルギー料理だけを食べても全く問題なく、そういう点も大きかったように思います。
  • 最初からベルギーのレースに順応して走れているので、これまでの日本から来た若い選手たちと違う、と思った向こうの関係者に、お前何歳だ?と尋ねられ23歳、と答えると、今まで見た日本人の中で一番走れているけど、もう23かベルギーにくるのが遅かったな、などと言われたこともありました。(日本人は若く見られる傾向があるので。)

なので、仮に選手を目指すなら早めに行って、見切りをつけないといけないのでしょう。
DSC_0276
(2011-12シーズンのGPミストラルにて)

5)何を目標としてベルギー行きを重ねていたのですか。

  • ベルギーにいって一番やりたかったことは、プロのビッグレースと同じルートを自転車で走ることで、あちこちを実際に走ってみました。

その中で、私の出せるスピードとプロのトップ選手のスピードの違いを実感して、ああ、私には無理だったかもしれないというか、なんてハードな世界だったんだ、と改めて思い感動しましたよ。
“俺のやってるスポーツは、なんて素晴らしいんだ!”だなんて

  • 私は、お世話になりませんでしたが、向こうでは競技に詳しい医師が一回10ユーロぐらいで選手にアドバイスしてくれるというのがあり、心拍などのデータからメニューを考えてくれ、食事のアドバイス、足りない選手にはビタミン剤を処方してくれたりします。
  • 課題をクリアできると「サイクリストレベル(プロになれる)」、しかしこれができないとなると「ツーリストレベル(プロになれない)」、というのをきっぱりアドバイスしてきて、向こうの若者はそれを参考に早い段階で道を決めていきます。大器晩成タイプかもしれないからなどと、バイトで食いつないでもうちょっとなんて雇用状況はまずないですからね、あちらは。
  • プロになれるか、ロードの成績が良くても、クロスもそれなりに走れないと、黄色が点灯します。そういう環境で走ることで自分の中で整理がついていったような感じです。

DSC_5891_314
(2014-15シーズンの湘南シクロクロスにて)

6)今シーズンはC1復帰を目論んでいるという話ですが。

  • レースに出なかったのは、出場するからには、それなりの位置で走って勝負をしたいですよね、レースに参加するんですから、勝負しないと。今は自分の出場カテゴリーを下見して目標とする選手を決めてその選手をロックオンします。今回の野辺山カテ2では、先日の幕張で下見でぶっちぎりの高校生の織田聖君についていけて、あのおっさん誰?とか言われたらいいなと。勝つには脚が足りないと思いますが、昇格はできるでしょう。

(※このインタビューをしたときは野辺山のレースの1週間前でしたが、記事を書いている前日の2015年野辺山スーパークロスの1日目C2、足立さんは3位(C1に上がる対象外の高校生2名を除くと1位)でいきなりC1昇格を決めています。正直私も有言実行ぶりにびっくりしました。)
DSC_4012
(久々のレース姿。Kikuzo photoさんのパブリックドメインの写真から。)

3.トレーニングやコースについて
1)以前何人かを集めて、シクロクロスを教えたことがあるようですが、そのときの足立さんの練習メニューが、ほかの一日教室で得たことよりも一番役に立っているという人がいました。日本の現在のシクロクロス選手の人たちについて気づく点はなにかありますか。

  • 数人でできればよいけれど、一人でやる練習はスピードの違いがあるんです。
  • テクニック練習をやるにしても、レース時の高速をイメージしてやらないと本番のコーナーではオーバースピード転ぶか、思いっきり減速してしまうでしょうし、シケインは、踏切位置が全く変わって練習時のイメージと違いすぎてうまく飛べなかったり。例えば、高速でシケインを越える反復練習はどうすればよいのか?その辺を考えて工夫してできるかなどが大事ですよね。

それと夏場にロードレースを走ることが重要です。Nysだってほかの有名選手だって、夏に自分に合ったレベルのロードレースにでて、成績をそこそこ出したりするぐらいにロードも強いです。ピストも効果絶大だと思います。
その前に体の基礎体力がないといけないと思うのですがね。

2)スピードの海外との差については、米国遠征した選手からも、中国遠征した選手からも同じように聞きました。では、日本の選手は、今後スピード力をつけるためにはどうすればよいと思いますか。

  • 回転数やワット数にとらわれている人が多いように思います。私は高回転で回すペダリングではなく、重いギアを踏んで、そのあとのスムースな処理というのを考えています。結果的には重いギヤを速く回す人が速いのですから。
  • ワットなどの参考数値もよいですが、データにとらわれるのではなく、絶対的スピードを身に付けなければならないということです。追い風で時速50キロ、向い風でも時速50キロで走ろうとするとワット数は全然違いますからね。わたしは、ワット計などを上手く使える人を羨ましくも思いますが、多くの人は、上手く使いきれていませんよね恐らく。

ジーパンの腿周りがきつくなってきたなども有用な情報ですよね。簡単なのでそっちを使っています(笑)

  • 日本は軽いギアで高回転を尊重する傾向があります。私はベルギーで時速30キロで走っているときに、ママチャリのむこうの女子高生に抜かされたことがあります。彼らは環境的にも重いギアを踏むように育っているんです。
  • 峠に友達同士で出かけて掛け合い練習、勝った負けたというのをやってる人たちは数回の掛け合いや1回のヒルクライムで満足を得るまで追い込むけど、行き帰りの長時間の道のりをゆっくり走っていたのではせっかく長時間を割いた練習の日に、身になるのはほんの少しの時間ですよね。
  • コンビニでSNSに上げる写真を撮って、地面に座ってゆっくりしている間に心拍は落ちてしまう。

DSC_7236

  • また、有名な強い選手が例えば空気圧を1.5にしていると聞いてそれをまねる人がいますが、その選手の体重やその他色々なほかの要素との兼ね合いで、その選手が築いてきたものであるのにもかかわらず、数字やセッティングを部分的に取り出して真似しても自分には合わないかもしれないことを考えるべきです。試すのは自由ですが。

2)若くて、上のレベルを目指す選手についてははどうですか、また、若手の育成をしてみたいと思いますか。

  • 若い子は自転車だけでなくほかのスポーツをやるなどして、身体を作る取組をしないと、伸びないのかなと思います。
  • いまの若い人には積極性、冒険心など無いのかなという感じを持っています。脚があっても心が負ける人多いです。
  • あえて私のことを調べて、是非にと門戸をたたいてくるような人がいれば、インターネットでは見つからないアドバイスくらいは与えてあげることができると思います。

DSC_2963
3)レースのコースについてですが、ヨーロッパのレースを走ったり、見てきたりした人たちは日本のコースは全く別物と言っていますが。

  • コース的には、もう少しスピード乗せ切ってから落とさせる、再度加速とか。日本の敷地的問題も関与していますが。
  • 場所がなければ楕円形でぐるぐる回るのでもよいと思うんです。以前、古賀さんという人が主催していた狭いところをロードでぐるぐる回る古賀クリテに参加していたことがあります、建設業界週にただ1回の休みを、車で3時間も4時間も掛けて、1時間の賞金付きレースに出るんです。実力に応じてハンディキャップがあるので、脚の差があっても賞金が取れる可能性があるので、皆、楽しく必死に走れてスピード力が鍛えられたと思います。積極的に参加した時は、クロスの成績もよかったですね。

私の想い描く行き着く先とはFast Crossです。 ロードでも、共通事項なんですが、まあ、なんで国内が伸びないかってとこなんですが、海外挑戦と言っても、その前段階ができてないんですよね。

楽しみの部分でのファンライダーは、増えましたが、新規で、心血注いでやったろー!て競技志向の人は、なかなか出てきていない感じですね。 小坂さんや丸山君などがずっとあそこの立ち位置にいるのが、レベルの停滞を物語っているんですからね。
小細工必要なコースばかりでなく、ドカーンと踏みっぱなしで、パックが出来るコースもあってもよいと思うんです、マンネリ化しないようにゲーム感覚を取り入れて。集団で終えるから、光が独走できない的な。そしたら、逃げる光はもっと強くなれる。
それをやるのが、フリッツェン?年末転職出来たら、そういう事もやってみたいです。

文化的にも体育的にもドップリ濃いめの色あいで、泡立つような熱いお話を聞くことができたところで、長いインタビューを終わります。

=============

(追記。今回、記事を書くのに検索していて見つけたリンク)
http://cozzy.biz/?eid=1791 ←雪の東京シクロクロスで出会った「風格のあるお兄さんの的確なアドバイス」、と福島コージさんに感銘を与えたシーン。
http://www.fujitv.co.jp/baby-s/file180.html ←なんと、TVの子育て番組で取り上げられていた。確かによいお父さん。

*1:なお、「横浜フリッツェン」という名前で京都で行われたRapha Gentlemen’s Raceに辻浦選手、澤田(日本代表チーム監督)選手、池本選手、足立選手で参加し、ジェントルマン賞を受賞したこともある

*2:ただし池本選手の今季のジャージ一式はBIORACER JAPANからの直接サポート

日曜日のKoksijdeワールドカップ、警備強化、観客はバッグ類持参しないで

DSC_0739
DSC_0523
3年前の世界選手権Koksijdeのレース会場とベルギー国鉄駅を結ぶシャトルバスの車内の様子(軍のゲートを通過して出入り)と街の様子。

日曜開催予定のKoksijdeワールドカップの安全性について議論があるようだ。

  • 例のテロ組織の潜伏先となったモレンベーク地区のある首都ブリュッセルからは140キロ離れているKoksijdeであるが、空軍基地に隣接(というか、内部にある?)しているのが名高い砂地獄Koksijdeのコース。今回、フランスの内務大臣がテロリストがフランスとベルギー国境近くに潜伏していることを警告した際に、フランスの首相官邸が把握している情報としてKoksijdeの空軍基地敷地内にある難民収容センターについても具体的に言及したらしい。Koksijdeはフランスとの国境からも確かに近い。
  • が、レースは開催予定。
  • Kojsijde市、軍、警察が警備体制を敷くらしいが、コース内の警察関係者の警備を増員するだけでなく、入口で観客全員に金属探知機のチェックがおこなわれるそうで、バッグやバックパックを持つ人はチェックに時間がかかり行列が長くなるのを避けるため、持参しないようにとアナウンスされている(ちなみ時同時期にゲントで開催されるゲント6日間レースは、バッグ類の持ち込みが禁じられたらしい)
  • コクサイデは名物コースでありたくさんの観客を集めてきたが、このように競技の場でテロ対策を行うのは初めて。ただし3年前の世界選で警備体制作りは経験済、とのこと。

==========
Cyclingnewsでは出場予定のアメリカ人の反応を取材。

  • Comptonは通常どおりの"ビジネス”を行うのみであると述べたが、心配はあるし、何か起こったらと思うと恐ろしいし、こういう時にレースをすることはそぐわないかもしれないが、何より、通常どおりの生活をし、恐れないことが必要とされているという考え。
  • ベルギー在住の米国人Vardarosは楽観的で、ブリュッセルから離れたKoksijdeではテロリストたちも人員がそれほど居ないであろうし、難民が入ってくるようになって以来、セキュリティは強化されたし、そもそもレースは軍の敷地内だし、選手たちですらライセンス証をきちんと見せないと敷地内に入れないぐらいである。とコメントしたらしい。

==========
冒頭一番上に貼ったリンクのオランダ語のNieuwsbladの記事ををFacebookに英語で紹介したVardarosのポストに、コメントが色々。

  • かえってパニックになるので、(紹介するのは)やめてください。←これに対しVardarosはオランダ語がわからない人たちも知る権利がある、と返答。
  • レースみたいな人が集まるイベントには出かけないことが推奨されているのでは?
  • いつも通りに暮らせないということで、彼らが勝ったことになる。
  • テロリストたちはたぶんこの競技のことは知らないだろう

関係者たちの努力がみのって、無事に開催されますよう。
DSC_0745
2012年世界選のときベルギー国鉄Koksijde駅前ロータリーにいた警察犬。

==========
http://euro-ijuu.info/euro/?p=2550

イスラム人コミュニティの拡大で、いろいろ偏見や軋轢が生じているのだとか。。

一方コルトレイク在住のヨーコさんの話を聞くと、

12年前に暮らしていた頃とはコルトレイクも随分変わって、学校の職員でシリア難民の人達が何人かいてみんな仲良しだし、ジョーが最初に数ヶ月通学した学校は移民が60%でその殆どがアフリカ、中東、ロシア系からの難民でお友達になってムスリムのママ友の家に遊びに行ったりもしたし。

ムスリムに対しての悪いイメージがほとんどないんだよね…。
逆にシリアに残してる家族が空爆で亡くなった時は、学校のみんな泣いて一緒にがんばろうって励ましてきたし。。。

その人達がこれからますます欧州で生きづらくなると思うと切ない。

というか、私達も色眼鏡で見られるアジア人だから…それを忘れないように気をつけるよ〜。

街や、世代、場面それぞれによって色々なことがあるのだろうけれど。