tannenbaum居眠り日記💤

観戦者の目による、おもに自転車(おもにシクロクロス)関連のすみっこネタブログです。

【長いです】マイヨ・ジョーヌへの挑戦(Hell on Wheels) UPLINKにて再観賞(続きを見る、以降にネタバレあり)


また行っちゃいましたよバカですねえ。せっかく試写会にも当たったし、DVDも持ってるのに。じつは試写会のとき時間が遅くて最後まで見られなかったので、最後まで字幕つきで見たかったのですが来週友人(自転車観戦仲間じゃないけど、いつも私の話を聞いて興味をもってくれた)と行く予定が仕事の関係で怪しくなってきたので。。

    • 宣伝ではOvercomingが強調されてて、確かに、Overcomingの濃密な人間ドラマには心が揺さぶられますが、映画のできばえとしてはHell on Wheelsでしょう。やっぱり見てる私がツァベルびいきだからなんですかね。。とOvercomingばかり絶賛の世間の反応に対して疑問持ってるのは私だけかと思ったらカピバラさんも同じことを(嬉)。。。ってカピバラさんもツァベルびいきじゃないですか(苦笑)。*1

(あ、Overcomingも色々と感想ありますので、別の機会に書きたいとは思っております。)

  • 今夜は子供たちはばーちゃんちだし、仕事の進行が関係者の出張などでぱたっと止まったことを見極めて急遽早退届けを出してダッシュ。10分前に到着した。
  • 急に思いついて行ったので、試写会のときもらった割引券も、自転車グッズ(持っていくと割引になるらしい)も持ってない。ところが水曜日だから1000円なのだとか(ラッキー)。
  • もう8割がた席が埋まっている、というかOvercomingからのお客さんがほとんどなのだろう。。試写会のときは業界人というかお洒落人間、アート系人間が多かったが、今日は自転車好き度が大幅にアップ、飾り気のない男性度高し。
  • 椅子を見回し、どれが疲れないか考えた、結局前二列にならんでるかっちりしたかんじだけどクッションのある椅子にした。(ディレクターズチェアと悩んだけど)前列の男性は、すでにOvercomingで体がやられたらしく「エコノミークラス症候群、、」といいつつストレッチをしていた。お洒落なのはいいですけど居住性とかトイレもなんとか改善すべきではないかとおもいました。
    • 会場で販売されている小ぶりのパンフレット良いデキだとおもいました。500円だし。*2説明もちゃんとしていて映画で見落としたこともわかるし。自転車に詳しくないお友達や彼女を引っ張って言ったひとは是非これも購入して事後フォローされてはどうでしょうか。
    • 自転車好きの人であれば歩くの嫌なんて思わないだろう距離ですが、雑踏を縫うのが嫌なら途中まで東急本店-渋谷間のシャトルバスを使うという手もあるなと思いました。(←その場合ちゃんと映画の前後に東急本店で買い物するように。笑)

(ネタバレあり↓)
最初DVDで見ていたときは、映像がきれいなのと、ツァベルが〜、アルダグが〜、ヴィノが〜(はあと)でひたすら嬉しくて、終わっていたのですが。


この映画全体をあらためて見わたすと、やはりこれは「地獄(Hell)のような競技に魅せられ、苦しむけれど愛してやまない人々(選手たちと、関係者)」を描いたのだなあ。。としみじみ。

  • だから、全盛期を過ぎ、後進のスプリンターに先頭を取られ続けるようになったツァベルと、彼をずっと縁の下で支え続けてきたアルダグ、それから不運な落車であえなく途中リタイアして去っていくクレーデンが主人公なんでしょうね。。
    • なので、あくまで、チーム内での成功者であるヴィノは脇役扱いではと思いました(いや、彼がどんどん名を上げていくところは本当にカッコよかったですし、彼が個人TTのあと黙って水を飲み干すシーンはこの映画で好きなシーン三本の指に入ります)
    • ましてや、ランスや、その年復活を遂げたウルリッヒ、鎖骨を折りながら上位にはいったハミルトン、スプリントの度勝利を重ねるペタッキは「遠景」として一歩引いた取り上げ方でしたよね。

「山を尊敬(←記憶あいまい・・敬愛?)できるときはいいが、山を恐れてしまうと登るのは大変な苦しみ」(ツァベル
「もう日程の半分終わった、個人TTと登りをあと少し頑張ればパリだ。、大丈夫乗り切れる(←言い聞かせている)」(アルダグ)

サイクルジャージの沢山掛かっている教会でTシャツ姿の牧師さんが語るのも、苦しみについて。。それを愛してしまうのだと。。。

何度も映し出される山岳の雄大な景色、何度も挿入される新聞社のおじさん*3の解説によると、当時の人々は20km以上はなれたところに行くことすらあまりなく、代わりに選手達に「冒険」させることで新聞がそれをレポートし、売り上げアップを狙ったために始まったのがツール・ド・フランスだとか。。

  • はあ、主催者さんたちが「ドS」なわけですよねえ。。

でもその苦しみに勝る何かを得られるから走る選手達ですよ。そりゃあ見ちゃいますよ、主催者さんたちの思うツボですよ。

  • 古いフィルムのリタイアシーン、悔しさに顔をゆがめる白黒の選手達のあとに、2003年のカラー画面になって、山岳で遅れてしまい群れから離れた弱い動物のように青息吐息の選手2人を追うカメラ、、まず一人、アレッシオの選手がふらふらになって抱きかかえられなきながらリタイア、FDジューの選手はふてくされたように自転車を置いてスタスタとバスに。そのシーンを遠巻きにしてTVカメラとマイクがハイエナのように(いちおう遠慮しながら)追う。
  • そして第一ステージのゴール直前の大規模な落車にまきこまれて、満身創痍で耐えてきたクレーデンが腰の痛みに耐えかねリタイア、そのとき自転車を立てかけて、そっと景色を見るポーズをとる彼の姿に(2004年、ウルリッヒをアシストしてるようで本当は裏切るんじゃないかという心配があって、そのあと2005年はツァベル排斥派の先鋒にたった彼のことはあまり好きではなかったのですが)は胸が痛みましたよ。

ツァベルについて】

  • ツァベルは、マイヨ・ヴェールもステージ優勝の望みも一度の落車による怪我で失ったけれど、なんとか自分を奮い立たせて走り続ける、、でもあのとき既に「ペタッキが出てきたら勝てないよ」といってたのですね(涙)
  • ツァベルのシーンで一番辛かったのは落車したときではなく、その後の個人TTで自分の力があまりにも出せなくて泣き言を連ねるシーン。
  • 個人TTで気管支炎になって体調不良のアルダグより悪いタイムになってしまったツァベル、それでもゴール後取り囲む無心なファン、子供たち、とりあえずサインするけど振り切ってバスに入ったらマッサーに泣き言をえんえんと並べるツァベルに涙。
  • ツァベルの泣き言を優しく聞いてなだめるマッサーのアウル爺さんの包容力ってあれは何でしょう、、母として見習いたいと思いました(←筋違い。笑)ツァベルが落車した、てきいて、なかなかゴールに入ってこないのを立ち尽くして待ち構える様子は、戦場に息子を送り出した母のようでした。。。
  • アルダグの献身的なアシストを長年受けてきたツァベルは、「いくら言葉にしても、感謝しきれない。恩返しできないくらい尽くしてもらった」と。(涙)でもそういうアシストが居てこそ、モチベーションも保てるんだよなああ、アルダグあと1-2年ツァベルに付き合ってくれたらもっと今のツァベルは違ってたかも。。(涙)
  • 途中泣き言を言ってもそれでも「まだ止めたくない、走りつづけたい」「もう一度・・神様を見方にして。。」というツァベル。本当に走るのが好きなんだなあ。。

きりがないので、一旦切り上げてまた書くかもしれません。。。

============余談シリーズ===================

  • ツァベルはあれだけアップになってもお肌に透明感があってキレイ。。。
  • 英語字幕で訳してないところで日本語字幕になってるところとかあったなあ、、婦人警官が、道に飛び出しそうになった子供の親を叱るシーンで、ずっと「撮影中だから、笑って」という声が横から聞こえてたとは知らなかった(笑)
  • 山で前のほうのグループにいっつもつけてたファッサの選手はバッソですか。それからときどき先頭を走ってたクレディアグリコルの大柄な選手は今より太ってたフォイクトですか。。。
  • ウルリッヒは頭の中がすっきりしてるときに勝つ、とかアウル爺さんいってました?腹のせいにしないのはさすがだ。
  • パンフレットで知りましたが他所のチームの気のいい若者、として出ていた彼はザンピエリだったのですね。
  • あのフランス人のアナウンスのおじさんほんとうにすごい、スプリントのシーン、彼のアナウンス聞いてるとアドレナリンが倍増しますよ。。ペタッキじゃなくて「ぺ・た・きっ」、というのがツボです。

*1:余談ですが私はカピバラ、という表記は正しく把握していましたが、今回あらためて確認した結果わたしがカピバラだと思っていた動物はプレーリードッグのようでした。、、

*2:ヴィノが現在アスタナ・ウルト所属という超・最新情報まで網羅されているのに吃驚

*3:背後に写る机の乱雑ぶりが半端じゃない。けどこういう人に限ってめちゃ頭がよくて、データベースみたいなんだよなー