世界選の魅力
事前に天候を心配していましたが、心配しただけのことはある寒風と一時雨にもかかわらず、それ以上の熱気で無事に二日間観戦し終えることができました。お世話になった皆様ありがとうございました。
============
二日間を通して改めて印象に残っているのは、大舞台に賭けている選手たちの表情だった。ファインダー越しに身も心も入れ込んで走っているさまが伝わってくる。先頭争いの選手もそうだけれど、前も後ろもレースのどの位置の顔も皆必死。
最初はみなが「やってやる」なオーラが走るうち各自の目標や自分との闘いにシフトしてゆくが、この「鬼気迫る」雰囲気はビッグレースになるほど色濃い。世界選はその最たるもの。
そして観客も最高に熱くなっていて、どよめきの重厚さや空気と地面から伝わる歓声には心が震える感覚になる。その場にいるとレース展開のすべては把握しきれないけれど、「場に浸る」この感覚は現地ならではのもの。
さらに、自分の国や応援する選手のために白熱、また、楽しむサポーターたちの様子も世界選では特別の盛り上がり。
・・それから、画面の先にしか存在を感じられていなかったスターを目前で見られること。シクロクロスならではの距離感。(自分がフェンス際に位置取りできた場合)
また、日本人であることを再認識する機会になります。
ということで、病みつきになる人の気持ちがよく分かった今回の世界選手権観戦でした。またすぐに行きたくなりそう。お世話になった皆様、どうもありがとうございました。
Bogense世界選前夜の表情
pre-ride
金曜日の試走段階でも路面凍結したまま、路面は硬くスピードコースなままで明日のレースを迎えるのか、降水確率は50%という記事。
そんな寒くて冷たい夕刻、世界選手権日本代表が宿泊するホテルに、チーム関係者に連絡の上、埼玉のおせんべいを差し入れに行ってきました。成田からデュッセルドルフまで同じ便の飛行機だった写真家の田辺さんがインタビューと集合写真の撮影をしていました。
コースは二年前のワールドカップの時よりもシンプルにフラットになり、事前の天気予報に反して凍結した硬いスピードコースになりそうということでコースの難易度がかなり高かった一昨年・昨年と比べると選手たちもちょっと事前の心持も異なるでしょうか。
メカニック諏訪さんと小島選手のお父さん。
鈴木選手とメカニック兼総務の橋本さん。
日本代表ジャージはシンプルでインパクトのある視認性高いデザインがかなりカッコよかった。
彼らのコメントなど詳しくは田辺さん執筆のインタビュー記事にてどうぞ。
同じ宿に米国代表が宿泊していて、来日したスクイッドバイクスのアンソニー・クラークとサミー・レイノルズにAbove Bike Shopの須崎さんから託された差し入れが渡されて(なんと来日時に彼らが気に入ったという「雪の宿」と缶コーヒーのBossレインボーマウンテンブレンド。)
私も亀田製菓の「つまみ種」小袋を進呈したところ、サミーはこれ知ってる、おいしい。と喜んでくれた。野辺山の男子エリートのゴール前、カメラマンが居並ぶ列の中に立って買ったやきいもをもぐもぐおいしそうに食べていた彼女は日本のおやつが好きなようだ。あんなに細いのにどこに入っていくんだろう。
彼ら二人も代表入りして色々緊張感がある経験中だろうけれども、日本のレースで勝利を収め、日本人と交流した日々のおかげで、日本人がやってきて声援を送るのは彼らのリラックスにつながるのかもしれない、と思った。
あと宿にはベルギー代表も宿泊していたが、2016年北京で少し話したイェンス・アダムスが通ったので声をかけてみた。よく覚えていなかったようだけど、あのころよりビッグスターになったのを見てうれしいと言ったらまだそんなじゃない、と言っていた。あの年は前のシーズン病気でポイントが稼げなかったので、ヨーロッパのレースシーズン前にポイント取り戻しにきてるんだ、と率直なコメントで見事にポイントを稼いで戻り、その後順調に位置を上げていった。
そして日本代表のために働いてくれているランジットさん。いつもありがとうございます。
では皆様にとって良いレースになりますように。
雪かみぞれか、「単に」泥か (海風と寒さはもれなく)
I will remember Bogense for many things, but the wind and the cold will be on the top of the list.
Bogenseについて今後僕はいろんなことを思い出すだろうけれども、風と寒さがそのリストのトップに来る。
・・ I was standing next to the sea and was trying to stay warm in howling wind, that was froze everything that wasn’t covered by layers of textile.
海沿いに立ち、覆われていないものすべてを凍りつくす途方もない風から体を暖かく保つ努力をし・・
2017年ワールドカップがBogenseで開催されたときのバリントさん(Cyclephotos)の手記。そして今週末、世界選が開催される。
==============
あら、雪景色。
https://m.nieuwsblad.be/cnt/dmf20190128_04135809
↑Het Nieusbladを蘭英翻訳。
はい、今週末の世界選は雪かみぞれあるいは「ただ泥なだけ」か、いずれにしても選手や観客はいつもより余分に暖かい服装を荷物にいれてね!という記事。充分寒そうなベルギーの新聞ですらこんな記事ですよ。どれだけしばれるのか。ただ泥なだけでも、海からの寒風はもれなくついてくる。
選手関係者は読みきれない天候に頭痛いと同時に腕の見せ所ですね。レース展開や有利になる選手が色々変わってきそう。
↑29日夜チェックした予報。
Bogenseは予報では金曜土曜日曜日雨か雪マーク。気温次第で雪かみぞれか。記事では気温は氷点下前後とのこと、さっき見てみたら最低気温が三日前にチェックしたときの氷点下より上がってる!わーい。さいたまなんて毎日最低気温は氷点下。でもシャワーといってた土曜日が雨か雪!と言いきってるからずっと途切れないのか。。そして風速。金曜日は20メートル以上、土曜日昼間も18メートルですって泣。
↑三日ぐらい前に見た予報。このときの予報は土曜日はシャワー程度だけど最低気温は氷点下。日曜は晴れ、日没後に気温ががくっと氷点下になる。
行けるかどうか暗雲たれ込めていた仕事が目途がついてCrossdenmarkのサイトにVIPチケットを買いにいったら日曜日は売り切れていた。土曜日は買ったけど、それはそれで室内に入るとカメラが結露しそうなのでどうしよう(ジップロック持っていくけど)。
マキノ全日本の方がまだ足元がふかふかの雪で楽だった?
野辺山の前もこんな風に天気予報に一喜一憂してたら矢野さんにtwitterで本当に直前まで天気予報はあてにならない、と言われたりして、フタをあけてみると結局穏やかだった。けれど、Bogenseのコースに吹き付ける哀しみ本線日本海みたいな北の波涛と海風には変わりないだろう。
2017 年はテクニカルすぎて乗車率が低かったり(Mathieu以外)、危険なところもあったんでしたっけ。また、観戦側からみて横断ポイントが多すぎたというのもあったらしいけれども、今回はどうでしょう。ケータリングは美味しいそうです。
とりあえず、行ってきます。その前にギリギリにスケジュール調整してもらった仕事の完了が。。。
久々の接戦とベルギー代表メンバー発表
Cyclocross worldcup Pontchâteau men 2018-2019 | Round 7 | 01-20-19
Mathieu不在による微妙さはさて置き、ひさびさに最後までもつれるレースを見て楽しかった。ハイスピードでダンゴになって(集団)走る様子はロードレースのようだった。
上り基調のシケインが明暗を分けた感。Van der Haarは自分のシケインでのミスのせいで大きくタイム差のついた追走集団から困り顔Sweeckとブリッジして追いついたけど、シケインで毎回ロス。Sweeck@今シーズン筋肉モリモリは前転していた。普段からバニホ得意な選手が有利だったみたい。アダムスもここで遅れ気味。
このBalint Hamvasのシケイン横からの写真が素晴らしい。みんな上りシケイン好きだろ?だって。
Toon Aerts は突き放そうと何度も仕掛けたけどVan Aertを振り切れず。最終周回大詰めのシケインで後ろから来たマイクル君Vanthourenhoutが彼の前に出たのには驚いた。降車選択して遅れをとった直後のAertsの心折れた様子。。
圧勝するぐらいでないとWoutがMathieuに世界選で対抗できる可能性は低いのかもしれないけど、競り合って勝った感からかWoutの表情はすっきりしていたのが印象的。これで総合逆転、3ポイント差でWoutがToonからリードを奪ったところで迎えるワールドカップ最終戦、Hoogerheideが楽しみ。
===============
ということで発表になったベルギー男子代表。
いつもこざっぱりしているイメージの代表監督Sven Vanthourenhoutが無精ひげ?の浮いた顔で会見して代表メンバーが発表になった(選び疲れ?)。
(ベルギー男子エリート世界選代表)
- Wout van Aert
- Toon Aerts
- Michael Vanthourenhout
- Laurens Sweeck
- Gianni Vermeersch
- Jens Adams
- Quinten Hermans
Van Aertの精神アシストニーズのあった親友MerlierはAertsがワールドカップ総合優勝をした場合はベルギーの枠が一人増えて、メンバーに入ることができるらしい(Woutではダメなその計算のしくみは私わかってない)、そしてAerts弟のThijsはリザーブ。
ベルギーチームのリーダーは二人体制。二人ともいまのところ安心毛布的なチームメイトはお預け。
Merlier本人はがっかりしたけどケガからようやく調子が戻ってきた時期、異論はないけど、、選ばれたAdamsはここに来て調子あげているし、、というコメント。Woutが次戦HoogerheideでToonに勝ったら自分は世界選に出られないけれども、今回Pontchâteauで自信をとりもどしたWout、全力で行くと思う。というコメントをしたとか。
あと、表彰式の前にMoureyが長年の功績を表彰されていた。いくら地元の長年チャンプでもセレモニー引っ張りすぎて観客飽きてた?(笑)
でもフランス代表としてMourayがBogenseで生で見られる!という知らせに今私はとてもうれしい気持ち。
(真冬の北欧の港で強風と波しぶき吹き付けるマイナス気温、VIPチケットひ売り切れ、いまから恐れおののいているけれども、心にホッカイロ一つ増えた)。
世界選ベルギー代表にToonは弟Thijsを召喚希望(がかなうかどうかは今日次第?)
ベルギーの男子エリートはToon Aertsがタイトルを取りましたねー。Wout Van Aertの失意がどんなだとか、新チャンプToonの身辺をめぐる細かいニュースとかがベルギーのメディアを賑わせていたようで。
そしてそうこうするうちに今日はワールドカップPontchâteau。Mathieuはお休み。
前回ここで開催された2016年ヨーロッパ選手権ではMathieuとWoutのにらみ合いに乗じてクレバーに走ったとされるAertsが勝利しているコース。ドライでスピードコースなのだそうです。ワールドカップの総合争いはAertsがWoutに7ポイント先んじているけれど、今日勝利すれば80ポイント、2位は70ポイント。ここで逆転なるか、差が広がるか。ToonとWoutの争いが熱くなりそうという話。
国内タイトル獲得後の一連のニュースの中でToonが弟のThijs Aertsを世界選の代表メンバーに希望しているというのが出ていた。よく読めないけど、安心してアシストしてくれる存在ということなのかな。Woutに対するMerlierのように、自分にもThijsが必要、というのを代表監督のSven Vanthrourenhoutに話してみる、と言っていたらしい。
ベルギー代表メンバーはこのPontchâteau後に発表されるので、現世界チャンプのようなサポート体制を作ってもらえるかどうかは今日のレースの結果に左右されるのではという話。
今回のベルギー選手権、Toonの弟のThijs Aertsは5位だけども驚きの5位と書かれていたので、多分当然選ばれる位置にはいないんだろう。
当確とされるのが
- Van Aert
- Toon Aerts,
- Michael Vanthourenhout
- Laurens Sweeck
当落線上が
- Quinten Hermans,
- Daan Soete
- Tim Merlier
- Jens Adams
- Gianni Vermeersch
- Thijs Aerts
世に兄弟ライダーは多くいますが、ビッグレースに兄弟をチームメンバに入れてくれという選手のいかに多いことか。
角帽対ヘルメット(大学構内レースへの反対運動)
昨晩のDVV Brusselsは中継ストリーミングが途切れてたので飛び飛びに見ていたけど男子は終盤はよく見られた。コースは言われていた通りアップダウンが豊富、男子は1位2位は予想どおりでVan der Haar、Miahcael Vanthourenhoutと Eli Iserbytによる表彰台のラストポジション争いはマイクル君が獲った。女子はCeylin del Carmen Alvaradoがついに初のビッグレース勝利、これまでも表彰台にはよく上ってたけど。ドミニカ生まれのボンバーヘッド、いよいよ来てますね~。カントはクラッシュして遅れてしまい総合タイム差が縮まったらしい。
表彰式で選手に授与される角帽がよくて、とくにアーツは似合ってた。彼は被り物が似合う。(以前のFIDEAのニット帽にほれ込んだのも、アーツが表彰式にかぶって出たのを見たから)。
↓こちらの記事に女子の表彰式の角帽写真があります。
https://www.nieuwsblad.be/cnt/dmf20190105_04081982
現在使用中の大学構内のどまんなかでレースなんてよく開催できたものだと思っていたら、やっぱり学生の一部から反対運動があったらしい。1200人が署名し「試験の一週間前に学内立ち入りができないなんて」と中止を訴えたとか。
コースがキャンパスどまんなかを通過するため設営のためなどで学生が立ち入りできない場所が多かったのが良くなかったらしい。
そこでコースを若干変更して立ち入れる箇所を作ったり、学生のレース入場料を無料にしたりしたのだとか(試験勉強しなくていいのか)。
Verveckenによると開催地がBrusselsに決まった時にはほかに候補地があったけれども、大学側からオファーがあったのだそう。
・授業休みの間にレース開催するのはいい考え、と思った大人達が考えるよりも、試験前勉強を学内でやりたい学生が多かったということらしい。次回は開催時期を考えるとのこと。
・大学クロスという趣向は新鮮だったけども大学としては宣伝と考えているのかな。
・以前信州クロスが山梨医科大学で開催していたと聞いたけれど、メジャースポーツのベルギーにおいてさえクレームに。当時の日本での反応はどんなだったんだろう。
・ちなみに札幌で下宿しているお嬢も「試験前やレポート追い込み時期は大学で勉強したい。人がまわりにいたほうが勉強できる」と言っていた。アパートだとテレビ見ちゃったり。まあ大学のすぐ近くに下宿しているし(猛吹雪のときはあきらめるらしい)、家にずっといると暖房費もかかるし。
・あちらではケルメスなんかがちょっとしたお祭りみたいに開催されしょっちゅう道路が通行止めになったりして、人々はそういうのに慣れっこなのかと思ってたけど、人が日々行き交って現在進行形で生きている施設をせき止めて使うレースというのは、いろいろ軋轢があっても仕方ないのかもしれませんね。
(色々書いたけど何が言いたかったかというと、アーツの角帽姿を貼りたかったのだった)
フランス語とオランダ語世界を走り抜ける大学シクロクロス(DVV Brussels)
今日のDVV Trofeeは初めてのコース、ブリュッセル。大学構内で行われるレースの最初の勝者は誰か?とか言われてますが、今日はワウトはこちらはスキップしてフランスのレースに出るそうです。。。なんでも、お金がよかったとか。。
ブリュッセル自由大学の中で行われるようですが、以前日本でも廃校になった建物で行われたような気がするけれど、現在使われている学校の敷地でのレースってほかにあったかしら。
↓公式サイトから。
↓レース公式サイト。あ、ラース・ボームが出るんだ。
コースは学内の校舎や運動場の周囲を縫って設けられているようだけれど、なんか説明を見ていると大学が二つに分かれているみたい?
Brussels大学のシクロクロスはVUBとULBのキャンパスを分かつ道路がスタート地点になり、選手たちはまずフランス語圏側に突入する
なるほど、ベルギーはいろんな政府公共機関がフランス語圏とドイツ語圏でそれぞれ並立していると聞くけど(日本人旅行者にとって身近なのは観光局が別々なこと)。
- https://www.visitflanders.com/ja/themes/from-flanders-with-food/belgian-chocolatiers/index.jsp ←フランダース地方
- ベルギー観光局ワロン地方公式サイト←ワロン地方
で、ブリュッセル大学について検索すると
1935年にはフランス語とオランダ語両方で教えられる分野が出来、1963年には全ての学部、分野で二言語対応をした。その直後の1968年、ルーヴェン・カトリック大学が言語分裂を起こすと、翌1969年10月にはブリュッセル自由大学も2つの異なる大学に分裂し、1970年5月28日には正式に2つの別れた大学となった。(フランス側はUniversité libre de Bruxelles、オランダ側はVrije Universiteit Brussel)大学は分裂したものの、大学間の学術連携・協力は現在も密接に行われ、学生・教員・研究者の交流も盛んに行われている。
ああそれで記事にVUBとULBって出てくるのか、分裂して併存してる感じなのか。。難しいね。実況ではこのあとオランダ語圏に突入しますとかいうんだろうか、まあ逆に双方の融和のイメージにつながるのかな?
・コースはアップダウンが激しいようで。特に一つすごい下りがあり、気合の足りない選手は乗って下れない選手もいるかも?そのあとの円形演技場?広場?廻りの繰り返しのアップダウンが勝負を左右するとかVerveckenさんは言っているようです。
・DVV Trofeeはこのレースとあと一戦のみ、総合タイム争いはBaalで勝って首位を奪ったMathieu van der PoelとToon Aertsの間の差8秒でこれも注目って書いてあるけど、このシリーズのタイム争いって中間ボーナスポイントとかFastest Lapとかなんだかよくわからないのでした。
・そしてにわか氏の話だとMathieuは総合タイムみたいなのには興味がないそうで。。まあ純粋な勝負とは違うぜ!というところはわからないでもないけど、今やそういうルール作りでもしないと拮抗する場面がないじゃないですか。少し前のことでしたがよく考えましたよね、Verveckenさん。
・考えてみたらMathieuはRaymond Poulidorの孫でフランス語も達者に話すのだった(何かのレース後のインタビューでみた)。そんな彼がオランダ、フランス語圏に分かれている大学のキャンパスを駆け抜けるのは地つづきのヨーロッパとはいえ、面白いかも。
・ちなみに、女子の総合タイム差はSanne CantがLoes Sels に対し2分34 秒リード、Nikki Brammeierから4分38 秒のリードを奪っているそうです。