tannenbaum居眠り日記💤

観戦者の目による、おもに自転車(おもにシクロクロス)関連のすみっこネタブログです。

懲りない人々(第13回Attack!299)

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またもや、行ってまいりました、飯能~麦草峠、Attack!299。走行距離160km、獲得標高3800m。今年で13回目になるんですね。


(↓公式サイト)(私の写真をあちこち使っていただいていて、光栄です)

www.attack299.mikami.cc

車から走行中のサイクリスト達を撮る。

それだけでもウキウキする上に、ライバルとの比較や、タイム追求脚自慢、完走目標組、去年までの自分との競争、チームで団結、シクロクロス開幕前ダイエット、など様々な(皆さん上級者ですが)人々がそれぞれの目標と楽しみ方で参加している。

そして色々な目標で集まった皆に平等に襲いかかる、エスカレートしてゆく峠と暑さ(ときには雨)。

沿道の風情、天気や環境の変動要素、走る人たちの悲喜こもごも、など写真心が刺激されるイベントです。

(↓ルート)

latlonglab.yahoo.co.jp


わざわざ一年の一番暑い季節に厳しいコースを苦しみ・楽しむ皆の様子に「この人ら、もしかしてアホなのでは(関西風:賞賛と愛情入り)」と感じつつ応援しながら今年も撮ってきました。

走る方がもしかしてアホなら、ただ撮るために前夜から泊まりで出かけて帰ってきてから何日も仕事のあと夜遅くまで写真編集するとかもっとアホかも。

↓今年の写真アルバム。今年もFRIETENのサポート車(1号車)で追いかけたので5時スタートの後ろの方しか撮れていませんが。

flic.kr

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飯能スタートは8月6日の夜明け。
前夜、盛大な「橋本七夕まつり」の蒸し風呂のような熱気の中にいました。お嬢さんのトコちゃんが楽しみにしているお祭りにアテンドのあと、遅くまで翌日の準備に奔走するFRIETENのDS足立さん。彼は寝たのか?食べたのか?

私は短時間バッチリ睡眠。チームの根本さんに手伝ってもらって、自宅で焼いてマシュマロなどを混ぜ平たくして持参したグラノーラバーを切り個別包装しました。これはスタート前に一人2本配布。
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飯能スタート地点到着。4:30スタート組の皆様スタート前に注意事項伝達する主催者の三上さん。3UPジャージの人たちの中にCyclowiredの綾野編集長が写っていました。そのときは知らなかった。。↓

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そして最終スタート組は、脚自慢のぴりっとした雰囲気。三上さんもジャージに着替えています。↓

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マイルポストの國井さん、代田ヨシアキさんたち、こんなににこやかですが、スタート直後から姿が見えなくなり、ゴールするまで走行中、ふたたび彼らの緑のジャージを見ることは一度もありませんでした(速すぎ)。

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そしてFRIETENの面々(実は4:30スタート登録で遅刻なので、5時スタートの皆様の後ろから遠慮がちにスタート。リザルトのタイムは4:30スタートで計測)。

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 タイム目標とかない人達、こんな感じ。

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このアルミ貼り付けしてあるバイク。なんでも静電気を抑制(放出?)することで空力が云々だとか。よく知らんけど。

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スタート。

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薄明るいまだ街灯の灯る飯能の商店街をゆく集団。このシチュエーションと光の加減はなかなか撮れない景色で、興奮して沢山シャッター切りました。

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対向車がまだヘッドライトつけている時間。

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だんだん山がかってきます。

今年は当日50%の雨予報で、場合によっては山の上で寒いことも予想されるので、主催者から装備への注意喚起がされていました。
山が霞んでいる。。墨絵みたいできれいだけれども、天気荒れませんように。日差しじりじりがないのはライダーには楽でしたかね。

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そろそろバラけてきます。っていうか集団は絵になるけど、そろそろ同じ人の背中撮るの飽きてきた。最後尾、交代してくれないかな。絵的に(苦笑)

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最初の山伏峠への上りにはいってバラけたので、私の乗るチームカー(GM笠原さん運転)は選手の横を通過してほしいものがないか、聞き始めた。

笑みのようなものを浮かべて走る足立さん。いっときより絞れている。

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2014年私が初めて299を撮ったときはもっと体が重そうで、欲しいものを聞くと「愛をくれ愛を」とか言っていた。

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FRIETENで一番今日のための準備ができている(のぼりの練習もして、体も絞れている)と言われていた大久保さん。↓しかし前日仕事のあと寝ないで参加。

ちなみにこの写真、今回のベストショットの一つです。

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セメントが採れそうな山が前方に見えている。

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どちらからですか?参加者と会話する三上さん。

DSC_0471ローソン小鹿野飯田店。
薄ピンクの今年のAttack!299Tシャツを来たサポートスタッフの皆さん。

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 次は志賀坂峠へ。シクロクロス会場でみかける方たちもけっこう参加している。

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がけ崩れを防ぐコンクリートが苔むしている。 日当たりのない暗い箇所もけっこうあった。

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  群馬県に。

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運転している笠原GMが、下りで撮れそうな場所で停車してくれた。皆、けっこうな勢いでかっ飛んでくる。上りあれば下りあり。

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サドルの前に腰を落とした重戦車モリタロウ。

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たくさん出場していたCICADAのライダーのうち二名が沿道に風圧がブワっとくる勢いでかっ飛んで行った。切れながらフレームに入ったのはギョさん。前にいたのは小村さんかな(写真再生するまでわからず)。

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 CICADAのサポートカー、後方座席にはVIPが。

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 EXIF情報によると、この時まだ朝の8時過ぎ。

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猫っぽい

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自分の娘からRonde van Vlaanderenボトルを受け取る。出発時は車内でぐっすり寝ていたトコちゃんですが、ボトル渡しはもう何年もやっています。

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こういう写真がわたしの目当て、サポートカーからの光景。前方の選手を撮るのはいいんです。横はピント合わせづらく、後ろは速度があわず狙った構図で撮るのが難しい。そして後ろばかり撮ってると酔いそうに。

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ボトルに氷もいれて。長時間の間に細かい氷はクーラーボックスでも溶けてしまうので、コンビニで買い足していった。

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上野原の補給所。冷やしトマトやコーラ、ベルギーのシナモン入りクッキーなどよく考えられた品々でおもてなし。到着が遅くてほかの補給物もあったけれど売り切れとのこと。スタッフの方がとても親切なムードで、疲れたライダーたちにはありがたいはず。

 

スマホの呼び出し音のようなものがなったので見ると休日用の寝坊しすぎ防止9:00のアラームだった。もう1日さんざんいろんなことあったのにまだ9時!?

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先着していた大久保さんに、調子いいねと声をかけると、いやあ辛くてしょうがないんだよー。と浮かない表情。鈴木ユースケさんはグラノーラバーが美味しいそうです。よかった。

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上野村のチェックポイント地点となっている森の体験館は、きれいな川辺に降りる階段があるのですが、みんな出発しちゃうかも、ともっと遊びたがるトコちゃんを促した。カメラ持ったおばさん、妖精のように駆けあがる10歳に完全に階段でちぎられました。

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急いで川から上がったけれども、後方のメンバーがまだ来なくて、先行の人達もタイム目標にしてないので、待つ。

足立さんは足がつっているらしい。睡眠不足からか。私は以前の299に持参した足つり対策の漢方薬を今回持参していない。反省ポイント。

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すこぶるまったり休憩する様子に三上さんが「年季のはいったのんびりぶりだね」と笑った。いいのか。

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もう、ほかに到着するライダーも出払ったかと思われた頃、遅れていたメンバー吉松さんと勝田さんが到着。吉松さんは、チームメイトが落としたミニアンパンを拾ってきていた。

「これってー、ユースケのとちがうん~?」
過去2回完走できなかった吉松さんだが、今年は余裕があるのかも。

(昨年の「犯人確保」の瞬間。)

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本人も「時間的にはバックアタック決めてるけど、今年は他人に惑わされないで自分のペースで走れてるから、去年より力が残ってる。いい感じと思うんよ~」とまったり口調。

そういえば彼は、遅刻スタートで準備真っ只中のチームメイトに名古屋土産を配布して回っていた。。(「ゆかり」美味しかったです)。

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そしていよいよ、胸突き八丁の十石ののぼりへ。防護フェンスないところにゴロゴロ落石があった。

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 うっそうとしてきた。

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きつそう。
三上さん以外。

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この写真気に入っている。いいと思える写真をどうやったら撮れるのか相変わらず分析できない。木の間隔とライダーの配置かな。

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 過去メカトラつづきで完走ならずだった根本さん、今回は順調そう。安定の走り。

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鉄心という剣士のような名前の彼ですがカートレーサーで速度耐性が人と違うらしく、下りは恐るべき速さだったらしい。

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山野草の写真家が二人撮影にきていたので、彼らと同じものを撮ってみた。きいちご?山野草撮影は、季節のものが生えてくるタイミングと沿道の草刈りタイミングとの兼ね合いがめぼしいものが撮れるかどうかの勝負なのだとか。とくにアナウンスされず、予測つかないのだそう。

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 3UP軍団。斜度が急だ。

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なんと、前を走っていた大久保さんが脚をとめていた。どうしたのか、と聞くと「景色をね、みてるんだよ。。」顔色がすぐれない。

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上野原のチェックポイントからうかない表情だったが、熱中症のよう。飲み物や、塩タブレットをすすめるが、あまり欲しがらない。まず塩分と水分をとるとやわらぐはずなんだけれど。。

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タブレットかあ。ちょっともらっとくか。・・とあまり積極的に取ろうとしない。あとで三上さんにこういう時の対応を聞いたが、まずはカロリーをとらせると体に必要なものを自覚できるようになるのだとか。

 

トコちゃんの差し出すおもちゃの扇風機に「わあ、すずしいなぁ」という温厚な人。↓

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扇風機を自分からリクエストしておいて、ちっとも涼しくないぞ!とキレる人。↓

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美しい風景ですが。もうちょい、もうちょい。

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十石峠、制覇ポーズ。

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ここで昨年麦草の上りでアダチモフが追い剥ぎのように旅人に追いすがり配布して好評だった、FRIETEN秘伝のみそきゅうり(普通のだけど)にいよいよ出番がきた。

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今年の十石峠はかなり辛かったらしく、皆が喜ぶことといったら。

味噌の塩分とタンパク質を摂取するための土台としてのきゅうりですが、体を冷やし、のどの渇きを潤す効果もありますからね。

3日前につけこんでおいたレモンのはちみつ漬けも好評だった。こういうの嬉しい。

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吉松さん、自撮り記念撮影もしてどうやら大丈夫そう。

第二サポートカーはこの日のため臨時に駆り出されたケンちゃんという人が運転していたのですが、事前に刷り込まれた任務が「吉松回収」だったことから
「吉松さん、大丈夫ですか。車乗りませんか~」「吉松さん寂しいですから、乗りましょうよー」
という攻撃をしながら付き添っていたらしい。それ、逆に、がんばれるかも。

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大久保さん、座り込んでいる。このポイントはいつもはもっとゆっくりする場所だけれど、アブがとても多くてゆっくりできなかった。足立さんは脚がつっていてつらそう。塩タブレットを差し出すと、たくさん食べていた。

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このあとの十石の下りで炸裂した人達も居たようですが。

・・美しい田園風景を観ながら笠原GMと人生について語っていると道を間違えました。。なので次のチェックポイントまでライダーの写真がありません。あしからず。

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そして最終チェックポイント、セブンイレブン佐久穂町店。向かいにすごい岩が見えるんですよね。

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さあ、最後。ここのあたりと麦草の前半、暑いんですよね。モリタロウはロックアイスの袋をテディベアのように抱きしめて持ち歩いていました。
最後尾あたりの私達がついたころには、ボトルに入る小さい氷はここのセブンでは売り切れていて、チームカーは近くのドラッグストアに回り込んでから麦草に向かいました。

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CICADAの堀さん、力のある人がチームのペースをまとめたり、チームカーと行ったり来たり。

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車にのっていてもじりじりな暑さの麦草の序盤。

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このシチュエーションで「メルヘン街道」とか廃車の脇で掲げても見る人は神経逆撫でされるだけでしょう。

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女性ライダーも増えた、そして、完走する、このイベント。

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 つらいはずですが、明るい顔の人が多かったのは、フィナーレ間近だから?

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トコちゃんが、ねえ、トコのおとうさんですごい人なの?と聞いてきた。
トコちゃんのおとうさんは、昨日お仕事して、そのあと、トコちゃんとお友達とお祭りにいって、トコちゃんのお友達をおうちに送りに行って、チームの人達の送り迎えして、自転車やサポートカーの準備したりであんまり寝てないのに、今日はこんなに走ってるよ、すごいよね。と言うと、じゃあお父さん応援してくる。といって走っていった。

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カメラマン兼サポートたいへんそう。わたしは運転してないし。

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胡散臭げに見られるわたくし。なんでや。いよいよ最終の補給地点。

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 白樺群生地(日本最大?)を通り。

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このあたりまでくると、いままでみかけなかったジャージの人々が。

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大久保さん、復活している。いいテンポ。「佐久穂のチェックポイントまではつらくてしょうがなかったけど、麦草ののぼりはじめて水を浴びたらよくなった」物理的に冷やすというのもあった。熱中症対策。←反省点

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雨だ。冷えすぎなければいいけど。

写真は、雨粒にフォーカスあててむこうの人物を撮ったソール・ライター風(失礼)

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 レインジャケットを直前にサポートから受け取ったという人達も多かったみたい。

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あがったけど、路面は濡れている。

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過去ずっとゴール地点で、記念撮影スポットだった「メルヘン街道最高峰地点、麦草峠」の看板。今は停車できないので、すこしくだったところがゴールに移動しました。

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 ゴール地点に駐車すると、とうにゴールし、完全にこざっぱりしている國井さん。途中一度も見かけなかったので、あ、そうだ、國井さんも走ってたんだ!とはるか昔のことのように思い出した(笑)

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 ゴール地点でいろんな知り合いに会えた。

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咆哮?ゴールのユースケさん。

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自社製品でゴール、根本さん。

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結局チーム内では20分以上のリードで先着した大久保さん。最後回復してよかった。

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そして、吉松さんもギリギリ時間内ゴール。5時スタートで、間に合った初完走。ハイタッチとかしていたせいか、写真がありません。やったー。

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そして最後の人達のゴールを待っていたかのような土砂降りが。

合理的な装備で撤収準備。

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出場、主催の皆様、本当におつかれさまでした。

もういいかな、自分は今年でおしまい。いや、そんなこと言ってまたきっと出るよね?という会話が聞こえてきました。

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泥の貴公子、小坂光選手インタビュー(2)

 

 

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 (以下、子供時代・学生時代の写真は小坂選手提供)

週末、レース会場に居るのが当然だった子供時代

・真っ黒でやんちゃそうですね。今と印象が違うような。

印象が変わりやすいと言われます。 

・確かに、ブリッツェンに入った年でしたか、ヒカル選手がパーマをかけたのが評判になりましたし*1その後も筋トレをして体型が変わったりとか、見た目の印象はけっこう変動ある印象ですね(笑)

(ヒカル選手のことはおむつのころから知るというMillet.Kさんの発行していたTune Up Pressについてヒカル選手に見せる)

tannenbaum.hatenadiary.jp

ああこれは、もう、20年前ですね。そうですね。毎週末家族でレース会場にいました。

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(父、小坂正則選手と)

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(当時来日して信州シクロクロスに出場していた、のちに初代シクロクロス女子世界チャンピオンとなるHanka Kupfernagelと。)

・レース会場にいるときは何をしていたのですか?

だれか同年代の遊び相手がいるということはなくて、一人であたりの山の中で遊んでました。それで楽しかったです。

・遊園地に家族でおでかけするような感じではなく。

あたりまえにレース会場にいましたね。

・小さいころから大人がレースをやっている会場に通って、何か特別礼儀とか言葉づかいが身に着いたとかありますか?

特別そういう自覚はないですね。ふつうにそこに居たという感じです。

・とにかく、当然の世界だったんですね。レース会場が。。子供の頃から自転車競技をやっていたのですか?

たまに子供クラスのレースに出たりしていましたが、サッカーをやっていました。トップ下かサイドバックがポジションで、テクニックがあるタイプの選手でした。

・サッカー選手になるのが当時の夢でしたか?

サッカー始める前の小さいころは自転車の世界選手権で優勝する、と思っていました。

・それはTVか何かで?

父親がやっていた競技だからですかね。

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(スワコレーシングのジャージ、こんな小さいサイズもあるんですね。)

・子供のときのサッカーで活躍する子は運動神経がいいイメージです。小さいころは別の競技をやってきた子が良かったりする、といいますよね。

そうですね、柔軟性や細かいシクロクロスの動きなどへの対応は自分はサッカーをやっていたことが活きていると思います。

サッカーでは地域選抜選手に選ばれたこともありましたが、学年があがるにつれて体格が大きくなかったので、当たり負けするようになり、面白くない思いをすることが増えたんです。

サッカーをなんとなく続けていた高校1年の冬に、出ないかと誘われて出場したシクロクロスが面白くて、その年にC2まで上がり、高2の時にC1に上がりましたが、そのころはレースに出るだけでした。

高3は受験のためにお休みして、大学に入学して自転車に取り組み始めました。

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 (自転車の面白さに目覚めていった頃)


父の無言の教育と息子の成長

・自転車の練習については、どんな形で?

高崎経済大学はサイクリング部しかなく、もっぱら父について走るのが練習でした。

・クラブチームに入ったんですか?

父と同じスワコレーシングに所属していましたが、佐久と諏訪湖は離れていたので、毎週行くことは難しく、父と走っていました。

・お父さんが厳しく手取り足取り自転車の指導を?

あれこれ言われるというより、父と一緒に走ることで学んだと思います。大学一年生のときはまだ弱くて登りでガーっといくオヤジについていくのが難しかったのですが、二年生になると大丈夫でした。

・お父さんは細かいことはいわずに見守る感じだったのですか。

勉強のことでも、一回一回のテストの点数を取り上げて注意するということはなくて、総体的に「しっかりやってるんだろうな?」という無言の雰囲気というか圧力が漂っていて。それで、しっかりやらなければ、と思いました。

・無言の圧力。笑。小坂お父さんにそういわれると、そのほうが効果あるかもしれませんね。

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(2011-12シーズン 全日本選手権

具体的な細かいことで注意を受けた記憶は、自転車でもないですね。

・それで勉強も真面目にやって国公立の大学に入って。今も仕事とレースの両立をして、ということが自主的にできるというあたり、基本的に根が真面目なんですね。A型ですか。

どうなんでしょう。A型ですが。本当は自転車選手が沢山集まっていた松本に行きたくて、信州大学に入りたかったですが、希望が叶わなかったんです。

・そして大学入学後、本格的に自転車に取り組み始めて一気に強くなったんですよね。在学中にブリッツェンに入ったんですから。

たくさん乗ってましたからね。授業の関係で難しい日以外は毎日2時間程度乗っていました。2年生のときは実業団のE1で毎回入賞するぐらいの力がついていました。それで大学2年の冬、創設時のブリッツェンから声がかかって。

・そうするとそのときはロードメインということで。

ロードとともにシクロクロスも冬に走らせてもらえるというのを最初から条件として認めてもらっていました。

・ブリッツェンの創設時から今まで在籍しているんですね。

創設の時から居るのは自分だけですね。一番古いです。

・では、威張ってもいいんじゃないですか?もっと(笑)

まあ、でもシクロクロスチームということでちょっとカテゴリーが別なので(笑)

・最初からチームにいることもあって、周囲や地元の人たちにはさぞ親しまれる選手になったんでしょうね。

まあそうでしょうね。たくさんの人に毎回応援してもらえて、本当にありがたいです。

・しかし大学時代は家が佐久で、学校が高崎で。

下宿するよりはいいということで、新幹線通学をしていました。

・遠距離通学、さらにブリッツェンの活動。

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(2010-11シーズン   野辺山)

佐久から新幹線で学校にいって、両毛線で宇都宮に移動してブリッツェンの活動をしてから電車で大学に戻ったりして。

・三地点の移動、毎日大変じゃないですか。。

でも3,4年になったら授業もそんなにいかなくていいし、時間はとれましたね。

・単位はばっちり下級生のうちにとっていたんですね。

そうですね。1、2年のうちに単位をしっかり取っていたので、3、4年の時は練習時間が沢山とれました。落とした授業の単位は一つだけだった気がします。世界選と試験の時期が重なっていたので、教授に掛け合ったのですが、やはり試験の日に試験を受けないと単位はやらないと言われてしまって。

・そういう考えの教授だったんですね。それ以外は全部落とさなかったのは、真面目ですね。そうなるとアルバイトなんかしていられないでしょうか。

アルバイトはあまりしませんでした。海外遠征に初めて行ったのがブリッツェンに入る直前の冬だったんですが、その前の夏休みは資金を稼ぐために中華料理店でアルバイトはしました。

 ・ホール担当ですか?

キッチンで皿洗いと、簡単に餃子を並べて焼くぐらいです。

・寝る時間ありましたか?

それは大丈夫でした。 もし大学時代に下宿していたら、自己管理や家事、料理などが大変で、今の選手としてのレベルにはなっていなかったような気がします。実家で母親が食事を用意してくれて、色々やってくれたので、今思うと大変助かりました。

・なるほど、選手としての成長期に実家にいたメリットがあったと。お母さまは以前お話ししたときに夫と息子が揃ってここまでの選手だというのにちっとも威張ったところがなくて、「自分は何も特別なことはしていないんですよ。」と穏やかな感じで話しておられました。

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・いつか茨城CXの会場にお母さんがいらしていて、お父さんと、ヒカル選手分のおいなりさんと、切ったりんごを用意して、さりげなく差し出すサポート体制、それをもくもくと食べる父子、これは何十年続いてきた姿なんだろうか、と印象に残っています。

母親は本当にありがたい存在です。今も、オヤジと同じレースのときは「おにぎりはいるか」と聞いてくれたりして。

・いいですねー。


ブリッツェン入りと宇都宮市役所就職前後の悩み

・私が最初にヒカル選手を見たのは、おそらく2007年のビワコマイアミランドのレース、スワコレーシング時代だと思うんですが。その時に父子選手だというのは教えてもらいました。

・その後、2010年のジャパンカップ、山岳ポイント狙いでドラパックの選手と競っていた姿は印象に残っています。

http://tannenbaum.hatenadiary.jp/entry/20101104/p2 ←2010年ジャパンカップ観戦時の当ブログ。古賀志山頂の熱狂する人垣の間を決死の表情で山岳賞を取り合うヒカル選手とドラパックのThomas Palmer。前日のクリテリウムで勝ったパルマーが容赦なく山岳賞ももぎ取った。

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(2010年   ジャパンカップ。レース中のヒカル選手を撮影したいちばん最初かもしれない)

あれは、悔しかったです。山岳賞取りたかった。あとで聞くと相手のパルマー選手はトラック競技でジュニアのときに世界タイトルを取るぐらいの選手だったようでしたが。

・ブリッツェンはロード選手として声をかけたわけですよね。シクロクロスについてはチームとの間はどういう約束になっていたのでしょうか。

シクロクロスも走ってよい、という約束で入団しました。
当時シクロクロスのレースの時にはブリッツェンのジャージを着てフレームもチームサプライヤーのクオータでしたが、ブリッツェンに来て当初はチームのサプライヤーのクオータからフレームを提供してもらってました*2。レース時のスタッフによるサポートはなくて、父のスワコと同行したりしていました。

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(2010-11シーズン  全日本選手権。赤いフラッグのサポーター集団こそ居なかったが、赤い上着のチーム関係者、栗村さんらがゴール地点で激を飛ばしていた記憶)

・ロード選手としても、山もなんでもこなせそうだし。

まあ、そうですね。それで、就職するときにはかなり悩みました。このまま自転車一本でやっていきたいという気持ちもありましたし。 

・でも市役所に受かった。

そうですね。

・受かってからも悩んだということでしょうか。

受かってから、ロードで成績がかなり出るようになって、全日本実業団もけっこうよく走れる時期がきて、自分でも「だんだん、来たな」という実感もありました。

・そんな選手としての好調な時期の直後に就職してたまたま配属先が多忙な部署だったので、余計に就職一年目は苦しいものがあったんでしょうね。

最初のころは、そのあたりはありましたね。

・自転車だけやってたらよかったのではないかと。

そうですね。。

・でも公務員というのは、お父様も公務員と両立していますし、そのへんはアドバイスがあったりしたんですか。

自分で決めろ、という感じだったですね。まだ引退してからの人生もあるし。僕らの時代ではまだちょっと難しいかなというのもありますし。

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(2013-14シーズン   飯山 横山選手との名勝負を制した)

・それは自転車だけで食べるということについてですか。

そうですね。選手だけでやったとして、それで、というところですよね。このあとメジャースポーツになれば変わるかもしれませんが。

 ・そのあとの人生もありますしね。でも進んだのが、しっかりした勤務先だし、部署によっては、一般企業より残業が少ない可能性はあるし。

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(2012-13シーズン   GPミストラル

今、考えたらこの選択でよかったかなと思っています。周囲も理解がある場所で。

・就職一年目の苦労は大変だったようですね。私も当時直接ヒカル選手から、大変です、という言葉を聞いた記憶があります。

はい、こんなに大変なものだったのか、と思いましたね。就職と同時に実家を出て一人暮らし始めたというのもありましたし。

・今まで実家だったので同時に家事ものしかかってきて。

そうです。

・最初の配属先は残業が多かったようですね。

社会人になって4年間は残業が多い部署で結構大変でした。

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(2012-13シーズン   GPミストラル

・練習時間も制限されてしまったと。次にまた忙しい部署になったら大変ですね。

周囲も自分がやっていることを、前よりわかってくれてきていると思います。世界選のときは公休扱いにしてもらえましたし。

・世界選となるとそうなんですね。また、宇都宮の土地柄というか、自転車に理解のある地盤というのもありますし。年末年始は自分の有給で?

そうです。あの時期は仕事が立て込んでいたので、神経を使いました。その後に世界選でまた休む予定でしたし。世界選のあとの仕事が大変になるかもしれず思いやられたのですが、それがなくなったのはほっとしました。

宇都宮城址でエキシビションがあったときに、前の部署の同僚のかたたちが「ヒカル」と書いたキラキラうちわで応援していたので、お話ししたんですが、忙しくても競技を理由に仕事をおろそかにすることが全くない誠実な素晴らしい人です。と話してくれたのが印象的でした。

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 (2015-16シーズン 宇都宮。同僚の方々から、ヒカル選手の誠実な仕事ぶりについてお聞きした)

そうなんですね(嬉しそうな顔)。忙しかったんですが、和気あいあいとした部署でした。人数も多かったんですが。

・仕事の内容をひきずったりしないようにする、気持ちを切り替えるのには何かしていますか。

特に、そんなに切り替えに苦労するようなことはないですね。

・すばらしい。もともと真面目だから。

どうなんでしょう。周りの人たちがとても応援して、よくしてくれるので。


仕事があるからこのレベルで、というのは無い。

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(2014-15シーズン   全日本選手権

・社会人生活と練習、どちらもきっちりこなすヒカル選手は生活にほかの要素が入る余地はなかなかないのではないですか。

趣味というものがないんですよね。。やる時間もないんですけども。オートバイは乗ってみたいですね。一度林道で乗ったときに、本当に楽しかったので、かなり興味があります。

・そうすると、現在の気晴らしはどうやって?

飲み会ですかね。。趣味は飲酒、みたいな(苦笑)

・肝臓の力で気分転換をしていると(笑)

お酒自体が好きなのと、その場が好きなんです。

・シーズン中は飲んでもいいんですか?

支障のない範囲でなら。

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(2016-17シーズン  幕張)

・でも、特殊なことをしなくても解消できている、ということですね。

誘いが多いので、ついつい行っちゃう、というのもあります。会社の同期とか先輩とか、チームだったりとか、以前ブラーゼンのチームメイトだった鈴木龍とか。ちょくちょく宇都宮に来るので。

・お店はきめているんですか?

ここしか行かないということではないんですが、よくいくお店はありますね。

・宇都宮は飲食店は多いですしね。以前宇都宮のビストロで、クロスファンでない友人とランチをしたときに、お店の人が小坂選手だけでなくお父さんのことを50歳代で現役選手と知っているのでびっくりしました。

ああ、みはしカフェですかね。あのお店の方はブリッツェンを応援してくれています。

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(2013-14シーズン   飯山)

・そういえば、以前はレース会場で小坂さんといえばお父さんの正則さんだったのですが、最近は小坂さん、というのがヒカル選手、正則さんが小坂お父さんとか小坂パパとか言われることが増えているように感じますね。

そうですね。呼び方が逆転してきたかもしれないですね。小坂オヤジとか。

・私が見始めたときヒカル選手はずっとお父さんの後ろを走っているイメージで「なかなか父を超えられない息子」とまでいわれていた時期があって。

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(2011-12シーズン 全日本選手権

大学1年の頃なんて、父との力の差は相当あったと思います。

3年くらい前からですかね。。といっても去年もおととしも負けたレースはあります。 

 ・その後ヒカル選手がお父さんに勝ち始めて、それでも、依然としてお父さんはいまだに日本のトップレベルにとどまっているのが素晴らしいですね。

オヤジは今シーズン強かったですね。。職場が近くなったんで。練習量が増えたようですね。

・お父さんは、暫く新幹線通勤していましたよね。

今は自転車で10-15分のようです。

 ・公務員の配属替えが、小坂親子の練習に影響しているわけですね。

オヤジは国家公務員ですから、転勤はつきものなので、近くなれば楽になるし、遠くなると練習が大変になる。自分は市役所なので、出先はあるにせよ、市内なので。

・それをずっとしのいでこられたんですね。。大変ですね。。

それに伴い、辛い時期もあったようですね。

・普通のホビーレーサーも仕事や家庭との両立で苦労しながら競技をしている人が沢山いますが、ヒカル選手は公務員という仕事をフルにこなしながら、コンディションを常に維持しつつ、なおかつ日本トップレベルを戦っているんですよね。

そうですね。自分の場合はずっとオヤジをみてきましたから。仕事があるからこのレベルで良いだろうというのがなくて・・・そのあたり自分はオヤジが基準になっているような気がします。

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・睡眠はばっちり8時間寝て練習2時間ですか?

睡眠はそこまで確保できていないかもしれないですね。6時くらいに帰宅した6時半ぐらいからに定時後に練習1-2時間して、夜9時頃になってしまうので、食べるのはその後になります。自分で作るときもあれば、チームでお世話になっている飲み屋さんで食べさせてもらえるので。よく行きます。

・家庭のお母さんみたいな料理を。

そうですね。肉じゃがとか。あと沖縄料理とか。おいしいです。ゴーヤチャンプルーとかフーチャンプルーとか。

・おいしそうだし、バランスよさそうでいいですね。家事に時間とっていたらきりがないですよね。

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そうなんですよ。あっ、飲むのが好きだから、おつまみを作るのを趣味にしてもいいかもしれない。人を呼ぶから、家も片づけるし。(笑)

・是非、おつまみの達人になって、居酒屋ヒカル(笑)やってみましょう。お客さん沢山来そうですね。

 

やりたいことが実現してきた環境

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・ブリッツェンのシクロクロスチームに、という流れ、職場からの応援の声、地元の応援を見ているとヒカル選手の人柄とか、普段の仕事への姿勢とかがあってのことなのではないかと思います。それが伴わないと周りも理解や応援はしてくれなかったでしょうし、自分で築いてきたものですよね。

自分がブリッツェンに入るときから、当時の社長に宇都宮でシクロクロスができたらいいねという話はしていたのですが、それがやがて実現している。それがとてもよかったと思っています。

・ヒカル選手が自転車が盛んな街のチームとご縁があって宇都宮にシクロクロスを導いてこれたという、良いめぐりあわせを感じます。宇都宮の豊かな自転車文化の一つとしてシクロクロスをもたらし、自らも選手として力が発揮できる。意義のあることですよね。

そうですよね。意外とやりたいことができてきている感じがするんです。

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(2016-17シーズン  みずほの)

・動いてくれる人が沢山いそうですよね。アイデアや計画を具体的に実行してゆける。

そうなんです。17-18シーズンは宇都宮で初のUCIレースが開催されますが、海外からの招待選手など、思い切った提案もしてみようかと思っています。驚くような人を呼ぶ話をしてもネタで終わらせないで具体的に検討するような人たちが宇都宮にはいます。

・末永く、やりたいことをいろいろと形にしてゆけそうな環境ですね。就職前後は悩みがあったかもしれませんが、ヒカル選手の人柄と、宇都宮という土地柄のマッチング、このポジションを活かしていけると可能性が広がりそうですね。

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そんな気がします。竹之内選手とは同い年で、仲がいいのですが、彼が海外に挑戦する部分を担ってきてくれて、自分は日本でシクロクロス競技の発展に貢献できる、そういう役割分担のようなものがお互いできたらいいね、と話をしたりしています。

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(了)

*1:Hikaru Kosakahttp://www.dewielersite.net/db2/wielersite/coureurfiche.php?coureurid=57429 ←ヒカル選手のパーマヘアの写真をウェブ検索してみたが、このベルギーの選手情報サイトでようやく再会できた。

*2:その後国内のラインナップから無くなったため、フレーム、ホイール共にボーマから個人的に提供を受け3年前はミヤタのスチール、2年前からメリダのフレーム。

泥の貴公子、小坂光選手インタビュー(1)

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 子供時代の週末を父についてレース会場で過ごした二世選手が、今や日本のタイトルを狙う存在に成長し、宇都宮の自転車が盛んな文化を背景に、ファン層の拡大にも貢献している。 シクロクロス界のサラブレッド、公務員、宇都宮ブリッツェンシクロクロスチームの小坂光選手にお話をお伺いしました。

 普段あまり声高に自らを語らないヒカル選手の貴重な語りをどうぞ。 *1

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(2012-13シーズン GPミストラルにて。ヒカル選手の左が小坂正則選手。) 


クロスシーズン終了、そしてMTBに本格参戦

・今年のお台場もおわりましたね。(注:収録は2月下旬)

連日飲み会があって、太ってしまいました。

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(2016年 北京遠征にて)

・お酒は相当強いみたいですね。一昨シーズンの北京CXの宴会で、中国の強いお酒で現地選手と飲み比べ対決して、負けなかったと聞きました。

白酒というすごく強いお酒でした。自分は飲むといっても以前ほどでもないんですけれど。

・お父さん(小坂正則選手)ゆずりの強さですね。

オヤジは、ペースが早くて、すぐに寝てしまうような飲み方です。実家に行ってもピッチ早く飲んで、22時には寝てしまいます。

・さて、目下の話題としてはこのシクロクロスシーズン後、夏場はMTB競技のほうに活動をシフトするということで、ミヤタ・メリダバイキングチームへの加入が発表されましたね。

http://merida.jp/mmbt/bikingteam/ ←MIYATA MERIDA BIKING TEAMのHP

MTBのヒカル選手といえば、私は去年の富士見パノラマで行われたMTB全日本選手権で走っている姿を初めてみたんです。

夏はロードをやって、冬はクロスというのを4-5年やってきたんですが、それを変えようと思いました。 ロードは練習量が沢山取れないというのがありましたが、MTBは1時間半の勝負ですし、まだ戦えるかなと。

・夏場の競技をロードからMTBに完全にシフトすると?

完全にシフトです。両方は日程的に難しいですし、チーム側からもMTBに専念するようにと言われています。

・その方針変更はご自分で考えたことですか?

自分で考えました。

・アプローチはどちらから?

自分からしました。もともとミヤタはブリッツェンのスポンサーだったことがあります。夏もオフロード競技をするという構想をチームに話したところ、ミヤタに話を持って行ってくれました。

・ミヤタといえば昔ロードの名門チームを運営していましたが、MTBのチーム運営をしているんですね。既存のチームに加入ということですね。(なお、今シーズンMIYATAは宇都宮ブリッツェンのメインスポンサーになった)。

そうです。これまでは山路さん(現Drawer the racing代表)に委託していた運営をミヤタに戻した形になります。

・宇都宮のみずほののレースの時、メリダカラーの黄緑色テントの中でアップしていましたね。

そうです。メリダが出展しているときは使えるということになっています。

・そうするとシーズン前の準備内容も変更してゆくんですね。

コーチにもMTB前提でメニューを組んでくれと言っています。

MTBの練習は去年から始めたんですか?

昨シーズンはブラーゼンの活動もあったんですが、春の富士見と、全日本に出場しました。緒戦では最後尾スタートで14位だったんですがMTBに乗り始めて3週間だったので、そこそこ手ごたえがあり、いけるような気がしました。ただ去年はブラーゼンの活動もあったので。

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(ブラーゼンのジャージ姿。2013年さいたまクリテリウムで。)

・本格参戦は今シーズンからということなんですね。日本の中でどれぐらいかというのが今年見えてくるんですね。

そうです。年も年だし結果はすぐに求められると思います。

MTB選手の旬は何歳くらいなんですか?

30歳前後ではないでしょうか。

・クロスよりピークは若め?

どうなんでしょう。

・山本幸平選手は今何歳ぐらいでしたか?

31-32歳くらいだったと思います。

・オリンピック枠は何人なんでしょうか?

一人かな、一人か二人ですね。。厳しいです。UCIポイントを積極的にとらないと。

・どこを転戦すればUCIポイントがつくのですか?

ヨーロッパ中心ですね。オーストラリアは1戦だけです。難しいんですよね。国内のトップチームでもMTBだけで食べていけている人はあまりいないと思うので。

・あと、ヒカル選手のMTB参戦で、表彰台の顔ぶれが変わるかもと楽しみにしているファンもいるようです。そして、真っ赤な旗がMTBの会場にもやって来るわけですね。

MTBレースの会場は観客が少ないので、それに変化があるといいと思います。観客がもっと増えるとMTBの選手も遣り甲斐があると思います。オリンピック枠がもっと増えると注目されるのでしょうけれど。UCIポイントを稼げば枠も増えるんですが。

・ずっと、ヒカル選手は夏はロードの人というイメージでしたけど、MTBに、というのにはやや驚いたのですが大きな転換ですね。

新たな挑戦ですね。

・フルタイムワーカーとして夏も冬も走るには、クロスと、MTBがよいのではないか、という結論を出したわけですか。

そうですね。また、ロードでは自分の結果を求めるのは難しかったので、アシストをしていたのですが、クリテリウムぐらいは時間も短いので自分で狙うこともありました。MTBは自分で自身の結果を追えるので、モチベーションにつながるという点もあります。

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(2016-17シーズン 小貝川)

・それはまさに、クロス選手に非常に多くみられるメンタリティですね(笑)自分が勝ちたい人が多いですね。ロードでアシストよりも自分自身で結果を出したいという人が多い気がします。

へえ、そうなんですね。
ロードでアシストしてエースが勝つというのも、とても嬉しいんですが、クロスのほうが分かり易いですよね、自分がやればやっただけ結果に反映する感じが。MTBもそういう感じがします。

・夏場用のトレーニングが変わるということになりますか?

そんなに変わらないと思います。ただ、夏場のロードはここで絶対勝ちたいというような目標とするレースというものはなかったので、それよりはMTBで自分の成績のために練習する、という風にしていったほうが身が入るような気がしています。

・お父さんの小坂さんもMTB全日本で勝っていますよね。やっぱりフルタイム仕事との両立だと、MTBとの組み合わせのほうが、ということなんでしょうか。お父さんはロードも出てらっしゃるのをお見かけしましたが。群馬CSCでロードレースを見ていたら突然坂道を小坂お父さんが登ってきて。

オヤジが優勝した当時はMTBのレース時間が2時間半とか長かったのによく勝てたな、すごいなと思います。 変化があることには不安もありますけど、、

・社会人レーサーとしてよりよい形を、自分の中で模索しているということでしょうか。

やれるうちに、やっておきたいというのもあります。やってみないとわからないですから。ダメならダメにしてもそれはしょうがないので。時間がいつまでもあるわけではないし。


日頃の練習、トレーニングについて

・ウイークデーの練習はどういうかんじですか

8:30-17:15までが定時で、練習は夜1-2時間くらい走っています。交通量のないような場所を使って、インターバルのメニューをやっています。今ピークスコーチングの中田さんという人にメニューを組んで、データをみてもらっています。西園選手などのアドバイスもしている人です。

・かなり理論的というか合理的な形でやっているんですね。

そうですね。パワートレーニングはワット数をみて、ワット数指定して何ワットで何分、何本と。自動的に中田さんに自分のトレーニングのデータが飛んで、分析してもらえるようになっています。

・すごい、遠隔コーチングですか。理論的、近代的ですね。 そういえば、2-3年前からヒカル選手は一段筋肉質になりましたよね。

あ、それは別で、ブリッツェンで赤羽のナショナルトレーニングセンターで指導を受けるようになって、それで、普段のウェイトトレーニングのメニューを組んでもらったんです。一昨年の春先から指導を受けるようになりました。それまではウエイトは自分でやってなかったんです。ウェイトは教わってからずっと続けていますね。

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(2016-17シーズン 寒河江

・どういうところが強化されたと思いますか

パワーが伸びました。最大パワーが伸びました。上半身の筋力がアップしたことで、バイクコントロールが向上しました。

・見た目の印象がかなり変わったと思います。

そうですね。2㎏ぐらいは増えました。

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(2013-14シーズン、猪苗代湖

・膝の上の両サイド、何筋というのか、それが太くなりましたね。

はい、そうですね。まあそこは結果としてついた感じですね。

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(2016-17 シーズン みずほの:急坂を軽々登るヒカル選手をみて、横に居た女子選手が筋トレを決意した)

・たぶん宇都宮エキシビションのときに見た目変わった、、と強く思った記憶があります。

その前年は練習量も時間がとれなくて、細かったというのもあると思います。

今の部署は業務量が以前より少ないので、状況は良くなりました。またしばらくするとシャッフルがあるんですが。30歳くらいまでは3年に1回くらいはあるようです。


コース比較:日本と欧州、昔と今、機材の変化

・世界選はすごいコースだったみたいですね。

前代未聞でした。あれはちょっとやばすぎだと感じました。

・日本人選手たちはこの間の世界選のコースを見たときにどういう反応でしたか、怖いと言っていませんでしたか。

怖いといっていましたよ(苦笑)でも行くしかないでしょう、という感じで(苦笑)みんなそれは外国人も同様で、ゴール手前のキャンバーの前にはたくさんの選手が溜まっていて、よし、いくか、じゃあ次いくの誰か、おそるおそる、みたいなシーンが見られました。

・コースの設定上のミスみたいな面もあったんでしょうか?

最近コースがああいう風に激しくなってきています。ディスクブレーキの普及につれて。ディスクブレーキ前提というコースになっている。ディスクでないとコントロールできない、対応できないような。

・そのときの天候やコンディションもあるんでしょうか?もうディスクしかないというかんじなんでしょうか。

世界選では自分と時(沢田選手)だけカンチブレーキでした。

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(2016年、欧州個人遠征にて)

・それは、こだわりがあって?

自分はディスクに対応したホイールの用意が間に合わなかったんです。時はアンカーの作っている製品がディスクに対応していない関係だと思います。

・このところの傾向として、キワモノっぽいというか、過酷すぎるともいえるコースが国内外とも増えているんでしょうか?

ヨーロッパはトップレースは激しい下りを入れるなどのレースが増えている感じがします。毎年同じところでやっているコースでも、走り方が変わってきているような気がします。スピードだして、ガッとかけて、ギャっとまがって、という風になっています。ディスクブレーキ前提なので。

・ヨーロッパのレースをストリーミングでみていると、最近はいったん発生するとダメージの大きいクラッシュが増えているように見えます。

そう思います。カンチのときはもっと減速して曲がっていました。今、選手たちはけっこう、突っ込んでいくようになりました。

DSC_0091_00012  (2015-16シーズン、優勝争いをした東京シクロクロス

・平均速度も速くなって。

速くなっていると思います。

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(2016年 欧州個人遠征にて)

・世界はそういう流れになっていると。ではそれに対して、日本のコースについてはどう感じていますか。

もっとスピードに乗らせるコースを作ろうと思えばできるところもあるのに、細かいコースになってしまっているのが勿体無いと思うときもあります。

日本ではやむを得ない場所の制約もありますので、ヨーロッパのようなダイナミックなコースまでは難しいかもしれませんが。

時々レース前にいろんな意見が出てコース変更ということがありますが、自分はコースにクレームをつけたりするのは好きではありません。

ただし整備が不十分なことによってパンクが頻発するようなコースはいただけないです。選手が時間と労力を使ってレースに臨んでいるのに、整備不足でゴロゴロ転がっている石のせいで勝負が決まったりするのは納得しづらいです。

・今シーズンはどのレースが印象に残っていますか。

野辺山の1日目で勝ったことでしょうか。ずっと勝ちたいと思っていて、シーズンの中でも野辺山を全日本とともにターゲットにして準備していて、それで狙いどおり勝てたのはとても嬉しかったです。

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(2016-17シーズン野辺山1日目: レース進行中に路面が凍結してゆく過酷な条件下で勝利

・あの、とても寒くて厳しいコンディションでの勝利ですね。狙って準備していたんですね。

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・ヒカル選手の優勝シーンは数々みているのですが、あの時のヒカル選手からは、一段力強くなった頼もしさを感じたとともに、根っこから湧き上がるような喜びをひしひし伝わってきて、感銘を受けました。
・そういえばオランダ遠征中のナショナルレース後の写真をみたときも、あ、このヒカル選手は素な感じだ、って思いました。


赤い旗の中、勝つために走った全日本選手権

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 ・宇都宮のレースにいくと驚くのが、コアなファンではなく(苦笑)普通の人、おじいちゃんおばあちゃんとかが観戦に来てくれているところです。

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おにいちゃん、ブリッツェンなんだろ、って。先日のみずほののレースに、おばあちゃんとかが来てくれていて、それが、ろまんちっく村のレースを観て、面白かったから見に来たんだよ、と言ってくれたりして。 

ふつうの、おじいちゃんおばあちゃん。

・通常の関東のレースは身内とマニアが多いですし(苦笑)宇都宮はフランドル地方みたいになってきているんでしょうか。。

 

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(2015年の宇都宮城址で開催されたエキシビション会場)

・そういえばフランドル地方は市民が自転車選手をよく知っているので、町を歩いていても選手にチェックが入っているというのを聞きますが、ヒカル選手は宇都宮の街を歩いているときあ、小坂さんだ、などと騒がれたり、追いかけられたりとかはないですか。

(笑)ないですねー。街で知り合いには遭いますけれど。

・じつはチェックされてたりして。女の子連れだとか。

ないです(笑)ブリッツェンのレースを観てくれる人たちも、自分がヘルメットとサングラスに、ジャージでないと判別できないのではないですかね。

・熱烈なファンもこれまでにできてきたのでは。

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自分にというより、ブリッツェンを応援している方たちです。

・選手としては宇都宮ではもう長く知られていて、かなりの周知度でしょうね。

そうですね、けっこう認知されてきたかなと感じています。赤い旗をもって、あちこちに応援に来てくれることが凄いと思いますし、本当にありがたいです。

・その・・・ぶっちゃけ。しんどいとかは。?苦笑。

すごく嬉しいです。力になってます。

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(2016-17シーズン、全日本選手権

・リザルトでいうと何秒かアップするぐらいですか。

していると思いますね、あれだけ応援してくれると。

・全日本のときに赤い旗が林立していましたよね、何重にもなって。

はい。

・そこまでになってくると逆にプレッシャーが大変ではと。(←しつこい)

全日本は大変でした。ファンの人たちがということではなくて、チームやお世話になっている周囲のことを考えると。どう考えても「お前のための全日本だ」というお膳立てが揃っていたので。

・すごいプレッシャーで大変だろうな、というのは皆が思っていたと思いますよ。

自分が勝つ、勝つんだと思って、準備してきました。

・この段取り、この状況ではもう勝つしかないでしょうという包囲網のような。

前夜寝られなかったですね。自分がいままで生きてきた中で最大にプレッシャーを感じていました。

・本当にそれは、想像してこちらの胸が痛むほどにあまりある感じでした。大変だろうけれど、それでも、頑張れと思ってる人がいっぱいいたと思います。

あれで、勝てれば最高だったんでしょうけどね。。(しみじみ)そればかりは、わからないですから、レースは。

・わからないですよね。あの場で何割がヒカル選手応援組だったかと思うと、かなりの比率だったでしょうね。数10パーセントは

そうですよね。かなり。

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・でもありがたいですよね。どのレースにも現れる赤い旗の応援。チームの運営の方々やサポートのスタッフの方たちもいらっしゃるし。

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(2016-17シーズン、幕張)

そうですね。今のスタッフには3年前くらいから、ずっとサポートしてもらっています。メカニック二人と広報が帯同してくれています。ロードシーズンが終わると、フルに帯同してくれています。

・広報の方のレポートが詳細で迅速なのがいつも素晴らしいと思っています。

小森さんの仕事は最速ですね。帰りの車の中で作業していますし。

ロードも全部あの人がやっています。

・現場で全く気が抜けないですよね。小森さんの撮影は特に邪魔しないように心がけています(笑)

 

海外遠征事始め08-09オランダと、今シーズンの個人オランダ遠征

・昨年末に池本選手と行った欧州遠征はチーム活動というよりは、自分で行きたいという事で行ったのですか。

はい、チームには、自分が行きたいので、行ってきます、という個人遠征ですね。今回運転もレンタカー借りるのも自分でやりましたし、レース会場に行っての行動もというのも池本さんの動きを見て。

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(2016年 欧州個人遠征にて)

・もう、今後は一人でもあちらに遠征できますね。

できると思います。

・そういう面でも自信がついたようですね。最終日のブリュッセルは別行動で、単独で街をみてあるいたようですよね。

はい、自由行動日ということになって。結構たくさん歩き回りすぎて、最後はカフェに座って脚を休めていました。

・初めての海外遠征は、ブリッツェンに入る前の2008-2009シーズンだったと。

はい、オランダのハリーさんのところに2週間ちょっと滞在しました。アンダー23のZolder やLoenhoutに出場しました。

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(ハリーさん。2015年)

・そのときはお父さんと一緒ですか?

父は仕事があって自分だけでした。いきなり初めての海外で、ハリーさんと二人で家で暮らすというのは色々大変でした。空港に最初に到着したときに時間どおりにハリーさんがいなくて、もう、どうしようかと途方に暮れた記憶があります。

・初めての海外で一人で、途方に暮れた経験は強い印象だったでしょうね。今シーズンの遠征でも、ハリーさんはレース会場で会ったヒカル選手に目を細めているように見えました。

そうですね、その後世界選などであちらに出かけるたびに声をかけてくれますね。

・私がFacebookにアップするヒカル選手たちのレース写真に積極的にいいね!くれるんですよ、ハリーさん。最初に行ったころと今シーズンのオランダ・ベルギー遠征についてはどういう違いがありましたか?

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 (トップ10を目指したレースができ、走れたという充実感のあったナショナルレース)

一回目のときは海外自体が初めてでしたし、アンダーと今回とはレースのレベルも違います。
今回は二戦目のナショナルレースで、かなり走れて、ちゃんとレースができた実感がありました。トップ10を目指して走って、11-12位くらいだったのですが、充実感がありました。
あのレースに出場できたことはかなりよかったです。

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(ステイ先のヒュープさんご夫妻)

それに、ステイ先のヒュープさん夫妻や周囲の人たちとの交流もできて、今回は、現地の生活をよく体験できたと思います。車も運転しましたし。 奥さんのアンナカさんが作ってくれたエルテンスープや、パンナクーケンといってオランダのクレープみたいなものにソースをつけてくるくる巻いて食べるんですが。

 ・ソースは甘いものですか。

僕は甘いソースをつけましたけれど甘くないやつもあるようです。エルテンスープは家庭によって全然味が違うようですが、オランダらしい料理が美味しかったですね。レースの後はフリッツを食べてよいことになっていて。

https://asajikan.jp/article/48537 ←エルテンスープ https://matome.naver.jp/odai/2137404777219491001 ←パンナクーケン

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(オランダ在住の元CX日本チャンピオン荻島美香さん宅で振る舞われた料理、エルテンスープらしきものが)

・選手用の料理というのを作ってもらったんですか。

そうですね、基本はレース前はパスタとサラダで、胃腸に負担をかけないようなものを作ってくれました。朝はパンがお決まりで、いろんなものを塗ったり、チーズをのせたりして食べるんです

・アップルストロープという、一見プルーンエキスみたいなりんごを煮詰めたシロップが美味しいのですよね。

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僕もそれ大好きです(笑)レースのあとはフリッツの日があったりとか。

 ・そういうの一つ一つとっても経験として貴重ですよね。

代表チームの遠征だと味わえない体験ですね。スタッフが全部やってくれますので。

・でもホテルではないし、観光の要素やお酒を飲んだりとかはない。

そうです。競技者としてのふるまいをする前提で泊りに行ってるので、ビールなんてもってのほかです。我慢しました。

・ホテルにとまって、レストランで食事、という形の遠征とはずいぶん違うわけですね。

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池本さんに地元の自転車屋さんや、知り合いのスーパーマーケットに連れて行ってもらい、ホームパーティーもありましたし、これまでの遠征とは違う、その土地での生活に入り込んだ交流や体験ができたのが良かったです。学生時代にハリーさんのところに泊まったときもそういう面はありましたが、海外自体が初めてで戸惑ううちにあっという間に時間が過ぎた感じで。

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(ナショナルレースにて。ここまで遠征の写真は池本さん提供)

今回の個人遠征では最後のレースで、自分はThijs Al (タイス・アル)と同じような位置を走っていたのですが、ゴール後、もう一人同じような位置を走っていた選手とThijs Alと3人でシャワールームで一緒になったんです。そこで話をしたりして。 そのもう一人の選手もかなり強い選手だったのですが、本職が中学校の先生で、工夫して選手として競技生活と続けている人だったんです。オランダは競技志向の人しかレースに出ていないのですが、プロ予備軍やプロだけでなくて、そういう人もいるんだ、ということがわかったのは良かったです。

http://www.siteducyclisme.net/coureurfiche.php?coureurid=110 ←もとFIDEA所属のタイス・アル。北京CXへの遠征も毎年行っており、日本選手との接点もある。

・辻浦さんや、豊岡さん、田中苑子さんたちと合宿のような形でも遠征をしていましたね。

そうですね。自分が参加したのは就職前のシーズン、1か月ベルギーで家を借りて、アンカーのメカニックの人やランジットさんがサポートしてくれて。

・しかし1か月単位の遠征というのは通常の社会人になると難しいですよね。

無理ですね。そのときの合宿は、ビッグレースばかり走ったのですが、とても楽しかったですね。

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(個人遠征はピット要員確保も一苦労、荻島美香さんやシマノの欧州駐在員松井さんが助っ人に:松井さん提供)

・世界選前後の代表チームとしての遠征と、個人遠征についてはかなり違うのでしょうか。

代表チームは団体行動で、ホテルに泊まり揃って行動、メカニックが数人随行して、滞在中は整備に時間を使い完璧にマシンを整えてくれますので、選手は走ることだけを考えていればよいです。自分の部屋にいるか、食事か、トレーニングか、という感じで。それ以外の色々な手配や段取りを考えたり、現地や他国の選手との交流をする機会はあまりないですね。

日本選手団は人数が多くなりましたね。

これまでも出場しようとすれば、もうすこし多くできたのでしょうけれども、今回はスタッフも多く集めて、選手も増やす方向で出場することにしたようです。

シクロクロスは機材が多いですから、メカニックも人数が多く必要で大変ですよね。

TOYOの石垣さんと社員の二名、竹之内脩兵さん、脩兵さんのお店で働いている人、アンカーの社員の人は世界選だけでしたが。それから現地でいつも日本人をサポートしてくれるランジットさんのメンバーで9人の選手に対応してくれました。世界選のメカニックは本当に入念にやってくれました。食事のとき以外はずっと仕事している感じでした。

・ランジットさんは今回も日本チームのサポートをしてくれたんですね。

そうですね。現地の人のサポートがあると全く違いますね。

 ・来シーズン、世界選以外に個人遠征の予定は?

可能なら、ぜひまた行きたいと思います。

((2)へつづく。)

*1:最近レース会場で小坂選手、というと小坂光選手を指すことが増えてきました。私は小坂選手→小坂正則選手(父)、ヒカル選手→小坂光選手(息子)という呼び方に慣れ親しんで来たために、この記事では「ヒカル選手」と表記させていただきます。

ニセコクラシックに来日のVervecken(振り返る07年世界選手権)

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Erwin Verveckenが来日中である。ヴェルヴェッケンといえば:

2001,  2006 と2007年のCX世界チャンピオン3回経験者で、長身(194センチ)で、コメンテーターに呼ばれたりすると語り口爽やか、引退後はGolazoというスポーツマネジメント会社でシクロクロスのレースを手がけているのは知っていた。

2006年のTour of JapanでFIDEAが来日した時の彼を見た、サインをもらったという人たちがいるはず。http://d.hatena.ne.jp/doroace/touch/20100114/1263472512 ←泥山田さんは写真を撮っていた。

また、彼の勝利した世界選手権で、Erwin Vervecken Supporterと刺繍されたキャップを買った人もいる。

そういえばGolazoの仕事でhttp://tannenbaum.hatenadiary.jp/entry/20121013/p2 ←当時のbpost bank trofee(現 DVV trofee )がGVAトロフィーから名前が変更になった際に総合ランキングを合計タイム制にしたり、GVAスプリントによるボーナスポイントを設けたりしたのも彼の発案らしい。

UCIグランフォンド担当でもあるらしく、この度、ニセコクラシックのために来日する機会を活かして、7月10日(月)の夜、東京の東洋フレームで竹之内選手、同社の石垣氏とのトークショーが開催される。

こんな大物が日本でトークショーって、なかなか貴重~。

www.cyclowired.jp

世界選に合わせるのが得意な選手だったらしい。いつもコンディションのピークは1月。普段のレースに常勝しているイメージはなかったが、ビッグレース、タイトル戦に強いタイプだったのかな。

特に印象的なのが2006-2007シーズンのHoogelede-Gitsで開催された世界選手権。それまでなんとなく観ていたシクロクロスに引き込まれたのがこのレースだ。当時UCIポイントリーダーだったNysとWellensが有力で前年度世界選勝者Verveckenはこのシーズン中はあまりよくはなかったものの、3番人気で優勝候補の一角であった。

レース前のオッズは以下の通り。

 

Unibet Odds For The Weekend
Nys 1.50
Wellens 4.50
Vervecken 9.00
Dlask 22.00
Vanthourenhout 22.00
De Knegt 30.00
Groenendaal 30.00
Gadret 40.00
Franzoi 50.00
Simunek 75.00
What about Francis Mourey? 

PEZ Previews: World Cyclocross Championships - PezCycling News より。)

砂地が難関で、上りの泥でもホイールが刺さって前転するような大変そうなコース。Wellensが沿道の観客にカラテキックを見舞ったような観客とのトラブルの再来を避けるため二重フェンスという対策を取っていたらしい。撮影バイクと並走する区間は選手走行レーンとの間にプラスチックのフェンスが設置されていた。

二強NysとWellensはレース前半、Wellensがカメラオートバイが接触して動いていたプラスチックバリアにあたって落車、Nysも巻き添え落車。2大優勝候補が先頭から脱落する大荒れの展開に。

このときまだCX観戦にそこまでハマっていなかったせいか、有力候補が揃ってあんなことでいなくなるって、あーもう今年の世界選微妙、とかは感じずその後の他の選手達の、こうなったら自分が狙うぜ!という攻防が見応えあった。

(↓フル動画。17分過ぎに「動くシケイン」落車が。)

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 ↓これは、ラスト15分の動画。

 

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このラスト15分、Franzoiは脱落、Verveckenははじめあまり前に出ていなくて、戦前評ではトップ10ぐらいの予想だったJonathan Pageがほとんど前を走り、米国人が勝つ歴史的なレースになるか?とざわついた時間帯。
VerveckenとPageの、1対1のテンション高いせめぎあいに引き込まれた(近年ではVan AertとVan der Poelがよくこういうのやってますかね)。

結局、最終周回の短い上りで前に出たVerveckenがその後ぐんぐんリードを広げて勝利。脚、ためてた?

3強とはいえNysとWellensと比べるとややおとなしい印象だった彼だけどベルギーチームとしてはひと安心な結果だったのでは。

レース後、UCIリーダーなのにまたもや世界選タイトルには縁が薄かったNysは達観したようなコメントだったけれど、Wellensはまさにこの日絶好調だったらしく(落車で手首骨折にもかかわらず最後4位まで上げた)、悔しさはひとしお、着るべき選手のところにアルカンシェルがいかなかった、Verveckenは表彰台の資格はあるけれどアルカンシェルを着るべき選手ではない、さらにVervecen以外の二人(PageとFranzoi) は表彰台はふさわしくない選手、と息巻いたり、後日カメラバイクの会社を訴えると言ったり(どうなったか未確認)話題に事欠かない、たしかに後味としてはよいとは言えないレースだった。

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まあ自分が優勝して不満な態度の人はいないと思うけれど、落ち着いて、はしゃぎすぎず、爽やかだった印象が記憶に残っている。

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シクロクロス東京に来日選手机上チェック (女子)

お台場のレースにやってくる海外選手について少し前にUCIのリザルト表で最近の戦績チェックしてたので、メモに残しておきます。UCIランキング自体は地域や国によって同じUCIレースでもレベルに相違があるので、単純に比較には使えませんが、同じようなレースに出ていれば参考になりそうですよね。

【女子】

Lucie Chainel

旦那さんのスティーブとともに来日するフランス国内タイトルを複数回獲得している選手。

・ゾルダーで15位
・日本人も出場したホーヘルハイデでは38位。
・世界選18位

やっぱりさすがです。格上な感じ。

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 Emily Kachorek
今シーズン冒頭の北京CXの第一ステージでスプリントで勝利しています。きっぷのいいアメリカのお姉さんという感じ。スクイッドバイクスの中の人のようです。

・北京では第一ステージ1位、第二ステージ2位
・しかしながらほかの選手と同じレースはほかに見当たらず。世界選にもワールドカップにも出ていない様子。
・オージーや日本の選手たちよりも北京で上位だったというのが有力情報だと思います。

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 坂口聖香

世界選のカテゴリーは違うので比較てきないのですが、ホーヘルハイデ42位で、Lucie Chainelに迫っています。期待!

 

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今井美穂

・ホーヘルハイデ51位
・世界選30位

オージーたちと武田和佳選手より少し上のリザルトです。見せ場が期待できそう。

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Naomi Williams

・北京では二戦とも4位。武田和佳選手のすこし前。
・ホーヘルハイデ57位。
・世界選32位。

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武田和佳

・北京では7位と8位
・ホーヘルハイデ61位
・世界選35位
Williams選手にとても近いリザルトなのが注目。
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Rebekka Locke

オーストラリア国内チャンピオンです。

・北京では6位と10位
・ホーヘルハイデ64位
・世界選36位
・ちなみにLucie ChainelがでているZolderd51位

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【机上で予想される見どころ】

・優勝候補Chainelにどれだけ迫れるか、坂口、カチョレック

・オージーたちと今井、武田の争いは拮抗するのでは?

というところでしょうか。

 北京のレース後のレセプションで、似たような位置を走って楽しかったよ!とオージーたちのテーブルに挨拶にいった武田和佳選手との記念写真。

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シクロクロス版閣下の怒り動画とコース難易度

このヒトラー映画のワンシーンを使って何かに怒りをぶつけるおふざけビデオ、いろんなバリエーションが出ていますが、シクロクロスをネタにしたものもあったんですね。。ニッチだけど面白かった。

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ローディーたちがその脚力だけで席巻するようなイージーなコースになったと聞き、レースプロモーターへの不満を露にする根っからシクロクロス好きの閣下。

その背景にやむを得ない事情があると説明する部下にぶつける怒りの言葉の数々、晩酌のついでに適当に訳してみました。

(2日前に仕事で2時間半にわたるしつこい会議の記録を書面にしたばかりなのでこういう作業をする癖がついてしまったらしい。。)

www.youtube.com

(新しいシクロクロスのシリーズ戦開催地について部下の報告を受けている閣下。いくつものステージがあり、ナイトレースもあるようだ。)
・よろしい、あのあたりのコースは由緒のあるものだ。ハードな漢のコースだ。

(目くばせし合う部下)

(部下) 閣下。。プロモーターがコースからサンドセクションを、、、サンドセクションと、オフキャンバーと、階段の登りをコースから外しました。
(部下) 基本、コースはコーナーの少ない2㎞のフラットコースです。

(震える手で眼鏡をはずす閣下)

・冬用スキンスーツを持ってないもの、Adri van der Poelの名前を聞いたことがない者、gravel grinders race*1に出てるやつはここから出ていけ。

(数名のみ残る)

・なんてことしてくれたんだ!?!

・わしは代車用バイクに45万円使ったところなんだぞ。

・先月はあまりにもたくさんのタイヤを貼ったから、メッサーシュミット戦闘機のパイロットよりもハイになってしまったぐらいだ。

・インターバル練習を激しく吐くまでやったさ。

・一体何のためだったんだ。

・筋肉ローディーのやつらがわしに屈辱を与えに来るのか?

クリテリウム怪獣たちと難易度低いコースでお付き合いしろというのか。

(部下) 閣下、エントリー数の低下です。人々はコースがどれも厳しいと愚痴っていたそうです。

・コースは難しくあるべきなんだぞ!

(部下) しかし、プロモーターはコースを簡単にするしか選択肢はないと考えたようで。。

シクロクロスのコースが簡単になったら、ロードレースになってしまうじゃないか、二時間ぐるぐるやって、互いを風よけにしながらエナジードリンクをすするんだ、で、ゴールの500M前になったらスプリントの準備をして、勝負時が来たとかいうんだ。

・やつらはあほくさいシーズンのあとにこっちになだれ込んできて、わしらのパーティをぶち壊しにするんだ。わしはロードレースに泥がないなんて文句いったことはないぞ。

・奴らはワット数と直線でのパワーが超カッコいいいって思っていやがる。

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バイクからコケずに降りることすらできないくせにな。

・どうせ、プロモーターはシケインだってコースから取り除くんじゃないのか!!

・そんなコースでどうやってわしが表彰台に登れるなんて思う?

・原始人みたいなまぬけたちがシリーズ戦を席巻するんだ。

・ローディーたち、やだやだ!

・シーズン開始が早まって、9月初旬の天候が穏やかな時期にクロスのシーズンが始まったりするのは、やつらをのさばらせるだけだ。やつらはピークの状態でやってきて、わしらを撃破するんだ。

・もし、真のクロスのコースがあれば。

・真のクロスのコースさえ用意されていれば、わしはあいつら全員をやっつけることができる。
・なのに、わしのできることといえば、ラップされないようにすることぐらいだ。

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(ねえゲルタ、私閣下の言ってることもフロントブレーキは右側っていうのもわからないわ)

 (息切れしてハアハアいう)

・わしのシクロクロス用Zipp404ホイールたちと色んなトレッドのタイヤ達になんの意味があるというのか。

・そんな弱っちいコース、25㎜のRubino Proでも十分走れるぞ。

・毎年わしはクロスのシーズンが来るのが楽しみだったんだ。

・クロスはハードな男たちのゲームだった。でもあいつらがそれを腰抜けのための腰抜けなスポーツにしてしまった。

・メカニックに言って、わしのディレイラーを外せって言っとけ。安いビールひっかけて、シングルスピードに今年は出るさ。

・ヒゲでもはやして、皮肉っぽくやるさ。

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きょうのコースはツルペタだから、ローディの○○さんが勝つんじゃない?俺はきょうはムリ、とか言う発言が出るコースは日本にも確かにありますけど、シリーズ全部となるとそれはさすがに。

いま米国でイージーコースで脚力だけで勝ててしまうレースが増えて不満を募らせる生え抜きシクロクロス選手が増加しているのか、わたしには分かりませんけどー。

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閣下も夏場はロードレースにでているようですが、道場破りするぐらいの気概があると良いですねw 

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いっぽう、Bieles世界選手権のコースが難易度高すぎて、機材や選手、レース展開へのダメージが大きくゆきすぎではという声が出ているようで。

厳しすぎるコースで、幼児のようにヒョコヒョコクリアする世界のトップ選手、辛くて涙を流す女子選手、個人的には特に見たいと思う光景ではなく。

彼らの技術と脚力による勝負をバランスよくカッコいい形で見せてくれる、そんなコースが観客のわたしには望ましい(←言うは易し。。)

まあそれはトイレを増設したり表彰台の副賞を豪華にするよりさじ加減が難しいものかもしれませんが。

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そういえば幕張のレースのとき、米国の自転車開発者のかたと少しお話しましたが、米国から見た日本のシクロクロスはテクニカルなコースが多い傾向と見られているようです。そうなんですね。

*1:グラベルグランフォンドみたいなんですが、どうしてここでこのレースに出てくる人が追い出されるのかわかりません。シクロクロッサーではない証拠みたいなもの?よくわからん

Sanne Cantの宿願達成と女子サイクリングに投じた一石(世界選手権2016-17女子エリート)

世界選手権が終わりましたね。。一番印象に残ったのはやはり、Marianne VosとSanne Cantの一騎打ちでしょうか。

http://www.cicloweb.it/wp-content/uploads/2017/01/17sannecantwcbieles-990x660.jpg

(Cycloweb. it より)

怪我による長い欠場(2年ぐらい?)から12月のレース復帰後すでに手の施しようがない圧勝シーンを見せつけてきた、ロードもトラックもMTBもすべて強い女王様、8回目のタイトルを狙うMarianne Vosに、スタートでは後方に沈んだけど諦めないで上がってきて食い下がるまだ若いシクロクロッサーSanne Cant。

www.youtube.com


独走状態だったVosにさすがに追いつくのは厳しいかと思ってた最終周回なかば、8秒差くらいだった時、まさかのVosのチェーン落ちでふたりは合流。その後は転倒しやすいコンディションの中肩と肩をぶつけ合うような競り合い、見ているほうも悲鳴をあげそうでした。

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最初から前で走っていたのならともかく、スタートでかなり出遅れていたカントだったので、追い上げてきた、というところも踏まえるとものすごい気力。

チェーン落ちのお陰で独走レースからガチンコバトルになったわけですが、その後の戦いは今後も語られる屈指の名勝負になりそう。ライブで観られてよかった~。

トップクラスの選手も慎重に走らざるを得ない難しいコースで、シクロクロスのテクニックに長けていたカントのほうがVosよりも今回のコースに向いていたということも言われていますね(フィニッシュストレートも短かった)。Vosも出場者のなかでCantが一番テクニックで優れていて、彼女にこのようなテクニカルなコースで勝つのは難しいことだったと言っているようです。

cyclingtips.com

Cantは若干群雄割拠な感もある昨今の女子選手の中でここ2年くらいワールドカップもSuperptestigeもBpost Bank Trophy (DVV) も洗いざらいタイトルを取りまくって一歩リードしてきたけれども、どうしてか世界選のタイトルは縁がなかったんですよね。

Sanne Cant - Wikipedia

戦績にはいろんなタイトルが「1」ばかり。さぞ、今回こそアルカンシェルを獲りたかったことでしょう。

https://31.media.tumblr.com/930276bc314dd3cfe9f9333f389c8872/tumblr_inline_nj688tXbQv1rh7ox7.png

(California Streamingより)

覚えているのは2015年の世界選手権。フランス人の女子度も脚力も万全な(きらきら)ロード世界チャンピオンポーリーンPauline Ferrand-Prevotにゴールスプリントで敗れ、表彰台で全身全霊がっかり全開、なりふり構わず悔しがっていたサナ。
それと比べてメークもリザルトもばっちりの勝者ポーリーンとの対比の鮮烈さ。このときカントの「素」な感じが強い印象となった。

www.youtube.com

(2015年で2位になった時の世界選手権の動画。ロードの世界チャンプでもあったFerrand-Prevotにスプリントで敗れた。)

このときのサナは敗戦の弁のなかで自分はシーズン冒頭から毎週沢山レースを走ってきてFerrand-PrevotやVosのように12月からクロスシーズンをはじめた選手と比べると、1月終わりの脚のフレッシュさで自分はかなわないのも当然。とパートタイム兼業選手との不公平感?に愚痴モード、だったような。

www.sport.be

まあその後も負けたくないオーラの凄まじさには定評があり、前を走る選手を追うときの眼が「おれの前を走るやつはころす」っていってるみたいだ、と友人たちの間で評判になるほど。
最近はそれでも、メリハリが効くというか、存在感を殺すときもあるような?感じを受けていた。

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優勝決まった後の今回の表情は2015年同様に「素」で、そして素晴らしかった。。ここ数年どころではなく6歳から20年間抱いてきた宿願の達成。わたしも彼女の喜ぶ様子を満喫した。

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と書いたところで上の2015年の表彰式の写真を取り上げた米国女性のブログをすこし斜めに読んでみたけど、当時そのときのカントの表彰台での態度が「プロ意識低い」とか言う向きもあったんだね、このブロガーさんの意見では全身全霊をつぎ込んだレースの後、表面取り繕わない表情を見せることで、カントは女子サイクリングを見る世間の意識に一石を投じてくれた、という意見のようだった(ていうかこのアメリカの自転車ファンの人久しぶりにこのアイコン写真見た)

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綺麗さキラキラを徹底する人もいて、粗削りな「素」が個性の人もいて、その色とりどりっぷりも女子サイクリングを見る醍醐味のひとつな気もします、。(雑食)

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いつも穏やかな印象を受けるVosがあんなにはっきりくやしさをにじませていたというのも印象的で。今後の彼女たちのバトルを見届けたいです。

直後のレースではVosがCantに勝ったみたいですね。連続ドラマシリーズは続く。
(ちなみに私はなぜかナッシュ姐さんがお気に入りですが、彼女も遅れたあとの挽回すごかった)

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(関係ありませんが、クリームチーズをリードペーパータオルかガーゼでくるんで、その上からみりんを混ぜた味噌をぬりたくって数日置いたものはまさに「醍醐味」です)

www.meg-snow.com

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・・ということで一時期友人の一部に好評だったサナちゃんの眼鏡っこ写真。最近の写真には出てこないなー。普段もコンタクトにしたのかな(※すみっこネタミーハーブログです)

http://www.sport.be/media/photos/2015/januari/cantprv.jpg

(Sport.be より)(誰です、鬼太郎って言ってる人は)

 

 

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日本の女子選手の表彰台も個性豊かでいい感じですよね!
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