tannenbaum居眠り日記💤

観戦者の目による、おもに自転車(おもにシクロクロス)関連のすみっこネタブログです。

千森杯 Qiansen Trophy 2017 2戦目のMVPは竹之内選手(Cyclocross Magazineのレースレポート)

Vanderbeken, Van Tichelt Keep the Belgians Perfect at Qiansen Trophy in Yanqing

前回取り上げたブリーフレポートのあと、Cyclocrossマガジンのフルレポートが出たので読んでみたところ、竹之内選手の活躍が書いてあったので嬉しくなり、眠かったが昨晩ざっと訳してみた。

(以下、適当訳)


【男子レース】

・第一戦ではYorben Van Tichelt (ERA – Circus)は序盤のクラッシュから復帰するのに脚を使った。第二戦ではUCIレース二連戦の2日目によくある、大きな集団が各自林の中を行進、という典型的な進行になるかと見えた。
しかしVan Ticheltに別のプランがあった。彼は前でプレッシャーを与え続けた。最初はMarcel Wildhaber (SCOTT-SRAM MTB Racing) だけがベルギー人の高速ペースに合わせることができ二人で差を広げた。

・ここで一人の名を上げた選手がいた。竹之内悠が4人の追走グループを率い5周回目のはじめには彼はさらに何人かを引き戻して大きな7人の集団を築いた。
・その後レース中盤は集団走行モードに入り、序盤にみられた鋭く速いペースは収束していた。
・平穏は長くは続かず、Van Ticheltがアタックを仕掛け先頭集団を分断しWildhaberとThijs van Amerongen (DESTIL-ZZPR.nl) だけがついて行くことができた。

・比喩的にも文字通りの意味でも砂埃がおさまった6周回目、Van Tichletは8秒にリードを広げ、もはやWildhaberとvan Amerongenは2位争いをするしかなくなった。
・Van Ticheltはギャップ10秒程度を維持し、最終的に後続を7秒離してゴールした。Wildhaberは van Amerongenより持ちこたえ、2度目の2位を確保。Van Amerongenは3位。今日目覚ましい走りをした竹之内は4位。Samparisiが5位。Clarkは表彰台連続はならず。
Van Ticheltはレース後のインタビューで、スタートからいい感じで、どんどん好調になっていったと語った。自分としては1度のビッグアタックで決めるつもりだったが、それが成功した。(アタックについてきた)Marcel(Wildhaber)Thijs(van Amerongen)は本当に強かった。
・Wildhaberも2位を喜んでいるとコメント、タフなレースだった。第一戦とは全く異なる大集団でのレース展開だった。Yorben (Van Tichelt) のアタックは本当に厳しくて、引き戻そうとしたけれど最終周回、自分は本当にきつくなってしまった。ゴールしたときは完全に力尽きていたので、この2位は本当に嬉しい。去年より2戦合わせたポイントは沢山とれたしね。

こんな風に、日本人がレースのMVPとして評価されているのは嬉しい。今回の北京のおうち観戦では、状況を知るのにこの米国Cyclocross Magazineの速報性と内容は有難かった。ピットサポートやレースに出ながら書いているAustralian Cyclocross Magazineの記事も第一戦について臨場感あふれるレポートが出ているhttp://www.australiancxmagazine.com.au/quiansen-trophy-uci-c1-cyclocross-2017-round-1/

なお、小坂光選手は負傷リタイアしたらしい。焦らず回復に集中してほしい。

 

【女子レース】

・第二戦は第一戦同様Joyce Vanderbeken (Stevens Pro Cycling – Donen/Vondelmolen CX) 、Serena Gordon とEmily Kachorek (Squid Bikes), の3名の間で激しい打撃戦になった。

・レースは高速でスタートし、Kachorek, Samantha Runnels (Squid Bikes), と、オランダ人Geerte Hoeke (2WCBeuningen – MTB Licht Verzet)、Serena Gordonと Vanderbekenの5名が抜け出し前半は彼らが交代で前に出た。最初の周回でVanderbekenとHoekeが前で展開し、2周回目はGordonがシングルトラックで抜け出した。

・集団の中で二人いたSquidの選手Kachorek と Runnels は数的優位を活かしてKachorekが前の二人に追いつく。シーズン冒頭からチーム連携の練習はできていたと思われる。

・5-6周回目は5人の逃げグループは最終的にVanderbeken, Gordon and Kachorek.に集約された。最後の2周回とも、Vanderbekenが階段のイン側からリードを奪い、2回目のそれが決定打となった。後続はHoekeがRunnelsより持ちこたえ、後ろから来たDaniele Arman (Tenspeed Hero) がRunnelsを捉えて5位を獲得した。

・レース後、Kachorekは接近戦だったのでミスのない選手が勝ち残ったとコメント。コースはファンタスティックだった。お互い何度も前を奪い合い、最後の500メートルまで誰が勝つかわからない、ささいなミスで勝利が逃げるような展開だった。と語った。

唐見選手は8位で期待を裏切らない結果。事前にここで優勝候補と書いたAlvarado (クルクルのロングヘアに現地ではボンバーヘッドとよばれていたらしい)は結局DNFに終わった。パンクしたと聞いている。


しかしベルギー人の同じ選手が男女とも2戦2勝、苦労して遠征した甲斐あって、がっつポイントを取れましたね。これから始まるワールドカップで彼らの姿を見ることはできるかな。

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男子も女子も僅差のエキサイティングなレースになったようで、見に来ていた現地の人たちも楽しめたのではないでしょうか。
沿道の相当比率を占めていたのはカメラ愛好家団体だったようですが、アマチュアレースに出たMTB選手も見ていたはず。今後主催者はワールドカップ開催を視野に入れているようだけれども、現地のシクロクロス選手も出てくると良いですね。

千森杯 Qiansen Trophy 2017 #2 男子 竹之内表彰台へ僅差

ストリーミングは見ていないが、Cyclocross Magazineにレポートが早速出ていた。
【 男子】

2017 Qiansen Trophy: Yorben van Tichelt Completes Belgian Sweep at Yanqing Station - Race #2 Brief Results

  1. Yorben van Tichelt (BEL)1:01:10
  2. Marcel Wildhaber (SWI)1:01:17
  3. Thijs van Amorengen (NED)1:01:18
  4. Yu Takenouchi (JPN)1:01:20
  5. Lorenzo Samparisi (ITA)1:01:25

2-4位のタイムが団子だ。

(適当抄訳)

コース序盤のダブルステップでレースは早くも決定的に分断され、一戦目勝者Van Tichelt (ベルギー)がMarcel Wildhaber(スイス)を引き連れホールショットを獲ったがまとまった人数の後続トレインに一旦合流し、1戦目3位のAnthony Clarkもその中にいた。

Thijs van Amerongen(オランダ)とWildhaber、Van Ticheltが先頭交代し、そこにKenneth Hansen (デンマ-ク)とLorenzo Samparisi(イタリア)、竹之内悠が着く。ClarkとHansenの脱落後、しばらくVan Ticheltはほかの選手に引くに任せていたが、6周回目で今行く時と見たのか強烈なアタックで瞬時に差をつけ、残り3周時点のタイム差は8秒、開く一方だった。
後続はWildhaberがリードしていたが、危うく3位争いのVan Amerongenと竹之内に捕まるところだった。Amerongenは最後に竹之内を突き放して、ポディウム入りを果たし、もう少しのところで消耗したWildhaberを抜くところだった。

 ゴールシーン見ていたら興奮しただろうと思う。今日は仕事でライブ動画は見ていないけれども、1戦目スタート直後の落車だかで渋滞でかなり遅れた竹之内選手、その後の挽回がすごかったのは見た。
Van Ticheltは強かったですね。昨シーズンイギリスのNational Trophyばかり沢山出たのは何故なんだろう、これでポイント80×2も獲得してしまった。シクロクロスマガジンによればこれでUCIトップ50位を確保したらしい。席争いが大変なベルギー人選手の中において、ワールドカップ出場権をゲットになるんでしたっけ。

竹之内選手は一戦目と合わせてUCIポイントを47ポイント獲得した。昨シーズンのベルギーのレース欠場があるけれど、スタート位置いくらか挽回できるか。

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(昨年のYanqingステージ)
序盤のステップはこれかな、登って、すぐ斜面を駆け下りてまた登る。 dsc_2896_29479801466_o

(昨年のYanqingステージ)いくつもの縦にのびる隊列ができやすいコースのようだった。小坂父が牽いているのはかっこよかったな。

 

千森杯 Qiansen Trophy 2017:女子注目選手と大気汚染ファクター

第一戦Fengtaiが終わったところでCXマガジンに女子出場選手のUCIランク表がでているのをみつけた。

 

http://www.cxmagazine.com/2017-china-qiansen-trophy-cyclocross-races-start-rider-list

Full Name Team Name Gender Nat UCI Rank
JOYCE VANDERBEKEN STEVENS Pro Cycling – Donen-Vondelmolen CX team F BEL 34
CEYLIN DEL CARMEN ALVARADO Kleuropmaat/BNS technics Cyclingteam F NED 43
EMILY KACHOREK SQUID F USA 64
KATHRYN CUMMING Jalapeno Cycling/King Kog F USA 71
GERALDINE HOEKE 2WCBeuningen – MTB Licht Verzet F NED 77
REBECCA LOCKE JBLOOD ADVENTURES F AUS 86
NAOMI WILLIAMS JBLOOD ADVENTURES F AUS 102
SERENA GORDON GIANT FACTORY OFF ROAD TEAM F USA 106
ASHLEY BARSON JAKROO F CAN 115
MIYOKO KARAMI Japan selection team F JPN 143

UCIランク順。第一戦の表彰台3名はAlvaradoを除いてこの順番どおりの結果に。
・優勝したVanderbekenはベルギー選手権で6位、SuperprestigeのRuddervoordeで9位、ワールドカップもおよそ20-30位台前後に入っている選手で、納得の結果。
・私は昨年第2戦だったFengtaiで勝っている19歳の小柄なオランダ人Alvaradoが有力かと思っていたが、第一戦はリタイア。
・昨年の北京後の実績はかなりのもの。DVVとSuperprestigeでコンスタントに10位台前半。国内ではオランダU23 で4位。同じレースにでているVanderbekenよりも上の順位のリザルトもあり実績からいうと優勝候補であることには間違いない。千森杯 万里の長城で、勝利宣言する女子選手に遭遇 - tannenbaum居眠り日記💤←去年Alvaradoに話を聞いたときの記事
・3位のKachorekは昨年の北京の第一戦勝者。2月にお台場で来日し、その時にAbove Bike Storeで日本人と交流しているので、日本からもエールを送る人が多いのではないか。北米外のレースの結果が北京以外になく他地域の選手との力関係は推し量りにくかったが、UCIランクどおりの順位になっている。


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(昨年の北京第2戦後。左がKachorek, 中央がAlvalado)

・第一戦で2位の米国人GordonはKachorekよりもさらに実力が推し量りにくい。UCIレースはClass2の北米のレースしか走っていない。

Former runner now top cyclist; Bend's Serena Bishop Gordon is one of the top cyclocross competitors もともとマラソンや、ウルトラマラソンを走るランナー出身の選手らしい。

・あとは去年の北京も、今年のお台場にも出ていたオーストラリア人Rebecca LockeとNaomi Williamsの二人組も個人的に気になるところ。フルタイムワーカーで休暇とお金のやりくりに苦労しながら、ヨーロッパ遠征も自力手配ベースでやっている、日本のレースもまた来たい、とお台場で話してくれた。
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・現地に行っているメディアの阿部さんの話によると、第一戦のAlvaradoは出足好調だったが、呼吸器の問題でリタイアしたとのこと。
・昨年と比べて、北京市街地の近郊Fengtaiの空気は良くなかったらしい。男子の第一戦で独走状態だったMarcel Wildhaberもまた走行中に呼吸器トラブルを起こしたらしく、優勝はベルギー人のVan Ticheltに持って行かれた。
・今年も参戦の須藤むつみさんも、去年より今年のほうが大気汚染は悪い気がすると言っている。
・第一戦のFengtaiは北京市市街地から近く、今日の第二戦のYanqingは万里の長城観光の拠点になる高原リゾートで、第二戦は第一戦よりは空気は良いようだけれど、私は昨年Yanqingの短いアップダウンのダートの砂埃を思い切り吸いながら屈んで撮影していたせいもあってか、夜に咳がとまらなくなり須藤むつみさん持参の咳止め薬に助けられた記憶がある。
・諏訪監督によると、現在日本人で呼吸器に影響が出ている選手はいないとのことだったが、やはり、レースのファクターになるほどの大気汚染というのは相当なレベル。
・昨年北京遠征する武田選手にPM2.5対策マスク持参をアドバイスしたという齊藤選手に、持参しているのかと聞いたが、それはしていないらしい。

 

 ともあれ、あと1戦、体調に気をつけて戦い、無事に帰国を。

 

MTBO世界選リトアニアみやげ話

臼杵レーシングの綿貫さんの家に、MTBO(マウンテンバイク・オリエンテーリング)世界選手権に出場しリトアニアから帰国したばかりのもりごんこと森美穂子選手が「預けていた植木を引き取りに」来るというので私もお帰りなさいを言いに行ってきました。

マウンテンバイク・オリエンテーリング - Wikipedia

マウンテンバイク(MTB)に乗車してオリエンテーリングをするスポーツ競技。国際オリエンテーリング連盟(IOF)が公式に推進しているオリエンテーリング4種目のひとつ。バイク競技の体力、持久力、技術と共に、MTBに乗車したまま高速で最良のルートを選ぶ厳しい判断力が求められる[1]

地図を読みながら、MTBに乗ってオリエンテーリングをするらしいのだが、いろんな能力が求められそうで難しそうな競技だ。

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もりごんといえば、冬のシクロクロス会場で糖分控えめの特製しるこを配布するL1選手として一部で知られているが、長期海外出張が多く、インドネシアのような国の見たこともない珍しいお菓子を頂いたこともある。異文化、初めての土地に対しての適応力は相当なレベルと見た。そんな彼女がMTBO世界選手権に出場するというのは違和感ないイメージだった。

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とりあえず、わたしの家の庭で摘んだハーブ入り花束を差し上げてみました。ハーブの「タンジー」(虫が嫌う)の花の匂いを深々と吸い「菊の花の真ん中の匂いがする…」という天然資源系薬学の研究者。
着ているTシャツは、向こうでフランスチームの選手たちから、日本製のサイクルジャージが高品質なので自分たちのと交換してくれという申込があり、もりごんはブカブカサイズのジャージより、このぴったりのTシャツを選んだのだそう。かなりレアだし、とても似合ってますね。

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・渡された地図に書いてあるチェックポイントを番号順に回る。

・小さいレシートのようなものはゴール後センサーが感知したチェックポイント通過時刻が打ち出されるもの。
・ちゃんと番号が打刻されないものがあるのは男子など別カテゴリーのレース用のチェックポイントに反応してしまったときに出るのだとか。

・最近のポイント通過確認の方式は選手の指に装着されたセンサーがチェックポイントから1メートル以内に近づいたら自動記録される。アクションが不要なため却ってそのポイントはちゃんと通過したのに、無効になってしまう。という悲劇が起こる可能性があり、要注意らしい。

・以前のように紙に穴をあけたり、チェックポイントにある器具にセンサーを入れたりの動作が要求されていたほうが逆に記録が確実に残せたのかもしれない、という話。


カーナビゲーションGoogleマップNAVITIMEのアプリが道案内してくれ、地図情報を頭を働かせて読み、自分がどこに居てどこに向かっているのか認識する能力が人類から失われつつある時代。
紙の地図でできるだけ自転車で速く回る、ということは、競技というプレッシャー下でその能力を再生させることができるのかもしれない。地図の読めない女こそ、すべき競技なのではないだろうか。(飛躍)

・この競技の本場は欧州。欧州ではMTBは広く普及しており、こういう競技をできる裾野が広いということらしい。街でMTBOのレースが通過しても、わかっていて見ている市民も多く、あっちあっち、とおせっかい(苦笑)を入れてくる人もいるそう。

・今回のリトアニアのコースは大変難易度が高く、もりごんはいままで出場した世界選の中で一番くたびれてしまい、休息日はひたすら寝て過ごし、買い物に出るチームメイトを見送って翌日のレースに備えたらしい。それでも晩御飯を皆と食べたら回復した、というところはさすが。

・そんなに途中寝込むほど疲れたのにレースを走りきり帰国後休まず出勤、日曜日のこの日は渡良瀬TTに出る知り合いを応援しに自宅から往復140kmを自走した、帰りは思ったより疲れちゃって・・と淡々と話していた。笑。

MTBO日本チームは会場となる国の文化も体験するというのを心がけているらしい。リトアニアは予想以上に石造りの風情ある街が美しく、食べ物も美味しくて驚いたそう。旧ソ連でも、豊かな土地らしいですものね。

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ノンアルコールビールの素。といっても粉を水に混ぜてできあがり、ではなくて、瓶の中で溶いて、紙のフタをして発酵させないと飲めないらしい。。

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綿貫さんが自分で育てた六条麦を収穫して自分で焙煎した麦茶(ひとことで書けてしまうが、完成するまでにとてつもない手間がかかる)を飲みながら、どういう果物を干したら美味しくなるかとか、リトアニアのマンホールの模様と日本との違いとか、地衣類って食べたことある?まずいよ。という普通の女子トークではあまり考えられない会話をしてお開きになった。

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かわいいケーキ?やエコバッグのお土産、ありがとうございました。


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千森杯2017 ストリーミング予定

主催者からの情報。ストリーミング放送予定があるようだ。
http://vku.youku.com/live/play?id=13055

女子は13:30- 男子は14:45-(北京時間)
ゼッケン番号日本チームは女子14-16番、男子15-23番。

北京は日本より1時間遅れ。
(Thanks to Saito-san) 

 

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 昨年来ていたストリーミングでスポーツ中継をするTV局のバス。
かなり本格的に、コースの数カ所に固定カメラを設置していた。今年も同じであれば快適に視聴できるのではないかと思う。

自転車レースを中継はよくやるのか、と英語のできるスタッフに質問したところこの会社は室内トラック競技はよく手がける、シクロクロスは毎年このレースだけ。という話をしていた。
コース上を横切る機材用のケーブルにかんたんに土が載せてあって、ややハラハラしたけど、それにひっかかって転倒したという話は聞かなかった。

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千森杯2017男子選手リストチェック

今年の中国北京の千森杯、主催者から発表されたスタートリストをざっとみていた。現地に行っても行かなくても私の恒例行事に(苦笑)

 下の表は一つの指標としてUCIのランキングをチェックしてみたもの。息子にExcelの比較作業をしてもらった。(女子の表も作ってくれるかな、お母さん待ってる(笑))

ただし各出場選手がポイントを獲得している土俵のレベルが千差万別なので、このランキング順位から実力を正確に比べることはできない。
全員が世界選やワールドカップ、SuperprestigeやDVVに常時出ていれば話はかんたんだったのだけれど。
去年も感じたけれども、それらのレースのすぐ下ぐらいに位置づけられるEKZ TourやToi Toi Cupに出ている選手が多い印象。

竹之内選手は昨年ビザの問題があってベルギーのレースでポイントがつくチャンスが例年よりうんと少なかったで実力を反映したものではない。
日本選手たち、行くからには、UCIポイント、賞金、ゲットしたいですね!下の表の左の列がUCI-C1のレースのポイント。上位15名まで。

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とりあえず、この表の上位7名までをチェックしてみた。

f:id:tannenbaum:20170902135751j:plain例年いる目玉選手はいるだろうか。(男子編)

【Marcel Wilthaber】 (スイス人)

スコットのヴィルトハーベルは去年もこの北京に出場して二戦目Fengtaiの勝者だし昨シーズンのEKZツアーの総合も獲って盤石感が強い。あまりあてにならないとはいえUCIランクも出場選手中ダントツ。

 

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先のBieles世界選は24位。
今年の千森杯は彼が勝ったFengtaiのほうが1戦目だ。この人はベルギーオランダ人を優遇するSuperprestigeやDVVには出ていないのかな。
今年も弟と参戦。試走の時、ものすごい勢いでスコットジャージ軍団が駆け抜けていたのが印象的だった。

かれは変わってる、と昨年ヨーロッパ人の選手の誰かが言っていた気がする。。
EKZツアーと彼については去年書いた。

千森杯 スコット軍団のスイス人とEKZ Tour - tannenbaum居眠り日記💤



【Yorben Van Tichelt】(ベルギー)


Masterclass: Yorben van Tichelt

昨シーズンUCIランキング56位の若手Van Tichelt (ERA-Circus) 。前Sunweb→Marlux所属。現在23歳でまだ十分若いがもともとはBMXで国内タイトルを獲っていたらしい。
ERA-Circusのチームメイトにはビッグレースを常に脅かすSweeck兄弟やBosmansの有名どころやSanne Cantの弟、Jelle Cantなどが居るし、北京で彼をウォッチすべきなことには違いない。

 この人は昨シーズンUCI-1のレースはEKZ TourやToi Toi Cupのリザルトしかでておらず、世界選も出ていないのでかんたんに他の選手との比較ができない。
上のMarcel Wilthaberが総合優勝したEKZ Tour総合11位なので、そのような力関係なのか。my.race|result : : EKZ CrossTour Meilen, 02.01.2017


彼が昨シーズンのポイントを稼いだのは主に英国車連のNational Trophy Series (英国内ではトップクラスのレース)https://www.britishcycling.org.uk/zuvvi/media/bc_files/cyclo_cross/2016/2016-17_BC_National_Trophy_Cyclo_cross_Series_Standings_final.pdf

終戦に欠場していなければ、総合優勝をさらっていたのでは。JCXシリーズに外国人が勝つような。ベルギーからはドーバー海峡渡ったらすぐだからこれまでもスポットでベルギーの若手が出場していたけどここまでNational Trophyに連続して出場していたのは何故か。


以前心臓の手術をしたという記事が出てきた。Succesvolle hartoperatie voor veldrijder Yorben Van Tichelt - HLN.be

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・・と書いたところで現地にいる織田聖選手が、早速オフィシャルトレーニングで彼の後ろをトレースして走らせてもらった、とのinstagram投稿。

昨年の試走でもヒジリ選手は、これと思う選手(評判がどうとかより現場で見て強そうに見える)の後ろを走る、というのを積極的にやっていた。どんどん吸収してもらいたいですね。

 

www.instagram.com


【Thijs van Amerongen】(オランダ人)


Thijs van Amerongen


掘り出し物いた。Thijs van Amerongen、FIDEAにいた選手。いまはZZPR。2012-14年頃はビッグレースで頻繁に目立っていた。昨シーズンもストリーミングで名前が呼ばれているのを聞いて、お、久しぶりと思った記憶がある。2013-14シーズンのUCIランキングは12位だった。14-15は28位、昨シーズンは67位とガクッと落ちた。それでFIDEA放出となったのか。

Thijs van Amerongen - WikipediaWiki

Home - Thijs van Amerongen←本人公式
AmerongenはZZPR(Orange Babiesというチーム名で活動してきた、有名選手*1を輩出してきたオランダのチーム、現行の選手ではTwan van den Brandが有名)からの出場のようだ。ZZPRはDe Stil - Piels Cycling Teamというロードのコンチネンタル登録チームのオフロード部門という位置づけらしい。)
再出発を期する彼は中国で足がかりを掴めるだろうか。

(どうも彼の名前からアメロンゲン、アメが長くなる→千歳飴、と連想してしまうんだけど、longじゃないしrongだし、とか超どうでもいいですね。)

 

【Emil Hekele】チェコ

Emil HekeleHPが非常ーに地味なのとトップにでてくる顔の画像これでいいのかという点が逆に好感度。。40歳でありながら(HPは60歳くらいのセンスか)先の世界選手権Bielesでは22位でWildhaberよりも上なのに注目。悪路得意のチェコ人だからか。

上の Van Ticheltがシングルリザルトを獲っているToi Toi Cupで10位台くらい。


 【小坂光】(日本)
世界選51位、ワールドカップHoogerhide57位。国内のUCIレース野辺山、寒河江で優勝。世界選とワールドカップのリザルトを見ると、下のハンセンあたりがターゲットになるか。
夏はロードの人だったけれども今夏初めてフルにMTBを走った。コンディションはどうだろうか。UCIポイントや賞金は当然ですが、できれば表彰台狙ってほしいですね。。
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【Kenneth Hansen】
デンマーク
デンマークのさわやかルッキングMTB青年(下の写真左)。世界選は36位。ZevenとZolderのワールドカップでは46, 47位。国内選手権では3位。
昨年は小坂父に「以前デンマークの世界選に出たことがあってね」と話しかけられていた。

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【Maxx CHANCE】(米国)

U23米国国内選手権3位の選手のようです。国際舞台での実績がないので、未知数。

Maxx Chance (University of Colorado Boulder) Wins Collegiate Men Club National Title 2017 上のU23の国内選手権の直前に開催された大学クラブ選手権?で優勝したときの記事があった。泥コンディション。

 

(追加)【GOSSE VAN DER MEER】(オランダ)
諏訪総監督から注目選手として送られてきたのがこの選手の写真。試走で、かなり速い、とこの人に注目した様子。

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Gosse van der meer
チェックするとU23カテゴリのオランダの上位選手で、SuperprestigeやDVVのU23 カテゴリでは常にトップ10入りしているようだ。
HPはひたすらシリアスなムードだけれど、ツイッターのアイコンなどみると口ひげを生やしている、ときもあるのかな。わかりやすい英語でツイートしている。

twitter.com

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昨年の目玉たちのその後。

 昨年の第2戦後の記者会見。左からアダムス、ヴィルトハーベル、ジョンジュワード。

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ところで、ポイント荒稼ぎに北京まできた目玉選手として、昨年はRob Peeters とJens Adamsがいた。その後Adamsは昨シーズンのUCIランキングを20位までアップした(前年は体調不良60位台、その前のシーズンは23位だった)。アダムスについては中国遠征効果はあったということか。

特にSuperprestigeでは軒並みシングルリザルト、Gietenはあと一歩で表彰台だった。北京で袖摺り会った選手がバンバンストリーミングで名前が出ると嬉しいものです。
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Peeters(上の写真中央)は前年と変わらないUCI40位だったよう。Wout Van Aertのアシストで活躍していたと見る向きもあるか。

 

これまで各国内で最上位カテゴリーの選手であればエントリー認めます、だったのをセレクション方式に変更し、段階を踏んで選手のリストが増えていって発表される形になった。
主催者側の出場者への経費負担というのは継続のようだけれども、だんだん「来てもらう」、から「主催者が選ぶ」、とステップが進んだようだ。
今後レース内容など、変わってゆくのか、また現地の選手たちの声を聞いてみたい。

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 レース後、賞金を受け取る選手の列、今回日本人はどれだけゲットできるか。

 




*1:Gerben de Knegt, Wilant van Gils, Daphny van den Brand, Ronald Mutsaars, Richard Groenendaal (AA drink), Sanne van Paassen, Sophie de Boer, Micky van Empel, Eddy van IJzendoorn Maik van der Heijden

レモングラスと桃源郷(MTB SHOP OTAKE 大竹雅一氏) 

Attack!299の前日、FRIETENチームのメンバー、根本さんに彼の職場近くの秋葉原で拾っていただき、宿泊地の町田入りする前に、根本氏のおしごと、試乗車を返却する、というのにお付き合いしました。
行き先はこちら。
MTB SHOP OTAKE BLOG
知る人ぞ知る、日本にMTBレースが持ち込まれた時代の伝説の人。大竹雅一氏。「シマノXTを開発した」と教わった。日本人で初めてMTB全米選手権(NORBA)で表彰台に登り、全日本MTB選手権初代優勝者。
いまは秦野でショップを開業しておられます。

佐宗さんが乗っている、緑のバイクにOTAKEってロゴがあったような。
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大竹さんのお名前は以前からレジェンド的存在としてお聞きしていたけれど、はじめてお会いしたのは、2015年、佐宗さんの結婚パーティー。
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私はロードバイクを買う前後、オータケ自転車 (FR-700)、という乗り心地のいい自転車をサイクルモード(当時はまだ東京国際自転車展?)で試乗し、本気で買うかどうか悩んだことがあった。
なにやらひと味ちがう商品が揃っている東京サンエスのブースでリーベンデールかっこいいなとか思いつつ、なんだかすごい方が設計したというオータケバイクを借りて試乗レーンでぐるぐる回るひとたちに混ざって試乗したのだった。
ブルー・グレーに塗装されたクラシックな外観だったが(フラットバーと両方つけられると聞いた気がするが試乗車はドロップハンドルだった記憶)、なれない人間にもスルスル操れ、包容力のあるおじさまの様なバイク、余裕ある大人のための、という印象を持った。結局その後Levelのクロモリのロードにしたのだけど。

そして10年後の結婚パーティーでオータケさん当人に遭遇。はじめてお見かけしたご本人は、皆のリスペクトをカサに着ない、少年のようなムードの自然体な方だった。
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そして今回はいよいよ、お店拝見。思えば数奇な巡り合わせである(かなり大げさ)。
到着前にネモさんから、お店の内装すべてが大竹さんの自作であること、お宝がざくざくなこと、そして、熱心に畑をやっていること、というブリーフィングを受ける。
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アメリカのロードムービーにでてきそうな佇まい。
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大きくない看板にかろうじてMTB SHOPとあるが、外観からは何のお店なのか工房なのか、正体はわからない。

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ネモさんに紹介してもらい、2年前に佐宗さんの結婚パーティーでお会いしている、と言ったら覚えてるよ、と軽やかな返事があったけれども、本当かどうか。店内には顧客から預かっているバイクがぎっしり。ファンをがっちりつかんで、自分のペースで納得のいく仕事をしているようだ。
得体のしれない訪問者に対して特に警戒も虚飾もなく、サラっとしている。かつて試乗したオータケ自転車を思い出す。
写真撮る人なの?じゃあ、これ撮ってよ。これ、元は何だかわかる?これも。これも。と、どんどん自慢のリサイクル部品利用の作品披露が始まる。
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自転車やPCのパーツを使った照明器具。アーチスト作の一点ものとしてインテリアショップで売れそう。こういうの、考えるのが好きなんだよねと。
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このフレームも撮ってよ。オリジナルで貴重なのだそう。詳しいことが理解できないが、美しいDE ROSA。
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アメリカンなセンスのオシャレな工具箱。
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これもお宝。ブリジストンのオリジナルで、色が珍しい、また、こんなコンディションのものはないだろうとのこと。愛らしいけれど、博物館レベルなのかも。
そう、いつか博物館やれたらいいなって思うんだよね。もう大竹さんの話のペースにどっぷりつかっている。
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この偉容。歴代すべてのOTAKEフレーム、OTAKEグリーン(竹色)。
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機材音痴にも迫力と魅力が伝わる。TOYOフレームで作っているらしい。
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頑固職人が仕事している風だが、これはHusqvarna(ハスクバーナチェンソーの有名メーカー。私は高級ミシンメーカーのイメージ)のチェーンソーのおもちゃを触っているところ。
職人と少年が混在し世俗を超えたムードだ。他人を押し退ける俺様感もなく、自らの道をピュアに歩んでいるよう。
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こ、これは・・?これはね、道路の向かいに住んでいる芸術家からもらったピノキオで、何かにしようと思ってるんだよ。
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ここにある自転車のしごとを全部片付けたら、これで何を作ろうか、ゆっくり考えようと思ってるんだよ。というあたりで、ネモさんの笑いが止まらなくなった。
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自転車店でよくある赤いスチールキャビネットに混ざって、このグリーンのものがカッコイイ、というと、工場用の重量物を入れても耐えられるハイスペック品で、一般には販売されていないものだ、とのこと。
横にあるアンティークな木製ガラス引き戸のキャビネットの中にぴったりに収まっている木箱たちは廃材で自作。規格がぴっちり揃っている。。高レベルな自作クオリティ。ここまでの写真に写っている床も壁も天井も内装すべて、自作とのこと。
店内に溢れる預り自転車の作業をぜんぶを片付けたら、代官山や中目黒のオシャレ自転車ショップみたいに出来るんだけど。と自負。わたしもそう思います。
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柱には栓抜き。よきアメリカンな香り。日本のMTB黎明期に、米国の空気を吸ってこられたゆえだろうか。
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ここは里山ちかくの住宅地だが、近所には工芸家や芸術家が何人も住んでいて、そういう人達と話をするのが楽しい。また、畑仲間の人生の先輩たちと話するのも勉強になる。と語る。
次にはあれをああいうふうに、と考えているとすぐに一日が過ぎてしまうのだそう。羨ましい。
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この角度で、ぶら下がってる自転車と、窓の外の薪と、向こうの木にかかっている自転車を入れて撮ってよ。いい眺めでしょう。とリクエストがあったが、レンズの画角がいまひとつ合わない。

ネモさんが、自分が預けているバイクの作業状況はどんなものか、とおもむろに話を振ると、いやあ、見ての通りこんなにたくさん預かっててね。もうちょっと待って。
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ガーデニング雑誌のグラビアが撮れそうな裏庭。
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ぶどうや、ラズベリーが実っている。なってますね、というと、ぜんぶ試食させてもらえた。そういうつもりではなかったんだけど。
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わがままを言って、畑を見せて頂いた。乾燥ぎみで日当たりの良い、まさにハーブ向けの畑。
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私、自転車部品の名前より、ハーブ歴20年ですので、こちらは得意。こんなにレモングラスの大株たくさんどうするのか、とビックリしていたら知り合いのレストランに頼まれて分けているのだそう。
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このラベンダーの花の乾燥ぎみな様子、きっと濃厚な香りがするに違いない。
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ビストロ勤務経験のあるネモさんが、農家に買い付けにきた熟練シェフのような仕草で味見したバジルやルッコラ。うまい!と驚きの声。私も味見したが、味が濃いのだ。
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今流行の長細いプチトマトももいでもらってすぐ口に入れたけれども、鮮やかな味。丸い葉っぱのスペアミントの群生があまりに元気そうなので、挿し芽にしたいといって、枝先をもらった。
自家採種して繰り返し自分の畑に蒔いているとその土地に順応してどんどん元気で美味しいものができるようになる、という話を大竹さんはしておられたが、ちょうど最近野菜の種の本でそういう事を読んだばかりだったので自分も是非やってみたいと思った(園芸ブログ化)。しかし、この畑のいちめんに広がる野菜やハーブたちの、幸せそうな様子。大竹さんの手間の掛け方がちょうどいい塩梅なのかな。
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畑に降りる斜面には自作のウッドチップが敷き詰めてあり、足元がドロドロになるのを防いでいる。そういえば、写真がなかったので言及していないが、店内には薪ストーブがある。佐宗さんの薪ストーブとは大きさも素材も違うのだ、という説明。
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この日ネモさんが返却していた試乗車はこれ。ご興味のある方は東京サンエスまで。
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思いがけず、自転車屋さん訪問とは思えないような体験をさせていただきました。どうもありがとうございました。

すごいレジェンドと散々聞いて伺ってかいま見た、名の知られた侍の悠然とした佇まい。それは、私がリアルタイムで見ることの無かった時代に彼の通ったすさまじい道のりあっての現在なのかもしれません。
振り返って、何事も特に成し遂げず終わりそうな自分でも、自分の愛するものごとと、しっかり向き合って、悔いのないようにしたいな。。とインスパイアされたひと時になりました。
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(店の前に積まれたのは、乾燥したレモングラス