tannenbaum居眠り日記💤

観戦者の目による、おもに自転車(おもにシクロクロス)関連のすみっこネタブログです。

Nys米国巡業&VoigtをCXレースに招聘

米国IowaのJingle Crossがワールドカップの第一戦。先日のBrico Crossのあと主要選手たちの渡米風景が相次いでいるが、Nysはその前に米国上陸し、シカゴのレースでクリニックを開いて早速一つめのミッションをこなしたようだ。数々の写真や動画がSNSにぞくぞくアップされている。そのあたりさすが米国。

下のリンク二つにも色々動画や画像が引用されている。

ベルギーsporza.beの記事はNysいまだ衰えず。とスタントマンばりの技を披露したことに言及。

sporza.be

一方 米国ではビジネス・インサイダーというサイトが、シクロクロス競技についての解説から始まって、「Nysというレジェンドな自転車選手」がアマチュアレースに飛び入りし、競技の基礎技術を教えるレクチャーは上手だ、とその様子を伝えている。
この、入念にNysがどの人物かを特定している丸と矢印が、シクロクロス慣れしていない読者層向けであることを語っている。普段からのファンなら印はいらないだろうし。そして周りの人たちのゆるさがすごい。(カテゴリーが5つあるうちの4番目のカテゴリーで、半周で110人抜きだったらしい)

www.businessinsider.com

表彰式もプレゼンターを。さりげない表彰台が、頼めば日本のレースにも来てくれそう?な期待を抱いてしまいますね♪(まあ、ワールドカップのついでにお願いできることなのだろうけど)

 

ショーマンシップもなかなか。↓

www.youtube.com

http://static4.businessinsider.com/image/59b81b3338d20d21008b4e6e-1200/riders-of-all-ages-and-abilities-got-to-learn-from-one-of-the-worlds-best-cyclocross-riders.jpg

クリニックの受講生たちの構成がものすごい老若男女感あるよい絵だ。。この子供にとっては貴重な体験ですね。後年まで自慢できますね。通じる相手限定だけど(苦笑)

 

そしてレースのプロモーション活動にも貢献。なんと元ロードレースの人気選手だったドイツ人(米国在住なのかな)Jens Voigtをレースに誘ったみたい。

 僕は一体何にエントリーしたんだろう?とVoigtがツイートしたメッセージ画面。

・イェンス、ウォータールーのシクロクロスワールドカップにお楽しみで出ないかい?と持ちかけるNys、シクロクロスは未経験なんだけど何をすれば?というVoigtに、レースは1時間までで少しランもある。アワーレコード樹立した君には朝飯前だよ、という誘い文句に説得力はあると言えるのか。。引退後はマラソンやってるから多分大丈夫というVoigtにNysが、コスチューム着てもらう、100人のアマチュアが君を追いかける。とさらっと言うので何?なに?と戸惑うVoigtに、ビールは飲み放題。で話を決めるしたたかなNys。なかなかサクッと人を引き込むやり手だ(スポンサーの書いた台本だったりして)。

そんな感じでフォイクトさんがWaterlooのワールドカップ、TrekCXCupにゲスト出場することが決定したみたい。https://www.trekbikes.com/us/en_US/world_cup_waterloo/ ←たしかにHPに出ている。

アワーレコードばりに極限まで追い込んで走る姿はみられないかもしれないけれど、コスプレさせられシクロクロス初体験のほがらかなVoigtさんををみるのが楽しいのは確かでしょうね。

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Nysが率いるTelenet-Fidea Lionsの紹介ビデオ。マヨルカ島かな。選手たちのトレーニングを無地のジャージで見守るNysの様子が写っている。

www.youtube.com

 本格シーズンの皮切りともいえるBrico Crossの開幕戦では目立たなかったFideaだけれど、今シーズンどうなるか、というのとレース周辺で見られるNysの動向をチェックするのが楽しみ。

【おまけ】

 Nysが、監修したインドアトレーナー、"Cannibal l"(人喰い1号)。どんな商品なのかとクリックしたら広告ページのデザインはシンプルで全体的なモッサリ感が味わい深い。トレックの今風広告ではこんな雰囲気は味わえないから貴重かも。

「Baalの人喰い」と怖れられた彼にあやかりたいサイクリストがこぞって買うのだろうか。物騒な何とか星1号とかよりこういうものなら日本に飛んできてもいいね。


炎上したけど、元気です(Tour of Britainのハモンド プチインタビュー)

贔屓選手の動画をみつけると、お菓子をもらった子供のような気持ちになり、バッシングされるのを見ると心痛めるファンの心理。ロジャー・ハモンドについては引退後6年経った今も時折そんなアップダウンを味わうことがある。
DAZNで放送中のTour of Britainの解説に知り合いの鈴木太地さんが出ているというので関連情報を見ていたら、レースの公式ツイッターアカウントにハモンドの短いインタビュー動画が出ていた。わーい。

選手でいることと監督業と、どっちが好きですか?という質問。

現在ブエルタチーム、ケベックチームとは別部隊でTour of Britainに参戦中のTeam Dimension Data を指揮しているみたいだ。
ニコニコしてリラックスした表情でいつもの早口でコメント。
(適当訳)

・どっちも、自分にとってはハードワーク。選手の場合は、とにかくひたすらトレーニング、そして、自分に非がない要素で勝ったり、成果なしになったり。マネジメントは、駆けずり回って、全て細かい所まで手配するけど、実行するところは他者に引き渡す。選手に。

・去年も今年もとても強いチームで、自分はラッキー。

・自分の準備したものを、コントロールのきかないところに引き渡す。それが、エキサイティングなところではあるけど、自分は物事を掌握することが好きでね。

まあとにかく、リラックスして元気そう。ホームゲームのツアー・オブ・ブリテンだし。自身でステージやポイント賞も獲ったことある。

Embed from Getty Images

(この英国チームのジャージって、「うり坊」とか言われるすごいデザインだった。。)

・ 鈴木さんの解説で英国がトラック競技大国となった経緯の話などなるほどと聞いていると、この最終ステージのゴール地点があるカーディフの街中に入る辺りでチームの総合エース、ボアッソンハーゲンが飛び出して逃げ切り、総合を8位から2位にジャンプアップした。今朝のニュースをみてまわると、残り2-3kmでアタックすることは朝からチームで決めていた事らしい。序盤ステージの降格処分もあって総合連覇は逃したけど、胸のすく走りだった。

・昨日のコメントを探していたら9年前のこのレースで、Team Columbiaで同僚選手だったハモンドが、後ろの集団から「行け、行け」、と無線で叫ぶ中、ボアッソンハーゲンが逃げ切り勝利をした、という記事にぶつかった。ボアッソンハーゲンは昔からこのレースが得意だったんだね。たぶん今回も無線でチームカーからのロジャーの「行け、行け」を聞きながらゴールしたのでは。

 http://www.cyclingweekly.com/news/latest-news/tour-of-britain-boasson-hagen-snatches-victory-in-stoke-on-trent-92878

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 今年、2017年のツール・ド・フランスでロジャーはスプリントステージの指揮を任されていたようで、カヴェンディッシュがゴールスプリントで転倒負傷した際、審判に抗議した結果サガンがレースから除外されたことは相当な物議を醸した。さらに直後に勢いでロジャーがツイートした内容(さらば、みたいな)からいわゆる炎上が起きた。


それはチームのマネジメントとしてかなり不用意な発言だったけれど、抗議した段階では、カヴも肘を出していたことはロジャーにもコミッセールにもわからなかった。

事が終わった後になって色々集まる違う角度からのゴールスプリント画像・映像を見て、鬼の首を獲ったかのごとく他の幾多のコメントと同じ内容を@ツイートする、数知れぬ人々の様子にSNS炎上の恐ろしさを否応なく実感した。
もしカヴとサガンの立場が逆だったら、世間の反応はどうだったのか?アンチの多いカヴのことだ。贔屓が世間にバッシングされる辛さとネット世界のファシズムみたいな恐ろしさを実感した。

問題となった彼の感情的なツイートにはロジャーがカヴェンディッシュを弟のようにかわいがってきた背景があるように思う。
カヴがネオプロのときから遠征で同室が多く兄のように慕われ、自宅に下宿させたり、リードアウトで何度もカヴの勝利に貢献した。レンショーを発射台にしたHTCトレイン常勝時代の直前。だから二人は普通の選手と監督の関係ではない。
サガンとの競り合いで一方的な被害者として骨折したように見えたカヴを見て、外敵から子供を守る動物の母親みたいになったのではないか。実際、そのときのハモンドは「自分の子供が傷つけられたような気持ち」とコメントしている。


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Embed from Getty Images

(2007年のT-mobileツール出場メンバー。ハモンドは選ばれなかった。)

2007年のツール・ド・フランスはロンドンスタートで、ロジャーはT-mobileの事前セレクションで最終ロングリストに載っていた。世間の評判でもフランドルの平地ステージ狙いとスプリントのアシストとして出られるだろう、ということで私は1ポンド250円という馬鹿げた為替レートのロンドンに、グランデパールを観に出かける手配をした(サンドイッチと飲み物とサラダで2000円くらいになるので、昼と夜のごはんを兼用にして、痩せた)。

tannenbaum.hatenadiary.jp


しかし、チームは、経験浅いカヴェンディッシュに、グリーンジャージを争う将来のため場数を踏ませようとカヴのほうを選んだ。地元開催のツール出場を期待しているロジャーに結論を伝えたアルダグ監督は、かなり苦しい思いで電話したらしい(アルダグは現Dimension Dataの総監督でもある)。

 

http://keyassets.timeincuk.net/inspirewp/live/wp-content/uploads/sites/2/2007/06/Mark_st_Stephen_and_Roger-630x496.jpg

その後、結局ツールには出場することなくクラシックスペシャリスト(と、カヴの発射スペシャリスト)として選手生活を終えたロジャーが、後日、ツールでのあんなトラブルで皆の記憶に残ることになり、また、それがカヴがらみ。彼はカヴのために働く星の下にあるとしか思えない。

https://keyassets.timeincuk.net/inspirewp/live/wp-content/uploads/sites/2/2015/11/WATSON_00002487-017.jpg


誰からも曇りなく好かれる一点の失敗もない経歴の人ではなくても、彼が彼であることには変わりはないし、日々仕事に邁進して、周囲に必要とされ、元気にやっている姿はファンとしては力をもらえる。
(パリ~ルーべでは一度勝ってもらわないと困る、フランドルではゲントでは、、、と躍起になっていた時代が懐かしい。)

After all these years: 時は流れて(Stefan Deniflのグランツール初勝利)

北京の砂塵から、突然ブエルタ・ア・エスパーニャに飛びます。
かつて連日動向を追っていた若い贔屓選手が、その後年月を経てチームがワイルドカード出場したブエルタで、グランツールのステージを初めて獲った。

www.cyclingnews.com

 母国オーストリアの連邦大統領からもお祝いのツイートがあったようだ。オーストリア人初めてのブエルタステージ勝者らしい。しかし、報道ではチームバスが燃やされるという事件を乗り越えた、プロコンチネンタルチーム選手の「大金星」感が強調されてるなあ。やっぱり。

 

Stefan Deniflは私が2010年ごろ追っていたCervelo Test Teamの若手有望株として注目していた選手。

カルロス・サストレ、トール・フースホフト、ハインリヒ・ハウスラー、ロジャー・ハモンド、サイモン・ジェラン、ジェレミー・ハント。。。グランツールもワンデイレースも見せ場があり、楽しいチームだった。
当ブログの検索窓に「デニフル」と入れてみると2010年は日々垂れ流しのごとくデニフルの動向について書いている。楽しそう、私(おバカ記事多すぎ)。

20100709172237

(2010年、ツアー・オブ・オーストリアのベスト・オーストリア人賞の表彰台。連日同じコーヒーメーカーをゲットして8台くらいもらっていたはず。お肌ピチピチです)

・TTと山岳が売りのチロル地方出身オーストリア人若手選手だった。MTB出身。
・当時のチームメイトであるオスカル・プジョル(現Team UKYO) に2010年Japan Cupでデニフルのことを聞いたら「デニフルは上りとTTのほかも、何でも出来る選手、そして良い奴」と言っていた。

http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/t/tannenbaum/20101024/20101024092453.jpg

プジョル(2010年Japan Cup)。当時はキュートなキャラだった)

ツアー・オブ・カリフォルニアの上りステージでジョージ・ヒンカピーのような大物相手にプジョルと交代で波状攻撃を仕掛けたのは印象的。ツイートなどの発言は率直シンプル、応援するのが楽しかった。

・しかし、彼の加入後たった1シーズンでサーベロ・テストチームは解散することになり、チームは散り散りに。

・デニフルはその後、レオパード・トレック、ヴァカンソレイユ、IAM、そして現在はアイルランドのプロコンチネンタルチームAqua Blue Sportへと。

・追っている間は、真っ正直な走りでベテランにひねられていた印象だけれど、当時はツール・ド・フランスをいつかは獲ってやるみたいな気持ちでいたのでは。

2010 Cervelo Test Team (PCT)
2011 Leopard Trek (WT)
2012 Vacansoleil - DCM (WT)
2013 IAM Cycling (PCT)
2014 IAM Cycling (PCT)
2015 IAM Cycling (WT)
2016 IAM Cycling (WT)
2017 Aqua Blue Sport (PCT)

http://www.procyclingstats.com/rider/Stefan_Denifl

・ビッグレースに出られるチームを渡り歩いてはいたものの、今回の勝利に至るまで勝ちはわずか2。しかしその間、ツールド・スイス(2015)で山岳賞総合1位獲得、ジロ・デ・イタリア山岳賞総合4位(2016)母国のステージレース、ツアー・オブ・オーストリアでは常時総合トップ10以内。山岳に強いチロリアンライダーとしてプロトンで実績を積んでいたようだ。

・今シーズン、ツアー・オブ・オーストリアで初めて総合優勝している。そして先日赤ちゃんが生まれたばかりみたい。

Victories by team/year:
2006: 1 victory
2007: 2 victories
2008: 3 victories
2009: 1 victory
2010: 0 victories
2011: 0 victories
2012: 0 victories
2013: 0 victories
2014: 0 victories
2015: 1 victory
2016: 0 victories
2017: 2 victories

http://www.cyclingarchives.com/coureurfiche.php?coureurid=17587

今回、デニフルのニュース記事の小さいゴール写真(一番上に貼ったもの)を見て、最近の彼の姿を写真で詳しくチェックするまではすこしだけ勇気が必要だった。

↓2016年の写真。

↑年齢相応の渋さがすこし加わった良い面構えになってる。。ああ、よかった~~。。(何を心配していたのか)
というかCerveloに入る前の姿に近づいた感じもする(金髪ロン毛前)。

http://www.dewielersite.net/db2/wielersite/beeldbank2013/13598320301184716.jpg

(ELK Haus-Simplon時代、2007)

  「人生において、成功や幸福に至る道のりはさまざまである。しかし、自転車レースにおいては、その道はただ一つ「Stefan, この自転車に乗り続けろ(すべてのコーナーをできるだけ速く通過しながら)」と自分に言い聞かせ続けていた。」


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この記事を書きながら、思い起こしていた古い歌。昔の恋人にばったり出くわし、まだ彼女に夢中な自分に気づいた、という歌詞。


Paul Simon -Still Crazy After All These Years

「Still Crazy After All These Years」のAfter all these yearsというのは「この歳月を経て」という意味に「今更だけど」あるいは「ようやく」というニュアンスが場合によって込められたりするみたい。

「何年も頑張ってようやく」グランツール勝利おめでとうStefan。そして「いまだに情熱をもって」走っていて、幸せそうで嬉しい。

しかしあんなに若いお兄ちゃんだった選手がすっかり苦節○年のベテランライダーになっちゃうなんて、自分も老けないほうがおかしい。ほんとうに。

千森杯 Qiansen Trophy 2017 2戦目のMVPは竹之内選手(Cyclocross Magazineのレースレポート)

Vanderbeken, Van Tichelt Keep the Belgians Perfect at Qiansen Trophy in Yanqing

前回取り上げたブリーフレポートのあと、Cyclocrossマガジンのフルレポートが出たので読んでみたところ、竹之内選手の活躍が書いてあったので嬉しくなり、眠かったが昨晩ざっと訳してみた。

(以下、適当訳)


【男子レース】

・第一戦ではYorben Van Tichelt (ERA – Circus)は序盤のクラッシュから復帰するのに脚を使った。第二戦ではUCIレース二連戦の2日目によくある、大きな集団が各自林の中を行進、という典型的な進行になるかと見えた。
しかしVan Ticheltに別のプランがあった。彼は前でプレッシャーを与え続けた。最初はMarcel Wildhaber (SCOTT-SRAM MTB Racing) だけがベルギー人の高速ペースに合わせることができ二人で差を広げた。

・ここで一人の名を上げた選手がいた。竹之内悠が4人の追走グループを率い5周回目のはじめには彼はさらに何人かを引き戻して大きな7人の集団を築いた。
・その後レース中盤は集団走行モードに入り、序盤にみられた鋭く速いペースは収束していた。
・平穏は長くは続かず、Van Ticheltがアタックを仕掛け先頭集団を分断しWildhaberとThijs van Amerongen (DESTIL-ZZPR.nl) だけがついて行くことができた。

・比喩的にも文字通りの意味でも砂埃がおさまった6周回目、Van Tichletは8秒にリードを広げ、もはやWildhaberとvan Amerongenは2位争いをするしかなくなった。
・Van Ticheltはギャップ10秒程度を維持し、最終的に後続を7秒離してゴールした。Wildhaberは van Amerongenより持ちこたえ、2度目の2位を確保。Van Amerongenは3位。今日目覚ましい走りをした竹之内は4位。Samparisiが5位。Clarkは表彰台連続はならず。
Van Ticheltはレース後のインタビューで、スタートからいい感じで、どんどん好調になっていったと語った。自分としては1度のビッグアタックで決めるつもりだったが、それが成功した。(アタックについてきた)Marcel(Wildhaber)Thijs(van Amerongen)は本当に強かった。
・Wildhaberも2位を喜んでいるとコメント、タフなレースだった。第一戦とは全く異なる大集団でのレース展開だった。Yorben (Van Tichelt) のアタックは本当に厳しくて、引き戻そうとしたけれど最終周回、自分は本当にきつくなってしまった。ゴールしたときは完全に力尽きていたので、この2位は本当に嬉しい。去年より2戦合わせたポイントは沢山とれたしね。

こんな風に、日本人がレースのMVPとして評価されているのは嬉しい。今回の北京のおうち観戦では、状況を知るのにこの米国Cyclocross Magazineの速報性と内容は有難かった。ピットサポートやレースに出ながら書いているAustralian Cyclocross Magazineの記事も第一戦について臨場感あふれるレポートが出ているhttp://www.australiancxmagazine.com.au/quiansen-trophy-uci-c1-cyclocross-2017-round-1/

なお、小坂光選手は負傷リタイアしたらしい。焦らず回復に集中してほしい。

 

【女子レース】

・第二戦は第一戦同様Joyce Vanderbeken (Stevens Pro Cycling – Donen/Vondelmolen CX) 、Serena Gordon とEmily Kachorek (Squid Bikes), の3名の間で激しい打撃戦になった。

・レースは高速でスタートし、Kachorek, Samantha Runnels (Squid Bikes), と、オランダ人Geerte Hoeke (2WCBeuningen – MTB Licht Verzet)、Serena Gordonと Vanderbekenの5名が抜け出し前半は彼らが交代で前に出た。最初の周回でVanderbekenとHoekeが前で展開し、2周回目はGordonがシングルトラックで抜け出した。

・集団の中で二人いたSquidの選手Kachorek と Runnels は数的優位を活かしてKachorekが前の二人に追いつく。シーズン冒頭からチーム連携の練習はできていたと思われる。

・5-6周回目は5人の逃げグループは最終的にVanderbeken, Gordon and Kachorek.に集約された。最後の2周回とも、Vanderbekenが階段のイン側からリードを奪い、2回目のそれが決定打となった。後続はHoekeがRunnelsより持ちこたえ、後ろから来たDaniele Arman (Tenspeed Hero) がRunnelsを捉えて5位を獲得した。

・レース後、Kachorekは接近戦だったのでミスのない選手が勝ち残ったとコメント。コースはファンタスティックだった。お互い何度も前を奪い合い、最後の500メートルまで誰が勝つかわからない、ささいなミスで勝利が逃げるような展開だった。と語った。

唐見選手は8位で期待を裏切らない結果。事前にここで優勝候補と書いたAlvarado (クルクルのロングヘアに現地ではボンバーヘッドとよばれていたらしい)は結局DNFに終わった。パンクしたと聞いている。


しかしベルギー人の同じ選手が男女とも2戦2勝、苦労して遠征した甲斐あって、がっつポイントを取れましたね。これから始まるワールドカップで彼らの姿を見ることはできるかな。

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男子も女子も僅差のエキサイティングなレースになったようで、見に来ていた現地の人たちも楽しめたのではないでしょうか。
沿道の相当比率を占めていたのはカメラ愛好家団体だったようですが、アマチュアレースに出たMTB選手も見ていたはず。今後主催者はワールドカップ開催を視野に入れているようだけれども、現地のシクロクロス選手も出てくると良いですね。

千森杯 Qiansen Trophy 2017 #2 男子 竹之内表彰台へ僅差

ストリーミングは見ていないが、Cyclocross Magazineにレポートが早速出ていた。
【 男子】

2017 Qiansen Trophy: Yorben van Tichelt Completes Belgian Sweep at Yanqing Station - Race #2 Brief Results

  1. Yorben van Tichelt (BEL)1:01:10
  2. Marcel Wildhaber (SWI)1:01:17
  3. Thijs van Amorengen (NED)1:01:18
  4. Yu Takenouchi (JPN)1:01:20
  5. Lorenzo Samparisi (ITA)1:01:25

2-4位のタイムが団子だ。

(適当抄訳)

コース序盤のダブルステップでレースは早くも決定的に分断され、一戦目勝者Van Tichelt (ベルギー)がMarcel Wildhaber(スイス)を引き連れホールショットを獲ったがまとまった人数の後続トレインに一旦合流し、1戦目3位のAnthony Clarkもその中にいた。

Thijs van Amerongen(オランダ)とWildhaber、Van Ticheltが先頭交代し、そこにKenneth Hansen (デンマ-ク)とLorenzo Samparisi(イタリア)、竹之内悠が着く。ClarkとHansenの脱落後、しばらくVan Ticheltはほかの選手に引くに任せていたが、6周回目で今行く時と見たのか強烈なアタックで瞬時に差をつけ、残り3周時点のタイム差は8秒、開く一方だった。
後続はWildhaberがリードしていたが、危うく3位争いのVan Amerongenと竹之内に捕まるところだった。Amerongenは最後に竹之内を突き放して、ポディウム入りを果たし、もう少しのところで消耗したWildhaberを抜くところだった。

 ゴールシーン見ていたら興奮しただろうと思う。今日は仕事でライブ動画は見ていないけれども、1戦目スタート直後の落車だかで渋滞でかなり遅れた竹之内選手、その後の挽回がすごかったのは見た。
Van Ticheltは強かったですね。昨シーズンイギリスのNational Trophyばかり沢山出たのは何故なんだろう、これでポイント80×2も獲得してしまった。シクロクロスマガジンによればこれでUCIトップ50位を確保したらしい。席争いが大変なベルギー人選手の中において、ワールドカップ出場権をゲットになるんでしたっけ。

竹之内選手は一戦目と合わせてUCIポイントを47ポイント獲得した。昨シーズンのベルギーのレース欠場があるけれど、スタート位置いくらか挽回できるか。

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(昨年のYanqingステージ)
序盤のステップはこれかな、登って、すぐ斜面を駆け下りてまた登る。 dsc_2896_29479801466_o

(昨年のYanqingステージ)いくつもの縦にのびる隊列ができやすいコースのようだった。小坂父が牽いているのはかっこよかったな。

 

千森杯 Qiansen Trophy 2017:女子注目選手と大気汚染ファクター

第一戦Fengtaiが終わったところでCXマガジンに女子出場選手のUCIランク表がでているのをみつけた。

 

http://www.cxmagazine.com/2017-china-qiansen-trophy-cyclocross-races-start-rider-list

Full Name Team Name Gender Nat UCI Rank
JOYCE VANDERBEKEN STEVENS Pro Cycling – Donen-Vondelmolen CX team F BEL 34
CEYLIN DEL CARMEN ALVARADO Kleuropmaat/BNS technics Cyclingteam F NED 43
EMILY KACHOREK SQUID F USA 64
KATHRYN CUMMING Jalapeno Cycling/King Kog F USA 71
GERALDINE HOEKE 2WCBeuningen – MTB Licht Verzet F NED 77
REBECCA LOCKE JBLOOD ADVENTURES F AUS 86
NAOMI WILLIAMS JBLOOD ADVENTURES F AUS 102
SERENA GORDON GIANT FACTORY OFF ROAD TEAM F USA 106
ASHLEY BARSON JAKROO F CAN 115
MIYOKO KARAMI Japan selection team F JPN 143

UCIランク順。第一戦の表彰台3名はAlvaradoを除いてこの順番どおりの結果に。
・優勝したVanderbekenはベルギー選手権で6位、SuperprestigeのRuddervoordeで9位、ワールドカップもおよそ20-30位台前後に入っている選手で、納得の結果。
・私は昨年第2戦だったFengtaiで勝っている19歳の小柄なオランダ人Alvaradoが有力かと思っていたが、第一戦はリタイア。
・昨年の北京後の実績はかなりのもの。DVVとSuperprestigeでコンスタントに10位台前半。国内ではオランダU23 で4位。同じレースにでているVanderbekenよりも上の順位のリザルトもあり実績からいうと優勝候補であることには間違いない。千森杯 万里の長城で、勝利宣言する女子選手に遭遇 - tannenbaum居眠り日記💤←去年Alvaradoに話を聞いたときの記事
・3位のKachorekは昨年の北京の第一戦勝者。2月にお台場で来日し、その時にAbove Bike Storeで日本人と交流しているので、日本からもエールを送る人が多いのではないか。北米外のレースの結果が北京以外になく他地域の選手との力関係は推し量りにくかったが、UCIランクどおりの順位になっている。


f:id:tannenbaum:20170906131924j:image

(昨年の北京第2戦後。左がKachorek, 中央がAlvalado)

・第一戦で2位の米国人GordonはKachorekよりもさらに実力が推し量りにくい。UCIレースはClass2の北米のレースしか走っていない。

Former runner now top cyclist; Bend's Serena Bishop Gordon is one of the top cyclocross competitors もともとマラソンや、ウルトラマラソンを走るランナー出身の選手らしい。

・あとは去年の北京も、今年のお台場にも出ていたオーストラリア人Rebecca LockeとNaomi Williamsの二人組も個人的に気になるところ。フルタイムワーカーで休暇とお金のやりくりに苦労しながら、ヨーロッパ遠征も自力手配ベースでやっている、日本のレースもまた来たい、とお台場で話してくれた。
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・現地に行っているメディアの阿部さんの話によると、第一戦のAlvaradoは出足好調だったが、呼吸器の問題でリタイアしたとのこと。
・昨年と比べて、北京市街地の近郊Fengtaiの空気は良くなかったらしい。男子の第一戦で独走状態だったMarcel Wildhaberもまた走行中に呼吸器トラブルを起こしたらしく、優勝はベルギー人のVan Ticheltに持って行かれた。
・今年も参戦の須藤むつみさんも、去年より今年のほうが大気汚染は悪い気がすると言っている。
・第一戦のFengtaiは北京市市街地から近く、今日の第二戦のYanqingは万里の長城観光の拠点になる高原リゾートで、第二戦は第一戦よりは空気は良いようだけれど、私は昨年Yanqingの短いアップダウンのダートの砂埃を思い切り吸いながら屈んで撮影していたせいもあってか、夜に咳がとまらなくなり須藤むつみさん持参の咳止め薬に助けられた記憶がある。
・諏訪監督によると、現在日本人で呼吸器に影響が出ている選手はいないとのことだったが、やはり、レースのファクターになるほどの大気汚染というのは相当なレベル。
・昨年北京遠征する武田選手にPM2.5対策マスク持参をアドバイスしたという齊藤選手に、持参しているのかと聞いたが、それはしていないらしい。

 

 ともあれ、あと1戦、体調に気をつけて戦い、無事に帰国を。

 

MTBO世界選リトアニアみやげ話

臼杵レーシングの綿貫さんの家に、MTBO(マウンテンバイク・オリエンテーリング)世界選手権に出場しリトアニアから帰国したばかりのもりごんこと森美穂子選手が「預けていた植木を引き取りに」来るというので私もお帰りなさいを言いに行ってきました。

マウンテンバイク・オリエンテーリング - Wikipedia

マウンテンバイク(MTB)に乗車してオリエンテーリングをするスポーツ競技。国際オリエンテーリング連盟(IOF)が公式に推進しているオリエンテーリング4種目のひとつ。バイク競技の体力、持久力、技術と共に、MTBに乗車したまま高速で最良のルートを選ぶ厳しい判断力が求められる[1]

地図を読みながら、MTBに乗ってオリエンテーリングをするらしいのだが、いろんな能力が求められそうで難しそうな競技だ。

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もりごんといえば、冬のシクロクロス会場で糖分控えめの特製しるこを配布するL1選手として一部で知られているが、長期海外出張が多く、インドネシアのような国の見たこともない珍しいお菓子を頂いたこともある。異文化、初めての土地に対しての適応力は相当なレベルと見た。そんな彼女がMTBO世界選手権に出場するというのは違和感ないイメージだった。

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とりあえず、わたしの家の庭で摘んだハーブ入り花束を差し上げてみました。ハーブの「タンジー」(虫が嫌う)の花の匂いを深々と吸い「菊の花の真ん中の匂いがする…」という天然資源系薬学の研究者。
着ているTシャツは、向こうでフランスチームの選手たちから、日本製のサイクルジャージが高品質なので自分たちのと交換してくれという申込があり、もりごんはブカブカサイズのジャージより、このぴったりのTシャツを選んだのだそう。かなりレアだし、とても似合ってますね。

DSC05142

・渡された地図に書いてあるチェックポイントを番号順に回る。

・小さいレシートのようなものはゴール後センサーが感知したチェックポイント通過時刻が打ち出されるもの。
・ちゃんと番号が打刻されないものがあるのは男子など別カテゴリーのレース用のチェックポイントに反応してしまったときに出るのだとか。

・最近のポイント通過確認の方式は選手の指に装着されたセンサーがチェックポイントから1メートル以内に近づいたら自動記録される。アクションが不要なため却ってそのポイントはちゃんと通過したのに、無効になってしまう。という悲劇が起こる可能性があり、要注意らしい。

・以前のように紙に穴をあけたり、チェックポイントにある器具にセンサーを入れたりの動作が要求されていたほうが逆に記録が確実に残せたのかもしれない、という話。


カーナビゲーションGoogleマップNAVITIMEのアプリが道案内してくれ、地図情報を頭を働かせて読み、自分がどこに居てどこに向かっているのか認識する能力が人類から失われつつある時代。
紙の地図でできるだけ自転車で速く回る、ということは、競技というプレッシャー下でその能力を再生させることができるのかもしれない。地図の読めない女こそ、すべき競技なのではないだろうか。(飛躍)

・この競技の本場は欧州。欧州ではMTBは広く普及しており、こういう競技をできる裾野が広いということらしい。街でMTBOのレースが通過しても、わかっていて見ている市民も多く、あっちあっち、とおせっかい(苦笑)を入れてくる人もいるそう。

・今回のリトアニアのコースは大変難易度が高く、もりごんはいままで出場した世界選の中で一番くたびれてしまい、休息日はひたすら寝て過ごし、買い物に出るチームメイトを見送って翌日のレースに備えたらしい。それでも晩御飯を皆と食べたら回復した、というところはさすが。

・そんなに途中寝込むほど疲れたのにレースを走りきり帰国後休まず出勤、日曜日のこの日は渡良瀬TTに出る知り合いを応援しに自宅から往復140kmを自走した、帰りは思ったより疲れちゃって・・と淡々と話していた。笑。

MTBO日本チームは会場となる国の文化も体験するというのを心がけているらしい。リトアニアは予想以上に石造りの風情ある街が美しく、食べ物も美味しくて驚いたそう。旧ソ連でも、豊かな土地らしいですものね。

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ノンアルコールビールの素。といっても粉を水に混ぜてできあがり、ではなくて、瓶の中で溶いて、紙のフタをして発酵させないと飲めないらしい。。

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綿貫さんが自分で育てた六条麦を収穫して自分で焙煎した麦茶(ひとことで書けてしまうが、完成するまでにとてつもない手間がかかる)を飲みながら、どういう果物を干したら美味しくなるかとか、リトアニアのマンホールの模様と日本との違いとか、地衣類って食べたことある?まずいよ。という普通の女子トークではあまり考えられない会話をしてお開きになった。

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かわいいケーキ?やエコバッグのお土産、ありがとうございました。


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