ウエアも闘う (MathieuとWout専用特製ジャージ)
世界選で人垣の隙間から撮れたMathieuの写真。顔へのピントがもう一つだけど、表情が捉えられて満足。というところからひょんな拍子で色々勉強させていたくことになった。
…という写真を、ブランドロゴもはっきり写っていることだしと、BIORACER社のウエア販売を手掛けているクランノート和田さんとのやりとりの中で(連載中のチーム紹介記事の話のついでに)この写真を送付したところ
みると新作or完全に選手用オリジナルですね。今回は高速レースなのと泥にはならないということで、袖は全部ストライプ生地にした感じです。
とのコメント。
事前にオランダもベルギーもBIORACERであることは聞いていた。
ドイツもBIORACERみたいだ。
和田さんによれば、ストライプに見える生地はスピードレース向けの ”Air Stripe”という素材らしい。
BIORACER カスタムオーダーサイクルジャージ・トライウェア 素材について | bioracer.jp
土曜日に女子エリートで優勝したカントの肩部分がストライプ。もともとTT用スーツに使用されていたスピードレース向け素材で、空力力学的に効果のある箇所に使用されるのだそう。そして、スピードスーツの一部に規制を加えるUCIルール改正にも適合している素材なのだとか。
(Van der Haarも同様。 ほかのオランダ・ベルギーの選手はみな同様に見えた)
BIORACER社は今回の世界選前に同社のスピードスーツの種類について解説している。Our suits for the CX worlds - Bioracer
・一つは、TT用スーツ ”Speedmaster” のコンセプトを採用したもの。
・もう一つは、より暖かさを重視した "Tempest" という素材を使用したもの。
和田さんに確認したところ、さらにもう一つは
・ストレッチ性と撥水性と耐久性を加味した”POWEREYELET”という素材でを使用したもの。
(なお、さらにまだ普及していないが、スピードスケートのようにキャップと一体化したタイプもあるらしい)
オランダ・ベルギーの選手たちはチェックした限りでは、皆が上のVan der HaarやCantと同様なようだった。唯一ベルギーのEllen Van Loyのウエアにはストライプ生地は見当たらない。
女子エリートの時間帯は一番寒くて雨も降っていた。彼女は防水や保温性確保を優先するジャージを選択したようだ。どちらも選べるようになっていたんだろうか?
和田さんによれば
・天候によって選ぶためにもともと複数支給されている
・2着どころではない
とのこと。一方ドイツは
男子も女子もストライプ生地を使用しないもの一種類だった。
それが予算の関係なのか、Bogenseといえば2017年のワールドカップではコース上の選手に波しぶきが直接かかり(今回世界選は波しぶきは来ないコースだったけれど)雪や雨の可能性も高く、いずれにしても寒いことは確か、という点を採用したのか、そのあたりも不明。
和田さんによれば
・ベルギーとオランダは流石にかなりのコストをかけている
とのこと。すごいな。
Mathieu van der Poelのウエアは腕全体がストライプだ。
会話にはいっていた足立さんのコメント。
マチューの型は、ロードワンピース仕様のポケットなしですよね。完全にオリジナルですね。
TT用は進行方向に向かって、正面から見て抵抗になる肩、二の腕所にストライプ生地が使われています。クロスはロードやTTほど肘を曲げないし、マチューは結構、肘を伸ばし気味で走るので、腕を全部ストライプにしたか?
和田さんより
足立さん、おっしゃるとおりロードワンピです。ゴールラインでガッツポーズしている際にお腹がすこし見えてましたね..苦笑 完全にオリジナルで、おっしゃるように肘を伸ばし気味なので全部ストライプにしたのだと思います。
↓(お腹)
それについて、わざわざ和田さんがBIORACER社本国に確認してくださった。
Correct, it’s a road race suit made with long sleeves and no pockets. We made this individual for Mathieu because they like the Road Race fit.
そうです、長袖でポケットのないロードレース用スーツです。Mathieuはロードレースのフィットを好むのでMathieu専用に製作したものです。
(Mathieu Hermans氏:同社の商品担当者でグランツールで活躍した元選手からの返事)
大方の予想で、Mathieuの勝利、それも独走であろうという下馬評があれほど高くても、できるところはとことん手を打ってくるのですね。。
いくら速くてもそれ以上を求める。
・・それはBioracer社のキーメッセージとなっている、
”Fast isn’t fast enough”
(速いということは充分に速いという意味ではない)
を体現するかのような、より高みを目指し続ける姿勢、また
「戦うための機材」
としてのウエアの重要性を再認識させられました。
ところで。
あっ。Wout van Aertも腕全体がストライプだ!(もっと袖のわかりやすいWoutの写真はあるけれど、Woutはほかの写真はほとんど盛大に泡を吹いていて貼るのがはばかられ)
・つまり、こちらも特製ジャージで、Woutもこの日の選択としては腕全体にスピート重視な生地のあるものを選んでいたと。
・カントはほかの選手と同様に見える袖のタイプを選んでいたけれども見えないところで彼女の仕様になっていたんだろうか。
選手がBioracer本社へ、または担当者が事前に選手と打ち合わせを行い、彼ら・彼女ら用にスペシャルに作ります。本社工場はそのための工場で、我々が販売する商品は全て他の工場で生産されます。
今回オランダとベルギーのほかの選手たちが着用しているタイプはかつてNys用に特別に作られたものが元になっているらしい。
・今回は素材から話が展開したけれど、ジャージは空力も考慮した立体的なカッティングが重要なようですよね。同社本国では空力を考慮したカスタマイズに対応しているとか。
・また、「フィット」も重要なファクター。
・ちなみに日本のレースを見た海外メーカー関係者が日本人レース愛好家たちのジャージのサイズ選択はワンサイズ大きすぎるという印象を持っていたのだそう。
・日本人、臆さずもっとぴちぴちを!ということなのだろうか。
それについては足立さんがこんなコメントを。
ヨーロッパの昔の絵画を見ると、男はバレエで使うやうなピチピチなタイツを履いているのをよく見かけます。
この服飾文化史の背景もピチピチに抵抗がある、無いに影響しているかと思います。
どうでしょう?(笑)
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・ベルギーやオランダのようにとことんやるところもあれば、そうでない?環境で戦った国もある。ミシンをもって代表チーム宿泊ホテルに出張して回れば儲かるんじゃないだろうかとか、間違って男子用トラックスーツを支給された英国のヘレン・ワイマンがレース前日ホテルでパッドをほどいた苦労話を読むと思ってしまった。
Wyman Wednesday: A Wyman Worlds Proposal and Learning a New Routine
・・・が、BIORACER社はお針子軍団も現地に送り込んでいるようで、そんなせこい考えの(笑)商売が入り込む余地はないようで。
縫うことで闘いを支える。ソーイングバトル。わくわくする写真だなあ。
そもそも、ビッグレースは例えば舞踏会やハリウッドスターの集まるレッドカーペットみたいな場であり、お針子が舞台裏で奮闘するのは、考えると当たり前のことと言えるのかもしれません。
・東京オリンピックに向けて、お針子部隊のためのミシンの確保活動がそろそろ始動とか。オリンピックでもソーイングバトルが。。
・ソーイングが趣味で職業用ミシン、ロックミシンを持っている自分にはプロ仕様のものがどうやって縫われているのか、接着を使用したりするのか?等、興味はつづきます。
素材によってフィット感もかわってくるので、そこも熟知してのパターン製作かと。ただの盗用ではできないことですね。ちなみに縫製は全て接着ではなく縫っています。特にタイトフィットで引っ張りが強いところはフラットロックで縫ってます。
業務用は違うかもしれないけど、、ほしいんですよねえ。フラットロック(カバーステッチ、オーバーロック)ミシン。。去年オークションで刺しゅう用ミシンも落札したし、あとはカバーステッチがそろえば(何をするのか)
チェーン/カバー/トリプルカバー/専用ミシン ベビーロックミシン(baby-lock) ジューキ 【ふらっとろっく】 BL-72S
- 出版社/メーカー: ベビ?ロックミシン(baby-lock)ジューキ
- メディア:
- この商品を含むブログを見る
・素材萌えの私は日暮里繊維問屋街で高機能生地の工場放出品らしきものを見ると「これは、、もしや、、名前は伏せられているがゴ●テックス3層タイプ、、ゴクリ」等とナデナデしているのですが、こんどレース会場で「これは。。」とウエアをナデナデしたくなるかもしれません。。
大久保さん@南信州 かなり雨が降っているのが、写真を拡大するとわかる。
FRIETENの今シーズン新調したジャージはPowereyeletらしいが、水をよくはじくというチーム員たちからの評判。
Powereyeletの生地アップ。
また、外には見えないアンダーウエアの重要性も大きいという話も。
・確かに「着るもので闘う」という意味におけるアンダーウエアの重要性は非常に重要なのでしょうね。
しかしこれは見えないところ、写真検証がなかなか難しいので次の機会に。
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ふとしたところからいつもの自分の知りたがりが出てしまってしつこく質問攻めにしてしまった和田さん、お付き合い及び情報ご提供、どうもありがとうございました。
おまけ、一度SNSで告知しましたが、その後写真を追加した世界選のFlickrアルバムのリンクを貼っておきます。
【1日目】
20190202_Cyclocross World Championships (day1)_Men's Jr., Men's U23, Women's Elite | Flickr
【2日目】
20190203_World Championships Cyclocross_day2_Women's U23, Men's Elite | Flickr
ジャパンカップの宴風景と疾走インタビュー続編
昨年Bioracerの日本総代理店である(株)Clannoteさんから「FRIETENのチーム紹介」のために足立さんのインタビュー記事を依頼されて作業していましたが、先日から連載が始まっています。全6回予定です。
以前足立さんについては数年前当ブログで、チーム員をヨーロッパ遠征に送り出したタイミングでインタビュー記事を書かせていただきましたが、その時は競技に関する考え方などが中心だったような気がしますが、今回は彼のスタイルの根幹をなしている、海外の情報が今ほど簡単に手に入らなかった時代に欧州現地で生で感じた「自転車カルチャー・ショック」について焦点を当てています。
以前、宇都宮ジャパンカップの平地区間で毎年見かけた、テーブルを広げバナーを掲げて楽しそうに宴会をしていたグループの首謀者が彼だった、というのは、知り合ってからかなり後に知ることになりました。
いまFRIETENが野辺山で大きな肉の塊(イタリアの生ハム)やチーズの塊をわいわいいいながらかじっているその源流となるものです。
tannenbaum.hatenadiary.jp
足立さんは「トークショー」が始まると止まらない面白い人ですが、話が急速コーナリングで展開してゆく傾向があるので、聞いたエピソードを体系化するのは因数分解と方程式作りのような作業で、また、今回質問することで改めて知らなかったところも聞き出せたと思っています。
Clannote代表の和田さんは、足立さん同様の時期にベルギーでレースをされていた方で、その後ベルギーの自転車文化に深い理解と愛情をもってウエア事業を展開されている方のようです。
足立さんと和田さんの出会いは、足立さんが鎌倉で自転車ショップの店長をしていた頃に「ベルギーの香りがプンプンする」ということで和田さんがお店に現れたことが始まりだったそうで、足立さんが和田さんを通じて(当時のショップの顧客のために)ビオレーサーのオーダージャージを日本から注文した第一号なのだそうです。
チームイコール、チームジャージ、オリジナルジャージの重要性、また、シクロクロスにおけるジャージの機能の重大性、について最近ようやく気付いてきたレベルの私ですが、
よろしければどうぞご一読ください。
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足立さんへの前回インタビュー記事。(いま話題の)スピードをつける重要性について語っていた。
俺たち代表(ジュニアのレースから)
男子ジュニアレースのコールアップ前のひと時、アップを終えて徐々に集まってくる各国の選手とスタッフ。
日本チームのジャケットはほんとうによく目立つ。
号砲前の静寂。伝わってくる圧力
スタート。
日本のレースとは異なるスピードに、撮るほうもついてゆけない。観客がまだ少なくて撮りやすいはずなのに最初は選手にピントがなかなか合わなかった。
スタート位置がかなり後ろだった鈴木選手がやってくる。見たことのあるバイクだとおもって前日聞いたら、池本選手が今シーズン前半まで使用していたもの。
代表チーム中、唯一のカンチブレーキ仕様だったけれどもメカニックの橋本氏はブログで「カラシニコフ銃のような」と例えていた。
Tankograd Central:2019シクロクロス世界選手権Bogense
スタート位置は前のほうだった小島選手がなかなか来ないと心配していたら、落車の跡が。表情さえない。
柳澤選手。
一人旅なシーンが多い日本の選手。
ライト君!行け!って大声だしたら、周囲の観客が、おお、おまえは日本人かと振り返り、ほらまたジャパン来たぞ、ほら遠慮せず撮れ撮れと指で示してくれたりした。
がっつり気合入れてる。
終了後、表彰式を見に行く途中で、戻ってきた鈴木選手と遭遇。
きつかった、速かった、と目を見開いて
悔しい、でも楽しかった、でも悔しいと交互に。
あー、悔しい、楽しかった、でも悔しい、あーもっとよく準備すれば、とか天を仰いだりしながら、言葉の奔流。あー。もう、すみません今は。とか何故か謝ったりして。
優勝した英国のBen Tulettは小柄な童顔で後続を大きく引き離す勝利だったけれども小動物みたいにウルウルしていた。あっちとこっち、どこに違いがあるんでしょう。
翌日、レースの合間に会場そばのスーパーマーケット探訪にいくのに付き添い?としてついていった。ジュニア3名とU23 の江越選手。
コーラの種類チェック。家にお土産、何にしようかなとか、円に換算なかなか暗算むずかしいとか。デンマークはキャッシュレスが進んでいて現金を使う機会がもともと少ないうえに、彼らは町から離れたホテルに滞在していて、なかなか手持ちのDKKが減らないと言っていた。
すれ違った、ベルギーの応援グッズを身に着けた中年のご夫婦、こっちをみてニコニコして、「日本からなのね?」と聞いてきた。そう、彼らは代表選手のいでたちなのだ。
「このジャケット着ていると、どこに出入りしてもそういう目で見られて、一目置かれる。それで俺たち代表選手なんだって思うんですよね。」「・・そうだ、俺たち日本代表なんだ!」「そうだそうだ」と口ぐちに。思うように走れなかったレース終わってからこういうこと言うのもなんですけどね。と小島選手(苦笑)
ものおじせず質問して買い物できます。当たり前か(苦笑)
会場にいつから設置されていたのか、やや年季がはいった感のある「2/2-2/3 2019 シクロクロス世界選手権」という黄色い看板を撮影。
会場にあふれる、飲食や買い物を楽しむ人出(この時間帯は3時間ぐらいレースの間隔があいていた)を眺めながら
「大きなお祭り。こんなにたくさん人が集まって、お祭りを思い切り楽しんでいて、それが世界選。いいなあ。このような場に日本代表として来ることができて本当によかった。また来たい」「世界のスピードに触れて衝撃を受けたけれど、日本に帰ってからそれに太刀打ちできるようにトレーニングを工夫してゆきたい。またこの場に立ちたい、頑張りたい」
と小島選手。
彼らのような年齢で、このような体験ができるチャンスはそうそうあるものではないと思います。競技以外の面でも将来の栄養になる貴重な経験だったのではと思いました。
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【追記】帰国後、鈴木選手の乗った自転車、サンエスのJFFフレームを開発した辻浦さんに、鈴木選手の完走について聞きました。
・昨シーズンに開催した合宿に参加した鈴木選手と知り合い、そのときの縁で、池本選手が機材を新しくした機会に鈴木選手に貸し出す提案をした。
・ジュニアは機材じゃないと思うけれども、応援してきた彼が完走できたことが嬉しい。
・彼は信州クロスでレベルの高いC1に混じっていつも前を意識したレースをして来た。
・このあとのロードレースシーズンでスピードや戦略を学んで、次のシクロクロスシーズンに期待している。
Bogenseの日本応援団
世界選一日目の男子ジュニアのレースの時、沿道に日の丸を振っている白髪のおじ様が居た。こういう応援は選手も張り合いが出るだろう。
VIP招待でもされた人かと思い「どの選手を応援しているんですか?」と尋ねると「日本人を応援しています」とニコニコ返事が。近くに在住の方らしい。そう、世界選は個別選手に詳しいマニアでなくても国単位で応援する姿が多くみかけられる。
午後、こんどはそのおじさま、沿道にいた日本のジュニアやアンダーの選手たちと話していた。
お話を聞くと、この方はデンマークに50年以上お住まいで、地元で社会人むけの大学を経営しているらしい。日本人に福祉を学んでほしいと始めたが、いまでは評判が良くて日本のみならず各国から学生が集まっているのだとか。
今回日本代表チームはOdense郊外の工場地帯のようなところにあるベルギーや米国と同宿の比較的大きいホテルに宿泊したが、この方の経営する学校にはカナダチームが宿泊しているらしく、日本チームに来てほしかったなあと言っていた。
そしてもう一組の日の丸応援団が。
日本人女性とお嬢さん二人、ご主人は地元の方のよう。話を聞くと、日本にいる弟さんが自転車好きで情報が来たとかで、ご自分も「弱虫ペダル」を愛読しているのだそう(代表チームに弱虫ペダルチームの選手たちがいてよかった)。シクロクロスを初めて観戦した1日目、とても楽しかったので、予定していなかった2日目も見に来ちゃいました!と目を輝かせていた。
ご主人はボート競技の指導をしているとかで、シクロクロスは「前みたことある」ぐらい、でも奥さんの母国の旗を大きく掲げて応援に参戦。家族4人が十分に楽しんでいる様子にこちらもうれしくなって選手の解説などしてしまった。
男子エリートのレースになるとベルギーほどではないが人出が増えて、コース際のポジションで撮影が難しくなってくるのだけれど、この選手がコーナーを曲がってくるよい場所をこのご家族は快くしばらく場所を譲ってくれた。
彼らはオランダ人が大歓声で沸きに沸く、大混雑の表彰式まで見に来ていて、奥さんはかなりシクロクロスが気に入った様子。
日本人がたくさん住んでいるとは思えない地の世界選で、袖すりあった心温まるひとときだった。
世界選の魅力
事前に天候を心配していましたが、心配しただけのことはある寒風と一時雨にもかかわらず、それ以上の熱気で無事に二日間観戦し終えることができました。お世話になった皆様ありがとうございました。
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二日間を通して改めて印象に残っているのは、大舞台に賭けている選手たちの表情だった。ファインダー越しに身も心も入れ込んで走っているさまが伝わってくる。先頭争いの選手もそうだけれど、前も後ろもレースのどの位置の顔も皆必死。
最初はみなが「やってやる」なオーラが走るうち各自の目標や自分との闘いにシフトしてゆくが、この「鬼気迫る」雰囲気はビッグレースになるほど色濃い。世界選はその最たるもの。
そして観客も最高に熱くなっていて、どよめきの重厚さや空気と地面から伝わる歓声には心が震える感覚になる。その場にいるとレース展開のすべては把握しきれないけれど、「場に浸る」この感覚は現地ならではのもの。
さらに、自分の国や応援する選手のために白熱、また、楽しむサポーターたちの様子も世界選では特別の盛り上がり。
・・それから、画面の先にしか存在を感じられていなかったスターを目前で見られること。シクロクロスならではの距離感。(自分がフェンス際に位置取りできた場合)
また、日本人であることを再認識する機会になります。
ということで、病みつきになる人の気持ちがよく分かった今回の世界選手権観戦でした。またすぐに行きたくなりそう。お世話になった皆様、どうもありがとうございました。
Bogense世界選前夜の表情
pre-ride
金曜日の試走段階でも路面凍結したまま、路面は硬くスピードコースなままで明日のレースを迎えるのか、降水確率は50%という記事。
そんな寒くて冷たい夕刻、世界選手権日本代表が宿泊するホテルに、チーム関係者に連絡の上、埼玉のおせんべいを差し入れに行ってきました。成田からデュッセルドルフまで同じ便の飛行機だった写真家の田辺さんがインタビューと集合写真の撮影をしていました。
コースは二年前のワールドカップの時よりもシンプルにフラットになり、事前の天気予報に反して凍結した硬いスピードコースになりそうということでコースの難易度がかなり高かった一昨年・昨年と比べると選手たちもちょっと事前の心持も異なるでしょうか。
メカニック諏訪さんと小島選手のお父さん。
鈴木選手とメカニック兼総務の橋本さん。
日本代表ジャージはシンプルでインパクトのある視認性高いデザインがかなりカッコよかった。
彼らのコメントなど詳しくは田辺さん執筆のインタビュー記事にてどうぞ。
同じ宿に米国代表が宿泊していて、来日したスクイッドバイクスのアンソニー・クラークとサミー・レイノルズにAbove Bike Shopの須崎さんから託された差し入れが渡されて(なんと来日時に彼らが気に入ったという「雪の宿」と缶コーヒーのBossレインボーマウンテンブレンド。)
私も亀田製菓の「つまみ種」小袋を進呈したところ、サミーはこれ知ってる、おいしい。と喜んでくれた。野辺山の男子エリートのゴール前、カメラマンが居並ぶ列の中に立って買ったやきいもをもぐもぐおいしそうに食べていた彼女は日本のおやつが好きなようだ。あんなに細いのにどこに入っていくんだろう。
彼ら二人も代表入りして色々緊張感がある経験中だろうけれども、日本のレースで勝利を収め、日本人と交流した日々のおかげで、日本人がやってきて声援を送るのは彼らのリラックスにつながるのかもしれない、と思った。
あと宿にはベルギー代表も宿泊していたが、2016年北京で少し話したイェンス・アダムスが通ったので声をかけてみた。よく覚えていなかったようだけど、あのころよりビッグスターになったのを見てうれしいと言ったらまだそんなじゃない、と言っていた。あの年は前のシーズン病気でポイントが稼げなかったので、ヨーロッパのレースシーズン前にポイント取り戻しにきてるんだ、と率直なコメントで見事にポイントを稼いで戻り、その後順調に位置を上げていった。
そして日本代表のために働いてくれているランジットさん。いつもありがとうございます。
では皆様にとって良いレースになりますように。
雪かみぞれか、「単に」泥か (海風と寒さはもれなく)
I will remember Bogense for many things, but the wind and the cold will be on the top of the list.
Bogenseについて今後僕はいろんなことを思い出すだろうけれども、風と寒さがそのリストのトップに来る。
・・ I was standing next to the sea and was trying to stay warm in howling wind, that was froze everything that wasn’t covered by layers of textile.
海沿いに立ち、覆われていないものすべてを凍りつくす途方もない風から体を暖かく保つ努力をし・・
2017年ワールドカップがBogenseで開催されたときのバリントさん(Cyclephotos)の手記。そして今週末、世界選が開催される。
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あら、雪景色。
https://m.nieuwsblad.be/cnt/dmf20190128_04135809
↑Het Nieusbladを蘭英翻訳。
はい、今週末の世界選は雪かみぞれあるいは「ただ泥なだけ」か、いずれにしても選手や観客はいつもより余分に暖かい服装を荷物にいれてね!という記事。充分寒そうなベルギーの新聞ですらこんな記事ですよ。どれだけしばれるのか。ただ泥なだけでも、海からの寒風はもれなくついてくる。
選手関係者は読みきれない天候に頭痛いと同時に腕の見せ所ですね。レース展開や有利になる選手が色々変わってきそう。
↑29日夜チェックした予報。
Bogenseは予報では金曜土曜日曜日雨か雪マーク。気温次第で雪かみぞれか。記事では気温は氷点下前後とのこと、さっき見てみたら最低気温が三日前にチェックしたときの氷点下より上がってる!わーい。さいたまなんて毎日最低気温は氷点下。でもシャワーといってた土曜日が雨か雪!と言いきってるからずっと途切れないのか。。そして風速。金曜日は20メートル以上、土曜日昼間も18メートルですって泣。
↑三日ぐらい前に見た予報。このときの予報は土曜日はシャワー程度だけど最低気温は氷点下。日曜は晴れ、日没後に気温ががくっと氷点下になる。
行けるかどうか暗雲たれ込めていた仕事が目途がついてCrossdenmarkのサイトにVIPチケットを買いにいったら日曜日は売り切れていた。土曜日は買ったけど、それはそれで室内に入るとカメラが結露しそうなのでどうしよう(ジップロック持っていくけど)。
マキノ全日本の方がまだ足元がふかふかの雪で楽だった?
野辺山の前もこんな風に天気予報に一喜一憂してたら矢野さんにtwitterで本当に直前まで天気予報はあてにならない、と言われたりして、フタをあけてみると結局穏やかだった。けれど、Bogenseのコースに吹き付ける哀しみ本線日本海みたいな北の波涛と海風には変わりないだろう。
2017 年はテクニカルすぎて乗車率が低かったり(Mathieu以外)、危険なところもあったんでしたっけ。また、観戦側からみて横断ポイントが多すぎたというのもあったらしいけれども、今回はどうでしょう。ケータリングは美味しいそうです。
とりあえず、行ってきます。その前にギリギリにスケジュール調整してもらった仕事の完了が。。。